Cisco Emergency Responder システムおよび管理に関する問題のトラブルシューティング
この章では、サーバや Web サーバの問題など、Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)システムとその管理に関する問題の解決に役立つトピックを取り上げます。
• 「パブリッシャを確認できない」
• 「ログインに関する問題のトラブルシューティング」
• 「Cisco Unified Operations Manager の使用方法」
• 「Cisco Emergency Responderスイッチとポートの設定に関する問題のトラブルシューティング」
• 「ERL Debug Tool を使用した Cisco Emergency Responder の設定の確認」
• 「パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバの交換」
• 「Cisco Emergency Responder Admin Utility の使用方法」
• 「データベースおよびエンタープライズ レプリケーションのトラブルシューティング」
• 「Cisco Emergency Responder システムに関する問題のトラブルシューティング」(P.5-7)
• 「Cisco Unified Communications Manager の設定に関する問題のトラブルシューティング」(P.5-8)
パブリッシャを確認できない
インストール時にパブリッシャを確認できない場合、以下の点を確認します。
1. パブリッシャのホスト名が正しいこと、およびホスト名でパブリッシャに到達可能であることを確認します。
2. パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバが同じバージョンの Emergency Responder を実行していることを確認します。
3. 入力したデータベースのパスワードが正しいことを確認します。これは、インストール時に [Database Access Security Configuration] ページで指定したパスワードです。
4. パブリッシャでサブスクライバが正しく設定されていることを確認します。
ログインに関する問題のトラブルシューティング
Emergency Responder へのログイン時に、次のような問題が発生することがあります。
症状 Emergency Responder Administration Web サイトにログインできません。
推奨処置 CLI にログインし、 utils service list コマンドを実行します。ステータス「Cisco IDS」が STARTED かどうかを確認します。STARTED ではない場合、 utils service start service name コマンドを使用してサービスを開始します。
症状 Netscape Navigator を使用して複数の Emergency Responder セッションを開くことができません。
推奨処置 Netscape/Mozilla Navigator は、複数のウィンドウで同じセッション ID を使用します。そのため、異なる ID を使用して Emergency Responder にログインしようとすると問題が発生します。通常、システム管理者としてログインすると、複数のウィンドウを開くことができます。Internet Explorer を使用し、(既存のセッションから新しいウィンドウを開くのではなく)新しい IE インスタンスを開始して別の IE セッションを開いた場合、IE は異なるセッション ID を使用します。そのため、異なる ID を使用してログインできます(たとえば、ユーザと管理者として、LAN スイッチ管理者と ERL 管理者としてなど)。
関連項目
• 「ERL Debug Tool を使用した Cisco Emergency Responder の設定の確認」
Cisco Unified Operations Manager の使用方法
Emergency Responder システムの状態を継続的にモニタするには、Cisco Unified Operations Manager を使用します。
Cisco Unified Operations Manager を使用できるように Emergency Responder を設定する方法については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』 の「Configuring Test ERLs」を参照してください。
Cisco Unified Operations Manager のインストールおよび使用方法については、次の マニュアル を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/cscowork/index.html
Cisco Emergency Responderスイッチとポートの設定に関する問題のトラブルシューティング
Emergency Responder でスイッチまたはスイッチ ポートを設定する際、次のような問題が発生することがあります。
症状 Emergency Responder は Cisco Unified Communications Manager(Cisco Unified CM)の情報を使用して設定されていますが、電話機が検出されません。
推奨処置 ネットワークで Cisco Unified CM サーバに到達可能であることを確認します。次に、スイッチと Cisco Unified CM サーバに対して SNMP read コミュニティ ストリングが正しく設定されていることを確認します(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Configuring the SNMP Connection」を参照)。その後、スイッチ ポートと電話機の更新プロセスを手動で実行します(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Manually Running the Switch-Port and Phone Update Process」を参照)。CLI ベースの utils snmp コマンドを使用して、Cisco Unified CM に SNMP で到達可能かどうかを確認します。
症状 Emergency Responder に設定されているスイッチが Emergency Responder で表示されません。
推奨処置 サポート対象のスイッチを Emergency Responder に追加し、追加後にそのスイッチで電話機のトラッキングを実行すると、スイッチにイーサネット ポートのリストを表示できます。Emergency Responder にこれらのポートのリストが表示されない場合は、Emergency Responder でスイッチの SNMP 設定を確認します(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Configuring the SNMP Connection」を参照)。さらに、ネットワーク経由でスイッチに到達可能であることも確認します。スイッチで特定の電話機のトラッキング プロセスを再試行します(スイッチの詳細情報を表示しているときに、[Locate Switch Ports] をクリックします。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「LAN Switch Details」を参照してください)。
問題が解決されない場合は、そのスイッチがサポート対象であることを確認します(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Network Hardware and Software Requirements」を参照)。Event Viewer のエラー メッセージも確認します。
症状 一部の電話機がスイッチ ポート リストに表示されません。
推奨処置 設定済みの IP サブネットまたは疑似電話機内に電話機があるかどうかを確認します。いずれの場所でも見つからなかった場合、その電話機は位置未確認の電話機として認識されます。電話機の位置を確認できない理由のリストについては、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Too Many Unlocated Phones」を参照してください。
症状 Emergency Responder の設定からスイッチを削除できません。
推奨処置 電話機のトラッキング プロセスが進行中の場合、スイッチは削除できません。プロセスの終了後に削除を再試行してください。上記に問題がない場合は、Emergency ResponderCisco ER サーバが実行されていない可能性があります。コントロール センターを確認し、サーバを再起動します(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Starting and Stopping a Cisco Emergency Responder Server」を参照)。
症状 スイッチ ポートの詳細の読み込みまたは書き出しに失敗します。
推奨処置 スイッチ ポートの読み込みまたは書き込みが失敗する場合、次の理由が考えられます。第 1 に、スイッチ ポートと電話機の更新プロセスが終了していません(完了するまで待ってください)。第 2 に、Emergency Responder サーバが実行されていません(コントロール センターを使用して再起動します。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Starting and Stopping a Cisco Emergency Responder Server」を参照してください)。第 3 に、Emergency Responder サーバの初期化が完了していません(初期化されるまで待ってください)。
症状 一部のスイッチ ポート設定の読み込みに失敗します。
推奨処置 スイッチ ポート設定を読み込むには、そのスイッチが Emergency Responder で設定されていなければならず、Emergency Responder はまずスイッチ ポートと電話機の更新プロセスを使用して、スイッチ上のポートを検出する必要があります。Emergency Responder で未検出のポートの設定を読み込もうとすると、設定の読み込みに失敗します。このプロセスの詳細については、『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Manually Running the Switch-Port and Phone Update Process」を参照してください。ポート設定を読み込むことができないスイッチでこのプロセスを実行してから、読み込みを再試行してください。
症状 他の Emergency Responder グループからこの Emergency Responder グループに移動し、その後再び元のグループに戻った電話機は、引き続きこの Emergency Responder グループのスイッチ ポートの詳細に表示されます。
推奨処置 このような電話機は、次回のスイッチ ポートと電話機全体の更新プロセスが実行されるまで、スイッチ ポートの詳細から削除されません。これが問題の場合、そのスイッチ(またはすべてのスイッチ)でプロセスを手動実行できません。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Manually Running the Switch-Port and Phone Update Process」を参照してください。
ERL Debug Tool を使用した Cisco Emergency Responder の設定の確認
ERLs Debug Tool は電話機の内線番号を検索条件として使用し、電話機の緊急コールのルーティングに現在使用されている ERL を表示します。
この診断ツールを使用して、ERL の作成時および ERL の割り当てフェーズでの Emergency Responder の設定を確認し、コールが誤った ERL に発信される問題を解決します。
たとえば、手動設定した電話機として ERL_1 を設定したとします。ただし、設定を誤った IP サブネットがこの電話機の IP アドレスと一致し、ERL_2 と関連付けられています。この場合、Debug Tool を使用して設定の問題を検出し、修正できます。
ERL Debug Tool を使用するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 [Tools] > [ERL Debug Tool] を選択します。
Emergency Responder で [ERL Debug Tool] ページが表示されます。
ステップ 2 特定の電話のリストを表示するには、[Find Phones] フィールドで検索条件を選択し、[Find] をクリックします。
Emergency Responder に、その電話機で緊急コールのルーティングに現在使用されている ERL が表示されます。
ステップ 3 設定が正しくない場合、必要に応じて修正します。
(注) Emergency Responder には最大 1,000 レコードが表示されます。
問題のあるサブスクライバの交換
問題のあるサブスクライバを交換するには、Emergency Responder 管理画面に移動し、そのサブスクライバを削除します。パブリッシャの新しい Emergency Responder サブスクライバをインストールします(『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Installing Cisco Emergency Responder 8.6 on a New System」を参照)。
(注) 交換後のサブスクライバ サーバで同じホスト名を使用しない場合、パブリッシャ サーバの Emergency Responder 管理画面を使用して問題のあるサブスクライバを削除する必要があります。
問題のあるパブリッシャの交換
パブリッシャを復元できるのは、Emergency Responder の一部として使用できる Disaster Recovery System でパブリッシャをバックアップした場合だけです。『 Cisco Emergency Responder 8.6 Admistration Guide 』の「Backing Up and Recovering Data」を参照してください。
問題のあるパブリッシャを交換するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 以前に使用していたのと同じホスト名を使用して、同じバージョンの Emergency Responder Publisher をサーバにインストールします。
ステップ 2 インストール時には同じ設定オプションを選択します(Cisco Unified CM のバージョンなど)。
ステップ 3 Disaster Recovery System を使用して、古い設定データを復元します。
Cisco Emergency Responder Admin Utility の使用方法
Emergency Responder Admin Utility Tool を使用して、次のタスクを実行できます。
• Emergency Responder クラスタ データベース ホストの詳細情報を更新する
• CCM バージョンをアップグレードする
詳細については、「Emergency Responder Admin Utility Tool の使用方法」を参照してください。
Emergency Responder Admin Utility Tool の使用方法
Emergency Responder Admin Utility Tool を使用するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Emergency Responder Admin Utility Web インターフェイスにログインします。
ステップ 2 メニュー バーを使用して、実行するタスクを選択します。
a. サブスクライバ サーバが示すパブリッシャを変更するには、[Update] > [Publisher] を選択します。
b. Cisco Unified CM バージョンを更新するには、[Update] > [CCM Version] を選択します。
c. パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバの両方でクラスタ設定を更新するには、[Cluster] > [DBHost] を選択します。
(注) このアクションでは、このサーバ グループの Emergency Responder クラスタ DB の詳細のみが更新されます。この Emergency Responder クラスタ内の他のサーバは自動更新されません。
ステップ 3 変更内容を保存するには、パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバの両方を再起動します。
サブスクライバ データベースの設定のトラブルシューティング
(DB レプリケーションとは別の)サブスクライバに関する問題がある場合、パブリッシャとサブスクライバを設定し直すには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 サブスクライバ サーバの Emergency Responder Admin Utility Web インターフェイスにログインします。
ステップ 2 [Update] > [Publisher] を選択します。
ステップ 3 同じパブリッシャのホスト名、IP アドレス(すでに指定済み)、およびデータベース アクセス セキュリティ パスワードを指定します。
ステップ 4 [Go] をクリックします。
この設定手順には時間がかかることがあります。
データベースおよびエンタープライズ レプリケーションのトラブルシューティング
Informix Dynamic Server(IDS)データベースのトラブルシューティングには、次の CLI コマンドを使用します。
• utils service list :IDS サービスが実行中かどうかを確認するために使用されます。
• show tech dbstateinfo :データベースに関する問題のデバッグに役立つ DB の状態情報を表示します。
• show tech dbinuse :現在使用されているデータベースを表示します。
• show tech dbintegrity :データベースの整合性情報を表示します。
• show tech database :データベースのすべてのテーブルのコンテンツを含む 1 つの .csv ファイルを作成します。
エンタープライズ レプリケーションのトラブルシューティングには、次の CLI コマンドを使用します。
• utils dbreplication status :データベース レプリケーションののステータスを表示するために使用されます。
• utils dbreplication reset :パブリッシャとサブスクライバ間のデータベース レプリケーションをリセットし、再起動します。
• utils dbreplication repair :レプリケーション サーバ(パブリッシャとサブスクライバ)上のデータを比較し、データの不統一を列挙したレポートを作成し、データの不統一を修復します。また、何らかの理由で .rhosts ファイルが破損した場合、このコマンドは、そのファイルを再構築してレプリケーションの修復も試行します。
ログを使用してデータベースに関する問題を解決するには、Emergency Responder Serviceability Web サイトまたは CLI を使用してログをダウンロードします。
次のログは、データベースに関連する問題をデバッグするための情報を提供します。
• Install/Upgrade ログ:/var/log/install/
• Install DB ログ:/var/log/active/er/trace/dbl/sdi/
• CERDbMon ログ:/var/log/active/er/trace/dbl/sdi/cerdbmon/
• CLI ログ:/var/log/active/platform/log/
症状 DNS を使用してサブスクライバをインストールした後にレプリケーションの起動に失敗し、CLI コマンド utils dbreplication status でレプリケーションが動作していないと表示されます。
考えられる原因 .rhosts で、サブスクライバの FQDN(完全修飾ドメイン名)ではなく、サブスクライバのホスト名が指定されています。
推奨処置 レプリケーションの問題を修復するには、CLI コマンド utils dbreplication repair を使用します。このコマンドは、破損した .rhosts ファイルを再構築して、レプリケーションの修復を試行します。