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この章では、IP テレフォニー ネットワークに適切なプロトコルと機能サポートを提供するために Cisco 音声ゲートウェイを選択する際に、考慮すべき重要な要素について説明します。この章の構成は、次のとおりです。
IP テレフォニー ゲートウェイを選択する場合は、サイトや実装特有の機能だけでなく、共通要件およびコア要件も考慮してください。IP テレフォニー アプリケーションで使用するゲートウェイは、次のコア要件を満たす必要があります。
• DTMF(Dual tone multifrequency)リレー機能
DTMF リレー機能、特にアウトバンド DTMF は、DTMF ディジットを音声ストリームから切り離し、音声ストリームまたはベアラ トラフィックの一部としてではなく、ゲートウェイ プロトコル(H.323、SCCP、または MGCP)シグナリング チャネルを通じて、シグナリング標識として送信します。音声圧縮に低ビット レート コーデックを使用する場合、DTMF 信号の損失また歪みの可能性があるので、アウトバンド DTMF が必要です。
補足サービスは、一般に、保留、転送、および会議などの基本的なテレフォニー機能です。
IP テレフォニー用の Cisco の音声、ビデオ、統合データ アーキテクチャ(AVVID)は、分散型モデルに基づき、高い可用性を確保しています。Cisco CallManager クラスタには、Cisco CallManager の冗長性が用意されています。ゲートウェイは、プライマリ Cisco CallManager に障害が発生した場合に、セカンダリ Cisco CallManager に「戻る」機能をサポートする必要があります。冗長性は、Cisco CallManager またはネットワークの障害時のコール存続可能性とは異なります。「Cisco CallManager でのコール存続可能性」を参照してください。
企業での配置用に選択する IP テレフォニー ゲートウェイがすべて、上記のコア要件を満たしていることを確認するには、ゲートウェイ製品の資料を参照してください。さらに、どの IP テレフォニーの実装についても、各サイト特有の機能要件(たとえば、アナログまたはデジタル アクセス、DID、およびキャパシティ要件)があります(「サイト固有のゲートウェイ要件」を参照)。
Cisco CallManager(リリース 3.1 およびそれ以降)では、次のゲートウェイ プロトコルがサポートされています。
Cisco IP Phone は、超軽量プロトコルである SCCP を使用します。SCCP はマスター/スレーブ モデルを使用しますが、H.323 は、ピアツーピア モデルです。MGCP も、マスター/スレーブ モデルを使用します。
表 3-1 では、どのゲートウェイが所定のプロトコルをサポートするかを示しています。これらのプロトコルはそれぞれ、コア ゲートウェイ要件をサポートするために多少異なる方法を使用します。コア ゲートウェイ要件とプロトコルの詳細は、次の Web サイトで入手可能な Cisco CallManager リリース 3.1 および 3.2 用の『Cisco IP Telephony Solution Reference Network Design』(SRND)でゲートウェイ選択の章を参照してください。
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VG2001 |
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あり2 |
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DE-30+、DT-24+3 |
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Cisco 2600XM4 |
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Cisco 37005 |
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1.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 2.VG248 は、H.323 または MGCP ではなく、SCCP を使用するので、真のゲートウェイではありません。 4.IP テレフォニー アプリケーションには、Cisco 2600XM ルータを使用してください。Cisco 2600 ルータのメモリの考慮事項については、次の Web サイトの製品速報をご覧ください。http://www.cisco.com/warp/customer/cc/pd/rt/2600/prodlit/1675_pp.htm 5.IP テレフォニー アプリケーションの場合、Cisco 3700 シリーズのルータは、Cisco 3600 シリーズのルータよりパフォーマンスが優れています。 |
(注) 配置する前に、Cisco IOS ソフトウェアのリリース ノートを調べて、機能またはインターフェイスのサポートを確認してください。
ここでは、H.323、SCCP、および MGCP ゲートウェイを使用したコールの存続可能性について一般的なルールを説明します。コールの存続可能性とは、2 つの IP エンドポイント間の RTP ベアラ ストリーム(音声による会話)を最初に確立した Cisco CallManager が通信できなくなっても、このエンドポイント間のストリームが保持されることをいいます。エンドポイントは、 表 3-2 で示されているように、存続可能と存続不能として分類できます。
エンドポイント |
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TAPI エンドポイント(IP SoftPhone、IVR、AutoAttendant、およびその他の Cisco アプリケーション) |
• Cisco CallManager の障害:Cisco CallManager がコール信号に対して応答不能になる障害
• ネットワークの障害:Cisco CallManager とエンドポイント(たとえば、ゲートウェイや IP フォン)との間の通信を妨げるネットワークのすべての障害
(注) コールの失敗とは、電話機がオンフックになったり、リオーダー音を受信したり、または場合によっては単に無音になったり(たとえば、ストリーミング接続が終了した場合)することです。
ゲートウェイのコール存続可能性に対するエンドポイントのルール
エンドポイントや Cisco Call Manager のさまざまな障害シナリオには、次のルールが適用されます。
• コールが存続不能エンドポイントだけを使用しているときに、それらのエンドポイントが登録されている Cisco Call Manager のいずれかに障害がある場合、コールは失敗します。これは、コンファレンス ブリッジ、MTP、またはトランスコーダがそのコールに関係しているかどうかに関係なく、また、どの Cisco CallManager(複数の Cisco CallManager がある場合)に障害が起きたかに関係なく、該当します。
• コールが、1 つの存続不能エンドポイントと 1 つの存続可能エンドポイントを使用している場合、コールが失敗するのは、存続不能エンドポイントに関連した Cisco CallManager に障害が発生した場合だけです。
• コールが存続可能エンドポイントだけを使用しているときに、1 つ以上の Cisco CallManager に障害が起きた場合、エンドポイント間のストリーミング接続は保持されます。しかし、これらのエンドポイントは、障害後にコール処理サービスを利用できません。たとえば、利用不能なサービスには、転送、会議、保留、コール パーク、コール ピックアップ、および保留解除が含まれます。
一般に、MGCP ゲートウェイには、最高度のコール存続可能性が用意されています。Cisco
CallManager リリース 3.1 およびそれ以降では、Catalyst 6000 T1/E1 ゲートウェイ モジュールは、T1/E1 PRI と T1 CAS をサポートする MGCP を使用します。したがって、SCCP ベースの IP フォンと MGCP ゲートウェイが 2 つのエンドポイントになっている場合、コール存続可能性を向上させます。Cisco IOS リリース 12.2.11T およびそれ以降では、Cisco VG200、2600XM、3640、3660、および 3700 などの IOS ベースのゲートウェイも、Cisco CallManager を使用して MGCP をサポートします。
IP テレフォニーの実装にはそれぞれ、サイト固有の要件があります。次の質問は、IP テレフォニー ゲートウェイの選択に役立ちます。
• PSTN(または PBX)アクセスは、アナログですか、デジタルですか。
• PSTN または PBX には、どのタイプのアナログ(FXO、FXS、E&M、DID、CAMA)インターフェイス、またはデジタル(T1、E1、CAS、CCS)インターフェイスが必要ですか。
• PSTN アクセスがデジタルである場合、どのタイプのシグナリングが必要ですか(T1 CAS、Q.931 PRI、E1 CAS、または R2)。
• PBX は、現在どのタイプのシグナリングを使用していますか。
–FXO または FXS:ループ スタートまたはグラウンド スタート
–E&M:ウィンク スタート、遅延スタート、または即時スタート
–T1:CAS、Q.931 PRI(ユーザ側またはネットワーク側)、QSIG、DPNSS、または Proprietary D チャネル(CCS)シグナリング
–E1:CAS、R2、Q.931 PRI(ユーザ側またはネットワーク側)、QSIG、DPNSS、Proprietary D チャネル(CCS)シグナリング
• PBX は、現在どのタイプのフレーム同期(SF、ESF、または G.704)と回線エンコーディング(B8ZS、AMI、CRC-4、または HDB3)を使用していますか。
• PBX に、専有シグナリングを渡す必要がありますか。必要な場合、そのシグナリングはどのタイムスロットで渡されますか。それは HDLC フレームですか。
• ゲートウェイにどれくらいのキャパシティが必要ですか。つまり、チャネルがいくつ必要ですか(一般に、音声チャネルが 12 本以上必要な場合は、デジタルの方が、アナログ ソリューションより費用対効果が高くなります)。
• ダイヤルイン方式(DID)が必要ですか。必要な場合は、アナログか、デジタルかを指定してください。
• どのタイプの FAX およびモデム サポートが必要ですか。
• PBX はクロッキングをサポートしますか。または PBX は、Cisco ゲートウェイがクロッキングをサポートすることを期待しますか。
• 必要なすべてのゲートウェイ、ルータ、およびスイッチを収容するラック スペースがありますか。
(注) ダイヤルイン方式(DID)とは、オペレータが介在しなくても、外部コールを直接、端末回線に着信できるようにする PBX(構内交換機)またはセントレックス(Centrex)機能のことです。
(注) 発信者番号識別(CLI、CLID、または ANI)とは、着呼側に対して発番号を表示する、デジタル電話ネットワークで利用可能なサービスを指します。セントラル オフィス機器は、発信者の電話番号を識別し、発信者についての情報をコール自体と一緒に送信できるようにします。CLID は、ANI(Automatic Number Identification; 自動番号識別)と同義です。
Cisco IP テレフォニー ゲートウェイは、大部分の主要 PBX ベンダー製品と相互運用でき、EIA/TIA-464B に準拠しています。
次の表では、さまざまな Cisco ゲートウェイ モデルによってサポートされる機能とインターフェイス タイプを示しています。
(注) 次の表では、Cisco IOS および Cisco CallManager のリリース番号は、リストされている機能を特定のゲートウェイ プラットフォーム上でサポートできるようになったリリースを指しています。ハードウェア プラットフォームごとの推奨ソフトウェア リリースについての推奨事項は、「推奨されるハードウェアとソフトウェアの組み合せ」を参照してください。
表 3-3 では、H.323 または SIP(Session Initiation Protocol)を使用する Cisco アナログ ゲートウェイに対してサポートされているインターフェイス タイプをリストしています。 表 3-4 では、メディア ゲートウェイ制御プロトコル(MGCP)を使用する Cisco アナログ ゲートウェイに対してサポートされている、インターフェイス タイプをリストしています。
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バッテリ リバーサル |
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VG2006 |
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6.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
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バッテリ リバーサル |
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VG2007 |
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7.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
表 3-5 ~ 表 3-8 では、H.323 または SIP(Session Initiation Protocol)を使用する Cisco デジタル ゲートウェイに対してサポートされているインターフェイス タイプをリストしています。 表 3-9 では、メディア ゲートウェイ制御プロトコル(MGCP)を使用する Cisco デジタル ゲートウェイに対してサポートされている、インターフェイス タイプをリストしています。
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ネット ワーク側) |
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フォン |
(損失ビット) |
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VG2008 |
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8.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
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(ユーザ、 DMS-100) |
DMS-100) |
(ユーザ、 4ESS) |
4ESS) |
(ユーザ、 5ESS) |
5ESS) |
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VG2009 |
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9.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
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(ユーザ、 NI2) |
(ネットワーク、NI2) |
DMS-100) |
4ESS) |
5ESS) |
(Megacom または SDN、4ESS) |
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VG20010 |
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10.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
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MELCAS |
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(ユーザ 側、Net5) |
(ネットワーク側、Net5) |
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VG20011 |
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11.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 |
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(E&M) |
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VG20012 |
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あり13 |
あり2 |
あり2 |
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あり2 |
あり2 |
あり2 |
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あり2 |
あり2 |
あり2 |
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12.VG200 は、Cisco 2610 ルータに置き換えられたので、販売終了になりました。VG200 の既存のモデルは、引き続き IP テレフォニー設置環境でご使用いただけます。 13.AIM-VOICE-30 モジュールは、Cisco IOS リリース 12.2.13T で MGCP をサポートします。 |
QSIG は、企業ネットワーク内で PBX 機器を柔軟に接続するために設計された、1 組の国際標準です。その他の機能の 1 つとして、QSIG には、さまざまなベンダー製の PBX 機器を相互接続するためのオープンな標準ベースの方法が用意されています。このマニュアルでは、QSIG の利点について詳しく説明していません。詳細は、次の Web サイトにある QSIG の資料を参照してください。
ECMA QSIG は、PBX-to-PBX モードの H.323 ゲートウェイでサポートされています。H.323 ゲートウェイは、QSIG 情報要素に対する QSIG 機能の完全な透過性を備えています。基本的なコールのセットアップと終了は、 表 3-10 に示されているように、H.323 QSIG ゲートウェイを使用してサポートされます。
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ソフトウェア対応リリース |
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Cisco IOS ゲートウェイにおける QSIG のサポートの詳細は、次の Web サイトを参照してください。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios121/121newft/121t/121t2/dt_qsig.
htm#xtocid116542
Cisco CallManager リリース 3.3 より前のリリースでは、PBX が H.323 を介して QSIG を使用するゲートウェイに接続されている場合、PBX 上の電話機と、Cisco CallManager に接続されている IP フォンとの間でコールが行われるときにサポートされているのは、基本的な PRI 機能だけです。CLID(発信者番号識別)と DID(ダイヤルイン方式)番号だけが含まれるこの基本機能は、Cisco CallManager によってではなく、QSIG プロトコルを終端するゲートウェイによってサポートされています。
Cisco CallManager が QSIG 機能をサポートするには、QSIG を Cisco CallManager に直接バックホール(back-haul)する必要があります。このサポートは、Catalyst 6608、VG200、2600XM シリーズ、および 3640/60 シリーズなどの MGCP ゲートウェイと連携して、Cisco CallManager リリース 3.3 およびそれ以降で実装されています。
ここでは、Cisco CallManager と Cisco 音声ゲートウェイで使用可能な FAX とモデムのサポートについて説明します。まず、Cisco 音声ゲートウェイ上での FAX とモデムのサポートの概要を説明した後、サポートされるプラットフォームとコンフィギュレーション ファイル例をリストします。
FAX over IP により、従来のアナログ FAX マシンと IP テレフォニー ネットワークとのインターオペラビリティが可能になります。FAX イメージは、アナログ信号から変換され、パケット ネットワークを介してデジタル データとして伝送されます。
FAX データの元の形式は、デジタルです。しかし、従来の PSTN を経由して送信するために、データは変調され、アナログに変換されます。FAX over IP は、このアナログ変換のプロセスを逆転させて、パケット ネットワーク上でデジタル データを送信した後、受信側の FAX マシン用にそのデジタル データをアナログに再変換します。
大部分の Cisco 音声ゲートウェイは、現在、IP ネットワークを介して FAX トラフィックを送信する、次の 2 通りの方法をサポートします。
• Cisco FAX リレー:FAX リレー モードでは、ゲートウェイが T.30 FAX 信号を終端します。
• FAX パススルー:FAX パススルー モードでは、ゲートウェイは、FAX コールを音声コールと区別しません。
FAX トラフィックの送信には、Cisco FAX リレー モードをお勧めします。しかし、特定のゲートウェイが Cisco FAX リレーをサポートしない場合、そのゲートウェイは FAX パススルーをサポートします。
Cisco 音声ゲートウェイで FAX サポートを最大限に実装するには、次の推奨事項とガイドラインが役立ちます。
• QoS を使用する場合は、できる限り、次のパラメータが最小になる方法を採用してください。
Cisco IP テレフォニー ネットワークにおける QoS の実装についての詳細は、次の Web サイトで入手可能な『Cisco AVVID Network Infrastructure Enterprise Quality of Service Design』のガイドを参照してください。
• FAX コールの完全性を確保するには、次のヒントが役立ちます。
–コール アドミッション制御(CAC)を使用して、コールが、規定の合計帯域幅限界を超えると、拒否されるようにする。
–モデムと FAX のすべての専用ポートで、コール ウェイティングを使用不可にする。
• 最良のパフォーマンスを確保するために、起点と終端の両方のゲートウェイで、Cisco FAX リレーを有効にしていることを確認してください。2 つの Cisco IOS ゲートウェイの転送方法が異なる場合、ゲートウェイはネゴシエートして Cisco FAX リレーを使用します。
Cisco FAX リレーをサポートしていない IOS 以外のゲートウェイは、Cisco Digital Access DT-24/DE-30+ だけです。このゲートウェイを Cisco IOS ゲートウェイに接続する場合は、FAX パススルー モードの使用を両方のゲートウェイに設定する必要があります。
• ネットワーク上の恒常的なパケット遅延が 1 秒を超えないこと、および遅延変動(ジッタ)が 240 ミリ秒を超えないことを確認してください。
• 不良パケットの着信頻度が高いネットワークで、パフォーマンスを改善するには、FAX マシンでエラー訂正モード(ECM)を無効にしてください。
• 大部分の FAX マシンは、現在の速度をスロー ダウンすることなく、0.4% ~ 0.6% の範囲内のパケット ドロップを受け入れるようです。しかし、0.8% ~ 1% の範囲内のパケット ドロップがあるネットワークでは、ECM を無効にする必要があります。
• 複数の FAX マシンで ECM を無効にするのを検討する前に、ゲートウェイ自体で ECM を無効にすることができます。しかし、パケット ドロップが発生する場合、FAX のイメージ品質が低下する恐れがあります。したがって、ECM を無効にするときには、長いコール所要時間やコールのドロップを検討する前に、イメージ品質を損なってもよいかどうかを十分に検討してください。また、パケットがドロップする原因を突き止めて、解決するために、ネットワークを監視し、評価することも必要です。
一般に、音声ゲートウェイを使用して、IP ネットワーク上のモデム セッションをサポートするには、次の 2 通りのメカニズムがあります。
現在、Cisco 音声ゲートウェイでサポートされているメカニズムは、モデム パススルーだけです。
モデム パススルーとは、パルス符号変調(PCM)符号化パケットと G.711 コーデックを使用して、パケット ネットワークを通じてモデム信号を転送することです。モデム パススルーでは、ゲートウェイがモデム信号と音声信号を区別し、適切なアクションを取ることができなければなりません。ゲートウェイは、モデム信号を検出すると、次のサービスを無効にします。
モデム パススルー モードでは、ゲートウェイは、モデム コールを音声コールと区別しません。2 台のモデム間の通信は、「音声」コールを介してインバンドにそのまま伝送されます。モデム トラフィックは、QoS 対応の IP インフラストラクチャを介して透過的に伝送され、IP ネットワーク内でデータが復調されることはありません。
モデム コールは「音声」コールを介してインバンドに伝送されるという点で、モデムのアップスピード機能は、パススルーに似ています。違いは、アップスピード機能が使用されるときに、ゲートウェイがある程度まで、モデム コールを認識する点です。リレー メカニズムは使用されませんが、ゲートウェイは、モデム トーンを認識し、「音声」コーデックを G.711(「アップスピード」部分)に自動的に変更し、コールの期間中 VAD とエコー キャンセレーション(EC)を無効にします。
現在、このアップスピード機能は、Cisco IOS リリース 12.1.3T による Cisco AS5300 以外の Cisco IOS プラットフォームではサポートされていません。Cisco 2600、3600、VG200、4224、および Catalyst 4000 Access Gateway Module(AGM)プラットフォームの場合、モデムのアップスピード機能は、将来の Cisco IOS リリースでサポートされる予定です。これらのプラットフォームの場合、モデムのアップスピード機能が使用可能になるまで、ダイヤルピアで no vad を設定できます。
モデム アップスピード機能は、Catalyst 6000 ゲートウェイ モジュールでもサポートされています。
IP インフラストラクチャを介して転送されるモデム トラフィックの最適なパフォーマンスを確保するには、次の推奨ベスト プラクティスを守ってください。
• IP ネットワークで QoS(Quality of Service)が使用可能になっていること、および LAN、MAN、および WAN 環境で、QoS を提供するためのすべての推奨事項に従っていることを確認します。できる限り、次のパラメータが最小になる方法を採用してください。
–パケット損失:FAX とモデムのトラフィックには、本質的に損失のない転送が必要です。パケットが 1 つでも損失すると、再送信が行われます。
詳細は、次の Web サイトで入手可能な『Cisco AVVID Network Infrastructure Enterprise Quality of Service Design』のガイドを参照してください。
• コール アドミッション制御(CAC)を使用して、コールが規定の合計帯域幅限界を超えると、拒否されるようにします。
• モデムを使用するすべてのコールに、G.711 を使用します。ゲートウェイの 1 つがモデム リレーをサポートしていない場合、モデム パススルーがネゴシエートされます(G.711 のみ)。モデムが使用される場合、すべてのコールに G.711 を使用することが最善の方法です。
• IP ネットワークにモデムを接続して、IP ネットワークの問題のトラブルシューティングや診断をしないでください。この場合、IP インフラストラクチャを構成するデバイスのトラブルシューティングに使用されるモデムは、アナログ電話回線(POTS)に接続する必要があります。
• 可能な場合、単一のシグナリング プロトコルとゲートウェイ ファミリーを使用して、インターオペラビリティの問題を最小限にします。
• モデムと FAX のすべての専用ポートで、コール ウェイティングを使用不可にします。
現在、Cisco 機器は V.34 モデムのみをサポートします。V.90 モデムは既存のハードウェアで機能し、V.34 よりも高速ですが、V.90 の完全なサポートは保証できません。
FAX とモデムの機能をサポートしている Cisco プラットフォームは、次のとおりです。
(注) FAX とモデムのサポート テストは、Cisco IOS ゲートウェイ上の Cisco IOS リリース 12.3(1)、および Cisco VG248 Analog Phone Gateway のリリース 1.2.1 を使用して、上記のプラットフォーム上で実行されました。
企業ソリューションで現在使用されている一般的なコール制御プロトコルには、H.323、メディア ゲートウェイ制御プロトコル(MGCP)、および Skinny Client Control Protocol(SCCP)があります。すべての Cisco 音声プラットフォームが、これらのプロトコル、または FAX とモデム機能をすべてサポートしているわけではないので、インターオペラビリティの問題が発生します。また、Cisco 2600XM や Cisco 3600 シリーズなどの Cisco IOS ゲートウェイを、VG248 などの IOS 以外のゲートウェイと組み合せる場合は、さらにインターオペラビリティの問題が発生します。ここでは、FAX、モデム、およびプロトコルの機能のインターオペラビリティをサポートしているゲートウェイの組み合せをリストします。
高いレベルで、Cisco IOS リリース 12.3(1)(Cisco 6608 のロード 47 と Cisco 6624 のロード 41)、および VG248 のリリース 1.2.1 は、Cisco FAX リレー、モデム パススルー、および音声機能のインターオペラビリティをサポートします。Cisco IOS リリース 12.2(11)T1 より前には、Cisco IOS と IOS 以外の音声プラットフォーム間では、音声と Cisco FAX リレーのみがサポートされていました。これは、パススルー ネットワーク サービス エンジン(NSE)方式の非互換性により、モデム パススルーが相互運用できなかったからです。
ネットワークにおける一般的なプロトコルの組み合せの一部には、MGCP と H.323、SCCP と H.323、および SCCP と MGCP があります。一般的な音声ゲートウェイには、Cisco VG200、VG248、2600XM、3600、5300、および Catalyst 6000 が含まれます。
表 3-11 では、FAX とモデムのインターオペラビリティを現在サポートしている、プロトコルの組み合せをリストしています。
(注) Cisco ATA186、VG248、および Catalyst 6000 プラットフォームは現在、T.38 FAX リレーをサポートしていません。これらのプラットフォームが Cisco AS5350 または AS5400 ゲートウェイに接続される場合、FAX アプリケーションに対して FAX パススルーのみがサポートされます。
FAX とモデムのインターオペラビリティについて最も多い質問は、図 3-1 に示されているように、Cisco IOS ゲートウェイ(たとえば、Cisco 2600XM や 3600)と IOS 以外のゲートウェイ(たとえば、Cisco VG248)との組み合せに関するものです。
図 3-1 Cisco IOS と IOS 以外のゲートウェイを組み合せる構成
FAX とモデムのインターオペラビリティについて次に多い質問は、図 3-2 に示されているように、Cisco IOS ゲートウェイのみを使用する構成に関するものです。
図 3-2 Cisco IOS ゲートウェイのみを使用する構成
どちらのシナリオの回答も、基本的に同じです。6608 上の Cisco IOS ロード 47、および VG248 上のリリース 1.2.1 より前では、音声と Cisco FAX リレーのみがサポートされ、FAX パススルーとモデム パススルーは、NSE の非互換性によりサポートされません。6608 上の Cisco IOS ロード 47 以降、6624 上のロード 41 以降、および VG248 上のリリース 1.2.1 は、この 3 つのプラットフォームはすべて、コール制御プロトコルに関係なく、音声、Cisco FAX リレー、およびモデム パススルー用に、Cisco IOS ゲートウェイと相互運用できます。NSE パススルー方式は、シグナリング パスではなく、ベアラ パスで動作するので、コール制御プロトコルとは関係しません。
表 3-12 では、同じ一般的なタイプのゲートウェイ間(たとえば、Cisco VG248 と 6608 間、2600XM と 3600 間、または 2600XM と AS5300 間)でサポートされる FAX とモデムの機能をリストしています。両方のプラットフォームが所定の機能をサポートする限り、プラットフォームは相互運用します。
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パススルー |
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リレー |
パススルー |
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Cisco IOS ゲートウェイ(たとえば、Cisco 6608 と 6624)用に Cisco CallManager を設定するには、
Cisco CallManager で次の手順を実行します。また、これらの設定手順については、図 3-3 および図 3-4 も参照してください。
ステップ 1 Cisco CallManager Administration で、 Device > Gateway の順に選択して、 Find/List Gateways ウィンドウを表示します。
ステップ 2 変更するゲートウェイを検索するか(すでに存在する場合)、または Add a New Gateway をクリックして新しいゲートウェイを Cisco CallManager データベースに追加します。
ステップ 3 適切なタイプのゲートウェイ(たとえば、Cisco Catalyst 6000)を選択した後、 FAX Relay Enable をクリックして Cisco FAX リレーを使用可能にします。
ステップ 4 NSE Type ドロップダウン リスト ボックスを使用して、モデム パススルー用に IOS Gateways を選択します。
ステップ 5 Update をクリックして変更内容を保存します。
ステップ 6 ゲートウェイをリセットして変更内容を適用します。
図 3-3 Cisco CallManager におけるゲートウェイ設定
図 3-4 Cisco CallManager におけるゲートウェイ設定(続き)
この設定は、Cisco VG248、6608、6624、および IOS ゲートウェイ間での、音声、Cisco FAX リレー、およびモデム パススルーをサポートします。ただし、Cisco FAX リレーをサポートしない Cisco AS5350 および AS5400 ゲートウェイを除きます。また、この設定は、パススルー モードの V.34 モデム接続もサポートします。V.90 モデム接続は保証されていませんが、ネットワーク ジッタの量とクロック同期によっては可能です。
FAX とモデム パススルーを正常に機能させるには、クロック信号が重要な役割をはたします。ゲートウェイのクロックは、Stratum クロッキングが提供される PSTN クロックと同期させる必要があります。このクロック同期がないと、FAX および(特に)モデムのパススルーは機能しません。クロックを正しく同期させるには、T1 コントローラで次の設定を入力してください(この例では、T1 コントローラは、PSTN に接続している音声ゲートウェイです)。
T.38 FAX リレーは、Cisco ATA186、VG248、6608、および 6624 ゲートウェイではサポートされていませんが、Cisco 2600XM および 3600 など、大部分の高性能 Cisco IOS 音声プラットフォームの大部分ではサポートされています。
T.38 FAX リレーは、次のいずれかの方法で設定できます。
• 「ネットワーク サービス エンジン(NSE)を使用して制御されるルース ゲートウェイ」
• 「H.245 または SDP(Session Definition Protocol)による機能交換を使用して制御されるゲートウェイ」
この設定では、次の Cisco IOS ゲートウェイ設定例に示されているように、ダイヤルピア上の静的 T.38 設定を使用します。
この T.38 FAX リレー設定方法には、次の特性が適用されます。
• T.38 機能はゲートウェイ間で交換されます。FAX トーンの検出後に T.38 FAX リレーに切り替わることを起点側のゲートウェイに知らせるために、ネットワーク サービス エンジン(NSE)メッセージが、RTP ストリーム上で終端側のゲートウェイから送信されます。この NSE メッセージは RTP ストリーム上で送信されるので、コール制御信号に対しては透過されます。
• Cisco CallManager は、H.323 または MGCP ではこの機能交換をサポートできません。したがって、T.38 機能が交換されない場合であっても、設定コマンドを使用して強制的に T.38 FAX リレーに切り替える必要があります。
Cisco VG248 および 6608 または 6624 を使用するトポロジーでは、次の Cisco IOS コマンドを使用してください。
これらの 2 つのコマンドにより、Cisco IOS ゲートウェイは、T.38 FAX リレーとモデム パススルーを実行するために他の Cisco IOS ゲートウェイと相互運用するだけでなく、Cisco FAX リレーとモデム パススルーを実行するために VG248 とも相互運用できるようになります。
この T.38 FAX リレー設定方法には、次の特性が適用されます。
• コール制御エージェント(たとえば、Cisco CallManager)が T.38 FAX リレーを制御し、ゲートウェイはパッシブ モードで動作します。
• このタイプの設定では、T.38 FAX リレーは、コール制御プロトコルに対して透過的ではありません。コール エージェントは、H.323 と MGCP 間のプロトコル変換を実行します。
• この方法により、T.38 FAX リレーは、Cisco IOS リリース 12.3(1) で設定できます。Cisco BTS 10200 Softswitch もこの方法をサポートします。
• Cisco CallManager は、T.38 FAX リレーのコール エージェント制御をサポートしません。したがって、この T.38 FAX リレー設定方法は、Cisco CallManager の配置には適用されません。