IPv6 ホスト機能の設定に関する情報
IPv6 形式のアドレス
スイッチがサポートするのは、IPv6 ユニキャスト アドレスだけです。スイッチはサイトローカルなユニキャスト アドレス、エニキャスト アドレス、またはマルチキャスト アドレスをサポートしません。
IPv6 の 128 ビット アドレスは、コロンで区切られた一連の 8 つの 16 進フィールド(n:n:n:n:n:n:n:n. の形式)で表されます。次に、IPv6 アドレスの例を示します。
2031:0000:130F:0000:0000:09C0:080F:130B
実装を容易にするために、各フィールドの先行ゼロは省略可能です。上記アドレスは、先行ゼロを省略した次のアドレスと同じです。
2031:0:130F:0:0:9C0:80F:130B
2 つのコロン(::)を使用して、ゼロが連続する 16 進フィールドを表すことができます。ただし、この短縮形を使用できるのは、各アドレス内で 1 回のみです。
2031:0:130F::09C0:080F:130B
IPv6 アドレス形式、アドレス タイプ、および IPv6 パケット ヘッダーの詳細については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章を参照してください。
「Implementing Addressing and Basic Connectivity」の章にある以下のセクションの内容がスイッチに適用されます。
• IPv6 アドレス形式
• IPv6 アドレスの出力表示
• 簡易 IPv6 パケット ヘッダー
128 ビット幅のユニキャスト アドレス
スイッチは集約可能なグローバル ユニキャスト アドレスおよびリンクに対してローカルなユニキャスト アドレスをサポートします。サイトに対してローカルなユニキャスト アドレスはサポートされていません。
• 集約可能なグローバル ユニキャスト アドレスは、集約可能グローバル ユニキャスト プレフィックスの付いた IPv6 アドレスです。このアドレス構造を使用すると、ルーティング プレフィックスを厳格に集約することができ、グローバル ルーティング テーブル内のルーティング テーブル エントリ数が制限されます。これらのアドレスは、組織を経由して最終的にインターネット サービス プロバイダーに至る集約リンク上で使用されます。
これらのアドレスはグローバル ルーティング プレフィックス、サブネット ID、およびインターフェイス ID によって定義されます。現在のグローバル ユニキャスト アドレス割り当てには、バイナリ値 001(2000::/3)で開始するアドレス範囲が使用されます。プレフィックスが 2000::/3(001)~ E000::/3(111)のアドレスには、Extended Unique Identifier(EUI)64 フォーマットの 64 ビット インターフェイス ID を設定する必要があります。
• リンクに対してローカルなユニキャスト アドレスをすべてのインターフェイスに自動的に設定するには、修飾 EUI フォーマット内で、リンクに対してローカルなプレフィックス FE80::/10(1111 1110 10)およびインターフェイス ID を使用します。ネイバー探索プロトコル(NDP)およびステートレス自動設定プロセスでは、リンクに対してローカルなアドレスが使用されます。ローカル リンク上のノードは、リンクに対してローカルなアドレスを使用します。通信する場合に、グローバルに一意なアドレスは不要です。IPv6 ルータは、リンクに対してローカルな送信元または宛先アドレスを持つパケットをその他のリンクに転送しません。
詳細については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章にある、「IPv6 Unicast Addresses」を参照してください。
IPv6 の DNS
IPv6 は、ドメイン ネーム システム(DNS)のレコード タイプを、DNS 名前/アドレスおよびアドレス/名前の検索プロセスでサポートします。DNS AAAA リソース レコード タイプは IPv6 アドレスをサポートし、IPv4 の A アドレス レコードと同等です。スイッチは IPv4 および IPv6 の DNS 解決をサポートします。
ICMPv6
IPv6 のインターネット制御メッセージ プロトコル(ICMP)は、ICMP 宛先到達不能メッセージなどのエラー メッセージを生成して、処理中に発生したエラーや、その他の診断機能を報告します。IPv6 では、ネイバー探索プロトコルおよびパス MTU ディスカバリに ICMP パケットも使用されます。
ネイバー探索
スイッチは、IPv6 対応の NDP、ICMPv6 の最上部で稼働するプロトコル、および NDP をサポートしない IPv6 ステーション対応のスタティック ネイバー エントリをサポートします。IPv6 ネイバー探索プロセスは ICMP メッセージおよび送信請求ノード マルチキャスト アドレスを使用して、同じネットワーク(ローカル リンク)上のネイバーのリンク層アドレスを判別し、ネイバーに到達できるかどうかを確認し、近接ルータを追跡します。
スイッチは、マスク長が 64 未満のルートに対して ICMPv6 リダイレクトをサポートしています。マスク長が 64 ビットを超えるホスト ルートまたは集約ルートでは、ICMP リダイレクトがサポートされません。
ネイバー探索スロットリングにより、IPv6 パケットをルーティングするためにネクスト ホップ転送情報を取得するプロセス中に、スイッチ CPU に不必要な負荷がかかりません。IPv6 パケットのネクスト ホップがスイッチによってアクティブに解決しようとしている同じネイバーである場合は、そのようなパケットが追加されると、スイッチはそのパケットをドロップします。このドロップにより、CPU に余分な負荷がかからないようになります。
DRP
スイッチは、ルータのアドバタイズメント メッセージの拡張機能である、IPv6 Default Router Prefernce(DRP)をサポートします。DRP では、特にホストがマルチホーム構成されていて、ルータが異なるリンク上にある場合に、ホストが適切なルータを選択する機能が向上しました。スイッチは、Route Information Option(RFC 4191)をサポートしません。
IPv6 ホストは、オフリンク宛先へのトラフィック用にルータを選択する、デフォルト ルータ リストを維持します。次に、宛先用に選択されたルータは、宛先キャッシュに格納されます。IPv6 NDP では、到達可能であるルータまたは到達可能性の高いルータが、到達可能性が不明または低いルータよりも優先されます。NDP は、到達可能または到達可能の可能性があるルータとして、常に同じルータを選択するか、またはルータ リストから繰り返し使用できます。DRP を使用することにより、IPv6 ホストが、両方ともが到達可能または到達可能の可能性がある 2 台のルータを差別化するように設定できます。
IPv6 の DRP の詳細については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addresses and Basic Connectivity」の章を参照してください。
IPv6 のステートレス自動設定および重複アドレス検出
スイッチではステートレス自動設定が使用されているため、ホストやモバイル IP アドレスの管理のような、リンク、サブネット、およびサイト アドレス指定の変更を管理することができます。ホストはリンクに対してローカルな独自アドレスを自動的に設定します。起動元ノードはルータに送信請求を送信して、インターフェイス設定をアドバタイズするようルータに要求します。
自動設定および重複アドレス検出の詳細については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章を参照してください。
IPv6 アプリケーション
スイッチは、次のアプリケーションについて IPv6 をサポートします。
• ping、traceroute、Telnet、TFTP、および FTP
• IPv6 トランスポートによるセキュア シェル(SSH)
• IPv6 トランスポートによる HTTP サーバ アクセス
• IPv4 トランスポートによる AAAA の DNS レゾルバ
• IPv6 アドレスの Cisco Discovery Protocol(CDP)サポート
これらのアプリケーションの詳細については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Managing Cisco IOS Applications over IPv6」の章および「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章を参照してください。
デュアル IPv4/IPv6 プロトコル スタック
IPv4 および IPv6 プロトコルの両方に 3 値連想メモリ(TCAM)の使用を割り当てるには、デュアル IPv4/IPv6 テンプレートを使用する必要があります。
図 42-1 に、IP パケットおよび宛先アドレスに基づいて、同じインターフェイスを介して IPv4 および IPv6 トラフィックを転送するルータを示します。
図 42-1 インターフェイス上での IPv4/IPv6 のデュアル サポート
デュアル IPv4/IPv6 スイッチ データベース管理(SDM)テンプレートを使用して、(IPv4 と IPv6 の両方をサポートする)デュアル スタック環境をイネーブルにします。デュアル IPv4/IPv6 SDM テンプレートについての詳細は、「SDM テンプレートの設定」を参照してください。
デュアル IPv4 および IPv6 テンプレートを使用すると、デュアル スタック環境でスイッチを使用できるようになります。
• デュアル IPv4/IPv6 テンプレートを最初に選択しないで IPv6 を設定しようとすると、警告メッセージが表示されます。
• IPv4 専用環境で、スイッチは Ipv4 QoS および ACL をハードウェアで適用します。IPv6 パケットはサポートされません。
• デュアル IPv4/IPv6 環境で、スイッチは IPv4 QoS および ACL をハードウェアで適用します。
• IPv6 QoS および ACL はサポートされていません。
• デュアル スタック テンプレートを使用すると各リソースの TCAM 容量が少なくなるので、IPv6 を使用しない場合はデュアル スタック テンプレートを使用しないでください。
IPv4/IPv6 プロトコル スタックについての詳細は、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章を参照してください。
IPv6 のスタティック ルート
スタティック ルートは手動で設定され、2 つのネットワーキング デバイス間のルートを明示的に定義します。スタティック ルートが有効なのは、外部ネットワークへのパスが 1 つしかない小規模ネットワークの場合、または大規模ネットワークで特定のトラフィック タイプにセキュリティを設定する場合です。
スタティック ルートの詳細については、Cisco.com の『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing Static Routes for IPv6」の章を参照してください。
IPv6 上の SNMP および Syslog
IPv4 と IPv6 の両方をサポートするには、IPv6 のネットワーク管理で IPv4 および IPv6 のトランスポートが必要になります。IPv6 による Syslog は、このトランスポートのアドレス データ タイプをサポートします。
IPv6 による SNMP および Syslog は、次の機能を提供します。
• IPv4 と IPv6 両方のサポート
• SNMP に対する IPv6 トランスポート、および SNMP 変更による IPv6 ホストのトラップのサポート
• IPv6 アドレス指定をサポートするための SNMP および Syslog に関連する MIB
• IPv6 ホストをトラップ レシーバとして設定
IPv6 に関連するサポートでは、SNMP は既存の IP トランスポート マッピングを変更して、IPv4 と IPv6 を同時にサポートします。次の SNMP 動作は、IPv6 トランスポート管理をサポートします。
• デフォルト設定のユーザ データグラム プロトコル(UDP)SNMP ソケットを開く
• SR_IPV6_TRANSPORT と呼ばれる新しいトランスポート メカニズムを提供
• IPv6 トランスポートによる SNMP 通知の送信
• IPv6 トランスポートの SNMP 名のアクセス リストのサポート
• IPv6 トランスポートを使用した SNMP プロキシ転送のサポート
• SNMP マネージャ機能と IPv6 トランスポートの連動確認
設定手順を含む、IPv6 に関連する SNMP については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Managing Cisco IOS Applications over IPv6」の章を参照してください。
設定手順を含む、IPv6 による Syslog については、Cisco.com で『 Cisco IOS IPv6 Configuration Library 』の「Implementing IPv6 Addressing and Basic Connectivity」の章を参照してください。
IPv6 による HTTP
HTTP クライアントは要求を IPv4 HTTP サーバと IPv6 HTTP サーバの両方に送信し、これらのサーバは IPv4 HTTP クライアントと IPv6 HTTP クライアントの両方からの要求に応答します。IPv6 アドレスを含む URL は、16 ビット値をコロンで区切った 16 進数で指定する必要があります。
受信ソケット コールは、IPv4 アドレス ファミリまたは IPv6 アドレス ファミリを選択します。受信ソケットは、IPv4 ソケットまたは IPv6 ソケットのいずれかです。リスニング ソケットは、接続を示す IPvv4 と IPv6 の両方の信号を待ち受け続けます。IPv6 リスニング ソケットは、IPv6 ワイルドカード アドレスにバインドされています。
基本 TCP/IP スタックは、デュアル スタック環境をサポートします。HTTP には、TCP/IP スタック、およびネットワーク層相互作用を処理するためのソケットが必要です。
HTTP 接続が確立するためには、基本ネットワーク接続(ping)がクライアントとサーバ ホストとの間に存在する必要があります。
IPv6 のデフォルト設定
表 42-1 IPv6 のデフォルト設定
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SDM テンプレート |
これがデフォルトです。 |
IPv6 アドレス |
未設定 |