起動時の問題の解決
「電話機の起動プロセスの確認」で説明したとおり、Cisco Unified IP Phone をネットワークに設置し、Cisco Unified Communications Manager に追加すると、電話機は起動します。電話機が正しく起動しない場合は、次の項のトラブルシューティング情報を参照してください。
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない」
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified Communications Manager に登録されない」
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない」
症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない
「電話機の起動プロセスの確認」で説明したとおり、Cisco Unified IP Phone をネットワーク ポートに接続すると、電話機は通常の起動プロセスを実行し、LCD スクリーンに情報が表示されます。電話機が起動プロセスを実行しない場合、ケーブル不良、不正な接続、ネットワークの停止、電力の不足などの原因が考えられます。または、電話機が動作していない可能性もあります。
電話機が動作しているかどうかを確認するには、次の手順で、考えられるその他の問題を体系的に排除します。
1. ネットワーク ポートが動作していることを確認します。
–イーサネット ケーブルを、動作することがわかっているケーブルと交換します。
–動作している Cisco Unified IP Phone を別のポートから取り外してこのネットワーク ポートに接続し、このポートがアクティブであることを確認します。
–起動しない Cisco Unified IP Phone を、正常であることがわかっている別のネットワーク ポートに接続します。
–起動しない Cisco Unified IP Phone をスイッチのポートに直接接続して、オフィスのパッチ パネル接続を省きます。
2. 電話機に電力が供給されていることを確認します。
–外部電源を使用している場合は、電気のコンセントが機能していることを確認します。
–インラインパワーを使用している場合は、代わりに外部電源を使用します。
–外部電源を使用している場合は、動作することがわかっているユニットに切り替えます。
–電話機が IEEE 802.3af Class 3(スイッチ ポートで 15.4 W のインラインパワー)をサポートするスイッチに接続されていることを確認します。詳細については、「電話機への電力供給」を参照してください。
3. これらを実行しても電話機が正常に起動しない場合は、ハンドセットをオフフックにして電話機の電源を入れます。この方法で電話機に電源を投入すると、電話機はバックアップ ソフトウェア イメージを起動しようとします。
4. これらを試しても、電話機が正常に起動しない場合は、電話機を工場出荷時の状態にリセットします。手順については、「工場出荷時の状態へのリセット」を参照してください。
これらの解決策を試みた後、5 分経過しても Cisco Unified IP Phone の LCD スクリーンに何も表示されない場合は、シスコのテクニカルサポートの担当者に連絡して、サポートを受けてください。
エラー メッセージの識別
電話機が起動プロセスを繰り返している場合は、問題の原因に関する情報を提供するステータス メッセージにアクセスできます。ステータス メッセージにアクセスする手順、および考えられるエラー、その説明、解決策の一覧については、「ステータス メッセージ画面」を参照してください。
ネットワーク接続の確認
電話機と、TFTP サーバまたは Cisco Unified Communications Manager との間のネットワークがダウンしていると、電話機は正常に起動できません。現在、ネットワークが稼働していることを確認してください。
TFTP サーバの設定の確認
電話機が使用している TFTP サーバの IP アドレスを確認するには、電話機の 設定 ボタンを押し、 [ネットワークの設定] を選択して、 [TFTPサーバ 1] オプションまでスクロールします。
電話機にスタティック IP アドレスを割り当てている場合は、手動で[TFTPサーバ 1]オプションに設定値を入力する必要があります。「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、電話機は TFTP サーバのアドレスを DHCP サーバから取得します。オプション 150 に設定されている IP アドレスを確認します。
また、電話機が代替 TFTP サーバを使用できるように設定することもできます。このような設定は、電話機の場所を最近移動した場合などに特に役立ちます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
IP アドレッシングおよびルーティングの確認
電話機の IP アドレッシングおよびルーティングの設定を確認する必要があります。DHCP を使用している場合は、DHCP サーバがこれらの値を提供します。電話機にスタティック IP アドレスを割り当てている場合は、これらの値を手動で入力する必要があります。
Cisco Unified IP Phone で、 設定 ボタンを押し、 [ネットワークの設定] を選択して、次のオプションを確認してください。
• DHCPサーバ:電話機にスタティック IP アドレスを割り当てている場合は、[DHCPサーバ]オプションに値を入力する必要はありません。ただし、DHCP サーバを使用している場合は、このオプションに値が指定されている必要があります。値が指定されていない場合は、IP ルーティングおよび VLAN の設定を確認してください。『 Troubleshooting Switch Port Problems 』を参照してください。このマニュアルは、次の URL から入手できます。
http://www.cisco.com/warp/customer/473/53.shtml
• IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトルータ:電話機にスタティック IP アドレスを割り当てている場合は、これらのオプションの設定値を手動で入力する必要があります。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、DHCP サーバによって配布された IP アドレスを確認してください。『 Understanding and Troubleshooting DHCP in Catalyst Switch or Enterprise Networks 』を参照してください。このマニュアルは、次の URL から入手できます。
http://www.cisco.com/warp/customer/473/100.html#41
DNS 設定の確認
TFTP サーバまたは Cisco Unified Communications Manager を参照するために DNS を使用している場合は、DNS サーバが指定されていることを確認してください。この設定を確認するには、電話機の 設定 ボタンを押し、 [ネットワークの設定] を選択して、 [DNSサーバ 1] オプションまでスクロールします。また、DNS サーバに、TFTP サーバと Cisco Unified Communications Manager システムの CNAME エントリが存在することを確認する必要もあります。
また、DNS が逆ルックアップを実行するように設定されていることも確認する必要があります。
Cisco Unified Communications Manager の設定の確認
Cisco Unified IP Phone で、 設定 ボタンを押し、 [デバイス設定] を選択して、 [Unified CMの設定] オプションを確認してください。Cisco Unified IP Phone は、割り当てられている Cisco Unified
Communications Manager グループに属するすべての Cisco Unified Communications Manager サーバに対して TCP 接続を開こうとします。これらのオプションのいずれにも、IP アドレスが指定されていないか、[アクティブ]または[スタンバイ]と表示されていない場合は、電話機は Cisco Unified Communications Manager に正常に登録されていません。この問題を解決するヒントについては、「Cisco Unified Communications Manager への電話機の登録」を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager および TFTP サービスが稼働していない
Cisco Unified Communications Manager または TFTP サービスが稼働していない場合は、電話機が正常に起動できないことがあります。ただし、このような状況では、システム全体の障害が発生しており、他の電話機やデバイスも正常に起動できなくなっている可能性があります。
Cisco Unified Communications Manager サービスが稼働していない場合は、コールを確立するためにこのサービスに依存しているネットワーク上のすべてのデバイスが影響を受けます。TFTP サービスが稼働していないと、多数のデバイスが正常に起動できません。
サービスを開始するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、[ナビゲーション]ドロップダウン リストから [Cisco Unifiedサービスアビリティ] を選択し、 [移動] をクリックします。
ステップ 2 [Tools]>[Control Center - Feature Services] を選択します。
ステップ 3 [Server]ドロップダウン リストからプライマリ Cisco Unified Communications Manager サーバを選択します。
ウィンドウに、選択したサーバのサービス名、サービスのステータス、およびサービスを開始または停止するためのサービス コントロール パネルが表示されます。
ステップ 4 サービスが停止している場合は、そのサービスのオプション ボタンをクリックし、 [Start] ボタンをクリックします。
[Service Status]記号が四角形から矢印に変わります。
(注) サービスを開始または停止するには、事前にサービスをアクティブにする必要があります。サービスをアクティブにするには、[Tools]>[Service Activation]を選択します。
設定ファイルの新規作成
この章に記載された他の解決策を試みても解決しない問題が特定の電話機で存続する場合は、設定ファイルが破損している可能性があります。
新しい設定ファイルを作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、 [デバイス]>[電話]>[検索] を選択して、問題が発生している電話機を特定します。
ステップ 2 [削除] を選択して、電話機を Cisco Unified Communications Manager データベースから削除します。
ステップ 3 電話機を Cisco Unified Communications Manager データベースに追加し直します。詳細については、「Cisco Unified Communications Manager データベースへの電話機の追加」を参照してください。
ステップ 4 電話機の電源投入サイクルを実行します。
(注) • Cisco Unified Communications Manager データベースから電話機を削除すると、その設定ファイルが Cisco Unified Communications Manager TFTP サーバから削除されます。電話機の電話番号は、Cisco Unified Communications Manager データベースに残ります。これらは、「未定義の DN」と呼ばれ、他のデバイスで使用できます。未定義の DN を他のデバイスで使用しない場合は、それらを Cisco Unified Communications Manager データベースから削除します。ルート プラン レポートを使用すると、未定義の DN を表示および削除できます。詳細については、『Cisco Unified Communications Manager アドミニストレーション ガイド』を参照してください。
• 電話ボタン テンプレートのボタンを変更したり、異なる電話ボタン テンプレートを電話機に割り当てたりすると、電話機から電話番号にアクセスできなくなることがあります。Cisco
Unified Communications Manager データベースでは、引き続き電話番号が電話機に割り当てられていますが、コールに応答するためのボタンが電話機にないためです。これらの電話番号は、電話機から消去し、必要に応じて削除してください。
Cisco Unified Communications Manager への電話機の登録
Cisco Unified IP Phone は、電話機がサーバに追加されている場合、または自動登録が有効になっている場合にのみ、Cisco Unified Communications Manager サーバに登録できます。電話機が Cisco Unified Communications Manager データベースに追加されているかどうかを確認するには、「Cisco Unified Communications Manager データベースへの電話機の追加」の説明と手順を参照してください。
電話機が Cisco Unified Communications Manager データベースに登録されていることを確認するには、Cisco Unified Communications Manager の管理ページで [デバイス]>[電話]>[検索] を選択して、MAC アドレスに基づいて電話機を検索します。MAC アドレスを特定する方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
電話機がすでに Cisco Unified Communications Manager データベースに登録されている場合は、その設定ファイルが損傷している可能性があります。サポートについては、「設定ファイルの新規作成」を参照してください。
症状:Cisco Unified IP Phone が IP アドレスを取得できない
電話機が起動時に IP アドレスを取得できない場合は、電話機が DHCP サーバと同じネットワークまたは VLAN 上にないか、または電話機が接続されているスイッチ ポートが無効になっている可能性があります。
電話機が接続されているネットワークまたは VLAN が DHCP サーバにアクセスできることを確認し、スイッチ ポートが有効になっていることを確認してください。
Cisco Unified IP Phone の突然のリセット
電話機が通話中やデスク上でアイドル状態のときにリセットされるという報告をユーザから受けた場合は、原因を調査する必要があります。ネットワーク接続と Cisco Unified Communications Manager の接続が安定している場合は、Cisco Unified IP Phone が単独でリセットされることはありません。
通常は、イーサネット ネットワークまたは Cisco Unified Communications Manager への接続に問題がある場合に電話機がリセットされます。次の項は、ネットワーク内で電話機がリセットされる原因を特定する上で役立ちます。
• 「物理的な接続の確認」
• 「断続的なネットワークの停止の特定」
• 「DHCP 設定の確認」
• 「スタティック IP アドレスの設定の確認」
• 「ボイス VLAN の設定の確認」
• 「電話機が意図的にリセットされていないことの確認」
• 「DNS エラーまたは他の接続エラーの排除」
• 「電源の接続の確認」
物理的な接続の確認
Cisco Unified IP Phone が接続されているイーサネット接続が稼働していることを確認します。たとえば、電話機が接続されている特定のポートまたはスイッチがダウンしていないかどうか、さらに、スイッチがリブート中でないかどうかを確認します。また、ケーブルが切断されていないかどうかも確認します。
断続的なネットワークの停止の特定
断続的なネットワークの停止は、データ トラフィックと音声トラフィックにそれぞれ異なる影響を与えます。ネットワークは、検出されないまま断続的に停止していることがあります。この場合、データ トラフィックでは喪失パケットを再送信し、パケットが受信および送信されたことを確認できます。ただし、音声トラフィックでは、喪失パケットを取り戻すことはできません。電話機は、失われたネットワーク接続を再送信するのではなく、リセットしてネットワークへの再接続を試みます。
音声ネットワークで問題が発生している場合は、既存の問題が単に表面化しただけであるかどうかを調べる必要があります。
DHCP 設定の確認
電話機が DHCP を使用するように正しく設定されているかどうかを判別するには、次の手順を実行します。
1. 電話機が DHCP を使用するように正しく設定されていることを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
2. DHCP サーバが正しく設定されていることを確認します。
3. DHCP リース期間を確認します。シスコでは、この値を 8 日に設定することを推奨しています。
スタティック IP アドレスの設定の確認
電話機にスタティック IP アドレスが割り当てられている場合は、正しい設定値が入力されていることを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
ボイス VLAN の設定の確認
ネットワークの使用量が多いときに Cisco Unified IP Phone がリセットされるように見受けられる場合は(たとえば、電話機と同じスイッチに接続されているコンピュータで過度に Web サーフィンをしている場合など)、ボイス VLAN が設定されていない可能性があります。
電話機を個別の補助 VLAN に分離することで、音声トラフィックの品質が向上します。詳細については、「Cisco Unified IP Phone が VLAN と連携する方法について」を参照してください。
電話機が意図的にリセットされていないことの確認
Cisco Unified Communications Manager へのアクセス権を持つ管理者が 1 人だけではない場合は、他の管理者が意図的に電話機をリセットしていないかどうかを確認する必要があります。
Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified Communications Manager からリセット コマンドを受信していないかどうかを確認するには、電話機の 設定 ボタンを押し、 [ステータス]>[ネットワーク統計] を選択します。最近、電話機がリセットされた場合は、次のいずれかのメッセージが表示されます。
• Reset-Reset:電話機は、Cisco Unified Communications Manager の管理機能からリセット/リセットを受信したために切断されました。
• Reset-Restart:電話機は、Cisco Unified Communications Manager の管理機能からリセット/リスタートを受信したために切断されました。
DNS エラーまたは他の接続エラーの排除
まだ電話機がリセットを繰り返す場合は、次の手順で、DNS エラーまたは他の接続エラーを排除します。
手順
ステップ 1 [削除] ソフトキーを使用して、電話機の設定をデフォルト値にリセットします。詳細については、「Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元」を参照してください。
ステップ 2 次の操作を実行して、DHCP および IP の設定を変更します。
a. DHCP を無効にします。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
b. 電話機にスタティック IP 値を割り当てます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone で使用しているものと同じデフォルト ルータの設定を使用します。
c. TFTP サーバを割り当てます。手順については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone で使用しているものと同じ TFTP サーバの設定を使用します。
ステップ 3 Cisco Unified Communications Manager サーバで、正しい IP アドレスにマッピングされている正しい Cisco Unified Communications Manager サーバ名がローカル ホスト ファイルに指定されていることを確認します。
ステップ 4 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、 [システム]>[サーバ] を選択し、サーバが DNS 名ではなく IP アドレスで参照されていることを確認します。
ステップ 5 Cisco Unified Communications Manager の管理ページで、 [デバイス]>[電話] を選択し、この Cisco Unified IP Phone に正しい MAC アドレスが割り当てられていることを確認します。MAC アドレスを特定する方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。
ステップ 6 電話機の電源投入サイクルを実行します。
電源の接続の確認
外部電源から電話機に電力が供給されていたが、外部電源との接続が失われ、PoE に切り替わった場合に、電話機が再起動することがよくあります。同様に、PoE を使用して電力が供給されている電話機が外部電源に接続された場合にも、電話機が再起動することがあります。
Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元
Cisco Unified IP Phone をリセットまたは復元するには、次の 2 通りの方法があります。
• 「基本的なリセットの実行」
• 「工場出荷時の状態へのリセット」
基本的なリセットの実行
Cisco Unified IP Phone の基本的なリセットを実行すると、電話機にエラーが発生している状態から復旧したり、各種の設定およびセキュリティ設定をリセットまたは復元したりすることができます。
表9-4 に、基本的なリセットを実行する方法を示します。電話機が起動した後に、これらのいずれかの操作でいつでも電話機をリセットできます。状況に適した操作を選択してください。
表9-4 基本的なリセットの方法
|
|
|
電話機の再起動 |
メイン画面で、 設定 を押して[設定]メニューを表示し、**#** を押します。
(注) この基本的なリセット シーケンスは、ユーザ入力を受け入れない画面であれば、どの画面からでも実行できます。
|
ユーザ設定およびネットワーク設定に変更を加えていても、電話機がフラッシュ メモリに書き込んでいない場合は、以前に保存された設定にリセットされ、その後、電話機が再起動されます。 |
[削除] ソフトキー |
[設定]メニューから電話機のオプションをロック解除します(詳細については、「オプションのロック解除とロック」を参照)。次に、 [削除] ソフトキーを押します。 |
ユーザ設定およびネットワーク設定をデフォルト値にリセットし、電話機から CTL ファイルを削除して、電話機を再起動します。 |
[ネットワークの設定]メニューから、電話機のオプションをロック解除します(詳細については、「オプションのロック解除とロック」を参照)。次に、 [削除] ソフトキーを押します。 |
ネットワーク設定をデフォルト値にリセットし、電話機をリセットします(この方法を実行すると、DHCP が電話機の IP アドレスを再設定します)。 |
[セキュリティ設定]メニューから、電話機のオプションをロック解除します(詳細については、「オプションのロック解除とロック」を参照)。次に、 [削除] ソフトキーを押します。 |
電話機から CTL ファイルが削除され、電話機が再起動します。 |
工場出荷時の状態へのリセット
Cisco Unified IP Phone を工場出荷時の状態にリセットすると、次の情報が消去されたり、デフォルト値にリセットされたりします。
• CTL ファイル:消去される。
• LSC:消去される。
• ユーザ設定:デフォルト値にリセットされる。
• ネットワーク設定:デフォルト値にリセットされる。
• コール履歴:消去される。
• ロケール情報:デフォルト値にリセットされる。
• 電話機のアプリケーション:削除される(電話機は、term75.default.loads ファイルをロードすると復旧します)。
工場出荷時の状態にリセットする前に、次の条件を満たしていることを確認します。
• 電話機が DHCP 対応のネットワーク上にある。
• 有効な TFTP サーバが DHCP サーバの DHCP オプション 150 またはオプション 66 に設定されている。
• term75.default.loads ファイルおよびそのファイル内で指定されたファイルが、DHCP パケットによって指定された TFTP サーバで使用可能である。
電話機を工場出荷時の状態にリセットするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 電話機の電源コードを抜き、もう一度差し込みます。
電話機は、電源投入サイクルを開始します。
ステップ 2 電話機に電源を投入中で、スピーカ ボタンが点滅する前に、 # を押し続けます。
各回線ボタンが順番にオレンジ色に点滅するまで # を押し続けます。
ステップ 3 # を離し、 123456789*0# と押します。
キーを連続して 2 回押してもかまいませんが、キーの順番を間違えると、工場出荷時の状態にはリセットされません。
これらのキーを押すと、電話機の回線ボタンが赤色に点滅し、電話機を工場出荷時の状態にリセットするプロセスが実行されます。このプロセスには数分かかることもあります。
工場出荷時の状態にリセットするプロセスが完了して、メイン画面が表示されるまで、電話機の電源を切らないでください。
コールの音声品質のモニタリング
ネットワーク内で送受信されるコールの音声品質を測定するために、Cisco Unified IP Phone では、次の秘匿イベントに基づいた統計メトリックを使用します。DSP は、音声パケット ストリーム内でフレーム損失の部分をマスクするために、秘匿フレームを処理します。
• 秘匿率のメトリック:音声フレームの総数に対する秘匿フレームの比率を示します。間隔秘匿率は、3 秒ごとに計算されます。
• 秘匿された秒数のメトリック:損失フレームが原因で DSP が秘匿フレームを処理する場合の処理秒数を示します。厳密な「秘匿された秒数」は、DSP が 5 % を超える秘匿フレームを処理する場合の秒数です。
• MOS-LQK のメトリック:数値のスコアを使用して、相対的な音声の Listening Quality(LQK; リスニング品質)を推定します。Cisco Unified IP Phone は、先行する 8 秒間でフレーム損失が原因で発生した音声秘匿イベントに基づいて、LQK ベースの Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点)を算出します。また、この計算にはコーデック タイプやフレーム サイズなどの知覚的な重み係数も含まれます。
MOS LQK スコアは、シスコ独自の Cisco Voice Transmission Quality(CVTQ)アルゴリズムの指標によって生成されます。MOS LQK バージョン番号によっては、このスコアは International Telecommunications Union(ITU; 国際電気通信連合)標準 P.564 に準拠している場合があります。この標準は、実際のネットワーク障害の観測結果に基づいて LQK スコアを予測するための評価方法とパフォーマンス精度目標を定義しています。
(注) 秘匿率と秘匿秒数は、フレーム損失に基づいた主要な測定値です。一方、MOS LQK スコアは、LQK を 5(優良)から 1(不良)で評価し、「人間の判断」によって同じ情報を測定した値です。
MOS LQK は、受信した音声信号の明瞭さや音質に関係します。通話の品質スコア(G.107 などの MOS CQ)には、会話の自然な流れを妨げる遅延などの障害要因が含まれます。
音声品質メトリックには、Cisco Unified IP Phone から[コールの統計]画面を使用してアクセスできます(「コールの統計画面」を参照)。また、[ストリームの統計]を使用してリモートでアクセスすることもできます( 「Cisco Unified IP Phone のリモート モニタ」 の章を参照)。
音声品質メトリックの使用
音声品質をモニタするためのメトリックを使用するには、パケット損失がない正常な状態での通常のスコアを記録しておき、比較のためのベースラインとしてメトリックを使用します。
メトリックをランダムに変更し、大幅な変化が生じるかどうかを見分けることが重要です。大幅な変化とは、30 秒以上継続したコールで、0.2 MOS 以上の変化があった場合を指しています。秘匿率の変化とは、3 % を超えるフレーム損失を示します。
MOS LQK スコアは、Cisco Unified IP Phone が使用するコーデックによって異なります。以下のコーデックは、フレーム損失がない正常な状態で、次に示す最大 MOS LQK スコアを提供します。
• G.711 は 4.5
• G0.722 は 4.5
• G.728/iLBC は 3.9
• G.729 A /AB は 3.8
(注) • ITU ではワイドバンドに対する技術拡張が定義されていないため、CVTQ はワイドバンド(7 kHz)の音声コーデックをサポートしません。したがって、基本的な品質モニタリングを許可する G.722 コールについては、MOS スコアを報告しないということではなく、G.711 パフォーマンスに対応する MOS スコアが報告されます。
• CVTQ を使用してワイドバンド コールに関する G.711 スケール MOS スコアを報告することにより、基本的な品質分類を適正/通常または不良/異常として示すことができます。高いスコア(約 4.5)のコールは高品質/低パケット損失を示し、低いスコア(約 3.5)は低品質/高パケット損失を示します。
• MOS とは異なり、秘匿率および秘匿された秒数のメトリックは有効なままであり、ワイドバンド コールおよびナローバンド コールの両方に使用できます。
秘匿率がゼロの場合は、IP ネットワークが損失なく時間どおりにフレームやパケットを配信していることを示しています。
トラブルシューティングのヒント
メトリックに大幅な変化が継続的に見られた場合は、 表9-5 の一般的なトラブルシューティング情報を使用してください。
表9-5 音声品質メトリックの変化
|
|
MOS LQK スコアが大幅に減少した |
パケット損失または高いジッタによるネットワーク障害。 • 平均 MOS LQK の減少は、広範にわたる一様な障害を示している場合があります。 • 個々の MOS LQK の減少は、突発的な障害を示します。 秘匿率と秘匿秒数を照合して、パケット損失やジッタの兆候を検出してください。 |
MOS LQK スコアが大幅に減少した |
• 電話機が、想定したコーデック(RxType および TxType)とは異なるコーデックを使用していないかどうかを確認します。 • ファームウェアのアップグレード後に、MOS LQK のバージョンが変更されていないかどうかを確認します。 |
秘匿率と秘匿秒数が大幅に増加した |
• パケット損失または高いジッタによるネットワーク障害。 |
秘匿率はほとんどゼロであるが、音声品質が悪い |
• 音声チャネルのノイズや歪み(エコー レベルやオーディオ レベルなど)。 • 複数のエンコード/デコードが使用されているタンデム コール(携帯電話ネットワークやテレホン カード ネットワークへのコールなど)。 • スピーカフォン、ハンドフリー携帯電話、またはワイヤレス ヘッドセットなどから発生する音響問題。 送信パケット(TxCnt)と受信パケット(RxCnt)のカウンタをチェックし、音声パケットが流れていることを確認します。 |
(注) 音声品質メトリックでは、ノイズや歪みなどは考慮されません。フレーム損失だけが考慮されます。