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Cisco ASR 902 ルータは、コンバージド モバイル サービスおよびビジネス サービスを費用効率よく提供するために設計された、全機能を備えたアグリゲーション プラットフォームです。薄く、消費電力が低く、拡張された温度範囲を備えた、このコンパクトな 2 ラック ユニット(RU)ルータは幅広いサービスと柔軟なハードウェア構成を提供します。
Cisco ASR 902 ルータは、コンパクトなパッケージでレイヤ 2 VPN(L2VPN)およびレイヤ 3 VPN(L3VPN)サービスを実現する、充実したスケーラブルなフィーチャ セットによって、シスコのサービス プロバイダーの製品ポートフォリオを拡大します。また、キャリア イーサネット機能、Timing over Packet、疑似配線などさまざまなソフトウェア機能をサポートしています。
Cisco ASR 902 ルータは、IP 無線アクセス ネットワーク(RAN)(Global System for Mobile Communications(GSM)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、Image Maximum(iMAX)、符号分割多重接続(CDMA)、および Long Term Evolution(LTE))のネットワーク内の集約前のルータ、またはキャリア イーサネット ネットワーク内の集約ルータとして位置付けられています。
Cisco ASR 902 ルータのハードウェア機能は次のとおりです。
• 欧州通信規格協会(ETSI)300 mm キャビネットへの取り付けのために設計された 2-RU モジュラ シャーシ
– 最大 2 台の DC または 2 台の AC 電源装置、あるいは AC および DC 電源装置の組み合わせ
• ネットワーク インターフェイス(SyncE および TDM)、BITS、1 PPS/10 MHz、Timing over Packet(IEEE 1588-2008)に対応したネットワーク周波数、位相、および時間の入出力
• 電源装置、ファン トレイ、RSP、およびインターフェイス モジュールへの前面パネルからのアクセス
• インターフェイス モジュール、電源、およびファン トレイの活性挿抜(OIR)
• 電源、インターフェイス モジュール、RSP、およびファン トレイ装置の個別のステータス LED
• 2 つのアラームのドライ接点入力(ノーマル オープンまたはノーマル クローズのいずれか)
• クリティカル、メジャー、およびマイナー アラームの LED インジケータ
• DC 電源では、温度範囲は -40 ~ 149 °F(-40 ~ 65 °C)
• AC 電源では、温度範囲は -32 ~ 122 °F(0 ~ 50 °C)
図 1-1 に、Cisco ASR 902 ルータのシャーシの設計図を示します。
図 1-1 Cisco ASR 902 ルータのシャーシの設計
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表 1-1 に、Cisco ASR 902 ルータのシステム仕様と環境条件の要約を示します。
Cisco ASR 902 ルータでは、AC および DC 電源がサポートされています。Cisco ASR 902 ルータ電源を取り付ける方法の詳細については、「電源装置の取り付け」を参照してください。電源に関する項では、電源について詳しく説明しています。
• 「冗長性」
Cisco ASR 902 ルータのシャーシには、オプションの冗長電源のスロットが含まれています。冗長電源オプションは第 2 電源を用意し、一方の電源が故障した場合、またはあるラインで入力電力障害が発生した場合に、電力がシャーシに途切れることなく、連続して供給されるようにします。冗長性は、同一の電源または AC 電源と DC 電源の組み合わせのいずれかでサポートされています。Cisco ASR 902 ルータでは、電源間の電流の共有がサポートされています。
Cisco ASR 902 ルータに冗長電源を取り付ける場合は、停電、配線の不具合、回路ブレーカー落ちによる電源の中断時に、ルータが電源を保持できるように別の入力電源にそれぞれの電源を接続することを推奨します。
Cisco ASR 902 ルータの DC 電源では、ルータが RSP に入力電力の損失を通知できる Dying Gasp 機能がサポートされています。この機能は、RSP が適切な SNMP トラップまたは OAM メッセージを送信し、ルータのログ ファイルを更新できるようにします。DC 電源では、ルータは 2 ミリ秒の入力電力損失の最小検出時間(DC)と通知後の最低 6 ミリ秒の継続動作(DC)をサポートしています。
(注) 継続的な DC 電源電圧動作は +24/-48V 以外の電圧では異なる場合があります。
各電源の入力電力の状態と電源の状態を示すために、各電源には LED もあります。Cisco ASR 902 ルータの LED の詳細については、「トラブルシューティング」を参照してください。
Cisco ASR 902 ルータは、+24/-48 DC 電圧電源(-19 ~ -72 VDC の DC 電圧の許容範囲)を使用します。
電源によって、システムに 550W の出力電力が供給されます。電源は現場交換可能、ホットスワップ可能で、ファン トレイとは個別に動作します。電源には、取り付けネジのある前面パネル、取り付けおよび取り外し用のハンドル、および 2 個のステータス LED が含まれます。ON/OFF スイッチは提供されていません。
ルータでサポートされる DC PEM モデルは、次の 2 つです。
• A900-PWR550-D:ユーロスタイルの 3 ピン端子ブロック コネクタ(図 1-2)を使用します。
• A900-PWR550-D-E:T 字型コネクタ(図 1-3)を使用します。
図 1-2 ユーロスタイル コネクタ付き DC PEM モジュール(A900-PWR550-D)
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図 1-3 T 字型コネクタ付き DC PEM モジュール(A900-PWR550-D-E)
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表 1-2 に、Cisco ASR 902 ルータの DC 電源装置の入力電力仕様の要約を示します。
表 1-3 に、Cisco ASR 902 ルータの AC 電源装置の入力電力仕様の要約を示します。
ルータでサポートされるファン トレイ モジュールは、次のものです。
• A902-FAN-E(図 1-4)
• 2 つの外部アラーム入力を備えた 2 つのアラーム ポート内蔵
エアーフローの注意事項の詳細については、「エアー フローに関する注意事項」を参照してください。ファン トレイの取り付け方法については、「ファン トレイの取り付け」を参照してください。ファン トレイの LED の要約については、「LED の要約」を参照してください。
Cisco ASR 902 ルータは、電源とは異なるモジュラ ファン トレイを使用します。A902-FAN-E は、8 個(40 x 40 x 20 mm)のファンを含むファン トレイで、個別のファンに障害が発生した場合にも動作を無期限に維持できる十分な能力を提供します。付属の 8 mm ファン ダスト フィルタは、装置に埃が入るのを防ぎ、コンポーネントが破損する可能性を回避します。ファン トレイは IEC60950-1 に準拠しています。
図 1-4 ダスト フィルタとダミーのカバー付属の Cisco ASR 902 ファン トレイ(A902-FAN-E)
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ファン トレイのダスト フィルタ(図 1-4)は、85% 防塵の Quadrafoam 45 PPI フィルタです。ダミーのカバー(A902-FAN-F-B)は、シャーシ内のダスト フィルタを固定します。ファン フィルタを取り付ける方法については、「ダスト フィルタの取り付け」を参照してください。
(注) プル タブを使用すると、フィルタに簡単にアクセスできます。
環境内の埃の量に基づいて 3 か月ごとにフィルタの状態を定期的に確認することは、フィルタが過度に詰まらないようにし、寿命を延ばすのに役立ちます。製品のフィルタは、ローカルでの導入のニーズに応じて単回使用または再使用のフィルタとして使用できます。フィルタの再使用が禁止されている場合は、6 か月ごとに PID(エアー フィルタ PID)または同等製品と交換できます。
再使用する場合、フィルタ媒体は圧縮空気、吸引、きれいな水で洗浄することによってクリーニングできます。脱脂剤が必要な場合は、食器洗い用の液体洗剤などの中性洗剤のみを使用してください。
フィルタを水で洗浄する場合は、再び取り付ける前にフィルタを完全に乾かす必要があります。このようなタイプのフィルタはクリーニング可能ですが、媒体の耐久性を保障し、残った埃の蓄積と将来のエアーフローの抵抗を取り除くため 2~3 年ごとの交換が推奨されます。
Cisco ASR 902 ルータは、単一 RSP モジュールを使用してルータのデータ プレーン、ネットワーク タイミング、およびコントロール プレーン機能を処理するように設計されています。RSP の設定では、Cisco IOS ソフトウェアを使用してシャーシ管理、外部管理、およびルータのシステム状態の表示を制御できます。
ここでは、Cisco ASR 902 ルータの RSP について説明します。
• プロセッサ ベースのインターフェイス モジュールへのソフトウェアのロード
• バッファリング、キューイング、およびスケジューリングを含むトラフィック管理、イーサネット MAC 機能
• Building Integrated Timing Source(BITS)、1 PPS、10 MHz、および 1588 高精度時間プロトコル(PTP)クロック基準の位相と Time-of-Day を含む、ネットワーク クロッキング機能
• ソフトウェア イメージ、システム構成、オンボード障害ロギング(OBFL)、Syslog の保管
• 同期装置タイミング ソース(SETS)への入力として PTP 周波数と位相基準を生成してダウンストリーム PTP クロックに分散するため、アップストリーム PTP クロックからネットワーク タイミング(周波数、位相、および時間)をリカバリする IEEE 1588-2008 を含む、PTP パケット処理
• 外部管理インターフェイス(RS232 コンソール、管理 ENET、USB コンソール、USB ストレージ)およびシステム ステータス LED インジケータ
Cisco ASR 902 ルータでは、次の RSP がサポートされています。
• A900-RSP1A-55:2 GB の SDRAM、5 MB の TCAM、3 MB のバッファ テーブル、576 MB の転送メモリ、1,536 MB のパケット バッファ メモリを提供します。
• A900-RSP1B-55:4 GB の SDRAM、20 MB の TCAM メモリ、144 MB のバッファ テーブル、1,152 MB の転送メモリ、および 1,536 MB のパケット バッファ メモリを提供します。
(注) サポートされる RSP のメモリ容量は異なりますが、同じインターフェイスと機能があります。
Cisco ASR 902 ルータでは、次の RSP 機能がサポートされます。
• 集中型データ プレーン、タイミング、およびシステムのコントロール プレーン機能
• Cisco IOS-XE およびプラットフォーム制御ソフトウェアを実行するコントロール プレーン(ホスト)CPU と関連メモリ
• ソフトウェア イメージ、構成、システム ファイルを保管するための不揮発性メモリ
RSP は、次のネットワーク タイミング インターフェイスをサポートしています。
図 1-5 に、RSP モジュールのインターフェイスの要約を示します。
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RSP を取り付ける方法の詳細については、「RSP の取り付け」を参照してください。RSP の LED の詳細については、「RSP LED」を参照してください。
RSP で提供されるポートに加えて、Cisco ASR 902 ルータは次のインターフェイス モジュールをサポートしています。
• 「ギガビット イーサネット SFP インターフェイス モジュール」(P.11)
• 「ギガビット イーサネット RJ45 インターフェイス モジュール」(P.12)
• 「10 ギガビット イーサネット XFP インターフェイス モジュール」(P.13)
• 「T1/E1 インターフェイス モジュール」(P.15)
サポートされるインターフェイス モジュールの詳細については、『 Release Notes for the Cisco ASR 900 Series Aggregation Services Router 』を参照してください。
Cisco ASR 902 ルータのインターフェイス モジュールは現場交換可能なユニットです。
(注) スロット 2、ポート 0 は 8X1-G 銅線および 8X1-G SFP インターフェイス モジュールのトラフィック フローには使用できません。Cisco ASR 902 ルータでスロット 2 を指定するには、図 1-12 を参照してください。
ギガビット イーサネット小型フォーム ファクタ(SFP)インターフェイス モジュールは、8 個のギガビット イーサネット SFP モジュールを提供します。図 1-6 に、8 x 1 ギガビット イーサネット SFP インターフェイス モジュールを示します。
図 1-6 8 x 1 ギガビット イーサネット SFP インターフェイス モジュール
ギガビット イーサネット SFP インターフェイス モジュールは、次の SFP モジュールをサポートしています。
SFP ギガビット イーサネット モジュールを取り付ける方法の詳細については、「インターフェイス モジュールの取り付け」を参照してください。
ギガビット イーサネット RJ45 インターフェイス モジュールは、8 個のギガビット イーサネット銅線ポートを提供します。図 1-7 に、インターフェイス モジュールを示します。
図 1-7 8 x 1 ギガビット イーサネット RJ45(銅線)インターフェイス モジュール
RJ45 ギガビット イーサネット モジュールを取り付ける方法の詳細については、「インターフェイス モジュールの取り付け」を参照してください。
10 ギガビット イーサネット XFP インターフェイス モジュールは、10 ギガビット イーサネット XFP モジュールをサポートする単一ポートを提供します。図 1-8 に、インターフェイス モジュールを示します。
図 1-8 1 x 10 ギガビット イーサネット XFP インターフェイス モジュール
10 ギガビット イーサネット SFP インターフェイス モジュールは、次の XFP モジュールをサポートしています。
10 ギガビット イーサネット XFP モジュールを取り付ける方法の詳細については、「インターフェイス モジュールの取り付け」を参照してください。
T1/E1 インターフェイス モジュールは、100 ピンの Amplimite コネクタを介して最大 16 個の T1/E1 ポートへの接続を提供します。T1/E1 インターフェイス モジュールは、RJ48(T1)または BNC(E1)コネクタを提供するためパッチ パネルを使用する必要があります。図 1-9 に、インターフェイス モジュールを示します。
図 1-9 16 x T1/E1 インターフェイス モジュール
T1/E1 インターフェイス モジュールを取り付ける方法の詳細については、「インターフェイス モジュールの取り付け」を参照してください。
OC-3 インターフェイス モジュールは、最大 4 個の STM-1 インターフェイスを動作させます。
(注) 光インターフェイス モジュールは、OC-3、OC-12 の両方のトラフィック用に設計されています。
図 1-10 に、OC-3 インターフェイス モジュールを示します。
図 1-10 4 x OC-3 インターフェイス モジュール
光インターフェイス モジュールは、次の光トランシーバをサポートしています。
光インターフェイス モジュールを取り付ける方法の詳細については、「インターフェイス モジュールの取り付け」を参照してください。
Cisco ASR 902 ルータのトラブルシューティングのために LED を使用する方法の詳細については、「トラブルシューティング」を参照してください。
表 1-4 に、Cisco ASR 902 ルータでサポートされる規格の要約を示します。
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Cisco ASR 902 ルータは、シャーシ内部の過熱状態を検出するための温度センサーを備えています。過熱状態の検出は、67 °C の周囲温度(吸気口)トリップ ポイントで、75 °C +/- 5% でトリップされます。この状態は割り込みとしてプロセッサに報告され、ソフトウェアは適切なアラームを生成するための処理を行います。
図 1-11 に、Cisco ASR 902 ルータのシリアル番号ラベルの位置を示します。
図 1-11 Cisco ASR 902 ルータのシリアル番号の場所
Cisco ASR 902 ルータのシャーシには、次が含まれます。
Cisco ASR 902 ルータの各ネットワーク インターフェイスは、スロット番号とポート番号によって識別されます。
図 1-12 に、Cisco ASR 902 ルータのインターフェイス番号を示します。
図 1-12 Cisco ASR 902 ルータのスロット番号
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次に、インターフェイス モジュール スロットとポートの番号付けについて説明します。
• 番号付けの形式は、 インターフェイス タイプ スロットまたはインターフェイス (ポート) 番号 です。インターフェイス(ポート)番号は、インターフェイス タイプごとに論理 0 から始まります。
• インターフェイス モジュール スロットは下から上に番号が付けられていて、各モジュール上の論理インターフェイスは左から右に番号が付けられます。インターフェイスは配線済みです。そのため、ポート 0 は常に論理インターフェイス 0/0、ポート 1 は常に論理インターフェイス 0/1 などになります。
法規制の遵守および安全上の注意事項については、『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco ASR 900 Series Router』マニュアルを参照してください。