Cisco Wireless Mesh Networking
本書では、Cisco Unified Wireless Network ソリューションのコンポーネントである Cisco Wireless Mesh Networking ソリューションを使用したセキュアな企業、キャンパス、メトロポリタンの Wi-Fi ネットワークの設計および展開のガイドラインについて説明しています。
(注) 構成や導入など、Cisco Wireless Mesh Networking の詳細については、『Cisco Mesh Access Points, Design and Deployment Guide Release 7.3』を参照してください。URL は次のとおりです。http://www.cisco.com/en/US/docs/wireless/technology/mesh/7.3/design/guide/Mesh.html
メッシュ型ネットワーキングでは、Cisco ワイヤレス LAN コントローラ(WLC)との併用で Cisco Aironet 1500 シリーズ屋外メッシュ アクセス ポイント(AP)と屋内メッシュ AP(Cisco Aironet 1040、1130、1140、1240、1250、1260、2600、3500e、3500i、3600e および 3600i シリーズ AP)、および Cisco Prime Infrastructure を採用することで、屋内と屋外の展開の間にスケーラブルな一元管理とモビリティを実現しています。Control and Provisioning of Wireless Access Points(CAPWAP)プロトコルは、ネットワークへのメッシュ AP の接続を管理します。
メッシュ ネットワーク内のエンドツーエンドのセキュリティは、ワイヤレス メッシュ AP と Wi-Fi Protected Access 2(WPA2)クライアントの間で高度な暗号化標準(AES)の暗号化を採用することでサポートされています。本書では、屋外ネットワークの設計時に考慮しなければならない無線周波数(RF)コンポーネントの概略についても説明しています。
このマニュアルで説明する機能は、次の製品に該当します。
• Cisco Aironet 1550(1552)シリーズの屋外 802.11n AP
• Cisco Aironet 1520(1522、1524)シリーズの屋外メッシュ AP
• Cisco Aironet 1040、1130、1140、1240、1250、1260、1260、2600、3500e、3500i、3600e、3600i シリーズの屋内メッシュ AP
• Cisco ワイヤレス LAN コントローラのメッシュ機能
• Cisco Prime Infrastructure のメッシュ機能
(注) Cisco Aironet 1505 および 1510 のメッシュ AP は、生産終了のためサポートされていません。
アクセス ポイントのロール
メッシュ ネットワーク内のアクセス ポイント(AP)は、次の 2 つの方法のいずれかで動作します。
• ルート AP(RAP)
• メッシュ AP(MAP)
MAP はコントローラに無線で接続し、RAP はコントローラに有線で接続します。MAP は MAP 間および RAP への通信に 802.11a/n 無線バックホールを使用して無線接続を行います。MAP では Cisco Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)を使用して、他のメッシュ AP を介したコントローラへの最適なパスを決定します。
(注) すべての AP はメッシュ AP として設定され、出荷されています。Root AP として AP を使用するには、ルート AP にメッシュ AP を再設定します。すべてのメッシュ ネットワークで、少なくとも 1 つのルート AP があることを確認します。
この図 8-1 は、メッシュ ネットワーク内の MAP と RAP の間にある関係を示しています。
図 8-1 単純なメッシュ ネットワーク階層
ネットワーク アクセス
ワイヤレス メッシュ ネットワークでは、異なる 2 つのトラフィック タイプを同時に伝送できます。伝送できるトラフィック タイプは次のとおりです。
• 無線 LAN クライアント トラフィック
• MAP イーサネット ポート トラフィック
無線 LAN クライアント トラフィックはコントローラで終端し、イーサネット トラフィックはメッシュ AP のイーサネット ポートで終端します。
メッシュ AP による無線 LAN メッシュへのアクセスは次の認証方式で管理されます。
• MAC 認証:メッシュ AP が参照可能データベースに追加され、特定のコントローラおよびメッシュ ネットワークに確実にアクセスできるようにします。
• 外部 RADIUS 認証:メッシュ AP は、Identity Services Engine(ISE)または証明書付きの拡張認証プロトコル(EAP-FAST)のクライアント認証タイプをサポートする Cisco ACS(4.1 以上)などの RADIUS サーバを使用して、外部から認証できます。
ネットワークのセグメント化
メッシュ AP 用のワイヤレス LAN メッシュ ネットワークへのメンバーシップは、ブリッジ グループ名(BGN)によって制御されます。メッシュ AP は、類似のブリッジ グループに配置して、メンバーシップを管理したり、ネットワーク セグメンテーションを提供したりすることができます。
Cisco 屋内メッシュ アクセス ポイント
屋内メッシュは次の AP から入手できます。このリストでは、AP の各グループでサポートされる 802.11 プロトコルを示します。
• 802.11a/b/g
– 1130
– 1240
• 802.11n
– 1040
– 1140
– 1250
– 1260
• 802.11n+CleanAir
– 2600
– 3500e
– 3500i
– 3600
(注) AP のコントローラ ソフトウェアのサポートの詳細については、『Cisco Wireless Solutions Software Compatibility Matrix』を参照してください。URL は次のとおりです。http://www.cisco.com/en/US/docs/wireless/controller/5500/tech_notes/Wireless_Software_Compatibility_Matrix.html
エンタープライズ 11n メッシュは、802.11n アクセス ポイントで動作するように Cisco Unified Wireless Network 機能に追加された機能拡張です。エンタープライズ 11n メッシュ機能は 802.11n 以外のメッシュと互換性がありますが、バックホールとクライアントのアクセス速度が向上します。802.11n 屋内 AP は、特定の屋内展開用のデュアル無線 Wi-Fi インフラストラクチャ デバイスです。一方の無線を AP のローカル(クライアント)アクセスに使用でき、もう一方の無線をワイヤレス バックホールに対して設定できます。バックホールは、5 GHz 無線でのみサポートされます。エンタープライズ 11n メッシュは、P2P、P2MP、およびアーキテクチャのメッシュ タイプをサポートします。
屋内 AP をブリッジ モードに直接指定してオーダーすれば、これらの AP をメッシュ AP として直接使用することもできます。これらの AP がローカル モード(非メッシュ)である場合は、これらの AP をコントローラに接続し、AP モードをブリッジ モード(メッシュ)に変更する必要があります。特に、展開される AP の量が大きく、AP が従来の非メッシュ ワイヤレス カバレッジに対してローカル モードですでに展開されていると、このシナリオは煩雑になります。
Cisco 屋内メッシュ AP では、次の 2 つの無線が同時に動作します。
• クライアント アクセスに使用される 2.4 GHz の無線
• データ バックホールに使用される 5 GHz の無線
Cisco 屋外メッシュ アクセス ポイント
シスコ屋外メッシュ AP は Cisco Aironet 1500 シリーズの AP で構成されます。1500 シリーズには、1552 11n 屋外メッシュ AP、1522 デュアル ワイヤレス メッシュ AP、および 1524 多重ワイヤレス メッシュ AP が含まれます。1524 には、Public Safety と 1524PS という 2 つのモデルがあります。
(注) 6.0 リリースでは、AP1524SB AP は、A、C、および N のドメインで使用されていました。7.0 リリースでは、AP1524SB アクセス ポイントは -E、-M、-K、-S、-T ドメインでも使用できるようになりました。
Cisco 1500 シリーズ メッシュ AP は、ワイヤレス メッシュ展開の中核的なコンポーネントです。AP1500 は、コントローラ(GUI および CLI)と Cisco Prime Infrastructure の両方により設定されます。屋外メッシュ AP(MAP および RAP)間の通信は、802.11a/n 無線バックホールを介します。一般的に、クライアント トラフィックは、802.11b/g/n 無線(802.11a/n がクライアント トラフィックを受け入れるよう設定することもできます)を介して伝送され、Public Safety トラフィック(AP1524PS のみ)は 4.9 GHz 無線を介して伝送されます。
メッシュ AP は、有線ネットワークに直接接続されていない他の AP の中継ノードとしても動作します。インテリジェントな無線ルーティングは Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)によって提供されます。この Cisco プロトコルを使用すると、各メッシュ AP は、ネイバーを識別し、信号の強度とコントローラへのアクセスに必要なホップ数を考慮して各パスのコストを計算することにより、有線ネットワークまでの最適なパスをインテリジェントに選択できます。
AP1500 には、ケーブルモデムありおよびケーブルモデムなしの 2 つの構成モデルがあります。
• ケーブルモデム構成は、ケーブルより線に取り付け可能であり、Power-Over-Cable(POC)をサポートします。
• ケーブルモデムなしの構成は、複数のアンテナをサポートします。この構成は、柱や建物壁面に取り付け可能で、電源関連のオプションをいくつか用意しています。
アップリンク サポートには、ギガビット イーサネット(1000BASE-T)と、ファイバまたはケーブル モデム インターフェイスに接続できる小型フォーム ファクタ(SFP)スロットが含まれます。1000BASE-BX までのシングルモード SFP とマルチモード SFP の両方がサポートされます。メッシュ AP のタイプに基づき、ケーブル モデムは DOCSIS 2.0 または DOCSIS/EuroDOCSIS 3.0 になります。
AP1500 は、危険な場所用ハードウェア格納ラックに設置できます。危険場所対応の AP1500 は、Class I、Division 2、Zone 2 の危険場所での安全基準を満たしています。
次のモードでは、1520 および 1550 シリーズ AP は非メッシュ モードで動作できます。
• ローカル モード:このモードでは、AP は割り当てられたチャネル上のクライアントを処理できます。180 秒周期で帯域上のすべてのチャネルをモニタ中にも処理が可能です。この間に、AP は 50 ミリ秒周期で各チャネルをリッスンし、不正なクライアントのビーコン、ノイズ フロアの測定値、干渉および IDS イベントを検出します。また AP は、チャネル上の CleanAir 干渉もスキャンします。
• FlexConnect モード:FlexConnect は、ブランチ オフィスとリモート オフィスに導入されるワイヤレス ソリューションです。FlexConnect モードを使用すると、各オフィスにコントローラを展開しなくても、会社のオフィスから WAN リンクを介して支社や離れた場所にあるオフィスの AP を設定および制御できます。コントローラとの接続が失われたときは、FlexConnect AP でクライアント データ トラフィックをローカルでスイッチして、クライアント認証をローカルで実行することができます。コントローラに接続されている場合、FlexConnect モードではコントローラにトラフィックをトンネリングで戻すこともできます。
• モニタ モード:このモードでは、AP 無線は受信状態にあります。AP は、12 秒ごとにすべてのチャネルをスキャンし、不正なクライアントのビーコン、ノイズ フロアの測定値、干渉、IDS イベントおよび CleanAir 侵入者を検出します。
• Rogue Detector モード:このモードでは、AP 無線がオフになり、AP は有線トラフィックのみをリッスンします。コントローラは Rogue Detector として設定されている AP と、疑わしい不正クライアントおよび AP の MAC アドレスのリストを渡します。Rogue Detector は ARP パケットを監視します。Rogue Detector はトランク リンクを介して、すべてのブロードキャスト ドメインに接続できます。
• スニファ モード:AP はチャネル上のすべてのパケットをキャプチャし、Wireshark などのパケット アナライザ ソフトウェアを使用してパケットを復号するリモート デバイスに転送します。
Cisco Aironet 1552 メッシュ アクセス ポイント
Cisco Aironet 1550 シリーズの屋外メッシュ AP は、メッシュ ネットワークで使用する目的で設計されたモジュール方式の無線屋外 802.11n アクセス ポイントです。この AP は、ポイントツーマルチポイント メッシュの無線接続およびワイヤレス クライアント アクセスを同時にサポートします。またこの AP は、有線ネットワークに直接接続されていない他の AP の中継ノードとしても動作します。インテリジェントな無線ルーティングは Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)によって提供されます。これにより、AP はネイバー AP を識別し、パスごとに信号の強度とコントローラへのアクセスに必要なホップ カウントについてコストを計算して、有線ネットワークまでの最適なパスをインテリジェントに選択できるようになります。
1550 シリーズの AP は、802.11n テクノロジーと統合無線および内部/外部アンテナを利用しています。1552 屋外プラットフォームは、Multiple Input Multiple Output(MIMO)WLAN 無線で構成されます。2 つの空間ストリームおよびビーム形成を備えた 2x3 MIMO を採用し、統合スペクトル インテリジェンス(CleanAir)を備えています。
CleanAir は、無線周波数(RF)干渉を検出、位置を特定、分類、緩和すると同時に 11n のフル データ レートを提供して、最適なクライアント エクスペリエンスを実現します。屋外 11n プラットフォームの CleanAir テクノロジーは、2.4 GHz 無線の Wi-Fi および非 Wi-Fi 干渉を緩和します。
1550 シリーズの AP には、2.4 GHz および 5 GHz MIMO 無線という 2 つの無線があります。2.4 GHz 無線は主にローカル アクセスに使用し、5 GHz 無線はローカル アクセスおよびメッシュ モードでのワイヤレス バックホールの両方に使用します。
(注) 2.4 GHz 無線は 1552 AP のバックホールには使用できません。
2.4 GHz b/g/n 無線には次の特長があります。
• 2.4 GHz ISM 帯域で動作します。
• 米国ではチャネル 1 ~ 11、欧州では 1 ~ 13、日本では 1 ~ 13 をサポートします。
• 802.11b/g/n 動作用に 2 つのトランスミッタがあります。
• 5 つの電力レベルで出力電力を設定できます。
• 無線には、最大比合成(MRC)を可能にするレシーバが 3 つあります。
5 GHz a/n 無線には次の特長があります。
• UNII-2 帯域(5.25 ~ 5.35 GHz)、UNII-2 拡張/ETSI 帯域(5.47 ~ 5.725 GHz)、および高い方の ISM 帯域(5.725 ~ 5.850 GHz)で動作します。
• 802.11a 動作用に 2 つのトランスミッタがあります。
• 規制ドメインに応じて電力設定を変更できます。3 dB 刻みで、出力電力を 5 つの電力レベルで設定できます。
• 無線には、最大比合成(MRC)を可能にするレシーバが 3 つあります。
1550 シリーズの AP には次の特長があります。
• 1520 シリーズのモジュール方式をサポートし、無線を柔軟に設定できます。
• 1520 シリーズ AP と完全な相互運用性があります。
• レガシー クライアントとも相互運用性があり、バックホールのパフォーマンスを向上させます。
• AP がローカル モードで設定されている場合は、マルチキャスト VideoStream と HotSpot 2.0 がサポートされます。
• AP1552 は、高品質な VoWLAN コールに対応可能な QoS です。
• 接続されたクライアントに 2.4 GHz から 5 GHz へ移動するように通知する帯域選択がサポートされています。
• AP1552 では、DTLS のサポートにより、ブリッジ モードを除くすべてのサポート対象 AP モードのデータを暗号化できます。
• 5 GHz の無線上で CleanAir をイネーブルにするには、コントローラの GUI で [Wireless] > [Radios] > [802.11a] > [Configure] と移動します。
Cisco Aironet 1522 メッシュ アクセス ポイント
AP1522 メッシュ AP(製品番号:AIR-LAP1522AG-X-K9、AIR-LAP1522HZ-X-K9、AIR-LAP1522PC-X-K9 2)に、2.4 GHz および 4.9~5.8 GHz の 2 つの無線が含まれています。2.4 GHz(802.11b/g)の無線はクライアント アクセスに使用し、5 GHz(802.11a)の無線はバックホールとして使用します。7.0.116.0 リリース以降のリリースでは、バックホールに 2.4 GHz を使用できます。この機能は AP1522 にのみ該当します。
5 GHz 無線は、4.9 ~ 5.8 GHz の周波数帯域をカバーする 802.11a 無線で、バックホールとして使用されます。ユニバーサル クライアント アクセス機能がイネーブルになっている場合は、クライアント アクセスにも使用できます。
Cisco 1524SB メッシュ アクセス ポイント
AP1524SB メッシュ AP(製品番号: AIR-LAP1524SB-X-K9 3)には、1 つの 2.4 GHz 無線と 2 つの 5 GHz 無線が含まれています。
2.4 GHz 無線はクライアント アクセス(Public Safety でないトラフィック)用です。2 つの 5 GHz 無線はシリアル バックホールとして機能します(1 つがアップリンク、もう 1 つがダウンリンク)。AP1524SB は線型の展開に適しています。
(注) 6.0 リリースでは、-A ドメイン内の 5 GHz 無線は 5 チャネルの 5.8 GHz 帯域でだけ動作しました。7.0 リリースでは、これらの無線は 5 GHz 帯域全体をカバーします。
各 5 GHz 無線バックホールには別々のバックホール チャネルが設定されます。メッシュ ツリーベース ネットワークでは、ノースバンドとサウスバンドのトラフィック間で同じ共有無線メディアを使用する必要はありません。
RAP の場合、スロット 2 の無線はダウンリンク方向へのバックホールの拡張に使用され、スロット 1 の無線はメッシュではなくクライアント アクセスにだけ使用されます。
MAP の場合、スロット 2 の無線はアップリンク方向へのバックホールに使用され、スロット 1 の無線はダウンリンク方向のバックホールに使用されます。
RAP ダウンリンク(スロット 2)チャネルだけを設定する必要があります。MAP では自動的に、チャネル サブセットからチャネルが選択されます。5.8 GHz 帯域で使用可能なチャネルは、149、153、157、161、および 165 です。
イーサネット ポート
AP1500 は 4 つのギガビット イーサネット インターフェイスをサポートします。
• ポート 0(g0):Power over Ethernet(PoE)入力ポート PoE(入力)
• ポート 1(g1):PoE 出力ポート PoE(出力)
• ポート 2(g2):ケーブル接続
• ポート 3(g3):ファイバ接続
コントローラ CLI と Cisco Prime Infrastructure では、これら 4 つのインターフェイスのステータスを照会できます。
コントローラ CLI では、show mesh env summary コマンドを使用してポートのステータスを表示します。4 つのポートの Up または Down(Dn)のステータスは、次の形式で報告されます。
port0(PoE-in):port1(PoE-out):port2(cable):port3(fiber)
たとえば、次の表示の rap1522.a380 では、ポート ステータスが UpDnDnDn になっています。これは次を意味します。
ポート 0 の PoE 入力(g0)は Up、ポート 1 の PoE 出力(g1)は Down(Dn)、ケーブル ポート 2(g2)は Down(Dn)、ファイバ ポート 3(g3)は Down(Dn)。
(controller)> show mesh env summary
AP Name Temperature(C/F) Heater Ethernet Battery
-------- --------------- -------- ------- -------- -------
rap1242.c9ef N/A N/A UP N/A
rap1522.a380 29/84 OFF UpDnDnDn N/A
rap1522.4da8 31/87 OFF UpDnDnDn N/A
1550 シリーズの複数の電源オプション
次の電源オプションがあります。
Power-over-Ethernet(PoE)入力
• パワー インジェクタを使用した 56 VDC(1552E、1552H)
• PoE 入力は 802.3af ではなく、PoE 802.3af 対応イーサネット スイッチでは動作しません
AC 電源
• 100 ~ 480 VAC(47 ~ 63 Hz):AC または街路灯電源の接続(1552E)
• 100 ~ 240 VAC:AC または街路灯電源の接続(1552H)
外部電源
• 12 VDC:DC 電源ケーブルの接続(全モデル)
内部バッテリ バックアップ(1552E、1552H)
Power-over-Cable(PoC)
• 40 ~ 90 VAC:ケーブル PoC の接続(1552C)
ビデオ カメラなどの IP デバイスに接続するための 802.3af 準拠の PoE 出力(1552E、1552H)
• パワー インジェクタ(PoE-In)を電源として使用する場合は、(PoE 出力)は使用できません
ビデオ カメラなどの IP デバイスに接続するための 802.3af 準拠の PoE 出力(1552E、1552H)
• このポートは Auto-MDIX も実行します。これにより、クロス ケーブルまたはストレート ケーブルを接続できます。
1550 シリーズ AP は複数の電源に接続できます。AP は、使用可能な電源を検出し、次のデフォルト プライオリティを使用して優先電源に切り替えます。
• AC 電力または PoC 電力
• 外部 12 VDC 電力
• パワー インジェクタ PoE 電力
• 内部バッテリ電力
Cisco ワイヤレス LAN コントローラ
ワイヤレス メッシュ ソリューションは、Cisco 2500、5500、および 8500 シリーズ ワイヤレス LAN コントローラでサポートされます。これらのコントローラについての詳細については、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/ps6302/Products_Sub_Category_Home.html .
Cisco Prime Infrastructure
Cisco Prime Infrastructure は、ワイヤレス メッシュの計画、設定、管理に、グラフィカル プラットフォームを提供します。Cisco Prime Infrastructure を使用すると、ネットワーク管理者は、ワイヤレス メッシュ ネットワークの設計、コントロール、モニタを中央の場所から行えます。
Cisco Prime Infrastructure はネットワーク管理者に、RF 予測、ポリシー プロビジョニング、ネットワーク最適化、トラブルシューティング、ユーザ トラッキング、セキュリティ モニタリング、およびワイヤレス LAN システム管理のソリューションを提供します。グラフィカル インターフェイスを使用したワイヤレス LAN の配置と操作は、簡単で費用有効です。詳細なトレンド分析および分析レポートにより、Cisco Prime Infrastructure は現行のネットワーク操作に不可欠なものになります。
Cisco Prime Infrastructure は、組み込みデータベースと共に、サーバ プラットフォームで稼働します。これにより、何百ものコントローラや何千もの Cisco メッシュ AP を管理可能にするスケーラビリティが提供されます。コントローラは、Cisco Prime Infrastructure と同じ LAN 上、別の経路選択済みサブネット上、または広域接続全体にわたって配置できます。
アーキテクチャ
Control And Provisioning of Wireless Access Points
Control And Provisioning of Wireless Access Points(CAPWAP)は、ネットワークの AP(メッシュおよび非メッシュ)を管理するためにコントローラが使用するプロトコルです。リリース 5.2 で、Lightweight AP Protocol(LWAPP)が CAPWAP に置き換えられました。
(注) CAPWAP を使用すると、資本的支出(CapEx)と運用維持費(OpEx)が著しく減少し、Cisco Wireless Mesh Networking ソリューションが、企業、キャンパス、メトロポリタンのネットワークにおける費用有効でセキュアな配置オプションになります。
メッシュ ネットワークの CAPWAP ディスカバリ
メッシュ ネットワークの CAPWAP ディスカバリ プロセスは次のとおりです。
1. CAPWAP ディスカバリの開始の前に、メッシュ AP がリンクを確立します。その一方で、非メッシュ AP が、そのメッシュ AP 用の静的 IP(ある場合)を使用して、CAPWAP ディスカバリを開始します。
2. メッシュ AP は、レイヤ 3 ネットワークのメッシュ AP の静的 IP を使用して CAPWAP ディスカバリを開始するか、割り当てられたプライマリ、セカンダリ、ターシャリのコントローラ用のネットワークを探します。接続するまで最大 10 回試行されます。
(注) メッシュ AP は、セットアップ中に、その AP で設定されている(準備のできている)コントローラのリストを探します。
3. 手順 2 が 10 回の試行の後に失敗した場合、メッシュ AP は DHCP にフォール バックし、接続を 10 回試行します。
4. 手順 2 と 3 の両方に失敗し、コントローラに対して成功した CAPWAP 接続がない場合、メッシュ AP は LWAPP にフォール バックします。
5. 手順 2、3、4 の試行後にディスカバリがなかった場合、メッシュ AP は次のリンクを試みます。
Adaptive Wireless Path Protocol
Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)は、ワイヤレス メッシュ ネットワーキング用に設計されたもので、これを使用すると、配置が容易になり、コンバージェンスが高速になり、リソースの消費が最小限に抑えられます。
AWPP は、クライアント トラフィックがコントローラにトンネルされているために AWPP プロセスから見えないという CAPWAP WLAN の特性を利用します。また、CAPWAP WLAN ソリューションの拡張無線管理機能はワイヤレス メッシュ ネットワークに利用できるため、AWPP に組み込む必要はありません。
AWPP を使用すると、リモート AP は、RAP のブリッジ グループ(BGN)の一部である各 MAP 用の RAP に戻る最適なパスを動的に見つけられるようになります。従来のルーティング プロトコルとは異なり、AWPP は RF の詳細を考慮に入れています。
ルートを最適化するため、MAP はネイバー MAP をアクティブに送信要求します。要請メッセージのやり取りの際に、MAP は RAP への接続に使用可能なネイバーをすべて学習し、最適なパスを提供するネイバーを決定して、そのネイバーと同期します。AWPP では、リンクの品質とホップ数に基づいてパスが決定されます。
AWPP は、パスごとに信号の強度とホップ カウントについてコストを計算して、CAPWAP コントローラへ戻る最適なパスを自動で判別します。パスが確立されると、AWPP は継続的に条件をモニタし、条件の変化に応じてルートを変更します。また、AWPP は、条件情報を知らせるスムージング機能を実行して、RF 環境のエフェメラルな性質に、ネットワークの安定性が影響を受けないようにします。
トラフィック フロー
ワイヤレス メッシュ内のトラフィック フローは、次の 3 つのコンポーネントに分けられます。
1. オーバーレイ CAPWAP トラフィック:標準の CAPWAP AP の配置内のフローで、CAPWAP AP と CAPWAP コントローラの間の CAPWAP トラフィックのことです。
2. ワイヤレス メッシュ データ フレーム フロー
3. AWPP 交換
CAPWAP モデルはよく知られており、AWPP は専用プロトコルのため、ワイヤレス メッシュ データ フローについてだけ説明します。ワイヤレス メッシュ データ フローのキーは、メッシュ AP 間で送信される 802.11 フレームのアドレス フィールドです。
802.11 データ フレームは、レシーバ、トランスミッタ、送信先、発信元の 4 つまでのアドレス フィールドを使用できます。WLAN クライアントから AP までの標準フレームでは、トランスミッタ アドレスと発信元アドレスが同じため、これらのアドレス フィールドのうち 3 つしか使用されません。しかし、WLAN ブリッジング ネットワークでは、フレームが、トランスミッタの背後にあるデバイスによって生成された可能性があるため、フレームの発信元がフレームのトランスミッタであるとは限らず、4 つのすべてのアドレス フィールドが使用されます。
図 8-2 は、このタイプのフレーム構成の例を示しています。フレームの発信元アドレスは MAP:03:70、このフレームの送信先アドレスはコントローラ(メッシュ ネットワークはレイヤ 2 モードで動作しています)、トランスミッタ アドレスは MAP:D5:60、レシーバ アドレスは RAP:03:40 です。
図 8-2 ワイヤレス メッシュ フレーム
このフレームの送信により、トランスミッタとレシーバのアドレスは、ホップごとに変わります。各ホップでレシーバ アドレスを判別するために AWPP が使用されます。トランスミッタ アドレスは、現在のメッシュ AP のアドレスです。パス全体を通して、発信元アドレスと送信先アドレスは同一です。
RAP のコントローラ接続がレイヤ 3 の場合、MAP はすでに CAPWAP を IP パケット内にカプセル化してコントローラに送信済みのため、そのフレームの送信先アドレスはデフォルト ゲートウェイ MAC アドレスになり、ARP を使用する標準の IP 動作を使用してデフォルト ゲートウェイの MAC アドレスを検出します。
メッシュ内の各メッシュ AP は、コントローラと共に、CAPWAP セッションを形成します。WLAN トラフィックは CAPWAP 内にカプセル化されるため、コントローラ上の VLAN インターフェイスにマップされます。ブリッジされたイーサネット トラフィックは、メッシュ ネットワーク上の各イーサネット インターフェイスから渡される可能性があり、コントローラのインターフェイスにマップされる必要はありません。
メッシュ ネイバー、親、および子
メッシュ AP 間の関係は、親、子、またはネイバーです。
• 親 AP は、容易度の値(ease value)に基づいて RAP への最適なルートを提供します。親は RAP 自身または別の MAP のいずれかです。
• 容易度の値(ease value)は各ネイバーの SNR およびリンク ホップ値を用いて計算されます。複数の選択肢がある場合、通常は緩和値の高い AP が選択されます。
• 子の AP は、RAP に戻る最適なルートとして親を選択します。
• ネイバー AP は、他の AP の RF 範囲内にありますが、その容易度の値は親よりも低いため、親や子としては選択されません。
最適な親を選択するための基準
AWPP は、次のプロセスに従って、無線バックホールを使用して RAP または MAP 用に親を選択します。
• scan ステートでは、パッシブ スキャニングによって、ネイバーのあるチャネルのリストが生成され、それが、すべてのバックホール チャネルのサブセットになります。
• seek ステートでは、アクティブ スキャニングによって、ネイバーを持つチャネルが探され、バックホール チャネルは最適なネイバーを持つチャネルに変更されます。
• seek ステートでは、親は最適なネイバーとしてセットされ、親子のハンドシェイクが完了します。
• maintain ステートでは、親のメンテナンスと最適化が実行されます。
このアルゴリズムは、起動時、および親が消失して他に親になりそうなものがない場合に実行され、通常は、CAPWAP ネットワークとコントローラのディスカバリが続けて実行されます。すべてのネイバー プロトコル フレームは、チャネル情報を運びます。
親メンテナンスは、誘導 NEIGHBOR_REQUEST を親に送信している子ノードおよび NEIGHBOR_RESPONSE で応答している親によって実行されます。
親の最適化とリフレッシュは、親が常駐しているチャネル上で NEIGHBOR_REQUEST ブロードキャストを送信している子ノードによって、そのチャネル上のネイバリング ノードからのすべての応答の評価によって発生し実行されます。
親メッシュ AP は、RAP に戻る最適なパスを提供します。AWPP は、容易度を使用して、最適なパスを判別します。容易度はコストの逆と考えられるため、容易度の高いパスが、パスとして推奨されます。
容易度の計算
容易度は、各ネイバーの SNR とホップの値を使用し、さまざまな SNR しきい値に基づく乗数を適用して計算します。この乗数には、Spreading 機能を、さまざまなリンクの質に影響する SNR に適用するという意味があります。
図 8-3 では、親パスの選択で、MAP2 は MAP1 を通るパスを選択します。このパスを通る調整された容易度の値(436906)が、MAP2 から RAP に直接進むパスの容易度の値(262144)より大きいためです。
図 8-3 親パスの選択
親の決定
親メッシュ AP は、各ネイバーの容易度を RAP までのホップ カウントで割り算した、調整された容易度を使用して選択されます。つまり、次のようになります。
調整された容易度 = 最小値(各ホップでの容易度)ホップ カウント
メッシュ導入モード
Cisco のワイヤレス屋外メッシュ ネットワークでは、複数のメッシュ AP によって、安全でスケーラブルな屋外ワイヤレス LAN を提供するネットワークが構成されます。
それぞれの場所で、3 つの RAP が有線ネットワークに接続され、建物の屋根に配置されています。すべてのダウンストリーム AP は、MAP として動作し、ワイヤレス リンク(表示されていません)を使用して通信します。
MAP と RAP の両方共、WLAN クライアント アクセスを提供できますが、RAP の場所がクライアント アクセスの提供には向いていないことがよくあります。3 つすべてのアクセス ポイントは建物の屋根にあり、RAP として機能しています。これらの RAP は、それぞれの場所でネットワークに接続します。
メッシュ AP から CAPWAP セッションを終端させるオンサイト コントローラがある建物もありますが、CAPWAP セッションはワイドエリア ネットワーク(WAN)を介してコントローラにバックホールできるため、それは必須要件ではありません。
ワイヤレス バックホール
Cisco ワイヤレス バックホール ネットワークでは、トラフィックを MAP と RAP の間でブリッジできます。このトラフィックは、ワイヤレス メッシュによってブリッジされている有線デバイスからのトラフィックか、メッシュ AP からの CAPWAP トラフィックになります。このトラフィックは、ワイヤレス バックホールなどのワイヤレス メッシュ リンクを通るときに必ず AES 暗号化されます。
AES 暗号化は、他のメッシュ AP と共に、メッシュ AP におけるネイバー同士の関係として確立されます。メッシュ AP 間で使用される暗号キーは、EAP 認証プロセス中に生成されます。
5 GHz バックホールは、2.4 または 5 GHz 無線をバックホール無線として設定できる 1522 を除くすべてのメッシュ AP で可能です(「拡張機能の設定」を参照)。
ユニバーサル アクセス
802.11a 無線を介してクライアント トラフィックを受け入れるようメッシュ AP でバックホールを設定できます。この機能は、コントローラの GUI の Backhaul Client Access([Monitor] > [Wireless])で識別できます。この機能が無効な場合、バックホール トラフィックは 802.11a または 802.11a/n 無線を介してのみ伝送され、クライアント アソシエーションは 802.11b/g または 802.11b/g/n 無線を介してのみ許可されます。設定の詳細については「拡張機能の設定」を参照してください。
ポイントツーマルチポイント無線ブリッジング
ポイントツーマルチポイント ブリッジング シナリオでは、ルート ブリッジとして機能する RAP が、アソシエートされた有線 LAN を使用して複数の MAP を非ルート ブリッジとして接続します。デフォルトでは、この機能はすべての MAP に対して無効になっています。イーサネット ブリッジングを使用する場合、各 MAP および RAP のコントローラでイーサネット ブリッジングをイネーブルにする必要があります。
図 8-4 は、1 つの RAP と 2 つの MAP がある単純な導入を示していますが、この構成は基本的に WLAN クライアントがないワイヤレス メッシュです。イーサネット ブリッジングを有効にすることでクライアント アクセスを提供できますが、建物間のブリッジングの場合、高い屋上からの MAP カバレッジはクライアント アクセスに適していないことがあります。
図 8-4 ポイントツーマルチポイント ブリッジングの例
セキュリティ上の理由により、デフォルトでは MAP のイーサネット ポートは無効になっています。有効にするには、ルートおよび各 MAP でイーサネット ブリッジングを設定する必要があります。コントローラの GUI を使用してイーサネット ブリッジングをイネーブルにするには、AP ページで [Wireless] > [All APs] > [Details] と選択し、[Mesh] タブをクリックして、[Ethernet Bridging] チェックボックスを選択します。
イーサネット ブリッジングは、次の 2 つの場合に有効にする必要があります。
• メッシュ ノードをブリッジとして使用する場合。
• MAP でイーサネット ポートを使用してイーサネット デバイス(ビデオ カメラなど)を接続する場合。
該当するメッシュ AP からコントローラへのパスを取る各親メッシュ AP に対してイーサネット ブリッジングを有効にします。たとえば、Hop 2 の MAP2 でイーサネット ブリッジングを有効にする場合は、MAP1(親 MAP)と、コントローラに接続している RAP でもイーサネット ブリッジングを有効にする必要があります。
長いリンクの範囲パラメータを設定するには、[Wireless] > [Mesh] と選択します。ルート AP(RAP)と最遠のメッシュ AP(MAP)の間に、最適な距離(フィート単位)が存在します。RAP ブリッジから MAP ブリッジまでのレンジは、フィート単位で記述する必要があります。
ネットワーク内のコントローラと既存のすべてのメッシュ AP に join する場合は、次のグローバル パラメータがすべてのメッシュ AP に適用されます。
• レンジ:150 ~ 132,000 フィート
• デフォルト:12,000 フィート
ワイヤレス バックホール データ レート
バックホールは、AP 間でワイヤレス接続のみを作成するために使用されます。バックホール インターフェイスは、AP に基づいてデフォルトで 802.11a または 802.11a/n になります。利用可能な RF スペクトラムを効果的に使用するにはレート選択が重要です。また、レートはクライアント デバイスのスループットにも影響を与えることがあり、スループットはベンダー デバイスを評価するために業界出版物で使用される重要なメトリックです。
Dynamic Rate Adaptation(DRA)には、パケット伝送のために最適な伝送レートを推測するプロセスが含まれます。レートを正しく選択することが重要です。レートが高すぎると、パケット伝送が失敗し、通信障害が発生します。レートが低すぎると、利用可能なチャネル帯域幅が使用されず、品質が低下し、深刻なネットワーク輻輳および障害が発生する可能性があります。
データ レートは、RF カバレッジとネットワーク パフォーマンスにも影響を与えます。低データ レート(6 Mbps など)が、高データ レート(300 Mbps など)よりも AP からの距離を延長できます。結果として、データ レートはセル カバレッジと必要な AP の数に影響を与えます。異なるデータ レートは、ワイヤレス リンクで冗長度の高い信号を送信することにより(これにより、データをノイズから簡単に復元できます)、実現されます。1 Mbps のデータ レートで 1 つのパケットに対して送信される記号の数は、11 Mbps で同じパケットに対して使用される記号の数よりも多くなります。したがって、低ビット レートでのデータの送信には、高ビット レートでの同じデータの送信よりも時間がかり、スループットが低下します。
低ビット レートでは、MAP 間の距離を長くすることが可能になりますが、WLAN クライアント カバレッジにギャップが生じる可能性が高く、バックホール ネットワークのキャパシティが低下します。バックホール ネットワークのビット レートを増加させる場合は、より多くの MAP が必要となるか、MAP 間の SNR が低下し、メッシュの信頼性と相互接続性が制限されます。
ClientLink テクノロジー
多くのネットワークは、依然として 802.11a/g クライアントと 802.11n クライアントの混在をサポートします。802.11a/g クライアント(レガシー クライアント)は低データ レートで動作するため、古いクライアントにより、ネットワーク全体のキャパシティが減少することがあります。シスコの ClientLink テクノロジーは、802.11a/g クライアントが、特にセル境界に近い場合に、最適なレートで動作できるようにすることで、クライアントが混在するネットワークにおける 802.11n の採用に関連する問題を解決します。
高度な信号処理が Wi-Fi チップセットに追加されました。複数の送信アンテナが 802.11a/g クライアントの方向に伝送を収束するために使用され、ダウンリンクの信号対ノイズ比と一定のレンジにおけるデータ レートが増加するため、カバレッジ ホールが減少し、システム全体のパフォーマンスが向上します。このテクノロジーは、クライアントから受信された信号を合成する最適な方法を学習し、この情報を使用してパケットを最適な方法でクライアントに送り返します。このテクニックは、複数入力複数出力(MIMO)ビームフォーミング、送信ビームフォーミング、またはコフェージングとも呼ばれ、高価なアンテナ アレイを必要としない、市場で唯一のエンタープライズクラスかつサービス プロバイダークラスのソリューションです。
802.11n システムは、複数の無線信号を同時に送信することによりマルチパスを利用します。空間ストリームと呼ばれるこれらの各信号は、独自のトランスミッタを使用して独自のアンテナから送信されます。これらのアンテナ間には空間があるため、各信号は受信装置への若干異なるパスに従います(空間ダイバーシティと呼ばれる状況)。レシーバにも、独自の無線を使用する複数のアンテナがあります。各アンテナは受信した信号を独自にデコードし、各信号は他のレシーバの無線からの信号と結合されます。その結果、複数のデータ ストリームが同時に受信されます。これにより、以前の 802.11a/g システムよりも高いスループットが実現されますが、信号を解読する 802.11n 対応クライアントが必要になります。したがって、AP とクライアントの両方がこの機能をサポートする必要があります。問題が複雑であるため、第 1 世代のメインストリーム 802.11n チップセットでは、AP およびクライアント チップセットで 802.11n 送信ビームフォーミングが実装されていません。したがって、802.11n 標準伝送ビームフォーミングは将来利用可能になりますが、次世代のチップセットが市場に出るまで待つ必要があります。シスコは、この分野の発展をリードしていく所存です。
現行世代の 802.11n AP について、2 つ目の送信パスが 802.11n クライアントでは(空間ダイバーシティを実装するために)よく使用されていましたが、802.11a/g クライアントでは十分に使用されていなかったことを、シスコは認識していました。つまり、802.11 a/g クライアントに対しては、余分な送信パスの機能の一部がアイドル状態のままでした。また、多くのネットワークでは、設置されている 802.11 a/g クライアント ベースのパフォーマンスがネットワークの制限要素になることも認識していました。
802.11 a/g クライアントのパフォーマンス レベルを高めることで、このアイドル状態の機能を利用して全体的なネットワーク キャパシティを大幅に向上させるために、シスコは ClientLink という伝送ビーム形成テクノロジーにおける技術革新をもたらしました。
ClientLink は高度な信号処理手法と複数の送信パスを使用して、ダウンリンク方向で 802.11a/g クライアントが受信した信号を、フィードバックを必要とせずに、最適化します。特別なフィードバックが必要ないため、Cisco ClientLink は、既存のすべての 802.11a/g クライアントで動作します。
Cisco ClientLink テクノロジーにより、クライアントが配置された場所で AP が SNR を効果的に最適化できるようになります。ClientLink は、ダウンリンク方向にほぼ 4 dB のゲインを提供します。SNR が改善され、再試行回数の減少やデータ レートの向上などの多くの利点が提供されます。たとえば、以前に 12 Mbps でパケットを受信できたセルの端にあるクライアントが 36 Mbps でパケットを受信できるようになります。ClientLink を使用した場合のダウンリンク パフォーマンスの一般的な測定値は、802.11a/g クライアントではスループットが 65 % 向上します。Wi-Fi システムがより高いデータ レート、少ない再試行回数で動作できるようにすることで、ClientLink はシステムのキャパシティ全体を拡張します。つまり、スペクトル リソースを効率的に利用できます。
1552 AP の ClientLink は、AP3500 で使用可能な ClientLink 機能をベースにしています。したがって、AP は近接するクライアントに対してビームフォーミングを行い、802.11ACK でビームフォーミング情報を更新できます。したがって、専用アップリンク トラフィックがない場合でも、ClientLink は適切に動作します。これは、TCP および UDP 両方のトラフィック ストリームに有用です。Cisco 802.11n AP とのビームフォーミングを利用するためにクライアントが通過する必要がある RSSI ウォーターマークはありません。
ClientLink は、同時に 15 のクライアントにビーム形成を行うことができます。したがって、レガシー クライアントの数が無線ごとに 15 を超える場合に、ホストは最良の 15 クライアントを選択する必要があります。AP1552 には 2 つの無線があるため、タイム ドメインで最大 30 個のクライアントに対してビームフォーミングを行えます。
ClientLink は、屋内および屋外 802.11n AP 用の 11a/g レート(11b ではない)を示す、パケットのレガシー OFDM 部分に適用されますが、屋内 11n 用の ClientLink と屋外 11n 用の ClientLink には 1 つの違いがあります。屋内 11n AP の場合、SW は影響を受けるレートを 24、36、48、54 Mbps に制限します。これは、屋内環境でクライアントが離れた AP に固定されるのを回避するために行われます。また、スループット ゲインが非常に小さいため、SW によって ClientLink が 11n クライアント用のレートで動作できなくなります。ただし、純粋なレガシー クライアントに対しては明らかなゲインがあります。屋外 11n AP の場合、カバレッジを拡張する必要があります。そのため、24 Mbps 未満のレガシー データ レートがさらに 3 つ追加されました。屋外用の ClientLink は 6、9、12、18、24、36、48、54 Mbps のレガシー データ レートに適用されます。
コントローラの計画
次の項目は、メッシュ ネットワークに必要なコントローラの数に影響します。
• ネットワーク内のメッシュ AP(RAP および MAP)。
• RAP とコントローラを接続する有線ネットワークは、そのネットワーク内でサポートされる AP の総数に影響を与えることがあります。このネットワークによって、コントローラが、WLAN のパフォーマンスに影響なく、すべての AP から利用できるようになっている場合、AP はすべてのコントローラにわたって最大の効率で等しく分散できます。これに当てはまらない場合で、コントローラがさまざまなクラスタまたは PoP にグループ化されるとき、AP の総数とカバレッジは減少します。
• コントローラごとにサポートされるメッシュ AP(RAP および MAP)の数。
わかりやすくするため、非メッシュ AP をローカル AP と呼びます。
表 8-1 コントローラ モデルによるメッシュ AP のサポート
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5508 |
500 |
500 |
2504 |
50 |
50 |
WiSM2 |
500 |
500 |
(注) メッシュは、Cisco 5508 コントローラで完全にサポートされています。屋内および屋外 AP(AP152X)には基本ライセンス(LIC-CT508-Base)で十分です。WPlus ライセンス(LIC-WPLUS-SW)は、基本ライセンスに含まれます。屋内メッシュ AP には WPlus ライセンスは必要ありません。
ワイヤレス メッシュ ネットワークのカバレッジに関する考慮事項
この項では、それぞれのドメインでの準拠条件を守るために、都心もしくは郊外の地域で、最大のワイヤレス LAN カバレッジについて考慮する必要のある項目についてまとめています。
次の推奨事項は、障害物のない平坦地(グリーンフィールド導入)を前提としています。
そのエリアの実際の見積もりや部品表作成を開始する前に、サイト調査を行うことを常に推奨します。
Cisco 1520 シリーズ AP 用
RAP と MAP の比率は開始点です。一般的な計画用に、現在の比率は RAP ごとに 20 MAP になっています。
シスコでは、音声なしのネットワークでのセル計画と距離について、次の値を推奨します。
• RAP と MAP の比率:推奨最大比率は、RAP ごとに 20 の MAP です。
• AP 間の距離:各メッシュ AP 間に 2000 フィート(609.6 m)以下の間隔をあけることを推奨します。バックホール上でメッシュ ネットワークを拡張する(クライアント アクセスなし)場合、セルの半径には 1000 フィート(304.8 m)を使用してください。
• ホップ カウント:3 ~ 4 ホップ 1 平方マイル(フィート換算で 52802)が、9 つのセル分で、およそ 3 または 4 のホップでカバーできます。
• 2.4 GHz の場合、ローカル アクセス セル サイズの半径は 600 フィート(182.88 m)です。1 つのセル サイズは、1.310 x 106 で、1 平方マイルあたりのセルは 25 個です。
メッシュ アクセス ポイントのコロケーション
次の推奨事項は、複数の AP1500 を同じタワーにコロケーションする際に必要なアンテナ セパレーションを決めるためのガイドラインとしてください。アンテナ、伝送パワー、およびチャネル間隔の推奨最小区切りについて記載しています。
適切な間隔をあけたりアンテナを選択するのは、アンテナの放射パターンやフリー スペース パス損失、隣接または代替隣接のチャネル レシーバ拒否によって十分な切り分けをするのが目的で、コロケーションされた複数のユニットが独立して動作するためです。CCA ホールドオフによるスループット低下や、受信ノイズ フロアの増加によるレシーブ感度の低下をごくわずかに抑えることが重要です。
アンテナのプロキシミティ要件に従う必要がありますが、この要件は隣接および代替隣接のチャネル使用によって異なります。
隣接チャネルでの AP1500 のコロケーション
コロケーションされた 2 つの AP1500 が、チャネル 149(5745 MHz)とチャネル 152(5765 MHz)のような隣接チャネルで動作している場合、2 つの AP1500 の間の最小垂直距離は 40 フィート(12.192 m)です(この要件は 8 dBi の全方向性アンテナまたは 17 dBi の高ゲイン指向性パッチ アンテナを搭載したメッシュ AP に適用されます)。
コロケーションされた 2 つの AP1500 が、5.5 dBi 全方向性アンテナ付きのチャネル 1、6、または 11(2412 ~ 2437 MHz)で動作している場合、最小垂直距離は 8 フィート(2.438 m)です。
代替隣接チャネルでの AP1500 のコロケーション
コロケーションされた 2 つの AP1500 が、チャネル 149(5745 MHz)とチャネル 157(5785 MHz)のような代替隣接チャネルで動作している場合、2 つの AP1500 の間の最小垂直距離は 10 フィート(3.048 m)です(この要件は 8 dBi の全方向性アンテナまたは 17 dBi の高ゲイン指向性パッチ アンテナを搭載したメッシュ AP に適用されます)。
コロケーションされた 2 つの AP1500 が、5.5 dBi 全方向性アンテナ付きの代替隣接チャネル 1 と 11(2412 MHz と 2462 MHz)で動作している場合、最小垂直距離は 2 フィート(0.609 m)です。
要約すると、5 GHz アンテナの切り離しによって、メッシュ AP のスペーシング要件が決まります。また、アンテナのプロキシミティを遵守する必要がありますが、これは隣接および代替隣接のチャネル使用によって異なります。
CleanAir
1550 シリーズは、802.11n テクノロジーと統合無線および内部/外部アンテナを利用しています。1550 シリーズの AP は、現在の CleanAir 対応 Aironet 3500 AP と同じチップセットをベースにしています。つまり、1550 シリーズの AP は CleanAir に対応しています。
7.3.101.0 リリースでは、2600 シリーズの AP は互いにメッシュ化でき、CleanAir 機能も搭載しています。
7.2.103.0 リリースでは、3600 シリーズの AP は互いにメッシュ化でき、CleanAir 機能も搭載しています。
7.0.116.0 リリースでは、3500 シリーズの AP は互いにメッシュ化でき、CleanAir 機能も搭載しています。
メッシュ(1552、2600、3500、3600)の CleanAir は 2.4 GHz 無線に実装でき、無線周波数(RF)を検出、位置を特定、分類、緩和すると同時にクライアントに完全な 802.11n データ レートを提供します。これにより、キャリア クラス管理およびカスタマー エクスペリエンスを実現し、展開されたロケーションのスペクトルを制御できます。屋外 11n プラットフォームの CleanAir 対応 RRM テクノロジーは、2.4 GHz 無線の Wi-Fi および非 Wi-Fi 干渉を検出し、定量化して、緩和します。AP1552 は 2.4 GHz クライアント アクセス モードで CleanAir をサポートします。
CleanAir Advisor
バックホール無線で CleanAir が有効な場合、CleanAir Advisor が始動します。CleanAir では、空気質指数(AQI)および干渉検出(IDR)というレポートが生成されますが、これらのレポートはコントローラにのみ表示されます。イベント駆動型 RRM(ED-RRM)で実行されるアクションはありません。CleanAir Advisor は、ブリッジ モードの AP の 5 GHz バックホール無線のみに存在します。
ワイヤレス メッシュ モビリティ グループ
モビリティ グループを使用すると、ピアに対する各コントローラがコントローラの境界を越えたシームレスなローミングを互いにサポートできます。AP は、CAPWAP Join プロセス後にモビリティ グループの他のメンバの IP アドレスを学習します。コントローラは、最大 24 台のコントローラを含めることができる単一のモビリティ グループのメンバにすることができます。モビリティは、72 台のコントローラ間でサポートされます。モビリティ リストには最大 72 のメンバ(WLC)、およびクライアントのハンドオフに参加している同じモビリティ グループ(またはドメイン)内の最大 24 のメンバを登録できます。クライアントの IP アドレスは、同じモビリティ ドメイン内で更新する必要はありません。この機能を使用する場合、IP アドレスの更新はコントローラベースのアーキテクチャでは無意味です。
複数のコントローラ
モビリティ グループ内の他の CAPWAP コントローラから CAPWAP コントローラまでの距離と、RAP からの CAPWAP コントローラの距離については、企業内の CAPWAP WLAN の配置と同様に考慮する必要があります。
CAPWAP コントローラを集中させると、オペレーション的に利点がありますが、その利点は、CAPWAP AP へのリンクのスピードおよびキャパシティ、およびこれらのメッシュ AP を使用している WLAN クライアントのトラフィック プロファイルに対するトレード オフとなります。
WLAN クライアント トラフィックを、インターネットやデータセンターなどの特定のサイトに集中させたい場合は、これらのトラフィック フォーカル ポイントと同じサイトにコントローラを集中させると、トラフィックの効率を犠牲にしなくても操作上の利点を享受できます。
WLAN クライアント トラフィックが、よりピアツーピアの場合、分散されたコントローラ モデルの方が適している可能性があります。WLAN トラフィックの大多数は、そのエリアのクライアントで、他のロケーションに向かう比較的少量のトラフィックを伴う傾向があります。数多くのピアツーピア アプリケーションが遅延やパケット損失に影響されやすい場合、ピア間のトラフィックが最も効率のよいパスを通過するようにする必要があります。
大部分の配置に、クライアント サーバ トラフィックとピアツーピア トラフィックが混ざっている場合、CAPWAP コントローラのハイブリッド モデルが使用されていると考えられ、ネットワーク内の戦略的なロケーションに置かれたコントローラのクラスタと共に Points of Presence(PoP)が作成されます。
ワイヤレス メッシュ ネットワークで使用される CAPWAP モデルは、キャンパス ネットワーク向けに設計されています。つまり、CAPWAP メッシュ AP と CAPWAP コントローラ間のネットワークは高速で低遅延であることが前提となっています。
メッシュ アベイラビリティの増加
「セルの計画と距離」セクションでは、1 平方マイルのワイヤレス メッシュ セルが作成され、組み込まれました。このワイヤレス メッシュ セルは、携帯電話ネットワークの作成に使用されるセルに似た特性を持ちます。より大きなアベイラビリティやキャパシティに対して、同じ物理エリアをカバーするために、(定義された最大セル サイズより)小さいセルが作成される可能性があるからです。このプロセスは、セルに RAP を追加することで行われます。より大きなメッシュ配置と同様、同じチャネルで RAP を使用するか(図 8-5 を参照)、または別のチャネルに置いた RAP を使用するか(図 8-6 を参照)を決める必要があります。エリアへの RAP の追加により、そのエリアのキャパシティと回復力が増大します。
図 8-5 同じチャネルでセルごとに 2 つの RAP
図 8-6 別のチャネルでセルごとに 2 つの RAP
複数の RAP
複数の RAP が配置される場合は、それらの RAP を配置する目的を考慮する必要があります。ハードウェア ダイバーシティを提供するために RAP を配置するのであれば、メッシュが 1 つの RAP から別の RAP へ転送する場合に、プライマリの RAP がコンバージェンス時間を最小にできるよう、同じチャネルに追加の RAP を配置する必要があります。RAP ハードウェア ダイバーシティを計画する場合は、RAP 制限ごとに 32 MAP を検討します。
キャパシティを第一に追加するために追加の RAP が配置される場合、バックホール チャネルの干渉を最小限にするために、追加の RAP が近隣の RAP と異なるチャネルに配置される必要があります。
チャネル計画や RAP セル スプリットを介して、異なるチャネルに 2 番めの RAP を追加しても、コリジョン ドメインが減ります。チャネル計画では、コリジョンの確率を最小限にするため、同じコリジョン ドメイン内のメッシュ ノードに異なる非オーバーラップ チャネルを割り当てます。RAP セル スプリットは単純ですが、コリジョン ドメインを減らすのに効果的な方法です。メッシュ ネットワークで全方向性アンテナと共に 1 つの RAP を配置する代わりに、方向性アンテナと共に 2 つ以上の RAP を配置できます。これらの RAP は互いに一緒に用いられ、異なる周波数チャネルで動作します。このプロセスにより、大きなコリジョン ドメインが個別に動作する複数の小さなコリジョン ドメインに分割されます。
メッシュ AP のブリッジ機能が複数の RAP と共に使用される場合、これらの RAP はすべて同じサブネット上になければならず、継続したサブネットがブリッジ クライアントに提供されるようにする必要があります。
異なるサブネット上の複数の RAP と共にメッシュを構築し、異なるサブネット上の別の RAP に MAP をフェールオーバーする必要がある場合、MAP コンバージェンス時間が増加します。このプロセスが起こらないようにする 1 つの方法として、サブネット境界で区切られているネットワークのセグメントに異なる BGN を使用する方法があります。
屋内メッシュと屋外メッシュの相互運用性
屋内メッシュ AP と屋外メッシュ AP との完全な相互運用性がサポートされています。これは、屋外から屋内にカバレッジを持ち込むのに役立ちます。屋内メッシュ AP は屋内でのみ使用することを推奨します。屋内メッシュ AP は、以下で説明されているような限られた状況でのみ屋外に配置してください。
注意 サードパーティの屋外ラックの屋内 AP は、屋内 WLAN から駐車場のホップまでの単純かつ短距離の拡張などの、屋外での限られた配置でのみ配置できます。堅牢な環境および温度に関する仕様を備えているため、屋外ラックでは 1240、1250、1260、2600、3500e、および 3600 AP を推奨します。さらに、AP が屋外ラック内にある場合、屋内 AP には、連結されたアンテナをサポートするためのコネクタがあります。SNR 値は増減しない場合もあるので、注意してください。また、より最適化された屋外の 1500 シリーズ AP と比較した場合、長期間のフェードにより、これらの AP のリンクが消失する場合があります。
モビリティ グループは、屋外メッシュ ネットワークと屋内 WLAN ネットワークの間で共有できます。1 台のコントローラで、屋内と屋外のメッシュ AP を同時に制御することもできます。同じ WLAN が屋内と屋外の両方のメッシュ AP からブロードキャストされます。
Cisco 1500 シリーズ メッシュ AP のネットワークへの接続
ここは、ネットワークに Cisco 1500 シリーズ メッシュ AP を接続する方法について説明します。
ワイヤレス メッシュは、有線ネットワークの 2 地点で終端します。1 つ目は、RAP が有線ネットワークに接続されているロケーションで、そこではすべてのブリッジ トラフィックが有線ネットワークに接続しています。2 つ目は、CAPWAP コントローラが有線ネットワークに接続するロケーションです。そのロケーションでは、メッシュ ネットワークからの WLAN クライアント トラフィックが有線ネットワークに接続しています(図 8-7 を参照)。CAPWAP からの WLAN クライアント トラフィックはレイヤ 2 でトンネルされ、WLAN のマッチングは、コントローラがコロケーションされている同じスイッチ VLAN で終端する必要があります。メッシュ上の各 WLAN のセキュリティとネットワークの設定は、コントローラが接続されているネットワークのセキュリティ機能によって異なります。
図 8-7 メッシュ ネットワーク トラフィックの終端
(注) HSRP 設定がメッシュ ネットワークで動作中の場合は、入出力マルチキャスト モードを設定することを推奨します。マルチキャスト設定の詳細については『Cisco Mesh Access Points, Design and Deployment Guide』を参照してください。URL は次のとおりです。http://www.cisco.com/en/US/docs/wireless/technology/mesh/7.3/design/guide/Mesh.html
メッシュ ネットワークへのメッシュ AP の追加
この項では、コントローラがネットワーク内でアクティブで、レイヤ 3 モードで動作していることを前提としています。
(注) メッシュ AP が接続するコントローラ ポートは、タグなしでなければなりません。
メッシュ AP をネットワークに追加する前に、次の作業を行います。
ステップ 1 メッシュ AP の MAC アドレスをコントローラの MAC フィルタに追加します。「MAC フィルタへのメッシュ アクセス ポイントの MAC アドレスの追加」セクションを参照してください。
ステップ 2 メッシュ AP のロール(RAP または MAP)を定義します。「メッシュ アクセス ポイントのロールの定義」セクションを参照してください。
ステップ 3 コントローラでレイヤ 3 が設定されていることを確認します。
ステップ 4 各メッシュ AP のプライマリ、セカンダリ、およびターシャリ コントローラを設定します。バックアップ コントローラを設定します。「バックアップ コントローラの設定」を参照してください。
ステップ 5 外部 RADIUS サーバを使用して、MAC アドレスの外部認証を設定します。「RADIUS サーバを使用した外部認証および許可の設定」を参照してください。
ステップ 6 グローバル メッシュ パラメータを設定します。
ステップ 7 ユニバーサル クライアント アクセスを設定します。
ステップ 8 ローカル メッシュ パラメータを設定します。
ステップ 9 アンテナ パラメータを設定します。
ステップ 10 シリアル バックホールのチャネルを設定します。この手順は、シリアル バックホール AP にのみ適用できます。
ステップ 11 メッシュ AP の DCA チャネルを設定します。
ステップ 12 (必要に応じて)モビリティ グループを設定し、コントローラを割り当てます。
ステップ 13 (必要に応じて)イーサネット ブリッジを設定します。
ステップ 14 イーサネット VLAN タギング ネットワーク、ビデオ、音声などの拡張機能を設定します。