カスタム電話呼出音の作成
Cisco Unified IP Phone には、Chirp1 と Chirp2 という 2 つのデフォルト呼出音タイプが付属しており、これらはハードウェアに内蔵されています。Cisco Unified Communications Manager には、一連の追加の電話呼出音もデフォルトで付属しており、これらは Pulse Code Modulation(PCM; パルス符号変調)ファイルとしてソフトウェアに実装されています。PCM ファイルは、サイトで使用できる呼出音リスト オプションを記述した XML ファイル(Ringlist.xml)とともに、各 Cisco Unified Communications Manager サーバの TFTP サーバに配置されています。
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager システム ガイド Release 6.1 』の「Cisco TFTP」の章、および『 Cisco Unified Communications Operating System アドミニストレーション ガイド 』の「ソフトウェア アップグレード」の章を参照してください。
次の各項では、PCM ファイルを作成して Ringlist.xml ファイルを編集し、サイトで使用できる呼出音をカスタマイズする方法について説明します。
• 「Ringlist.xml のファイル形式の要件」
• 「カスタム呼出音タイプの PCM ファイルの要件」
• 「カスタム電話呼出音の設定」
Ringlist.xml のファイル形式の要件
Ringlist.xml ファイルは、電話呼出音タイプのリストを保持した XML オブジェクトを定義しています。このファイルには、呼出音タイプを 50 個まで記述できます。呼出音タイプごとに、呼出音タイプに使用される PCM ファイルへのポインタ、および Cisco Unified IP Phone の[呼出音タイプ]メニューに表示されるテキストを記述します。このファイルは、各 Cisco Unified Communications Manager の Cisco TFTP サーバに保持されます。
CiscoIPPhoneRinglist XML オブジェクトは、次の単純なタグ セットを使用して情報を記述します。
定義名については、次の規則があります。それぞれの電話呼出音タイプについて、必須の DisplayName と FileName を記述する必要があります。
• DisplayName には、関連付けられた PCM ファイルのカスタム呼出音の名前を定義します。この名前は、Cisco Unified IP Phone の[呼出音タイプ]メニューに表示されます。
• FileName には、DisplayName に関連付けるカスタム呼出音の PCM ファイルの名前を指定します。
(注) DisplayName フィールドと FileName フィールドは、25 文字以下にする必要があります。
次の例は、2 つの電話呼出音タイプを定義した Ringlist.xml ファイルを示しています。
<DisplayName>Analog Synth 1</DisplayName>
<FileName>Analog1.raw</FileName>
<DisplayName>Analog Synth 2</DisplayName>
<FileName>Analog2.raw</FileName>
カスタム呼出音タイプの PCM ファイルの要件
呼出音の PCM ファイルは、Cisco Unified IP Phone で正常に再生するには次の要件を満たしている必要があります。
• 未加工の PCM(ヘッダーなし)。
• サンプリング回数:8,000 回/秒。
• 1 サンプルあたり 8 ビット。
• µLaw 圧縮
• 呼出音の最大サイズ:16,080 サンプル。
• 呼出音の最小サイズ:240 サンプル。
• 呼出音のサンプル数は、240 で割り切れる。
• 呼出音は、ゼロ交差で開始および終了する。
• カスタム電話呼出音の PCM ファイルを作成するには、ファイル形式に関するこれらの要件をサポートしている、任意の標準的なオーディオ編集パッケージを使用する。
カスタム電話呼出音の設定
Cisco Unified IP Phone のカスタム電話呼出音を作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 各カスタム呼出音の PCM ファイルを作成します(ファイルごとに呼出音 1 つ)。PCM ファイルは、「カスタム呼出音タイプの PCM ファイルの要件」に示した形式ガイドラインに必ず適合させてください。
ステップ 2 作成した新しい PCM ファイルを、クラスタ内の各 Cisco Unified Communications Manager の Cisco TFTP サーバにアップロードします。詳細については、『 Cisco Unified Communications Operating System アドミニストレーション ガイド 』の「ソフトウェア アップグレード」の章を参照してください。
ステップ 3 テキスト エディタを使用して、Ringlist.xml ファイルを編集します。このファイルの形式および Ringlist.xml ファイルの例については、「Ringlist.xml のファイル形式の要件」を参照してください。
ステップ 4 修正内容を保存し、Ringlist.xml ファイルを閉じます。
ステップ 5 新しい Ringlist.xml ファイルをキャッシュするには、Cisco Unified Serviceability を使用して、TFTP サービスをいったん停止し、もう一度開始します。または、Advanced Service Parameters にある「Enable Caching of Constant and Bin Files at Startup」TFTP サービス パラメータをいったん無効にし、もう一度有効にします。
カスタム背景イメージの作成
管理者は、ユーザが自分の電話機の LCD スクリーンの背景イメージを選択できるようにすることができます。ユーザは、電話機の アプリケーション メニュー ボタンを押し、 [設定]>[ユーザ設定]>[背景イメージ] を選択することで、背景イメージを選択できます。
ユーザに表示されるイメージの選択肢は、電話機が使用している TFTP サーバに保存された PNG イメージと XML ファイル(List.xml)から取得されます。TFTP サーバに独自の PNG ファイルを保存し、XML ファイルを編集すると、ユーザが選択できる背景イメージを管理者が規定できます。この方法によって、企業ロゴなどのカスタム イメージを提供することができます。
次の各項では、独自の PNG ファイルを作成して List.xml ファイルを編集し、サイトで使用できる背景イメージをカスタマイズする方法について説明します。
• 「List.xml のファイル形式の要件」
• 「カスタム背景イメージの PNG ファイルの要件」
• 「カスタム背景イメージの設定」
List.xml のファイル形式の要件
List.xml ファイルは、背景イメージのリストを保持した XML オブジェクトを定義しています。List.xml ファイルは、TFTP サーバ上の次のサブディレクトリに保存されます。
/Desktops/95x34x1
詳細については、『 Cisco Unified Communications Manager システム ガイド Release 6.1 』の「Cisco TFTP」の章、および『 Cisco Unified Communications Operating System アドミニストレーション ガイド 』の「ソフトウェア アップグレード」の章を参照してください。
List.xml ファイルには、背景イメージを 50 個まで記述できます。イメージは、電話機の[背景イメージ]メニューに表示する順序で記述します。List.xml ファイルには、イメージごとに ImageItem という要素タイプが保持されています。ImageItem 要素には、次の 2 つのアトリビュートが含まれています。
• Image:電話機の[背景イメージ]メニューに表示されるサムネール イメージの取得場所を指定するユニフォーム リソース識別子(URI)。
• URL:フル サイズ イメージの取得場所を指定する URI。
次の例は、2 つのイメージを定義した List.xml ファイルを示しています。イメージごとに、必須の Image アトリビュートと URL アトリビュートが記述されている必要があります。この例に示している TFTP URI が、フル サイズ イメージとサムネール イメージにリンクする唯一の方法です。HTTP URL のサポートは提供されません。
List.xml の例
Please Add Images to the end of the list
<ImageItem Image=”TFTP:Desktops/95x34x1/TN-Mountain.png" URL="TFTP:Desktops/95x34x1/Mountain.png" />
<ImageItem Image="TFTP:Desktops/95x34x1/TN-Ocean.png" URL="TFTP:Desktops/95x34x1/Ocean.png" />
Cisco Unified IP Phone のファームウェアには、デフォルトの背景イメージが含まれています。このイメージは、List.xml ファイルには定義されていません。デフォルト イメージは、電話機の[背景イメージ]メニューに常に最初に表示されるイメージです。
カスタム背景イメージの PNG ファイルの要件
背景イメージごとに、次の 2 つの PNG ファイルが必要です。
• フル サイズ イメージ:電話機に表示されるバージョン。
• サムネール イメージ:ユーザがイメージを選択できる[背景イメージ]画面に表示されるバージョン。サイズは、フル サイズ イメージの 25% 縮尺にする必要があります。
ヒント 画像をリサイズする機能は、多くの画像プログラムが提供しています。サムネール イメージを簡単に作成する方法は、まずフル サイズ イメージを作成して保存してから、画像プログラムのサイズ変更機能を使用して、そのイメージの原寸の 25% 縮尺バージョンを作成することです。このサムネール バージョンは、別の名前で保存します。
背景イメージの PNG ファイルは、Cisco Unified IP Phone で正常に表示するには次の要件を満たしている必要があります。
• フル サイズ イメージ:95 ピクセル(幅) × 34 ピクセル(高さ)。
• サムネール イメージ:23 ピクセル(幅) × 8 ピクセル(高さ)。
• カラー パレット:最適な表示結果を得るには、PNG ファイルの作成時にモノクロ(1 ビット)に設定します。
カスタム背景イメージの設定
Cisco Unified IP Phone のカスタム背景イメージを設定するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 イメージごとに、2 つの PNG ファイルを作成します(フル サイズ バージョンとサムネール バージョン)。PNG ファイルは、「カスタム背景イメージの PNG ファイルの要件」に示した形式ガイドラインに必ず適合させてください。
ステップ 2 作成した新しい PNG ファイルを、Cisco Unified Communications Manager の TFTP サーバ上の次のサブディレクトリにアップロードします。
/Desktops/95x34x1
(注) ファイル名とサブディレクトリ パラメータは大文字と小文字が区別されます。サブディレクトリ パスを指定する際には、必ずスラッシュ(/)を使用してください。
ファイルをアップロードするには、Cisco IPT Platform Administration で [Software Upgrades]>[Upload TFTP Server File] を選択します。詳細については、『Cisco Unified Communications Operating System アドミニストレーション ガイド』の「ソフトウェア アップグレード」の章を参照してください。
ステップ 3 カスタマイズしたイメージおよびファイルは、電話機がこれらのファイルを取得するために接続する可能性のある TFTP サーバが他にもある場合は、それらの TFTP サーバにもコピーする必要があります。
(注) 別の場所にもカスタム イメージ ファイルのバックアップ コピーを保存しておくことをお勧めします。カスタマイズしたファイルが Cisco Unified Communications Manager のアップグレード時に上書きされた場合は、このバックアップ コピーを使用できます。
ステップ 4 テキスト エディタを使用して、List.xml ファイルを編集します。このファイルの位置、形式の要件、およびサンプル ファイルについては、「List.xml のファイル形式の要件」を参照してください。
ステップ 5 修正内容を保存し、List.xml ファイルを閉じます。
(注) Cisco Unified Communications Manager をアップグレードすると、カスタマイズした List.xml ファイルはデフォルトの List.xml ファイルに置き換えられます。List.xml ファイルをカスタマイズした後は、ファイルのコピーを作成して、別の場所に保存しておいてください。Cisco Unified Communications Manager をアップグレードした後に、デフォルトの List.xml ファイルを保存済みのコピーで置き換えます。
ステップ 6 新しい List.xml ファイルをキャッシュするには、Cisco Unified Communications Manager Serviceability を使用して、TFTP サービスをいったん停止し、もう一度開始します。または、Advanced Service Parameters にある「Enable Caching of Constant and Bin Files at Startup」TFTP サービス パラメータをいったん無効にし、もう一度有効にします。
フォントサイズが大きい言語のロケールを使用した場合のカスタム背景イメージについて
日本語、中国語、韓国語など、フォントサイズが大きい言語のロケールを使用している場合、電話機の背景イメージが適切に表示されない問題があります。背景イメージを適切に表示するには、次のガイドラインに従ってください。
日本語ロケール用にPNGファイルを作成する場合は、次のファイルサイズを使用してください。
–フル サイズ イメージ:95 ピクセル(幅) X 28 ピクセル(高さ)
–サムネール イメージ:23 ピクセル(幅) X 8 ピクセル(高さ)
イメージファイルは、次のフォルダにアップロードします。
%TFTPPATH%Desktops\95x28x1
%TFTPPATH%\Desktops\95x28x1フォルダの List.xml を編集、または新規に作成します。使用するイメージファイル名(ここでは image.png)とフォルダを示す次の行を含むようにしてください。
<ImageItem Image="TFTP:Desktops/95x28x1/image.png"
URL="TFTP:Desktops/95x28x1/image.png" />
ワイドバンド コーデックの設定
Cisco Unified Communications Manager が G.722 を使用するように設定されていて(G.722 は、Cisco Unified IP Phone 7970 シリーズではデフォルトで有効になっています)、相手側エンドポイントも G.722 をサポートしている場合、コールの接続には G.711 の代わりの G.722 コーデックが使用されます。通話時に音声感度が高くなったことにユーザが気づくことがあります。感度が高くなると、音声が明瞭になるだけでなく、相手側エンドポイントの背景ノイズ(紙が擦れる音や近くの会話など)もよく聞こえるようになります。ワイドバンド ハンドセットがない場合でも、G.722 の高い感度を望むユーザもいます。逆に、G.722 の高い感度のために意識が集中できずに苛立ちを覚えるユーザもいます。
この Cisco Unified Communications Manager サーバと特定の電話機のいずれか一方または両方についてワイドバンドがサポートされるかどうかは、Cisco Unified Communications Manager の管理ページにある次の 2 つのパラメータによって決まります。
• Advertise G.722 Codec:Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[システム]>[エンタープライズパラメータ]を選択します。このエンタープライズ パラメータのデフォルト値は[Enabled]です。これは、この Cisco Unified Communications Manager に登録されている Cisco Unified IP Phone モデル 7906G、7911G、7941G、7941G-GE、7961G、7961G-GE、7970G、および 7971G-GE のすべてが Cisco Unified Communications Manager に G.722 をアドバタイズすることを意味します。コールの際に各エンドポイントの機能セットで G.722 がサポートされている場合、Cisco Unified Communications Manager はコールにこのコーデックを選択します。
• Advertise G.722 Codec:Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[デバイス]>[電話]を選択します。このプロダクト固有のパラメータのデフォルト値には、エンタープライズ パラメータに指定された値が使用されます。電話機ごとにこの設定を上書きする場合は、[電話の設定(Phone Configuration)]ウィンドウの[プロダクト固有の設定(Product Specific Configuration)]領域にある[Advertise G.722 Codec]パラメータで[Enabled]または[ Disabled ]を選択します。