ROM モニタの開始
ROM モニタを使用するには、端末または PC をコンソール ポート経由でルータに接続している必要があります。
次に再起動するときは ROM モニタ モードで起動するようにルータを設定するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
enable |
特権 EXEC モードを開始します。 プロンプトにパスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
config-reg 0x0 |
コンフィギュレーション レジスタをリセットします。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードを終了します。 |
ステップ 5 |
reload |
新しいコンフィギュレーション レジスタ値でルータを再起動します。ルータは ROM モニタ モードのままで、Cisco IOS ソフトウェアは起動されません。 設定値が 0x0 である限り、コンソールから手動でオペレーティング システムを起動する必要があります。この付録の コマンドの説明の boot コマンドを参照してください。 再起動したルータは ROM モニタ モードになります。新しく行が増えるごとにプロンプトの数字が増加します。 |
ワンポイント アドバイス ルータを再起動してから 60 秒間は、コンフィギュレーション レジスタで Break(システム割り込み)がオフに設定されていても、Break が常に有効となります。再起動から 60 秒間のあいだに Break キーを押すと、ROM モニタのプロンプトに割り込むことができます。
ROM モニタ コマンド
ROM モニタ プロンプトに ? または help を入力すると、次のように、使用できるコマンドおよびオプションの一覧が表示されます。
alias set and display aliases command
boot boot up an external process
break set/show/clear the breakpoint
confreg configuration register utility
cont continue executing a downloaded image
context display the context of a loaded image
cookie display contents of cookie PROM in hex
copy Copy a file-copy [-b <buffer_size>] <src_file> <dst_file>
delete Delete file(s)-delete <filenames ...>
dir List files in directories-dir <directory>
dis display instruction stream
dnld serial download a program module
format Format a filesystem-format <filessystem>
frame print out a selected stack frame
fsck Check filesystem consistency-fsck <filesystem>
help monitor builtin command help
history monitor command history
meminfo main memory information
mkdir Create dir(s)-mkdir <dirnames ...>
more Concatenate (type) file(s)-cat <filenames ...>
rename Rename a file-rename <old_name> <new_name>
repeat repeat a monitor command
set display the monitor variables
stack produce a stack trace
sync write monitor environment to NVRAM
sysret print out info from last system return
tftpdnld tftp image download
unset unset a monitor variable
xmodem x/ymodem image download
860VAE ISR の ROM モニタ コマンド
Cisco 866VAE、867VAE、866VAE-K9 および 867VAE-K9 ISR は、次の ROM モニタ コマンドをサポートします。ROM モニタ プロンプトに ? または help を入力すると、次のように、使用できるコマンドおよびオプションの一覧が表示されます。
alias set and display aliases command
boot boot up an external process
confreg configuration register utility
delete Delete file(s)-delete <filenames ...>
dev List the device table
dir List files in directories-dir <directory>
format Format a filesystem-format <filessystem>
help monitor builtin command help
history monitor command history
meminfo main memory information
repeat repeat a monitor command
set display the monitor variables
showmon display currently selected ROM monitor
sync write monitor environment to NVRAM
tftpdnld tftp image download
unset unset a monitor variable
コマンドの大文字と小文字は区別されます。端末上で Break キーを押すとコマンドを停止できます。PC を使用している場合、Ctrl キーと Break キーを同時に押すと、ほとんどの端末エミュレーション プログラムはコマンドを停止します。別のタイプの端末エミュレータまたは端末エミュレーション ソフトウェアを使用している場合は、製品のマニュアルに記載された Break コマンドの送信方法を参照してください。
コマンドの説明
表 C-1 に、一般的に使用される ROM モニタ コマンドを示します。
表 C-1 一般的な ROM モニタ コマンド
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help または ? |
使用できるすべての ROM モニタ コマンドを表示します。 |
-? |
次のような、コマンド構文に関する情報を表示します。
usage : dis [addr] [length]
このコマンドの出力は、 xmodem ダウンロード コマンドの出力とわずかに異なります。
xmodem: illegal option -- ?
usage: xmodem [-cyrxu] <destination filename>
-r copy image to dram for launch
-x do not launch on download completion
-u upgrade ROMMON, System will reboot after upgrade
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reset または i |
ルータをリセットまたは初期化します。電源投入時と同様の動作が行われます。 |
dir device : |
指定したデバイス(フラッシュ メモリ ファイルなど)上のファイルがリストされます。
2 -rwx 10283208 <date> c880-advsecurityk9-mz
9064448 bytes available (10289152 bytes used)
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ROM モニタの boot コマンドを詳細については、『 Cisco IOS Configuration Fundamentals and Network Management Guide 』を参照してください。 |
b |
フラッシュ メモリ内の最初のイメージをブートします。 |
b flash: [ filename ] |
フラッシュ メモリの最初のパーティションからイメージを直接ブートします。ファイル名を入力しないと、フラッシュ メモリ内の最初のイメージがブートされます。 |
TFTP ダウンロードによるディザスタ リカバリ
ルータに新しいソフトウェアをロードするには、通常、Cisco IOS ソフトウェアのコマンドライン インターフェイス(CLI)から copy tftp flash 特権 EXEC コマンドを実行します。ただし、ルータが Cisco IOS ソフトウェアをブートできない場合は、ROM モニタ モード中に新しいソフトウェアをロードすることができます。
ここでは、リモート TFTP サーバからルータのフラッシュ メモリに Cisco IOS ソフトウェア イメージをロードする方法について説明します。 tftpdnld コマンドを実行すると、ルータに新しいソフトウェア イメージをダウンロードする前にフラッシュ メモリ内のすべての既存データが消去されるため、このコマンドはディザスタ リカバリの場合にだけ使用してください。
TFTP ダウンロードのコマンド変数
ここでは、ROM モニタ モードで設定し、TFTP ダウンロード プロセスで使用するシステム変数について説明します。必須変数とオプション変数があります。
(注) ここに記載されたコマンドは大文字と小文字の区別があり、表記どおり正確に入力する必要があります。
必須の変数
tftpdnld コマンドを使用する前に、次のコマンドを使用して、次に示す変数を設定する必要があります。
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ルータの IP アドレス |
IP_ADDRESS= ip_address |
ルータのサブネット マスク |
IP_SUBNET_MASK= ip_address |
ルータのデフォルト ゲートウェイの IP アドレス |
DEFAULT_GATEWAY= ip_address |
ソフトウェアのダウンロード元となる TFTP サーバの IP アドレス |
TFTP_SERVER= ip_address |
ルータにダウンロードするファイル名 |
TFTP_FILE= filename |
オプションの変数
次の変数は、 tftpdnld コマンドを使用する前に各コマンドで設定できます。
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ファイル ダウンロードの進行状況をどのように表示するかを設定します。 0:進行状況は表示されません。 1:感嘆符(!!!)でファイル ダウンロードの進行状況を表示します。これはデフォルトの設定です。 2:ファイル ダウンロードの処理中に詳細な進行状況を表示します。例を示します。 • Initializing interface. • Interface link state up. • ARPing for 1.4.0.1 • ARP reply for 1.4.0.1 received.MAC address 00:00:0c:07:ac:01 |
TFTP_VERBOSE= setting |
ルータが ARP および TFTP ダウンロードを試行する回数。デフォルト値は 7 です。 |
TFTP_RETRY_COUNT= retry_times |
ダウンロード プロセスがタイムアウトするまでの時間(秒)です。デフォルトは 2,400 秒(40 分)です。 |
TFTP_TIMEOUT= time |
ダウンロードされたイメージに対してルータがチェックサム テストを実行するかどうか。 1:チェックサム テストを実行します。 0:チェックサム テストを実行しない |
TFTP_CHECKSUM= setting |
TFTP ダウンロード コマンドの使用
TFTP を使用してファイルをダウンロードするには、ROM モニタ モードで次の手順を実行します。
ステップ 1 適切なコマンドを使用して、上記のすべての必須変数およびオプション変数を入力します。
ステップ 2 次のように、 tftpdnld コマンドを入力します。
(注) -r 変数は任意です。この変数を入力すると、新しいソフトウェアがダウンロードされ、ブートされますが、ソフトウェアはフラッシュ メモリに保存されません。次回に reload を入力した場合は、フラッシュ メモリ内のイメージを使用することができます。
次のような出力が表示されます。
IP_SUBNET_MASK: 255.255.0.0
DEFAULT_GATEWAY: 10.3.0.1
TFTP_SERVER: 192.168.254.254
TFTP_FILE: c880-advsecurityk9-mz
Do you wish to continue? y/n: [n]:
ステップ 3 継続する場合は、出力内の質問に対して y を入力します。
Do you wish to continue? y/n: [n]:y
ルータが新しいファイルのダウンロードを開始します。
誤って y を入力した場合、 Ctrl+C または Break を入力するとフラッシュ メモリを消去する前に転送を止めることができます。
コンフィギュレーション レジスタ
仮想コンフィギュレーション レジスタは Non-Volatile RAM(NVRAM; 不揮発性 RAM)にあり、他の Cisco ルータと同じ機能を持っています。ROM モニタからでも、オペレーティング システム ソフトウェアからでも、仮想コンフィギュレーション レジスタの表示および変更ができます。ROM モニタ内でコンフィギュレーション レジスタを変更するには、レジスタ値を 16 進形式で入力するか、ROM モニタ プロンプトを使用して各ビットを設定します。
コンフィギュレーション レジスタの手動での変更
ROM モニタから仮想コンフィギュレーション レジスタを手動で変更するには、 confreg コマンドを入力し、続けて新しいレジスタ値を 16 進数で入力します(次の例を参照)。
rommon 1 > confreg 0x2101
You must reset or power cycle for new config to take effect
値は常に 16 進数と見なされます。新しい仮想コンフィギュレーション レジスタ値は NVRAM に書き込まれますが、ルータをリセットまたは再起動するまでは有効になりません。
コンフィギュレーション レジスタのプロンプトでの変更
confreg コマンドを引数なしで入力すると、仮想コンフィギュレーション レジスタの内容と、各ビットの意味を指定することによって内容を変更するためのプロンプトが表示されます。
いずれの場合も、新しい仮想コンフィギュレーション レジスタ値は NVRAM に書き込まれますが、ルータをリセットまたは再起動するまでは有効になりません。
次に、confreg コマンドの入力例を示します。
do you wish to change the configuration? y/n [n]: y
enable “diagnostic mode”? y/n [n]: y
enable “use net in IP bcast address”? y/n [n]:
enable “load rom after netboot fails”? y/n [n]:
enable “use all zero broadcast”? y/n [n]:
enable “break/abort has effect”? y/n [n]:
enable “ignore system config info”? y/n [n]:
change console baud rate? y/n [n]: y
enter rate: 0 = 9600, 1 = 4800, 2 = 1200, 3 = 2400 [0]: 0
change the boot characteristics? y/n [n]: y
1 = the boot helper image
do you wish to change the configuration? y/n [n]:
You must reset or power cycle for new config to take effect
コンソール ダウンロード
ROM モニタ機能の 1 つであるコンソール ダウンロードを使用すると、ルータ コンソール ポートを介して、ソフトウェア イメージまたはコンフィギュレーション ファイルをダウンロードすることができます。ダウンロードされたファイルは、ミニフラッシュ メモリ モジュールまたはメイン メモリに保存されて実行されます(イメージ ファイルの場合だけ)。
TFTP サーバにアクセスできない場合は、コンソール ダウンロードを使用してください。
(注) コンソール ポートを介してソフトウェア イメージまたはコンフィギュレーション ファイルをルータにダウンロードする場合は、ROM モニタの dnld コマンドを使用する必要があります。
(注) PC を使用し、Cisco IOS イメージをルータ コンソール ポート経由で 115,200 bps でダウンロードする場合は、PC のシリアル ポートで 16550 汎用非同期送受信器(UART)が使用されていることを確認します。PC のシリアル ポートに 16550 UART が使用されていない場合は、コンソール ポートを介して Cisco IOS イメージをダウンロードするときに、38,400 bps 以下の速度を使用することを推奨します。
コマンドの説明
xmodem コンソール ダウンロード コマンドの構文および説明を、次に示します。
xmodem [ -cyrx ] destination_file_name
c |
オプション。パケット検証に CRC-16 エラー チェックを使用して、ダウンロードを実行します。デフォルトは 8 ビットの CRC です。 |
y |
オプション。Ymodem プロトコルを使用してダウンロードを実行するように、ルータに指示します。デフォルトは Xmodem プロトコルです。各プロトコルの相違は次のとおりです。 • Xmodem は 128 ブロックの転送サイズをサポートします。Ymodem は 1024 ブロックの転送サイズをサポートします。 • Ymodem は、各パケットの検証に CRC-16 エラー チェックを使用します。ソフトウェアのダウンロード元となるデバイスによっては、この機能が Xmodem でサポートされないことがあります。 |
r |
オプション。イメージは DRAM にロードされ、実行されます。デフォルトでは、フラッシュ メモリにイメージをロードします。 |
x |
オプション。イメージは DRAM にロードされますが、実行されません。 |
destination_file_name |
システム イメージ ファイルまたはシステム コンフィギュレーション ファイルの名前です。ルータに認識させるために、コンフィギュレーション ファイル名は router_confg にする必要があります。 |
次の手順に従って、Xmodem を実行します。
ステップ 1 Xmodem を実行するローカル ドライブに、イメージ ファイルを移動します。
ステップ 2 xmodem コマンドを入力します。
エラー レポート
ROM モニタのコンソール ダウンロードは、コンソールを使用してデータ転送を行うため、データ転送中にエラーが発生した場合、エラー メッセージがコンソール上に表示されるのはデータ転送が終了してからです。
デフォルトのボー レートを変更した場合は、端末のボー レートをコンフィギュレーション レジスタに指定されたボー レートに戻すことを指示するメッセージがエラー メッセージに続いて表示されます。
デバッグ コマンド
ROM モニタのほとんどのデバッグ コマンドは、Cisco IOS ソフトウェアがクラッシュまたは停止した場合にだけ機能します。デバッグ コマンドの入力時に Cisco IOS クラッシュ情報が得られない場合は、次のエラーメッセージが表示されます。
"xxx: kernel context state is invalid, can not proceed."
次に、ROM モニタのデバッグ コマンドを示します。
• stack または k :スタック トレースが生成されます。次に例を示します。
Frame 00: FP = 0x80005ea8 PC = 0x801111b0
Frame 01: FP = 0x80005eb4 PC = 0x80113694
Frame 02: FP = 0x80005f74 PC = 0x8010eb44
Frame 03: FP = 0x80005f9c PC = 0x80008118
Frame 04: FP = 0x80005fac PC = 0x80008064
Frame 05: FP = 0x80005fc4 PC = 0xfff03d70
• context :プロセッサのコンテキストが表示されます。次に例を示します。
CPU context of the most recent exception:
PC = 0x801111b0 MSR = 0x00009032 CR = 0x53000035 LR = 0x80113694
CTR = 0x801065e4 XER = 0xa0006d36 DAR = 0xffffffff DSISR = 0xffffffff
DEC = 0xffffffff TBU = 0xffffffff TBL = 0xffffffff IMMR = 0xffffffff
R0 = 0x00000000 R1 = 0x80005ea8 R2 = 0xffffffff R3 = 0x00000000
R4 = 0x8fab0d76 R5 = 0x80657d00 R6 = 0x80570000 R7 = 0x80570000
R8 = 0x00000000 R9 = 0x80570000 R10 = 0x0000954c R11 = 0x00000000
R12 = 0x00000080 R13 = 0xffffffff R14 = 0xffffffff R15 = 0xffffffff
R16 = 0xffffffff R17 = 0xffffffff R18 = 0xffffffff R19 = 0xffffffff
R20 = 0xffffffff R21 = 0xffffffff R22 = 0xffffffff R23 = 0xffffffff
R24 = 0xffffffff R25 = 0xffffffff R26 = 0xffffffff R27 = 0xffffffff
R28 = 0xffffffff R29 = 0xffffffff R30 = 0xffffffff R31 = 0xffffffff
• frame :個々のスタック フレームが表示されます。
• sysret :最後に起動したシステム イメージからの戻り情報が表示されます。この情報には、イメージを中止した理由、最大 8 フレームのスタック ダンプ、および例外が発生したアドレス(例外がある場合)などが含まれます。
count: 19, reason: user break
pc:0x801111b0, error address: 0x801111b0
FP: 0x80005ea8, PC: 0x801111b0
FP: 0x80005eb4, PC: 0x80113694
FP: 0x80005f74, PC: 0x8010eb44
FP: 0x80005f9c, PC: 0x80008118
FP: 0x80005fac, PC: 0x80008064
FP: 0x80005fc4, PC: 0xfff03d70
FP: 0x80005ffc, PC: 0x00000000
FP: 0x00000000, PC: 0x00000000
• meminfo :メイン メモリのサイズ(バイト)、開始アドレス、および使用可能範囲、パケット メモリの開始ポイントとサイズ、NVRAM のサイズが表示されます。次に例を示します
Available main memory starts at 0x10000, size 40896KB
IO (packet) memory size: 5 percent of main memory.
ROM モニタの終了
ルータの起動時または再ロード時に Cisco IOS イメージをフラッシュ メモリから起動させるには、コンフィギュレーション レジスタ値を 0x2 ~ 0xF に設定する必要があります。
次に、コンフィギュレーション レジスタをリセットして、ルータがフラッシュ メモリに格納された Cisco IOS イメージを起動するように設定する例を示します。
rommon 1 > confreg 0x2101
新しい設定を有効にするには、リセットまたは電源のオフ/オンを行う必要があります。
ルータは、フラッシュ メモリ内の Cisco IOS イメージを起動します。ルータの次のリセット時または電源の再投入時に、コンフィギュレーション レジスタの値は 0x2101 になります。