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この章では、システムの設置および初期起動中に発生する可能性がある問題の原因を特定できるように、一般的なトラブルシューティングについて説明します。
初回起動時に過熱による障害が起こることはほとんどありませんが、ここでは、内部電圧をモニタする環境モニタリング機能についても説明します。
ここでは、取り付け時のトラブルシューティングについて次の内容を説明します。
ここでは、ルータのトラブルシューティング方法について説明します。トラブルシューティング方法は、ルータの主要サブシステムに基づいて分類されています。
問題を解決できない場合は、製品を購入した代理店にお問い合わせください。お問い合わせの際は、次の情報を準備してください。
•ルータの受領日およびシャーシのシリアル番号(シャーシ背面のラベルに記載されています)。
•取り付けられているラインカードおよび Cisco ソフトウェア リリース番号。
–Cisco ソフトウェア リリース番号を確認するには、 show version コマンドを使用します。
•症状の簡単な説明。および問題を特定したり解決するために行った手順の簡単な説明。
システムの問題を解決するために、問題を特定のサブシステムに限定してください。現在のルータの動作と予期されたルータの動作を比較します。通常、起動時の問題は 1 つのコンポーネントが原因になっているため、各ルータ コンポーネントのトラブルシューティングを行うよりは、各サブシステムを調べる方が効率的です。
この章のトラブルシューティングでは、ルータは次のサブシステムで構成されます。
•電源サブシステム:Cisco ASR 9001 ルータ シャーシには、最大 2 つの AC 入力電源または DC 入力電源モジュールが取り付けられた状態で出荷されます。
•シャーシのバックプレーンによる配電:電源モジュールからシャーシのバックプレーンに +12 VDC の電力が供給され、バックプレーン コネクタを介してすべてのカードに配電されます。ファン トレイは、シャーシ バックプレーンから電力を供給され、RP の CAN バス コントローラと通信します。
•プロセッサ サブシステム:ラインカード付きのアクティブなルート プロセッサ(RP)カードが含まれます。RP には、オンボード プロセッサが搭載されています。RP は、ラインカード プロセッサに Cisco ソフトウェア イメージをダウンロードします。
一般に、電源モジュールと RP のステータス LED を確認すれば、起動シーケンスのどの時点で、どの部分に障害が発生したかを判断できます。
ルータの標準的な起動シーケンスでは、次の一連のイベントおよび状態が発生します。
1. 各電源モジュールのファンに電力が供給され、電源モジュール内に空気が送り込まれます。
電源モジュールの入力電源および出力電源インジケータが点灯します。
表 4-1 に、システムが正常に起動した場合の電源モジュール(AC または DC)、RP、ファン トレイの LED の状態を示します。
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グリーン(ON):入力 AC 電源は正常です。 |
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グリーン(ON):入力 DC 電源は正常です。 |
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ここでは、電源サブシステムのトラブルシューティングについて説明します。
(注) RP カードが電源モジュールと正しく通信するためには、2 台の電源モジュールの少なくとも 1 台に電力が供給されている必要があります。
AC 入力電源モジュールは、RP によって内部温度、電圧、電流負荷がモニタされます。ルータが何らかの値を超過している状態を検出すると、アラームが生成され、対応する警告メッセージがコンソールに表示されます。
図 4-1 に、電源モジュールのステータス インジケータを示します。図の下に、インジケータの定義を示します。
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点灯:電源に障害(過電圧、過電流、過熱、ファン障害)が発生した場合 |
AC 電源モジュールが正常に動作しない場合は、次の手順を実行してトラブルシューティングを行います。
ステップ 1 電源モジュールを取り外して装着し直し、電源モジュールが正しく装着されていることを確認します。以下を確認します。
ステップ 2 ルータの電源がオンで、すべての電源コードが正しく接続されていることを確認します。以下を確認します。
•電源コードが電源モジュールの端末スタッドにしっかりと接続されている。
•電源側の電源コードが専用の AC 電源コンセントにしっかりと差し込まれている。
ステップ 3 電源モジュールのステータス LED インジケータを確認します。
•OK(グリーン)電源 LED:入力 AC 電源に問題がないことを示します。
OK LED が点滅している場合は、AC 電源入力は正常に動作しており、AC 入力電圧が
100 ~ 240 VAC で公称動作範囲内であることを示します。
•FAIL(オレンジ)LED:電源装置の障害を示します。過電圧、過電流、過熱、ファン障害が含まれます。
FAIL LED が点滅している場合は、アラーム状態または電源に関する警告イベントを示します(電源装置は動作を続行します)。高温、高電力、ファン速度低下が含まれます。各電源コードが専用 AC 電源モジュールに接続されていることを確認します。各 AC 電源モジュールが公称範囲 100 ~ 240 VAC で動作しており、15 A(北米)または 10 A(その他の国)以上の電源を供給していることを確認します。
DC 入力電源モジュールは、RP によって内部温度、電圧、電流負荷がモニタされます。ルータが何らかの値を超過している状態を検出すると、アラームが生成され、対応する警告メッセージがコンソールに表示されます。
図 4-1 に、電源モジュールのステータス インジケータを示します。図の下に、インジケータの定義を示します。
DC 電源モジュールが正常に動作しない場合は、次の手順を実行してトラブルシューティングを行います。
ステップ 1 電源モジュールを取り外して装着し直し、電源モジュールが正しく装着されていることを確認します。以下を確認します。
ステップ 2 ルータの電源がオンで、すべての電源コードが正しく接続されていることを確認します。以下を確認します。
•電源コードが電源モジュールの端末スタッドにしっかりと接続されている。
ステップ 3 電源モジュールのステータス LED インジケータを確認します。
•OK(グリーン)電源 LED:入力 DC 電源に問題がないことを示します。
OK LED が点滅している場合は、DC 電源入力は正常に動作しており、DC 入力電圧が -40 ~ -72 VDC で公称動作範囲内であることを示します。
•FAIL(オレンジ)LED:電源装置の障害を示します。過電圧、過電流、過熱、ファン障害が含まれます。
FAIL LED が点滅している場合は、アラーム状態または電源に関する警告イベントを示します(電源装置は動作を続行します)。高温、高電力、ファン速度低下が含まれます。各電源コードが専用 DC 電源モジュールに接続されていることを確認します。各 DC 電源モジュールが公称範囲の -40 ~ -72 VDC で動作していることを確認します。
電源モジュールには、シャーシのハードウェア ID ラベルとは異なるソフトウェア ID があります。 表 4-2 は、電源モジュールのハードウェア ID とソフトウェア ID の対応表です。
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RP とファン トレイの両方が動作していれば、内部の DC 電圧はすべて正常です。
ルータの admin プロンプトで show environment コマンドを入力すると、次の例に示すように、取り付けられているカード、ファン トレイ、電源モジュールの温度と電圧の情報が表示されます。
•バックプレーンに +12 VDC を供給する AC または DC 電源モジュール。
•シャーシ コンポーネントに電圧を送るシャーシ バックプレーン。
•バックプレーンからの +12 VDC をラインカードが必要とする電圧に変換する DC/DC コンバータ。
配電システムのトラブルシューティングを行うには、次の手順を実行します。
ステップ 1 各電源モジュールをチェックして、次の内容を確認します。
•電源モジュールが完全に挿入され、ラッチにより適切に固定されている。
電源モジュールが上記の条件を満たしている場合は、適切な電源が許容値内に存在し、DC 出力電力が存在します。電源モジュールは適切に機能しています。
ステップ 2 ファン トレイが動作していることを確認します。
•ファン トレイが動作している場合、シャーシのバックプレーンからファン トレイへの +12 VDC の供給は正常に機能しています。
•ファン トレイが動作しない場合は、ファン トレイに問題があるか、またはバックプレーンを介したファン トレイへの +12 VDC の配電に問題がある可能性があります。
•ファン トレイを交換しても問題が解決しない場合は、シスコ代理店にお問い合わせください。
ルート プロセッサ サブシステムは、RP カード上のルート プロセッサで構成されています。RP およびラインカードは、それぞれメイン プロセッサと同じ CPU を搭載しています。コントローラ エリア ネットワーク(CAN)マイクロコントローラ プロセッサは、環境を監視し、内蔵 DC-DC コンバータを制御します。
ここでは、ルート プロセッサ サブシステムのトラブルシューティングについて、次の内容を説明します。
•「ラインカード インターフェイスの設定およびトラブルシューティング」
RP カードの CPU は、シャーシの制御および管理、ブート メディア機能、テレコム タイミングと高精度クロック同期、バックプレーン イーサネット ネットワーク経由のラインカードとの通信、および CAN バスを介した電源制御を行います。また、RP カードの CPU はルーティング プロトコルも実行します。
図 4-2 に、RP カード前面パネルのスロット、ポート、LED を示します。
図 4-2 Cisco ASR 9001 ルータシャーシの前面パネル
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RP カードには、システム情報を表示するための 8 つの個別 LED インジケータがあります。
表 4-3 に、システムが正常に起動した場合の RP の前面パネルの 8 個の個別 LED、電源モジュール(AC または DC)の通常の LED の状態、およびファン トレイのディスプレイ定義を示します。
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タイム コア クロック同期がディセーブルであるか、またはタイム コアが GPS および IEEE1588 以外の外部ソースと同期しています。 |
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(電源モジュ ール) |
詳細については、図 4-1を参照してください。 |
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詳細については、図 4-1を参照してください。 |
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(ファン トレイ) |
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RP には、8 ピンのメディア依存型インターフェイス(MDI)RJ-45 管理 LAN ポートが 2 つあり、10 Mbps、100 Mbps、1000 Mbps のイーサネット接続が可能です。これらのポートには、MGT LAN 0 および MGT LAN 1 というラベルが付いています。
イーサネット ポートの伝送速度は、ユーザ設定できません。RP の自動認識方式で速度を設定しますが、速度はイーサネット ポートが接続されているネットワークによって決まります。ただし、自動認識されたデータ伝送速度が 100 Mbps でも、イーサネット ポートが提供する使用可能な帯域幅は実質的には 100 Mbps 未満です。イーサネット接続を使用する場合、予想される使用可能帯域幅は最大約 12 Mbps です。
前面パネルのこれらの LED は、トラフィックのステータスおよびポート選択を示します(図 4-3 を参照)。
•ACT:選択されているイーサネット ポート(ETH 0 または ETH 1)を示します。
(注) RP カードでは両方のポートがサポートされるので、MGT LAN 0 は常に点灯しています。MGT LAN 0 は選択されたときに点灯します。
RP の補助ポートとコンソール ポートは、EIA/TIA-232(RS-232 ともいいます)非同期シリアル ポートであり、外部デバイスを接続してシステムのモニタおよび管理を行います。
•補助ポート:フロー制御をサポートする RJ45 インターフェイスであり、多くの場合モデム、チャネル サービス ユニット(CSU)、または Telnet 管理用のその他のオプション装置の接続に使用します。
アラーム LED は、CAN マイクロコントローラ ソフトウェアによって制御され、さまざまなレベルのアラームを起動するしきい値レベルが設定されます。
RP カードは、温度、電圧、電流、ファン速度について継続的にシステムをポーリングします。しきい値を超えると、RP は該当するアラーム重大度をアラーム カードに設定します。これにより、対応する LED が点灯し、アラーム ディスプレイ リレーが作動して、アラーム ディスプレイに接続された外部音響アラームまたはビジュアル アラームがアクティブになります。また、RP は、システム コンソールにしきい値違反のメッセージも表示します。
(注) 1 つ以上のアラーム LED が点灯する場合は、アラームに関するメッセージが表示されていないかシステム コンソールを確認してください。
通常のラインカードの起動プロセス中に、次のイベントが発生します。
1. ラインカードに電力が供給され、初期化ソフトウェアが実行されます。
2. ラインカードは内部チェックを実行し、Cisco IOS XR ソフトウェアを RP から受け入れるための準備を行います。
3. RP は、ラインカードに Cisco IOS XR ソフトウェアをロードします。
ラインカードが正常に動作していることを確認するには、次の手順に従います。
ステップ 1 LC FAIL LED がグリーンに点灯しているかどうかをチェックして、カードが正常に動作していることを確認します。
ステップ 2 目的のポートの RSP FAIL LED がグリーンに点灯または点滅しているかどうかをチェックして、ポートがアクティブになっていることを確認します。RSP FAIL LED が点灯していない場合は、対応するインターフェイスがシャットダウンされていないことを確認してください。
ステップ 3 上記の条件のいずれかが満たされていない場合は、「ラインカードの高度なトラブルシューティング」を参照して、考えられる原因を特定します。
RP カードの前面パネルの LC FAIL LED または RSP FAIL LED を使用して、正しい動作を確認したり、障害をトラブルシュートしたりできます( 表 4-4 を参照)。
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ラインカードの電源がオフ。ラインカードの電源がオフでない場合でも、上記の状態間の切り替え時に一時的に LED が消灯することがある。 |
ハードウェアの取り付け担当者が LED を確認してラインカードが正常に動作していることを確認したら、ネットワーク管理者は、新しいインターフェイスを設定できます。ここでは、ラインカードの設定およびトラブルシューティングについて説明します。
表 4-5 に、10 ギガビット イーサネット ラインカード上でインターフェイスがイネーブルになったときに存在する、デフォルトのインターフェイス設定パラメータを示します。これらのパラメータの詳細については、Cisco IOS XR ソフトウェア マニュアルを参照してください。
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Cisco ASR 9001 ルータ は、インターフェイス アドレスを、ラック番号、ラインカード スロット番号、インスタンス番号、およびポート番号(ラック/ スロット /インスタンス/ ポート の形式)で識別します。rack パラメータはマルチラック システム専用です。Cisco ASR 9001 ルータ の場合、 rack パラメータは常に 0(ゼロ)です。
ラインカード スロットには 0 の番号が付けられています。また、3 つのサブスロットがあります。ラインカード上のサブスロットには、0、1、2 の番号が付けられています。0 および 1 は EP ポート専用で、2 はラインカード上のネイティブ ポート用です。ラインカードにスロットが 1 つしかない場合でも、ラック/ スロット /インスタンス/ ポート の形式を使用する必要があります。
Cisco IOS XR ソフトウェアのコマンドライン インターフェイス(CLI)には、さまざまなコマンド モードがあります。ラインカードを設定するには、正しいモードを入力してから、必要なコマンドを入力します。
初めてログインすると、自動的に EXEC モードになります。次に、 configure コマンドを入力して、コンフィギュレーション モードにアクセスします。その後、 interface コマンドを入力してインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、インターフェイスを指定します。これで、新しいインターフェイスを設定できるコマンド モードが設定されました。インターフェイスの IP アドレスなど、必要な情報を準備してください。
この手順は、インターフェイスのイネーブル化や、IP ルーティングの指定など、基本的な設定の作成に使用します。システム設定の要件によっては、他の設定サブコマンドを入力する必要もあります。
次に、ラインカードの基本パラメータを設定する方法の 1 つの例を示します。
ステップ 2 show interface コマンドを入力して、各ポートのステータスを確認します。
ステップ 3 グローバル コンフィギュレーション モードを開始し、このコンソール端末がコンフィギュレーション コマンドの実行元となることを指定します。
ステップ 4 プロンプトで、 interface コマンドを入力し、続けて タイプ (たとえば、 gigabitethernet や tengige) とラック/ スロット /インスタンス/ ポート (ラインカード ラック、スロット番号、サブスロット番号、ポート番号)を入力して、設定する新しいインターフェイスを指定します。Cisco ASR 9001 ルータのラックおよびサブスロットの値は常に 0(ゼロ)であることに注意してください。たとえば、ラインカードのベイ 0 のポート 4 を設定するには、次のようにします。
これで、インターフェイス コンフィギュレーション モードになります。
ステップ 5 次のように、 ipv4 address コンフィギュレーション サブコマンドを使用して、インターフェイスに IP アドレスとサブネット マスクを割り当てます。
ステップ 6 インターフェイスをイネーブルにするには、 no shutdown コマンドを使用します。
no shutdown コマンドは、 enable コマンドをラインカードに渡します。このコマンドにより、ラインカードは、受け取った最新のコンフィギュレーション コマンドに基づいて自己設定します。
ステップ 7 Cisco Discovery Protocol(CDP)をディセーブルにする場合は(必須ではありません)、次のコマンドを使用します。
ステップ 8 ルーティング プロトコルをイネーブルにし、インターフェイス特性を調整するために必要なその他のコンフィギュレーション サブコマンドを追加します。このようなサブコマンドの例は、次のとおりです。
ステップ 9 すべてのコンフィギュレーション サブコマンドを入力して設定を完了したら、 commit コマンドを入力して、実行中のコンフィギュレーションに加えたすべての変更をコミットします。
ステップ 10 コンフィギュレーション モードを終了するには、Ctrl+Z を 押します 。commit コマンドを入力していない場合は、入力するように求められます。
コミットする場合は yes、コミットせずに終了する場合は no、終了をキャンセルする場合は cancel(デフォルト)を入力します。
設定が保存されると、システムは OK メッセージを表示します。
現在ルータに取り付けられているすべてのトランシーバ モジュールについて、 show inventory all コマンドを使用して SFP または XFP モジュール情報を表示します。特定のモジュールについて SFP または XFP モジュール情報を表示するには、 show inventory location <スロット ID> コマンド を使用できます。
これらのコマンドの出力として、スロット ID、トランシーバ タイプ、説明、製品 ID、バージョン、シリアル番号などの情報が表示されます。
たとえば、ルータのすべてのモジュールについてモジュール情報を表示するには、次のように入力します。
ここでは、ラインカードに障害が発生した場合に使用できる、高度なトラブルシューティング コマンドについて簡単に説明します。
(注) 以下の説明は、ユーザが Cisco IOS XR ソフトウェア コマンドの使用に関する基本スキルを身に付けていることを前提としています。
ここで示すコマンドを使用することにより、ラインカードで発生している問題の本質を判定できるようになります。第 1 段階は、表示されているラインカード障害またはコンソール エラーの原因を特定することです。
障害が発生している可能性があるカードを見つけるには、次のコマンドの出力を収集する必要があります。
これらの show コマンドの他に、次の情報を収集する必要もあります。
•コンソール ログおよび Syslog 情報:この情報は、複数の症状が発生している場合に非常に重要です。Syslog サーバにログを送信するようにルータを設定している場合、発生した問題に関する情報が表示される場合があります。コンソール ログの場合、最適な方法は、ロギングをイネーブルにしているコンソール ポートのルータに直接接続することです。
•その他のデータ:show tech-support コマンドは、show version、show running-config、 show tech ethernet 、 show tech pfi 、show stacks などのさまざまなコマンドを集積したものです。この情報は、Cisco Technical Assistance Center(Cisco TAC)に関する問題を扱う場合に必要になります。
これらのコマンドおよび結果として生成される出力の使用例については、『Cisco ASR 9000 シリーズ Troubleshooting Guide』を参照してください。
(注) リロードや電源の再投入を行う場合、事前に show tech-support コマンドでデータを収集しておくことが重要です。データを収集していない場合、問題に関するすべてのデータが失われる可能性があります。これらのコマンドの出力は使用しているラインカードによって若干異なりますが、基本的な情報は同じです。
過熱状態が発生した場合、冷却サブシステムのトラブルシューティングが必要になる場合があります。ルータの冷却サブシステムは、シャーシのファン トレイと各電源モジュールのファン 1 つで構成されています。ファン トレイと電源モジュールのファンは、空気を循環させてルータ内の動作温度を許容値内に維持します。
ここでは、冷却サブシステムのトラブルシューティングについて、次の内容を説明します。
ファン トレイは、システムのシャーシに冷気を取り込み、内部コンポーネントの動作温度を許容レベルに維持します。ファン トレイは、シャーシのバックプレーンから電力を供給されます。
ファン トレイは、ファン 14 個、コントローラ カード 1 枚、前面パネル ステータス LED インジケータ 1 個を備えています。
シャーシ内部の空気温度が上昇すると、ブロワー速度が増し、内部コンポーネントに送り込まれる冷気が増えます。内部の空気温度が特定のしきい値を超えて上昇し続けると、過熱による機器の損傷を防止するために、システム環境モニタによってすべての内部電源が遮断されます。
ファン トレイの 1 つまたは複数のファンに障害が発生したことが検出されると、システム コンソールに警告メッセージが表示されます。また、障害が発生したファンを補うために、残りのファンはフル回転で稼働します。
各 AC または DC 電源モジュールにはファンが 1 個搭載されており、冷気を電源モジュール前面から取り込み、シャーシの排気口から暖まった空気を排出します。
•電源の電圧が許容範囲内の場合、電源モジュールのファンは動作を継続します。
–電源モジュールが過熱警告をシステムに送信し、電源が冗長電源モジュールにスイッチオーバーします。
電源モジュールのトラブルシューティングの詳細については、「電源サブシステムのトラブルシューティング」を参照してください。
(注) RSP が電源モジュールと正しく通信するためには、2 台の電源モジュールの少なくとも 1 台に電力が供給されている必要があります。
このコンソール エラー メッセージは、システムが内部の過熱状態または許容範囲外の電力値を検出したことを示します。
先行するメッセージは、コンポーネントまたは温度センサーの障害を示している場合があります。ユーザ EXEC プロンプトで show environment コマンドまたは show environment all コマンドを入力すると、内部システム環境に関する情報が表示されます。これらのコマンドによって表示される情報は次のとおりです。
•RP および LC モジュールのすべてのセンサーによって測定された温度、および各電源モジュールのセンサーによって測定された温度
過熱状態または許容値外の状態によって環境シャットダウンが行われる場合、システムがシャットダウンする前に電源モジュールの Fault インジケータが点灯します。
初回起動時に過熱による障害が起こることはほとんどありませんが、次のことに注意します。
•周囲にある他の機器から排出される熱気が、シャーシのカード ケージ吸気口に入らないこと
•十分なエアー フローを得るために、シャーシおよび電源モジュールの吸気口と排気口に 6 インチ(15.24 cm)以上のスペースを確保して、冷気がシャーシに自由に入り、熱気がシャーシから排出されること
過熱状態になった場合、シャーシの冷却システムの問題を特定するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 システムに電源を入れると、ファン トレイが正常に動作することを確認します。ファン トレイが動作しているかどうかを確認するには、ファン トレイの前面パネルの LED インジケータを確認します。
•OK(グリーン):ファン トレイは正常に動作しており、+12 VDC が供給されています。シャーシ バックプレーンからファン トレイへのケーブルは正常であることを示します。
•Fail(赤):ファン トレイ内で障害が検出されました。ファン トレイを取り付けます。
•どちらのインジケータも点灯せず、送風器が動作していない場合は、ファン トレイ、またはファン トレイへの +12 VDC 電源供給に問題がある可能性があります。ステップ 2 に進みます。
ステップ 2 ファン トレイを取り外して装着し直し、非脱落型ネジを10 +/-1 インチ ポンドのトルクでしっかり締めます。
ファン トレイがそれでも機能しない場合は、ステップ 3 に進んでください。
ステップ 3 各電源モジュールの LED インジケータを調べて +12 VDC 電源を確認します。
•各電源モジュールの Pwr OK インジケータが点灯し、Fault インジケータが消灯している場合は、ファン トレイに +12 VDC が供給されています。
–ファン トレイが機能しない場合は、ファン トレイ コントローラ カードに問題があるか、ファン トレイ ケーブルに検出されていない問題がある可能性があります。ファン トレイを取り付けます。
–新しいファン トレイが動作しない場合は、シスコ カスタマー サービス担当者に連絡してください。
•Fault インジケータが点灯している場合は、電源モジュールに障害が発生しています。電源装置を交換してください。
•Temp および Fault インジケータが点灯している場合は、過熱状態になっています。
–電源モジュールのファンが正常に動作していることを確認します。