音声の消失または歪み
症状
発生する可能性のある最も一般的な問題の 1 つに、音声信号の中断(不明瞭な会話や単語または文中の音節の消失としてよく説明される)があります。この問題の一般的な原因は、パケット損失およびジッタの 2 つです。パケット損失とは、音声パケットがドロップされたか、または使用するには到着が遅すぎたために、音声パケットが宛先に到着しないことを意味します。ジッタは、パケット到着時間の変動を示します。理想的な状況では、すべての Voice over IP(VoIP)パケットが、正確に 20 マイクロ秒(ms)ごとに 1 つの割合で到着します。これは、パケットがポイント A からポイント B に到達するためにかかる時間ではなく、単なるパケット到着時間の変動であることに注意してください。
考えられる原因
ネットワークには、可変遅延の原因が多数存在します。これらの原因には、制御できるものもあれば制御できないものもあります。パケット化された音声ネットワークの可変遅延は、完全には排除できません。電話機および他の音声対応デバイスの Digital Signal Processor(DSP; デジタル シグナル プロセッサ)は、可変遅延を予測して計画的に音声の一部をバッファに格納します。このデジッタ処理は、音声パケットが宛先に到着し、通常の音声ストリームに組み込まれる準備ができている場合にだけ実行されます。
Cisco Unified IP Phone モデル 7960 では、音声サンプルを 1 秒分バッファに格納できます。ジッタ バッファには適応性があるため、パケットのバーストが受信された場合に、Cisco Unified IP Phone モデル 7960 ではジッタを制御するためにこれらのパケットを再生できます。ネットワーク管理者は、(特にコールが WAN を通過する場合は)quality-of-service(QoS)およびその他の手段をあらかじめ適用して、パケット到着時間の間の変動を最小化する必要があります。
一部のビデオ エンドポイントでは G.728 がサポートされていないため、G.728 を使用するとノイズが発生することがあります。G.729 などの別のコーデックを使用してください。
推奨処置
1. 音声の消失または歪みの問題が発生している場合は、最初にその音声のパスを分離します。コール音声ストリームのパスから個々のネットワーク デバイス(スイッチおよびルータ)を特定します。音声は、2 つの電話機間の場合もあれば、電話機とゲートウェイ間の場合もあり、また、複数のレッグ(電話機からトランスコーディング デバイスへのレッグやトランスコーディング デバイスから別の電話機へのレッグ)が存在する可能性もあります。問題が 2 つのサイト間だけで発生しているのか、特定のゲートウェイまたは特定のサブネットだけで発生しているのかなどを特定します。これにより、さらに注意して調べる必要があるデバイスの数を絞り込むことができます。
2. 次に、音声圧縮(Voice Activation Detection [VAD; 音声アクティブ化検出] とも呼ばれる)をディセーブルにします。このメカニズムは、無音状態になったときに音声を送信しないことで帯域幅を節約しますが、その結果、単語の最初の部分ではっきりとわかる、または許容できないクリッピングが発生することがあります。
Cisco Unified Communications Manager の管理ページでサービスをディセーブルにして、[システム(System)] > [サービス パラメータ(Service Parameters)] を選択します。ここで、サーバおよび Cisco CallManager サービスを選択します。
3. Cisco Communications Manager クラスタ内のすべてのデバイスに対してディセーブルにするには、SilenceSuppression を False に設定します。または、SilenceSuppressionForGateways を False に設定することもできます。判断がつかない場合は、それぞれに値 False を選択して、両方ともオフにします。
4. ネットワーク アナライザを使用して(ネットワーク アナライザが使用可能な場合)、音声圧縮をディセーブルにしたときに、監視対象の 2 つの電話機間のコールに 1 秒当たり 50 個のパケット(または 20 ms ごとに 1 つのパケット)が含まれているかどうかを確認します。フィルタリングを適切に使用すると、過剰な数のパケットが損失または遅延していないかどうかを確認できます。
クリッピングの原因になるのは遅延そのものではなく、可変遅延だけです。次の表は完全なトレースを示していますが、ここで、音声パケット(RTP ヘッダーを含んでいる)間の到着時間が 20 ms になっていることに注意してください。低品質のコール(ジッタが多数存在するコールなど)では、到着時間に大きな差が出ます。
次の表は、完全なトレースを示しています。
|
|
|
1 |
0 |
|
2 |
0.02 |
20 |
3 |
0.04 |
20 |
4 |
0.06 |
20 |
5 |
0.08 |
20 |
ネットワーク内のさまざまなポイントにパケット アナライザを配置すると、遅延が発生する場所の数を絞り込むのに役立ちます。アナライザを利用できない場合は、別の方法を使用する必要があります。音声パス内にある各デバイスのインターフェイス統計情報を調べてください。
診断 Call Detail Record(CDR; コール詳細レコード)には、音声品質の低いコールをトラッキングする別のツールが示されています。CDR の詳細については、『 CDR Analysis and Reporting Administration Guide 』を参照してください。
Cisco Unified IP Phone の音声問題の修正
症状
音声の問題は、コールの進行中に発生します。
考えられる原因
高速インターフェイスを低速インターフェイスにつなぐデバイスは、遅延およびパケット損失の最も一般的な原因となります。たとえば、LAN に接続されている 100 MB のファースト イーサネット インターフェイスと、WAN に接続されている低速のフレームリレー インターフェイスがルータにあるとします。リモート サイトへの接続時にかぎって音声品質の低下が発生する場合、この問題の主な原因は次のとおりです。
• 音声トラフィックにデータ トラフィックよりも高い優先度を与えるように、ルータが正しく設定されていない。
• WAN でサポートするには多すぎる数のアクティブ コールが存在する(つまり、コール アドミッション制御で発信可能なコール数が制限されていない)。
• 物理的なポート エラーが発生している。
• WAN 自体で輻輳が発生している。
LAN で発生する最も一般的な問題は、ケーブル不良、インターフェイス不良、またはデバイスの設定不良(ポート速度やデュプレックスのミスマッチなど)が原因で発生する物理レベルのエラー(CRC エラーなど)です。トラフィックが、ハブなどの共有メディア デバイスを通過していないことを確認します。
推奨処置
Cisco Unified IP Phone モデル 7960 には、発生する可能性がある音声問題の診断ツールが、もう 1 つ用意されています。
• アクティブ コールで i または ? ボタンを 2 度素早く押すと、パケットの送受信に関する統計情報と、平均および最大ジッタ カウンタを含む情報画面が電話機に表示されます。
(注) このウィンドウでは、ジッタは、最後に到着した 5 パケットの平均に相当します。最大ジッタは平均ジッタの最大値を示します。
• トラフィックが予想よりも低速のネットワーク パスを通過しているという状況が発生することもあります。QoS が正しく設定されている場合、コール アドミッション制御が実行されていない可能性があります。トポロジに応じて、Cisco Unified Communications Manager の管理ページで [ロケーション(Locations)] の設定を使用するか、または Cisco IOS ルータをゲートキーパーとして使用することで、この制御を実行できます。いずれにしても、WAN 全体でサポートされている最大コール数を常に認識しておく必要があります。
• クラックル ノイズは音声品質の低下を示すもう 1 つの症状であり、電源モジュールの不具合や電話機周辺の何らかの強力な電気的干渉によって発生することがあります。電源モジュールを交換するか、電話機を移動します。
• ゲートウェイおよび電話機のロードを確認します。最新のソフトウェア ロード、新しいパッチ、または問題に関連のあるリリース ノートがないかどうかを www.cisco.com で確認します。
適切な修正を適用したあと、次の手順を実行して音声品質を確認します。
1. 「音声の消失または歪み」の説明に従って無音圧縮をディセーブルにしてテストします。次に 2 つのサイト間でコールを発信します。コールを保留またはミュートの状態にしないでください。これを行うと、パケットの送信が停止してしまうためです。
2. WAN 全体の最大コール数が設定されている場合は、すべてのコールが許容可能な品質になります。
3. さらにもう 1 つコールを発信するとファースト ビジー音が返ってくることを、テストして確認します。
エコー
症状
エコーは、生成された音声エネルギーがプライマリ信号パスに伝送され、遠端からの受信パスと連結されたときに発生します。このとき送話者には、自分自身の声がエコー パスの合計遅延時間分だけ遅れて聞こえます。
音声は反響することがあります。反響は、従来の音声ネットワークでも発生する可能性がありますが、遅延が小さいため認識されません。ユーザにとっては、エコーというよりも側音のように聞こえます。VoIP ネットワークでは、パケット化および圧縮が遅延の一因となるため、常にエコーが認識されます。
考えられる原因
エコーの原因は、常にアナログ コンポーネントおよび配線にあります。たとえば、IP パケットは、低い音声レベルまたはデジタル T1/E1 回線では、簡単に向きを変えてソースに戻ってくることはできません。例外が発生する可能性があるのは、片方の通話者が音量を非常に高くしたスピーカフォンを使用している場合など、音声ループが作成される状況だけです。
推奨処置
1. 問題の電話機でスピーカフォンを使用していないこと、およびヘッドセットの音量を適切なレベル(最大音声レベルの 50% から開始)に設定してあることを確認します。ほとんどの場合、問題は、デジタルまたはアナログ ゲートウェイ経由で PSTN に接続している場合に発生します。
ゲートウェイのテスト
2. 使用されているゲートウェイを特定します。デジタル ゲートウェイが使用されている場合は、送信方向(PSTN に向かう方向)にパディングを追加できます。信号の強度が弱いと反響エネルギーも小さくなるため、これによって問題が解決します。
また、反響音がさらに小さくなるように受信レベルを調節できます。一度に少しずつ調節してください。信号を弱くしすぎると、両側で音声が聞こえなくなります。
3. または、通信事業者に問い合せて、回線を確認するよう要求することもできます。北米の一般的な T1/PRI 回線では、入力信号は -15 dB である必要があります。信号レベルが高すぎる場合(-5 dB など)、エコーが発生する可能性があります。
エコー ログの保持
4. エコーが発生したすべてのコールのログを保持する必要があります。
問題が発生した時間、発信元の電話番号、および発信先の電話番号を記録します。ゲートウェイには 16 ms という固定値のエコー キャンセレーションが設定されています。
反響音の遅延がこれよりも大きい場合、エコー キャンセラは正しく動作しません。この問題はローカル コールでは発生せず、長距離コールでは、セントラル オフィスのネットワークに組み込まれた外部のエコー キャンセラを使用する必要があります。このような事実が、エコーが発生するコールの外部電話番号を記録する必要がある理由の 1 つになっています。
ロードの確認
5. ゲートウェイおよび電話機のロードを確認します。最新のソフトウェア ロード、新しいパッチ、または問題に関連のあるリリース ノートがないかどうかを www.cisco.com で確認します。
片通話または無音声
症状
IP ステーションから Cisco IOS 音声ゲートウェイまたはルータ経由で電話コールが確立されている場合に、片方の通話者しか音声を受信しません(一方向通信)。
2 つの Cisco ゲートウェイ間でトールバイパス コールが確立されている場合に、片方の通話者しか音声を受信しません(一方向通信)。
考えられる原因
特に、Cisco IOS ゲートウェイ、ファイアウォール、またはルーティングが正しく設定されていないことや、デフォルト ゲートウェイの問題によって、この問題が発生する可能性があります。
推奨処置
Cisco IOS ゲートウェイまたはルータで IP ルーティングがイネーブルになっていることを確認
VG200 などの一部の Cisco IOS ゲートウェイでは、デフォルトで IP ルーティングがディセーブルになっています。これにより、片通話の問題が発生します。
(注) 次に進む前に、ルータで IP ルーティングがイネーブルになっている(つまり、グローバル コンフィギュレーション コマンド no ip routing を使用していない)ことを確認します。
IP ルーティングをイネーブルにするには、Cisco IOS ゲートウェイで次のグローバル コンフィギュレーション コマンドを入力します。
voice-ios-gwy(config)#ip routing
基本 IP ルーティングの確認
常に最初に基本 IP アクセスを確認するようにします。RTP ストリームはコネクションレス型であるため(UDP で転送される)、一方向のトラフィックは正常に実行されますが、逆方向はトラフィックが失われることがあります。
次の条件を確認してください。
• デフォルト ゲートウェイがエンド ステーションに設定されている。
• 上記のデフォルト ゲートウェイの IP ルートが宛先ネットワークにつながっている。
(注) 次に、さまざまな Cisco Unified IP Phone でデフォルト ルータまたはゲートウェイの設定を確認する方法を一覧します。
• Cisco Unified IP Phone モデル 7910:[設定(Settings)] ボタンを押し、オプション 6 を選択して、[デフォルト ルータ(Default Router)] フィールドが表示されるまで下向きの音量ボタンを押します。
• Cisco Unified IP Phone モデル 7960/40:[設定(Settings)] ボタンを押し、オプション 3 を選択して、[デフォルト ルータ(Default Router)] フィールドが表示されるまで下方向にスクロールします。
• Cisco Unified IP Phone モデル 2SP+/30VIP: **# を押してから、gtwy= が表示されるまで # を押します。
(注) Cisco DT24+ ゲートウェイの場合は、DHCP スコープを調べて、スコープに [デフォルト ゲートウェイ(Default Gateway)](003 ルータ)オプションがあることを確認します。003 ルータ パラメータによって、デバイスおよび PC の [デフォルト ゲートウェイ(Default Gateway)] フィールドに値が入力されます。スコープ オプション 3 には、ゲートウェイのルーティングを行うルータ インターフェイスの IP アドレスが設定されている必要があります。
Cisco IOS ゲートウェイまたはルータの特定の IP アドレスへの H.323 シグナリングのバインド
Cisco IOS ゲートウェイに複数のアクティブ IP インターフェイスがある場合、H.323 シグナリングの一部は送信元に 1 つの IP アドレスを使用し、その他の部分は別の送信元アドレスを参照することがあります。これにより、片通話になるなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。
この問題を回避するには、H.323 シグナリングを特定の送信元アドレスにバインドします。この送信元アドレスは物理インターフェイスまたは仮想インターフェイスに割り当てることができます(ループバック)。インターフェイス コンフィギュレーション モードで使用するコマンド構文は、 h323-gateway voip bind srcaddr<ip address> です。Cisco Unified Communications Manager が指す IP アドレスを持つインターフェイスで、このコマンドを設定します。
このコマンドは、Cisco IOS リリース 12.1.2T で導入され、『Configuring H.323 Support for Virtual Interfaces』で文書化されています。
(注) バージョン 12.2(6) には不具合があるため、実際にはこのソリューションで片通話の問題が発生する可能性があります。詳細については、Cisco ソフトウェア Bug Toolkit(登録されているお客様専用)で Bug ID CSCdw69681(登録されているお客様専用)を参照してください。
Telco またはスイッチとの間で応答監視が正しく送受信されていることを確認
Telco またはスイッチに Cisco IOS ゲートウェイが接続されている実装では、Telco またはスイッチの背後にあるコール先のデバイスがコールに応答するときに、応答監視が正しく送信されることを確認します。応答監視の受信に失敗すると、Cisco IOS ゲートウェイは順方向の音声パスをカットスルー(オープン)せず、これにより片通話が発生します。これを回避するには、 voice rtp send-recv on を設定する必要があります。
voice rtp send-recv を使用した、Cisco IOS ゲートウェイまたはルータでの双方向通話の早期カットスルー
RTP ストリームが開始するとすぐに、音声パスが逆方向に確立されます。順方向の音声パスは、Cisco IOS ゲートウェイがリモート エンドから Connect メッセージを受信するまでカットスルーされません。
場合によっては、RTP チャネルがオープンされたあとすぐに(Connect メッセージが受信される前に)双方向音声パスを確立する必要があります。これを実現するには、 voice rtp send-recv グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
Cisco IOS ゲートウェイまたはルータで、リンクバイリンク ベースで cRTP 設定を確認
この問題は、トールバイパスなど、複数の Cisco IOS ルータまたはゲートウェイが音声パスに含まれ、Compressed RTP(cRTP; 圧縮 RTP)が使用されているシナリオに適用されます。cRTP、つまり RTP ヘッダー圧縮は、VoIP パケット ヘッダーを小さくして帯域幅を取り戻す方法です。cRTP は、VoIP パケット上の 40 バイトの IP/UDP/RTP ヘッダーを 1 パケット当たり 2 ~ 4 バイトに圧縮するため、G.729 で符号化されたコールで cRTP を使用すると、約 12KB の帯域幅が得られます。
cRTP はホップバイホップ ベースで実行され、ホップごとに圧縮解除および再圧縮が行われます。ルーティングを行うにはそれぞれのパケット ヘッダーを検査する必要があるため、IP リンクの両側で cRTP をイネーブルにします。
また、リンクの両端で cRTP が予想通りに機能していることを確認します。Cisco IOS のレベルは、スイッチング パスおよび cRTP の同時サポートに応じて異なります。
要約すると、次のような履歴になります。
• Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0.5T までは、cRTP はプロセス交換されます。
• Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0.7T では、cRTP に対するファースト スイッチングと Cisco express forwarding(CEF; シスコ エクスプレス フォワーディング)スイッチングのサポートが導入され、12.1.1T でも引き続きサポートされています。
• Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1.2T では、アルゴリズムによるパフォーマンス改善が導入されています。
Cisco IOS プラットフォーム(IOS リリース 12.1)を実行している場合、Bug ID CSCds08210(登録されているお客様専用)(「VoIP and FAX not working with RTP header compression ON」)が、使用している IOS バージョンに影響していないことを確認します。
Cisco IOS ゲートウェイまたはルータの NAT に必要な最小ソフトウェア レベルの確認
Network Address Translation(NAT; ネットワーク アドレス変換)を使用している場合は、最小ソフトウェア レベル要件を満たしている必要があります。初期バージョンの NAT では、Skinny プロトコル変換がサポートされていないため、片通話の問題が発生します。
NAT と Skinny を同時に使用するために必要な最小ソフトウェア レベルは、IOS ゲートウェイで NAT とともに Skinny および H.323v2 がサポートされている Cisco IOS ソフトウェア 12.1(5)T です。
(注) Cisco Unified Communications Manager で、Skinny シグナリング用にデフォルトの 2000 とは異なる TCP ポートを使用している場合、ip nat service skinny tcp port<number> グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して NAT ルータを調整する必要があります。
PIX ファイアウォールで NAT および Skinny を同時に使用するために必要な最小ソフトウェア レベルは 6.0 です。
(注) これらのソフトウェア レベルは、ゲートキーパーのフル サポートに必要なすべての RAS メッセージをサポートしているわけではありません。ゲートキーパーのサポートは、このマニュアルの対象範囲外です。
AS5350 および AS5400 での voice-fastpath のディセーブル化
Cisco IOS コマンド voice-fastpath enable は、AS5350 および AS5400 用の非表示のグローバル コンフィギュレーション コマンドで、デフォルトではイネーブルになっています。これをディセーブルにするには、 no voice-fastpath enable グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
イネーブルの場合、このコマンドによって、特定のコール用にオープンされる論理チャネルの IP アドレスおよび UDP ポートがキャッシュされ、RTP ストリームはアプリケーション レイヤに到達できなくなり、それよりも下位のレイヤにパケットが転送されます。そのため、コール数の多いシナリオにおいて、CPU 使用率がわずかに減少します。
保留または転送などの補足サービスが使用されている場合、voice-fastpath コマンドを使用すると、ルータは、保留中のコールが再開されたあとや転送が完了したあとに生成された新しい論理チャネル情報を無視して、キャッシュされている IP アドレスおよび UDP ポートに音声を送ります。この問題を回避するには、論理チャネルの再定義が考慮され、音声が新しい IP アドレスと UDP ポートのペアに送られるように、トラフィックを常にアプリケーション レイヤに転送する必要があります。このような理由で、voice-fastpath をディセーブルにして補足サービスをサポートする必要があります。
SoftPhone を使用した VPN IP アドレスの設定
Cisco IP SoftPhone には、Cisco Unified IP Phone モデル 7900 シリーズ電話機のように PC 動作を行う機能が備わっています。VPN を使用して会社のネットワークに接続するリモート ユーザは、片通話の問題を回避するためにさらに追加の設定を行う必要があります。
このソリューションでは、[ネットワーク オーディオ設定(Network Audio Settings)] で、ネットワーク アダプタの IP アドレスの代わりに VPN IP アドレスを設定する必要があります。
検証
パケット フローの検証に役立つのが、 debug cch323 rtp コマンドです。このコマンドは、ルータの送信パケット(X)と受信パケット(R)を表示します。大文字は、正しく実行された送信または受信を示し、小文字はドロップされたパケットを示します。次の例を参照してください。
voice-ios-gwy#debug cch323 rtp
RTP packet tracing is enabled
!--- This is an unanswered outgoing call.
!--- Notice that voice path only cuts through in forward
!--- direction and that packets are dropped. Indeed,
!--- received packets are traffic from the IP phone to the PSTN
!--- phone. These will be dropped until the call is answered.
Mar 3 23:46:23.690: ****** cut through in FORWARD direction *****
XXXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXr
XrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXr
!--- This is an example of an answered call:
*Mar 3 23:53:26.570: ****** cut through in FORWARD direction *****
XXXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXr
XrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXr
XXrrrrrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrXrrXXrrXrXrXrXrXrXXXXXXXXXXXXXXXXrXXXXXXXXrXrXrXXrrXr
XrXrXrXrXrXrXrXrXXrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr
!-- At this point the remote end picks up the phone.
*Mar 3 23:53:30.378: ****** cut through in BOTH direction *****
XRXRXRXRXRXRXRXRXXRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXXRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRXRXRXRXRXR
XXRRXRXRXXRRXRXRXRXRXXRXRXRXRXRXRRXRXXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXXRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
RRRRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRRXXRXRXRXRXRXRRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXXRRRRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XXRRRRRRRRRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXR
XRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXRXXRRRXR