音声 VLAN の設定に関する情報
音声 VLAN
音声 VLAN 機能を使用すると、アクセス ポートで IP Phone からの IP 音声トラフィックを伝送できます。スイッチを Cisco 7960 IP Phone に接続すると、IP Phone はレイヤ 3 IP precedence およびレイヤ 2 サービス クラス(CoS)値を使用して、音声トラフィックを送信します。どちらの値もデフォルトでは 5 に設定されます。データ送信が均質性に欠ける場合、 Cisco IP Phone の音質が低下することがあります。そのため、このスイッチでは、IEEE 802.1p CoS に基づく Quality of Service(QoS)をサポートしています。QoS は、分類およびスケジューリングを使用して、スイッチからのネットワーク トラフィックを予測可能な方法で送信します。Catalyst 6500 ファミリ スイッチの一部のマニュアルでは、音声 VLAN を 補助 VLAN と表しています。
Cisco7960 IP Phone は設定可能なデバイスであり、IEEE 802.1p プライオリティに基づいてトラフィックを転送するように設定できます。Cisco IP Phone によって割り当てられたトラフィック プライオリティを信頼するように、または上書きするようにスイッチを設定できます。
Cisco IP Phone には、3 ポートの 10/100 スイッチが統合されています。図 19-1を参照してください。これらのポートは、次のデバイスへの接続専用です。
• ポート 1 は、スイッチまたは他の Voice over IP(VoIP)デバイスに接続します。
• ポート 2 は、IP Phone のトラフィックを伝送する内部 10/100 インターフェイスです。
• ポート 3(アクセス ポート)は、PC または他のデバイスに接続します。
図 19-1 スイッチに接続された Cisco7960 IP Phone
Cisco IP Phone の音声トラフィック
Cisco IP Phone と接続するアクセス ポートを、1 つの VLAN は音声トラフィック用に、もう 1 つの VLAN は Cisco IP Phone に接続しているデバイスからのデータ トラフィック用に使用するように設定できます。スイッチ上のアクセス ポートを設定して、Cisco Discovery Protocol(CDP)パケットを送信させることができます。CDP には、接続する IP Phone に対して、次のいずれかの方法でスイッチに音声トラフィックを送信するように指定します。
• レイヤ 2 CoS プライオリティ値のタグ付き音声 VLAN による送信
• レイヤ 2 CoS プライオリティ値のタグ付きアクセス VLAN による送信
• タグなし(レイヤ 2 CoS プライオリティ値なし)のアクセス VLAN による送信
(注) いずれの設定でも、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(音声トラフィックはデフォルトで 5、音声制御トラフィックは 3)を伝送します。
Cisco IP Phone に CDP パケットを送信して IP Phone による音声トラフィックの送信方法を設定するように、IP Phone に接続するポートを設定できます。IP Phone は指定された音声 VLAN に、レイヤ 2 CoS 値を使用して、IEEE 802.1Q フレームの音声トラフィックを伝送できます。IEEE 802.1p のプライオリティ タグを使用すると、音声トラフィックにさらに高いプライオリティを与え、すべての音声トラフィックをネイティブ(アクセス)VLAN 経由で転送できます。Cisco IP Phone はタグなしの音声トラフィックを送信する、または独自の設定を使用してアクセス VLAN で音声トラフィックを送信することもできます。いずれの設定でも、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(デフォルトは 5)を伝送します。
Cisco IP Phone のデータ トラフィック
スイッチは、Cisco IP Phone のアクセス ポートに接続されたデバイス(図 19-1を参照)から送られた、タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム タイプのトラフィック)を処理することもできます。スイッチ上のレイヤ 2 アクセス ポートが、CDP パケットを送信するように設定できます。CDP は、接続する IP Phone に、次のいずれかのモードで IP Phone上のアクセス ポートを設定するように指定します。
• trusted(信頼性がある)モードでは、Cisco IP Phone のアクセス ポート経由で受信したすべてのトラフィックがそのまま IP Phone を通過します。
• untrusted(信頼性がない)モードでは、Cisco IP Phone のアクセス ポート経由で受信した IEEE 802.1Q および IEEE 802.1p フレームのすべてのトラフィックに、設定されたレイヤ 2 CoS 値を与えます。デフォルトのレイヤ 2 CoS 値は 0 です。信頼できないモードがデフォルト設定です。
(注) Cisco IP Phone に接続されたデバイスからのタグなしトラフィックは、IP Phone のアクセス ポートの信頼状態に関係なく、そのまま IP Phone を通過します。
音声 VLAN のデフォルト設定
音声 VLAN 機能は、デフォルトではディセーブルに設定されています。
音声 VLAN 機能がイネーブルの場合、すべてのタグなしトラフィックはポートのデフォルトの CoS プライオリティに従って送信されます。
IEEE 802.1p または IEEE 802.1Q のタグ付きトラフィックでは、CoS 値が信頼されません。
音声 VLAN 設定時の注意事項
• 音声 VLAN 設定はスイッチのアクセス ポートだけでサポートされており、トランク ポートではサポートされていません。
(注) トランク ポートは、標準 VLAN と同様に、任意の数の音声 VLAN を伝送できます。音声 VLAN の設定は、トランク ポートでは不要です。
• IP Phone での通信が適切に行えるように、音声 VLAN はスイッチ上でアクティブになっている必要があります。VLAN が存在しているかどうかを確認するには、 show vlan 特権 EXEC コマンドを使用します(リストで表示されます)。VLAN がリストになかった場合、音声 VLAN の作成方法について、「VLAN の設定」を参照してください。
• 音声 VLAN をイネーブルにする前に、mls qos グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してスイッチ上で QoS をイネーブルに設定し、さらに mls qos trust cos インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力してポートの信頼状態を trust に設定しておくことを推奨します。Auto-QoS 機能を使用すると、これらは自動的に設定されます。詳細については、「標準 QoS の設定」を参照してください。
• IP Phone にコンフィギュレーションを送信するために、Cisco IP Phone に接続するスイッチ ポート上で CDP をイネーブルにする必要があります。(デフォルト設定では、CDP がすべてのスイッチ インターフェイスでグローバルにイネーブルです)。
• 音声 VLAN を設定すると、PortFast 機能が自動的にイネーブルになります。音声 VLAN をディセーブルにしても、PortFast 機能は自動的にディセーブルになりません。
• Cisco IP Phone とその IP Phone に接続されたデバイスが同じ VLAN 上にある場合、両方とも同じ IP サブネットに属していなければなりません。次の条件が満たされている場合は、同じ VLAN 上にあります。
– 両方とも IEEE 802.1p またはタグなしフレームを使用する。
– Cisco IP Phone が IEEE 802.1p フレームを使用し、デバイスがタグなしフレームを使用する。
– Cisco IP Phone がタグなしフレームを使用し、デバイスが IEEE 802.1p フレームを使用する。
– Cisco IP Phone が IEEE 802.1Q フレームを使用し、音声 VLAN がアクセス VLAN と同じである。
• Cisco IP Phone と IP Phone に接続されたデバイスは、同一 VLAN、同一サブネット上にあっても、使用するフレーム タイプが異なる場合は通信できません。トラフィックは同一サブネット上でルーティングされないからです(ルーティングによってフレーム タイプの相違が排除されます)。
• 音声 VLAN には、スタティック セキュア MAC アドレスを設定できません。
• 音声 VLAN ポートには次のポート タイプがあります。
– ダイナミック アクセス ポート。 詳細については、「VMPS クライアント上のダイナミックアクセス ポートの設定」を参照してください。
– IEEE 802.1x 認証ポート。詳細については、「802.1x 準備状態チェックの設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN が設定され、Cisco IP Phone が接続されているアクセス ポートで IEEE 802.1x をイネーブルにした場合、その IP Phone のスイッチへの接続が最大 30 秒間失われます。
– 保護ポート。詳細については、「保護ポートの設定」を参照してください。
– SPAN または RSPAN セッションの送信元ポートまたは宛先ポート。
– セキュア ポート。詳細については、「ポート セキュリティの設定」を参照してください。
(注) 音声 VLAN も設定しているインターフェイス上でポート セキュリティをイネーブルにする場合、ポートで許容されるセキュア アドレスの最大数を、アクセス VLAN におけるセキュア アドレスの最大数に 2 を足した数に設定する必要があります。ポートを Cisco IP Phone に接続している場合、IP Phone に最大で 2 つの MAC アドレスが必要になります。IP Phone のアドレスは、音声 VLAN で学習され、アクセス VLAN でも学習される場合があります。PC を IP Phone に接続する場合、追加の MAC アドレスが必要になります。
Cisco 7960 IP Phone ポートへの接続
Cisco7960 IP Phone は、PC または他のデバイスとの接続もサポートしているので、スイッチを Cisco IP Phone に接続するポートは、さまざまな種類のトラフィックを伝送できます。ポートを設定することによって、Cisco IP Phone による音声トラフィックおよびデータ トラフィックの伝送方法を決定できます。
着信データ フレームのプライオリティ
PC またはその他のデータ デバイスを Cisco IP Phone ポートに接続できます。タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム)を処理するために、スイッチが CDP パケットを送信するように設定できます。CDP は、Cisco IP Phone に、IP Phone 上のアクセス ポートに接続されたデバイスからのデータ パケットをどのように送信するかを指定します。PC は、CoS 値が割り当てられたパケットを生成できます。接続デバイスから IP Phone のポートに届いたフレームのプライオリティを変更しない(信頼する)または変更する(信頼しない)ように、IP Phone を設定できます。