Cisco Emergency Responder について
次のトピックでは、Emergency Responder の概要と、ネットワークで Emergency Responder を使用する方法について説明します。
• 「Cisco Emergency Responder 8.6 の機能」
• 「ネットワークのハードウェアおよびソフトウェアの要件」
• 「Cisco Emergency Responder 8.6 のライセンス」
• 「Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法」
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「データの整合性および信頼性に関する考慮事項」
Cisco Emergency Responder 8.6 の機能
Emergency Responder 8.6 の主な新機能および拡張機能を次に示します。
• 「EnergyWise の使用」
Emergency Responder 8.6 でサポートされているハードウェアとソフトウェアのリストについては、『 Release Notes for Cisco Emergency Responder 8.6 』を参照してください。
初期インストールまたはアップグレードのライセンス
Emergency Responder 8.6 では、初期インストールのため、またはアップグレードの実行のためにライセンス キーは必要ありません。新規インストールまたは Emergency Responder 7.1 からのアップグレードから 60 日以内に新しいサーバ ライセンスをインストールする必要があります。Emergency Responder 8.0 以降からのアップグレードには、新しいサーバ ライセンスは必要ありません。ライセンス供与されていない Emergency Responder 8.6 ソフトウェアは、インストール後 60 日間、電話機 100 台のキャパシティで正常に動作します。追加のユーザ ライセンスは、サーバ ライセンスをインストールしてから有効になります。60 日以内にサーバ ライセンスをインストールしないと、Emergency Responder 8.6 システムはシャットダウンされます。
サーバ ライセンス
サーバ グループ内の Emergency Responder サーバごとにサーバ ライセンスを取得するには、サーバ ソフトウェアを注文する必要があります。1 つのライセンス ファイルに Emergency Responder パブリッシャと Emergency Responder サブスクライバの両方のライセンスを含めるか、または Emergency Responder サブスクライバの個別のライセンス ファイルを後で Emergency Responder パブリッシャにインストールすることができます。パブリッシャ サーバでイーサネット カードの MAC アドレスを使用して、パブリッシャおよびサブスクライバのライセンスを生成する必要があります。Emergency Responder サブスクライバの MAC アドレスは使用しないでください。
Emergency Responder サーバ ライセンスを注文するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 ご希望の注文方法で Emergency Responder 8.6 を注文します。Emergency Responder 8.6 と一緒に製品認証キー(PAK)を受け取ります。
ステップ 2 https://tools.cisco.com/SWIFT/Licensing/PrivateRegistrationServlet に進み、PAK とパブリッシャの Emergency Responder サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)アドレスを入力して Emergency Responder を登録します。Emergency Responder サブスクライバの MAC アドレスは使用しないでください。
パブリッシャの Emergency Responder サーバの MAC アドレスを取得するには、次の手順を実行します。
a. Cisco Unified OS Administration の Web サイトにログインします。
b. [Show] > [Network] の順に進みます。
c. [Ethernet Details] セクションに MAC アドレスが表示されます。
処理後、電子メールにテキスト ファイル形式で添付されたサーバ ライセンス ファイルを受信します。
(注) VMware のインストールの場合は、<Hardware MAC> の代わりに HOSTNAME=<License MAC> を使用してライセンス ファイルを生成してください。
ステップ 3 サーバ ライセンス ファイルをローカル サーバに保存して、そのファイルを Emergency Responder サーバにアップロードできるようにします。
ステップ 4 Emergency Responder Administration Web インターフェイスを使用して、サーバ ライセンス ファイルをアップロードします。サーバ ライセンス ファイルをアップロードする方法の手順については、「Cisco Emergency Responder ライセンス ファイルのアップロード」を参照してください。
ユーザ ライセンス
ユーザ ライセンスは通常、プライマリ Emergency Responder サーバにインストールされますが、ユーザ ライセンスのインストール先に関係なく、プライマリとセカンダリの両方の Emergency Responder サーバでサーバ ライセンスが共有されます。
サーバ グループで使用できるユーザ ライセンス総数は、サーバ グループの両方のサーバで使用できるユーザ ライセンスの合計です。
Emergency Responder でサポートされているすべての Cisco Unified CM クラスタによって制御されたエンドポイント(IP ハードフォン、IP ソフトフォン、アナログ電話機を含む)ごとにユーザ ライセンスを購入する必要があります。Cisco Unified CM クラスタ内の一部のエンドポイントのみのライセンスを取得することはサポートされていません。
追加の Emergency Responder ユーザ ライセンス、またはアップグレードされた Emergency Responder ユーザ ライセンスを注文するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 追加の Cisco ER ユーザ ライセンス、またはアップグレードされた Cisco ER ユーザ ライセンスを注文します。追加のユーザ ライセンスごとに製品認証キー(PAK)を受け取ります。
ステップ 2 Cisco.com に進み、PAK とプライマリ Emergency Responder サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)アドレスを入力して Emergency Responder を登録します。ユーザ ライセンスがプライマリ Emergency Responder サーバにインストールされます。Emergency Responder サブスクライバの MAC アドレスは使用しないでください。
(注) VMware のインストールの場合は、<Hardware MAC> の代わりに HOSTNAME=<License MAC> を使用してライセンス ファイルを生成してください。
処理後、電子メールにテキスト ファイル形式で添付されたサーバ ライセンスを受信します。
ステップ 3 サーバ ライセンス ファイルをローカル サーバに保存して、そのファイルをプライマリ Emergency Responder サーバにアップロードできるようにします。
ステップ 4 ユーザ ライセンス ファイルをアップロードします。ユーザ ライセンスのアップロード方法の手順については、「Cisco Emergency Responder ライセンス ファイルのアップロード」 を参照してください。
(注) Emergency Responder 8.0 以降は、プライマリ サーバでのみライセンス ファイルをアップロードできます。
(注) Emergency Responder 8.0 以降は、サーバ ライセンスに暗黙的なライセンスは含まれません。ユーザ ライセンスを明示的に購入する必要があります。
ライセンス要件の決定
サーバ ライセンスの場合:
• Emergency Responder グループ内のサーバ(プライマリおよびセカンダリ)ごとにサーバ ライセンスを取得するには、サーバ ソフトウェアを注文します。サーバ ソフトウェアの 2 つのコピーをまとめて注文すると、ノード カウントが 2 のサーバ グループに対して 1 つのサーバ ライセンスを取得できます。Emergency Responder ソフトウェアの追加のコピーを個別に注文することによって、既存の Emergency Responder グループにセカンダリ サーバを追加できます。
• すべてのサーバ ライセンスは、プライマリ Emergency Responder サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)に基づきます。Emergency Responder サブスクライバの MAC アドレスは使用しないでください。
• パブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバ間では、サーバ ライセンスを共有できません。既存の Emergency Responder グループにセカンダリ サーバを追加するには、Emergency Responder ソフトウェアの個別のコピーを注文する必要があります。
ユーザ ライセンスの場合:
• Emergency Responder グループごとに 1 つ以上(必要に応じて)のユーザ ライセンスを注文します。
• 各 Emergency Responder グループ内のパブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバ間でユーザ ライセンスを共有できます。
• Emergency Responder ユーザ ライセンスを Emergency Responder クラスタ内の異なる Emergency Responder グループ間で、または異なる Emergency Responder クラスタ間で共有することはできません。(クラスタの詳細については、「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」を参照してください)。
例
Emergency Responder 設定で 500 ユーザをサポートする場合は、次のライセンスを購入する必要があります。
• Emergency Responder パブリッシャ サーバのサーバ ライセンスを取得するための、Emergency Responder ソフトウェアの 1 つコピー。
• Emergency Responder サブスクライバ サーバのサーバ ライセンスを取得するための、Emergency Responder ソフトウェアの 1 つコピー。このライセンスは、プライマリ Emergency Responder サーバのメディア アクセス コントロール(MAC)に基づきます。
• 最大 500 ユーザのユーザ ライセンスを購入します。
• Emergency Responder ソフトウェアの 2 つのコピーをまとめて注文すると、ノード カウントが 2 のサーバ グループに対して 1 つのサーバ ライセンスを取得できます。Emergency Responder ソフトウェアの追加のコピーを個別に注文することによって、既存の Emergency Responder グループにセカンダリ サーバを追加できます。
ライセンス ファイルのアップロード
Emergency Responder Administration Web インターフェイスを使用して、ライセンス ファイルを Emergency Responder サーバにアップロードできます。パブリッシャ サーバを起動して実行している場合、パブリッシャ サーバからのみすべてのライセンス ファイルをアップロードする必要があります。ライセンス ファイルをアップロードするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Emergency Responder Administration Web サイトにログインします。
ステップ 2 [System] > [License Manager] の順に選択します。[License Manager] ページが表示されます。
ステップ 3 [Upload license] をクリックします。[Upload File] ページが表示されます。
ステップ 4 [Browse...] ボタンを使用して、ローカル システムからアップロードするライセンス ファイルを選択します。
ステップ 5 [Upload] をクリックします。選択したライセンス ファイルが Emergency Responder サーバにアップロードされます。
(注) Emergency Responder 8.0 以降は、プライマリ Emergency Responder サーバからのみサーバ ライセンスをアップロードできます。
関連項目
• 「License Manager」
Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法
図 1-1 に、Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)をご使用のネットワークに適合させる方法を示します。
図 1-1 Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法
Emergency Responder は、緊急コールを Emergency Responder グループに送信するために変更する必要のある、会社のダイヤル プランの Cisco Unified Communications Manager に依存します。必要な Cisco Unified Communications Manager の設定の詳細については、「Cisco Emergency Responder 8.6 向けの Cisco Unified Communications Manager Versions 6.1 以降の設定」を参照してください。
電話機を追跡するために、Emergency Responder では、クラスタに登録されている電話機のリストについて Cisco Unified Communications Manager に照会します。その後、Emergency Responder では、電話機が接続されているポートを特定するためにネットワーク上のスイッチ(Emergency Responder のものであると識別されたスイッチ)に照会します。移動された電話機を識別できるように、Emergency Responder では、日中に定期的にこの追跡を行います。Emergency Responder でのスイッチの設定の詳細については、「Cisco Emergency Responder のスイッチの設定」を参照してください。Emergency Responder で緊急コールをポートと電話機ロケーションに基づいて正しい PSAP に送信できるようにスイッチ ポートを設定する方法については、「電話機の管理」を参照してください。
オプションとして、ご使用のネットワークまたはサービス プロバイダーに SMTP 電子メール サーバを設定することもできます。電子メールをオンサイト アラート(セキュリティ)担当者に送信するように Emergency Responder を設定し、それらの担当者に緊急コールを通知することができます。サーバを電子メールベースのページング サービスとして設定するとそれらの担当者がページングされます。
最後に、Emergency Responder で緊急コールを現地の Public Safety Answering Point(PSAP)にルーティングできるように、サービス プロバイダーのネットワークへの PRI または CAMA リンクを備えたゲートウェイが必要です。
図 1-1 に、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートしている 1 つの Emergency Responder グループを示します。Cisco Unified CM で同一バージョンのソフトウェアを実行している限り、1 つの Emergency Responder グループで複数の Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートできます。より大規模なネットワークでは、複数の Emergency Responder グループをインストールし、Emergency Responder クラスタを作成することができます。このインストールの説明については、「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」を参照してください。
Emergency Responder で管理される場合に緊急コールで取得するパスの説明については、「緊急コールの発信時に発生するプロセス」を参照してください。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「Cisco Emergency Responder の配置」
緊急コールの発信時に発生するプロセス
このトピックでは、緊急コールを処理するために Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)で使用するプロセスについて説明します。このプロセスを理解すると、Emergency Responder を正しく設定し、発生する可能性のある問題のトラブルシューティングを実行することができます。
図 1-2 は、Emergency Responder で緊急コールをルーティングする方法を示します。
図 1-2 Cisco Emergency Responder で緊急コールをルーティングする方法
誰かが内線 3003 を使用して緊急コールを発信した場合:
1. Cisco Unified Communications Manager によって、そのコールが Emergency Responder にルーティングされます。
2. Emergency Responder では、発信者の緊急応答ロケーション(ERL)に設定されているルート パターンを取得します。コール ルーティングの順序については、「Cisco Emergency Responder のコール ルーティングの順序」を参照してください。
3. Emergency Responder によって、発信者番号が発信者の ERL に設定されているルート パターンに変換されます。このルート パターンは、適切な緊急ロケーション識別番号(ELIN)を Public Safety Answering Point(PSAP)に渡すために設定されます。ELIN は、緊急の発信者にコールバックするために PSAP で使用できる電話番号です。
4. デフォルトでは、Emergency Responder によって、発信者の内線番号と ELIN の間のマッピングが最大 3 時間保存されます。エントリのタイムアウト前にマッピングが後続のコールで上書きされる場合があります。タイムアウトの設定を 3 時間よりも長くしたり、短くしたりすることもできます(「Cisco Emergency Responder Group Settings」を参照)。
5. Emergency Responder では、発信者の ERL に設定されているルート パターンを使用してコールがルーティングされます。次に、このルート パターンでは、設定されたルート リストを使用して、緊急コールを適切なサービス プロバイダーのネットワークに送信します。サービス プロバイダーは、自動ロケーション情報(ALI)で ELIN を検索し、コールを適切なローカル PSAP にルーティングします。PSAP では、電話コールを受信し、ALI データベースで ALI を検索します。
6. 同時に、Emergency Responder によって、Web アラートが Emergency Responder ユーザに送信されます。さらに、Emergency Responder では、ERL に割り当てられているオンサイト アラート(セキュリティ)担当者にコールします。その担当者の電子メール アドレスを設定している場合、Emergency Responder によって、電子メールも送信されます。そのアドレスが電子メールベースのページング サービス用である場合には、その担当者に電子メールではなく、ページが送信されます。
7. 緊急コールが突然切断された場合、PSAP は ELIN を使用して緊急の発信者にコールバックできます。ELIN のコールは Emergency Responder にルーティングされ、Emergency Responder によって、ELIN が ELIN と関連付けられているキャッシュされた最後の内線番号に変換されます。その後、コールがその内線にルーティングされます。
適切なパフォーマンスを確保し、障害点をなくすには、次の内容を確認します。
• 緊急コールが正しくルーティングされるようにするためには、発信者の電話機を正しい ERL に割り当てる必要があります。電話機に関連付けられている ERL が正しいかを確認するには、ERL デバッグ ツールを使用します。
• コールの正確なルーティングについて他に考えられる問題としては、ELIN 定義があります。ELIN ルート パターンを誤ったゲートウェイに割り当てた場合、緊急コールが誤ったネットワークにルーティングされる可能性があります。これにより、緊急コールが間違った PSAP に送信される可能性があります。
サービス プロバイダーと連携して、必要なゲートウェイ数とゲートウェイを接続する場所を決定します。これらの要件は、ご使用のネットワーク トポロジよりもサービス プロバイダーのネットワーク トポロジに基づきます。米国では、緊急コール ネットワークは PSTN に直列に接続するため、PSTN に接続しただけでは、緊急コールは正しくルーティングされません。
• ALI データベースの情報が正しくないと、サービス プロバイダーのネットワークでコールが正しくルーティングされない可能性があります。ALI データをエクスポートしてそのデータをサービス プロバイダーに送信し、ELIN またはロケーションの情報を変更した場合には必ず ALI データを再送信します。
• ERL から多数の緊急コールが発信されると、PSAP では、緊急の発信者に正常にコールバックできない可能性があります。Emergency Responder では、ELIN-to-extension マッピングが最大 3 時間キャッシュされます。ERL に 2 つの ELIN を定義し、3 時間の間に 3 つの緊急コールが発信された場合、最初の ELIN が 2 回使用されます。つまり、1 回目は最初の発信者に、2 回目は 3 番目の発信者に使用されます。PSAP で最初の ELIN をコールした場合、PSAP は最初の発信者ではなく、3 番目の発信者に到達します。この問題が発生する可能性は、ELIN に定義する ELIN の数と ERL における標準的な緊急コール率で決まります。
Cisco Emergency Responder のコール ルーティングの順序
Emergency Responder では、緊急コールが発信された電話機のロケーションに基づいて緊急コールを転送します。電話機のロケーションは、優先順位に従って次の方法によって判断されます。
• 擬似電話:電話の MAC アドレスは、擬似電話の MAC アドレスと一致し、テスト用の緊急応答ロケーション(ERL)に割り当てられます。 「擬似電話機の追加」 および 「テスト ERL の設定」 を参照してください。
• スイッチ ポートの背後で追跡される IP 電話:IP 電話の MAC アドレスは、ERL に割り当てられているスイッチ ポートの背後で追跡されます。 「スイッチ ポートの設定」 を参照してください。
• IP サブネットを使用して追跡される IP 電話:IP 電話の IP アドレスは、ERL に割り当てられている IP サブネットワークに属します。 「IP サブネットベースの ERL の設定」 を参照してください。
• 同じ Emergency Responder クラスタ内の別の(リモートの)Emergency Responder サーバ グループによって追跡される IP 電話:リモート サーバ グループでは、スイッチ ポートの背後で、または IP サブネットで IP 電話を追跡します。緊急コールを受信すると、リモートの Emergency Responder サーバ グループでカバーされている Cisco Unified Communications Manager クラスタに緊急コールが転送されます。 「クラスタ間の電話機の移動」 を参照してください。
• 手動で設定された電話:電話の回線番号は、手動で ERL に割り当てられます。 「電話機の手動での定義」 を参照してください。
• 位置未確認の電話:IP 電話の MAC アドレスは、ERL に割り当てられます。 「位置未確認の電話の識別」 を参照してください。
• デフォルト ERL:電話機ロケーションを特定するために、前のどの基準も使用されません。コールは、デフォルト ERL にルーティングされます。 「デフォルト ERL の設定」 を参照してください。
(注) Cisco Unified IP Phone には、MAC または IP アドレスの追跡が推奨されます。MAC または IP アドレスによって追跡されない IP 電話は、手動の回線番号設定でロケーションが割り当てられている場合でも、位置未確認の電話機として表示されます。
(注) 手動で設定された電話機には、Emergency Responder で、先頭に「+」を含む回線番号に基づいてロケーションを割り当てることができません。Emergency Responder で回線番号に基づいてアナログ電話機にロケーションを割り当てる場合は、Cisco Unified CM で、先頭に「+」を付けてその電話機を設定しないでください。
お客様は、[Unlocated Phones] ページから IP 電話が削除されることがないように、IP 電話が MAC または IP アドレスによって追跡されない問題を解決するようにしてください( 「位置未確認の電話機が多すぎる」 を参照)。[Unlocated Phones] ページで ERL を IP 電話に直接割り当てることはできますが、その電話機に手動の回線番号設定でロケーションが割り当てられていると、この割り当ては有効になりません。 ERL Debug Tool を使用して、[Unlocated Phones] ページに表示される IP 電話に有効な ERL 割り当てを決定します。
位置未確認の電話の識別
Emergency Responder では、位置未確認の電話機を、次のすべての基準を満たす Cisco Unified IP Phone として定義します。
• IP 電話が、Emergency Responder グループに認識される Cisco Unified Communications Manager に登録されていること。
• IP 電話の MAC アドレスがスイッチ ポートの背後で追跡されていないこと。
• IP 電話の IP アドレスが IP サブネットを使用して追跡されていないこと。
• IP 電話の MAC アドレスが Emergency Responder で模擬電話機として定義されていないこと。
(注) リモートの Emergency Responder サーバ グループによって追跡される Cisco Unified IP Phone と ERL に手動で回線番号が割り当てられている IP 電話機も [Unlocated Phones] 画面に表示されます。
位置未確認の電話への ERL の割り当て
Emergency Responder では、ERL を [Unlocated Phones] 画面に表示される IP 電話機に割り当てる手順を提供します。この割り当てによって、位置未確認の電話の MAC アドレスが管理者によって選択される ERL に関連付けられます。この関連付けには、次の規則が適用されます。
• [Unlocated Phones] ページでの ERL の IP 電話機への関連付けによって、IP 電話機のステータスは変更されません。つまり、IP 電話機が前に説明されているように位置未確認の電話機の基準と一致しているため、IP 電話は [Unlocated Phones] ページに表示されたままです。
• ERL の関連付けが使用されるのは、前の規則を使用して(Emergency Responder で特定されるように)IP 電話機の位置が確認できない場合だけです。
たとえば、電話 A は現在検出されず、[Unlocated Phones] ページに表示されます。位置未確認の電話に ERL 割り当て機能を使用して、この電話の ERL としてロケーション A が割り当てられます。後続の電話の追跡サイクルによって、スイッチ ポートの背後で電話 A が検出されると、[Unlocated Phones] ページに電話 A が表示されなくなります。電話 A のロケーション A への割り当ては無効になります。関連付けは不変であるため、その後も IP 電話機の位置が不明である場合でも、その割り当ては有効です。
Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて
ご使用のネットワークに Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)を一対の冗長サーバとして配置します。1 つのサーバはパブリッシャ サーバとして指定し、もう 1 つのサーバはサブスクライバ サーバとして指定します。Emergency Responder のパブリッシャ サーバとサブスクライバ サーバは、それぞれ 1 つの Emergency Responder サーバ グループを構成します。サーバ グループの設定データは、パブリッシャのデータベースに保存されます。このデータは、サブスクライバに複製されます。
Emergency Responder クラスタは、正しい緊急コール処理機能を提供するためにデータを共有する一連の Emergency Responder サーバ グループです。Emergency Responder クラスタ情報は、クラスタ内のクラスタ データベースと呼ばれる中央の場所に保存されます。Emergency Responder サーバ グループは、そのグループがクラスタ内の他のサーバ グループと同じクラスタ データベースを指している場合、そのクラスタの一部であると見なされます。
Emergency Responder 8.6 では、次の 2 つの個別のデータベースを使用します。
• 1 つのデータベースには、Emergency Responder の設定情報が保存されます。
• 2 つ目のデータベースには、Emergency Responder のクラスタ情報が保存されます。
インストール時に、両方のデータベースが各 Emergency Responder サーバに作成されます。ただし、クラスタ データは、1 つの Emergency Responder サーバにのみ含まれます。
(注) 同一の Emergency Responder グループには、バージョンが異なる Emergency Responder を配置できません。Emergency Responder 8.6 にアップグレードする場合は、両方の Emergency Responder サーバをバージョン 8.6 にアップグレードするようにしてください。Cisco Unified CM 8.5 または 8.6 に登録されている電話機が EnergyWise Power Save Plus モードに設定されている場合は、EnergyWise が以前のバージョンの Emergency Responder でサポートされていないため、クラスタ内のすべての Emergency Responder サーバ グループが Emergency Responder 8.6 である必要があります。Emergency Responder 8.6 の大規模検出では、EnergyWise Power Save Plus モードにある電話機は削除されません。
図 1-3 は、Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)グループを 1 つの Emergency Responder クラスタに結合する方法を示します。
図 1-3 Cisco Emergency Responder グループと Cisco Emergency Responder クラスタ間の関係について
この例では、次のようになります。
• 2 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタ、Cisco Unified CM クラスタ A および Cisco Unified CM クラスタ B があります。
• Emergency Responder サーバ グループ 1 と Emergency Responder サーバ グループ 2 で 1 つの Emergency Responder クラスタが形成されています。
• Emergency Responder サーバ グループ 1 は Cisco Unified CM クラスタ A をサポートし、Emergency Responder サーバ グループ 2 は Cisco Unified CM クラスタ B をサポートしています。
• Cisco ER1 パブリッシャのクラスタ データベースに、両方の Emergency Responder サーバ グループの Emergency Responder クラスタ情報が保存されます。点線は、Emergency Responder サーバとクラスタ データベース ホストとの通信を示します。
• 各 Emergency Responder サーバには、Emergency Responder の設定情報が含まれたデータベースがあります。
(注) Emergency Responder クラスタ内の電話機の追跡が正確に動作するように、クラスタ内の Emergency Responder サーバがそのホスト名で検出され、その他すべての Emergency Responder サーバからネットワーク上のクラスタ内の Emergency Responder サーバに到達できるようにする必要があります。
(注) Emergency Responder サーバ グループの設定を設定するときに、[System Administrator Mail ID] フィールドにシステム管理者の電子メール アカウントを入力した場合、スタンバイ サーバによってコールが処理されるときに、またはスタンバイ サーバがプライマリ サーバを継承するときに、システム管理者は電子メール通知を受信します。(「Cisco Emergency Responder サーバ グループの設定」を参照)。
Emergency Responder クラスタの作成を完了するには、クラスタ内トランクとルート パターンを作成することにより、Emergency Responder グループがグループ間で緊急コールを渡したり(「Cisco Emergency Responder グループ間の通信に対するルート パターンの作成」を参照)、Emergency Responder でこれらのルート パターンを設定したり(「Cisco Emergency Responder サーバのグループ テレフォニー設定」を参照)できるようにする必要があります。
注意 Emergency Responder クラスタの作成前に、Emergency Responder クラスタによってサポートされるすべての Cisco Unified Communications Manager クラスタのダイヤル プランを一意にする必要があります。たとえば、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタには、内線 2002 のみを設定できます。ダイヤル プランが重複している場合は、Emergency Responder クラスタを分離しておく必要があります。その場合、これらの Cisco Unified Communications Manager クラスタ間の電話機の動的な移動をサポートできません。
注意 E.164 ダイヤル プランのユーザは、Cisco Emergency Responder が、先頭の桁として「+」が含まれる数字列で使用されるようには設計されていないことに注意してください。
クラスタ間の電話機の移動
次のシナリオは、Emergency Responder でクラスタ間の電話機の移動を処理する方法について示します。
• Server Group A(SGA)には、SGA 以外に移動する電話機(Phone_1)があります。
– Emergency Responder は Server Group B(SGB)で Phone_1 を検出します。
– SGA の [Unlocated Phones] ページに SGB の電話機が表示されます。
• SGB の両方の Emergency Responder サーバ(パブリッシャとサブスクライバ)が停止しても、SGA には SGB の Phone_1 が表示されたままになります。
– このときに Phone_1 から発信されたコールは SGB にリダイレクトされ、Emergency Responder サーバがその SGB 内に存在しない場合、Emergency Responder は同じ手順を実行してこの緊急コールをルーティングします。
– また、両方の SGB Emergency Responder サーバが停止している場合、Phone_1 は、SGB 内の他の電話機と同様に扱われます。
• Phone_1 が Server Group C(SGC)に移動した場合:
– SGA、SGC の順で次回の増分電話機のトラッキングが実行されると検出されます。
– [Unlocated Phones] ページでは、Phone_1 から SGC への関連付けが変更されます。
• Phone_1 が元の SGA に移動すると、次回の増分電話機トラッキングで検出され、対応するスイッチ ポートの下に表示されます。
Emergency Responder システムを計画する際には、次のことに留意してください。
• 1 つの Emergency Responder グループ で、Cisco Unified Communications Manager バージョンが混在しているクラスタをサポートすることはできません。たとえば、Emergency Responder は、すべての Cisco Unified Call Manager 4.2 クラスタ または すべての Cisco Unified Call Manager 5.1 クラスタをサポートできます。
ただし、Emergency Responder クラスタには、異なるバージョンの Cisco Unified Communications Manager をサポートする Emergency Responder グループを含めることができます。この方法により、Emergency Responder で、テレフォニー ネットワーク内の Cisco Unified Communications Manager バージョンの混在をサポートできます。
• Emergency Responder 86 サーバ グループは、他の Emergency Responder 8.6 サーバ グループまたは Emergency Responder 1.3 サーバ グループとともに動作できます。
(注) 共用回線を使用して Cisco Unified IP Phone から緊急コールを発信すると、コールがクラスタを介して間違った ERL に終端する可能性があります。
(注) 検出されて ERL に関連付けられている電話機を、同じ Emergency Responder クラスタに属する別の Emergency Responder サーバ グループによって追跡される別の Cisco Unified CM クラスタに移動するには、現在の Emergency Responder サーバ グループから ERL の関連付けを削除する必要があります。現在の Emergency Responder サーバ グループから ERL の割り当てを解除するには、「位置未確認の電話の識別」のステップ 7 を参照してください。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder をご使用のネットワークに適合させる方法」
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定
Cisco ER の効率的なパフォーマンスを実現するには、Emergency Responder の配置を計画する際に各 Emergency Responder グループでサポートできる制限を考慮する必要があります。1 つの Emergency Responder グループは複数の Cisco Unified Communications Manager クラスタをサポートできますが、1 つの Cisco Unified Communications Manager クラスタは 1 つの Emergency Responder グループでしかサポートできないことに注意してください。
設定を含む 1 つの Emergency Responder グループのキャパシティについては、『 Release Notes for Cisco Emergency Responder 8.6 』を参照してください。別の数値に達していなくても、1 つの制限に関して最大数値を満たすことができることに留意してください。たとえば、1,000 個のスイッチを定義できますが、スイッチ ポートは 30,000 個未満です。
追加のグループをインストールすることにより、さらに大規模なネットワークを管理できます。各 Emergency Responder グループは、1 つ以上の Cisco Unified Communications Manager クラスタと連携できます。
これらのグループごとの制限に加えて、サービス プロバイダーの ALI データベース プロバイダーによってカバーされる管轄区域も考慮する必要があります。ネットワークが複数の ALI データベース プロバイダーの管轄区域に及ぶ場合は、ALI フォーマット ツール(AFT)を使用して、ALI レコードを複数の ALI データベース形式でエクスポートしてください。
1 つの Emergency Responder グループで複数の LEC をサポートするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Emergency Responder からの ALI レコード ファイル出力を標準の NENA 形式で取得します。このファイルには、複数の LEC に宛てられたレコードが含まれています。
ステップ 2 必要な ALI フォーマットごとに元のファイルの 1 つのコピーを作成します(LEC ごとに 1 つのコピー)。
ステップ 3 最初の LEC(たとえば、LEC-A)の AFT を使用して、NENA 形式のファイルのコピーをロードし、他の LEC に関連付けられているすべての ELIN のレコードを削除します。(AFT の使用方法については、「ALI フォーマット ツールの使用」を参照してください)。削除する情報は、通常、NPA(またはエリア コード)によって識別できます。
ステップ 4 結果として生成されたファイルを、LEC-A に必要な ALI フォーマットで保存し、適宜ファイル名を付けます。
ステップ 5 各 LEC に対してステップ 3 と 4 を繰り返します。
各 LEC に AFTs を使用できない場合、テキスト エディタで NENA 形式のファイルを編集することで、同じ結果をアーカイブできます。
関連項目
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「Cisco Emergency Responder の配置」
• 「ALI 提出要件に関するサービス プロバイダーとの交渉」
• 「サービス プロバイダー向け ALI 情報のエクスポート」
• 「ALI フォーマット ツールの使用」
• 「ALI Formatting Tool」
データの整合性および信頼性に関する考慮事項
ローカル PSAP への緊急コールの正しいルーティングは、ERL 設定に基づきます。ご使用のネットワーク内では、正しい電話機の識別によって、サービス プロバイダーのネットワークへの接続に使用するゲートウェイが決定されます。サービス プロバイダーのネットワークでは、ルーティングは ELIN に基づきます。ELIN は、発信者の ALI の検索にも使用されます。そのため、正確な ELIN が緊急コールに割り当てられるように、ERL 設定の信頼性を確保する必要があります。
ERL 設定の信頼性を維持するために考慮する事項を次に示します。
• ERL は、ポート自体のロケーションではなく、ポートに接続されているデバイスのロケーションに基づいてスイッチ ポートに割り当てられます。したがって、ポートに接続されているワイヤを変更すると(たとえば、2 つ以上のポート間でワイヤを切り替えることによって)、ポートに現在接続されているデバイスが実際には別の ERL に配置されている可能性があります。ポートに割り当てられている ERL を変更しない場合、誤った ELIN がポートに使用され、間違った ALI が PSAP に送信されてしまいます。
1 つの LAN スイッチが別の PSAP によってカバーされる ERL に接続される可能性は低いため、通常、この種の変更によって、コールが誤ってルーティングされることはありません。ただし、送信された ALI は間違っているため、発信者が実際に 4 階にいる場合の緊急に対してセキュリティ スタッフは 3 階を調べる可能性があります。
この問題を防止するには、ワイヤリング クローゼットが安全に配置されていることを確認し、スイッチ ポート間のワイヤを交換しないようにネットワーキング スタッフに指導します。
• Emergency Responder で自動的に追跡できない電話機の場合は、これらの電話機に対して何らかの移動、追加、または変更を行うと、Emergency Responder の設定も更新されることを確認します。このようなタイプの電話機の定義については、「電話機の手動での定義」を参照してください。
(注) スイッチ ポートのマッピングが変更された場合、電子メール アラートが送信されます。
• Emergency Responder 1.2 よりも前は、登録された電話機がスイッチ ポートの背後で検出されなかった場合、Emergency Responder によって、[Unlocated Phones] ページに電話機のリストが表示されます。
Emergency Responder 1.2 以降では、これらの電話機は次のように検索されます。
– 登録された電話がスイッチ ポートの背後で検出されない場合、設定された IP サブネットの 1 つで見つけることができます。
– 登録された電話機がスイッチ ポートの背後で検出されない場合、電話機の IP サブネットが設定されていない場合、あるいは電話機が模擬電話機として設定されていない場合、Emergency Responder によって、[Unlocated Phones] ページに電話機のリストが表示されます。
Emergency Responder でコール ルーティングに使用する ERL を決定するには、ERL デバッグ ツールを使用して電話機を検索します。この検索により、この電話機からの緊急コールのルーティングで使用される現在の ERL と、Emergency Responder がその ERL を選択した理由が得られます。詳細については、「Cisco Emergency Responder Admin Utility の使用」 を参照してください。
• Emergency Responder 8.6 をインストールする際に、パブリッシャ サーバ(プライマリ)と、そのパブリッシャを指定するサブスクライバ サーバ(バックアップ)を設置します。パブリッシャ サーバおよびサブスクライバ サーバは、それぞれ 1 つの Cisco ER サーバ グループを構成します。この冗長性は、1 つのサーバの障害が緊急コールの発信機能に影響しないようにするのに役立ちます。WAN リンクで分離されていない別のサブネット上にある、プライマリ サーバと物理的に離れた場所にスタンバイ サーバを設置することを検討してください。この分離は、プライマリ サーバを設置しているビルの火災、プライマリ サーバのホストとなるサブネットとの接続切断などのような中断から保護することができます。
• スイッチの(たとえば、モジュールの追加や変更による)追加、削除、または更新時に Emergency Responder の設定が定期的に更新されることを確認します。スイッチを変更したら、Emergency Responder でスイッチを表示し、[Locate Switch Ports] をクリックして、スイッチ上でスイッチ ポートおよび電話機更新プロセスを実行します。詳細については、「LAN スイッチの指定」を参照してください。
未定義のスイッチに接続されている電話機は、Emergency Responder に位置未確認の電話機としてリストに表示されます。定義されたスイッチを変更した場合、新しいポート、または変更されたポートは、ERL の関連付けのないポートになります。新しいスイッチ ポート、または追加されたスイッチ ポートに対して ERL を割り当てる必要があります。ネットワーク変更に関係する反復的な作業については、「ネットワーク管理者のロールについて」および「ERL 管理者のロールについて」を参照してください。
• ERL/ALI 設定を変更する際には、その情報をエクスポートし、ALI データベースに含めるためにサービス プロバイダーにその情報を送信する必要があります。これにより、緊急コールが正しい PSAP にルーティングされ、PSAP に正しい ALI が提示されるようになります。詳細については、「ERL 情報のエクスポート」および「サービス プロバイダー向け ALI 情報のエクスポート」を参照してください。
関連項目
• 「緊急コールの発信時に発生するプロセス」
• 「Cisco Emergency Responder のクラスタおよびグループについて」
• 「必要な Cisco Emergency Responder グループ数の決定」
• 「Cisco Emergency Responder のためのユーザの準備」
Cisco Emergency Responder の配置
次のトピックでは、さまざまなタイプのネットワークの配置モデルについて説明します。さらに大規模で複雑なネットワークを形成するために、次の例を組み合わせ、それらの例をモジュールとして使用できます。
• 「1 つの PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つ以上の PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「サテライト オフィスがある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
• 「2 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」
2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
図 1-7 は、2 つ以上のメイン サイトが 2 つ以上の PSAP でカバーされており、さらにサイトごとに 1 つの Cisco Unified CM クラスタがある場合の Emergency Responder 設定を示します。
図 1-7 2 つ以上のサイトをカバーする 1 つのメイン サイトでの Emergency Responder の配置
このタイプのネットワークをサポートするには、2 つの Emergency Responder サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをそのパブリッシャを指すサブスクライバとして設定します。
ロケーションをカバーする PSAP が 2 つあるため、サービス プロバイダーのネットワークの別の部分に接続している複数のゲートウェイが必要になる場合があります。ただし、これは、サービス プロバイダーのネットワークのレイアウトによって決まります。つまり、PSAP が、緊急コールをインテリジェントに複数の PSAP にルーティングできる選択ルータに接続される場合、必要なゲートウェイが 1 つだけである可能性があります。サービス プロバイダーと話し合い、ビルの要件を決定します。この例では、サイトごとに 1 つのゲートウェイが必要であることが前提です。当然ながら、ご使用のテレフォニー ネットワークのキャパシティ プランニングでは、各リンクに複数のゲートウェイが必要な場合があります。
ゲートウェイを設定してサービス プロバイダーのネットワークに正しく接続した後、ローカル サイトのゲートウェイを使用するために、サイト A の ERL で使用されるすべてのルート パターンとサイト B の ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定します。ビル間で電話機を移動すると、Emergency Responder によって、それらの ERL が動的に更新され、緊急コールが目的のゲートウェイからルーティングされるようになります。
この例では、Emergency Responder が 2 つの Cisco Unified CM クラスタをカバーすることにより、サイト間の電話機の移動が容易になります。サイト A とサイト B の両方の Cisco Unified CM クラスタで、サイト A の ERL とサイト B の ERL のルート パターンを設定する必要があります。
2 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
図 1-8 は、それぞれが個別の PSAP でカバーされている 2 つ(以上)のメイン サイトを含む Emergency Responder の設定を示します。
図 1-8 2 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置
この例の説明と次の例を組み合わせることで、この例をより複雑な設定に適用させることができます。
• 一部のメイン サイトにサテライト オフィスがある場合のそれらのオフィスでの Cisco ER の配置については、「サテライト オフィスがある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」を参照してください。
1 つのメイン サイトが複数の PSAP でカバーされている場合のそのサイトでの Cisco ER の配置については、「2 つ以上の PSAP がある 1 つのメイン サイトでの Cisco Emergency Responder の配置」を参照してください。このタイプのネットワークをサポートするには、
• シカゴに 2 つの Cisco ER サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをパブリッシャを指定するサブスクライバとして設定します。設置後、クラスタ データベースとして使用するためにシカゴの Cisco ER グループにある Cisco ER パブリッシャ サーバを選択します。「8.6 Cisco Emergency Responder クラスタおよびクラスタ DB ホスト」を参照してください。
• ニューヨークに 2 つの Cisco ER サーバを設置し、1 つのサーバをパブリッシャとして、もう 1 つのサーバをパブリッシャを指定するサブスクライバとして設定します。設置後、クラスタ データベースとして使用するためにシカゴの Cisco ER グループにある Cisco ER パブリッシャ サーバを選択します。「8.6 Cisco Emergency Responder クラスタおよびクラスタ DB ホスト」を参照してください。
ほとんどの場合、メイン オフィスをカバーする個別の PSAP があります。この例では、シカゴとニューヨークで異なる PSAP を使用します。サービス プロバイダーのネットワークの別の部分(サービス プロバイダーが異なることもあります)に接続するには、シカゴとニューヨークにそれぞれ、少なくとも 1 つのゲートウェイが必要です。サービス プロバイダーと話し合い、ビルの要件を決定します。当然ながら、ご使用のテレフォニー ネットワークのキャパシティ プランニングでは、各サイトに複数のゲートウェイが必要な場合があります。
ゲートウェイを設定してサービス プロバイダーのネットワークに正しく接続した後、ゲートウェイ CHI を使用するためにシカゴの ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定し、ゲートウェイ NYC を使用するためにニューヨークの ERL で使用されるすべてのルート パターンを設定します。
シカゴとニューヨーク間で電話機の移動を可能にするには、Cisco ER で個別の Cisco ER グループがある Cisco Unified Communications Manager クラスタ間のコール転送を行うことができるように、クラスタ間トランクを設定して Cisco Unified Communications Manager クラスタをリンクし、Cisco ER グループ間のルート パターンを作成する必要もあります。この状況において Cisco ER で電話機の移動を処理する方法の詳細については、「Cisco Emergency Responder グループ間の通信に対するルート パターンの作成」を参照してください。
サイト間で電話機を移動すると、Cisco ER によって、それらの ERL が動的に更新され、緊急コールが目的のゲートウェイからルーティングされるようになります。ただし、WAN リンクを使用不能になった場合、Cisco ER でサイト間の電話機の移動を追跡できません。