この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
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この章では、シスコによるテストと検証が行われた Cisco Unified Communications 展開モデルの概要を説明します。これらのモデルのみが、Cisco Unified Communications Systemを導入できるモデルではありません。また、このモデルが推奨する設計でもありません。これらは、一般的なシステムレベルの要件に対応した構成を例示するための設計です。
エンタープライズ ネットワーキング ソリューションを実装するための追加のガイドライン、推奨事項、およびベスト プラクティスについては、 Cisco Solution Reference Network Design(SRND) のガイドおよび関連資料を参照してください。これらの資料は、以下の URL にあります。
各展開モデルのコンポーネントの詳細など、展開モデルに関する詳しい情報については、以下の URL で「 Cisco Unified Communications System Technical Information Site 」を参照してください。
http://www.cisco.com/go/unified-techinfo
• 「展開の概要」
以下の基準に基づいて、さまざまな企業に対する Cisco Unified Communications の展開例を示します。
単一サイト モデルは、ほとんどまたはすべての従業員が IPC ユーザである独立したオフィス向けに設計されています。このモデルは、最大 30,000 ユーザをサポートします。
図2-1 に、このモデルの例を示します。
単一サイト モデルは、1 箇所で、基本的な呼処理、ある程度のコンタクト センター機能、基本的なメッセージングおよび会議機能を必要とする、中規模企業と行政の事業所に最適です。これには、法律事務所、会計事務所、地方公共団体の事務所などが含まれます。
単一サイト モデルは、ローカルで運営と管理ができるように設計されています。有線または無線 LAN で運用できます。市内通話および長距離通話には、T1/E1 CAS および PRI のさまざまな組み合わせによる PSTN とのゲートウェイ接続を使用します。
単一サイト モデルには、オペレータおよび管理アシスタントにとって柔軟な通信機能があります。重役向けの電話もあり、そのいくつかはビデオ対応になっています。その他のほとんどの従業員は、ワイヤレス電話を含むデジタル電話と、このモデルが提供している音声メッセージング システムを使用しています。さらに、スタッフの中には受注を受けたり技術サポートを提供したりする人もいます。このモデルには、これらの要件に対応するための基本的なコンタクト センター機能があります。
設備、出荷および荷受け担当従業員など、ユーザの中には携帯電話が必要な人もいます。このモデルでは、これらのユーザ向けにキャンパス内デバイス モビリティ機能がが提供されます。
単一サイト モデルは、多様な先進機能を提供するアプリケーションをサポートしています。対象となるアプリケーションは、以下の通りです。
–Cisco Unified Communications Manager
–Cisco Unified Communications Manager Express
–Cisco Unified Communications Manager Business Edition
–Cisco Unified Contact Center Express
–Cisco Unified Contact Center Enterprise
–Cisco Unified Customer Voice Portal
• インスタント メッセージングとプレゼンス:Cisco Unified Presence
–Cisco Unified MeetingPlace Express
–Cisco Unified Videoconferencing
–Cisco Unified Communications Manager Serviceability Tools
–Cisco Unified Operations Manager
–Cisco Unified Service Monitor
–Cisco Unified Service Statistics Manager
–Cisco Unified Provisioning Manager
–Cisco Monitor Manager および Monitor Director(Cisco Unified Communications Manager Express や Cisco Unity Express を使用した中小規模の展開向け)
マルチサイト集中呼処理モデルは、大規模な中央または本社サイトと複数のリモートまたはブランチ サイトのある分散型企業向けに設計されたものです。このモデルは、最大 1,000 のサイトに分散する、合計 30,000 台までの電話をサポートします。利用可能な帯域幅に基づいて、各サイトでは全体で合計 30,000 台までの任意の数のユーザをサポートできます。
図2-2 に、このモデルの例を示します。
マルチサイト集中呼処理モデルでは、各ブランチ サイトは WAN を通じて本社サイトに接続されています。ブランチ サイトは、呼処理機能を本社サイトから受信します。各ブランチでのフェールオーバー機能により、本社サイトへの WAN 接続が失われた場合にも継続して動作できます。ブランチ サイトには、小規模のコンタクト センター機能が含まれています。
本社とブランチ サイト間の WAN 接続は、フレームリレー、MPLS、またはサイト間 VPN を使用できます。各ブランチ サイトは、有線または無線 LAN で運用可能です。
本社サイト内の従来型 PBX との接続には、T1/E1 CAS、PRI、Q SIG、および DPNSS を使用できます。本社サイトでの PSTN への接続は、T1/E1 CAS および PRI のさまざまな組み合わせで提供できます。
市内通話には、ゲートウェイ接続を使用します。ブランチ サイトの長距離通話では、オンネット通話の場合は WAN を使用します。オフネットの長距離トラフィックは、WAN を通じて 1 つまたは複数のドロップオフ ゲートウェイにバックホールされます。
本社での職務とエンドポイントは、「単一サイト モデル」で説明しているものと同じです。ブランチ サイトは、本社サイト内の呼処理機能にアクセスします。重役向けの電話がいくつかありますが、ほとんどの従業員はデジタル電話と中央のメッセージング システムを使用しています。
スタッフの中には受注を受けたり技術サポートを提供したりする人もいます。このモデルでは、これらの要件に対応するための基本的なコンタクト センター機能がブランチで提供されます。
マルチキャスト集中呼処理モデルは、全サイトに包括的な機能を提供するアプリケーションをサポートしています。対象となるアプリケーションは、以下の通りです。
–Cisco Unified Communications Manager(中央サイト)
–固定化されているリモートの在宅勤務アプリケーション向けに Cisco Unified Communications Manager Express(中央サイト)
–Cisco Unified Communications Manager Business Edition(中央サイト)
–Unified SRST または SRST モードの Cisco Unified Communications Manager Express(ブランチ サイトで Cisco Unified Communications Manager のバックアップ用、ブランチまたは中央サイトで Cisco Unified Communications Manager Business Edition のバックアップ用)
–Cisco Unified Contact Center Enterprise(本社)
–Cisco Unified Contact Center Express(本社ベース)
–Cisco Unified Customer Voice Portal(本社またはブランチでのキューイングおよびセルフサービス用)。Unified Customer Voice Portal は、インタラクティブな VoiceXML ベースの応答(IVR)ソリューションで、Voice over IP(VoIP)ネットワーク上でキャリアクラスの IVR と IP スイッチング サービスを提供します。Unified CVP と Unified Contact Center Enterprise を統合したり、セルフサービス IVR ソリューションとして展開できます。
–集中的なキューイング用の Cisco Unified IP IVR
• インスタント メッセージングとプレゼンス:Cisco Unified Presence(本社ベース)
–Cisco Unified MeetingPlace(本社ベース)
–Cisco Unified Videoconferencing
–Cisco Unified Operations Manager(本社ベース)
–Cisco Unified Service Monitor(本社ベース)
–Cisco Unified Service Statistics Manager(本社ベース)
–Cisco Unified Provisioning Manager
–Cisco Monitor Manager および Monitor Director(Cisco Unified Communications Manager Express および Cisco Unity Express を使用した展開の監視用、または Cisco Unified Communications Manager のバックアップとして SRST モードの Cisco Unified Communications Manager Express を使用した展開の監視用)
マルチサイト分散呼処理モデルは、ユーザ数が多かったり、数多くのサイトが地理的に分散しているために、複数の呼処理サイトが必要な企業向けに設計されたものです。このモデルは、複数の Cisco Unified Communications Manager クラスタや Cisco Unified Communications Manager Express プラットフォームが必要な展開に最適です。このモデルの各呼処理サイトは、単一サイト モデル(単一サイト モデル参照)またはマルチサイト集中呼処理モデル(マルチサイト集中呼処理モデル参照)で構成され、それぞれ共通のダイヤル プランと機能セットを有しています。
図2-3 に、このモデルの例を示します。
マルチサイト分散呼処理モデルは、さまざまな地域にある複数のサイトで構成された企業向けです。これには、技術、製造、運輸、流通、物流企業などがあります。
マルチサイト分散呼処理モデルの各サイトは、有線または無線 LAN で運用できます。サイト間 WAN 接続には、フレームリレー、MPLS、またはサイト間 VPN を使用できます。各ブランチ サイトは、有線または無線 LAN で運用可能です。
市内通話には、各サイトのゲートウェイ接続を使用します。各サイトの長距離通話では、オンネット通話用の場合は WAN を使用します。オフネットの長距離トラフィックは、WAN を通じて 1 つまたは複数のドロップオフ ゲートウェイにバックホールされます。
マルチサイト分散呼処理モデルの各サイトのユーザの職務とエンドポイントは、「マルチサイト集中呼処理モデル」で説明したものと同じです。
マルチサイト分散呼処理モデルは、強力かつ柔軟で、スケーラブルな機能を提供するアプリケーションをサポートします。対象となるアプリケーションは、以下の通りです。
–Cisco Unified Communications Manager(大規模サイトまたは環境)
–Cisco Unified Communications Manager Business Edition
–Cisco Unified Communications Manager Express(小規模サイトまたは環境)
–Cisco Unified Contact Center Enterprise(1 つまたは複数の場所)
–Cisco Unified IP IVR(集中的なキューイング用)
–Cisco Unified Customer Voice Portal(集中的/分散型のキューイングとセルフサービス用)。Unified Customer Voice Portal は、インタラクティブな VoiceXML ベースの応答(IVR)ソリューションで、Voice over IP(VoIP)ネットワーク上でキャリアクラスの IVR と IP スイッチング サービスを提供します。Unified CVP と Unified Contact Center Enterprise を統合したり、セルフサービス IVR ソリューションとして展開できます。
• インスタント メッセージングとプレゼンス: Cisco Unfied Presence(1 つまたは複数の場所)
–Cisco Unified Videoconferencing
–Cisco Unified Operations Manager
–Cisco Unified Service Monitor
–Cisco Unified Service Statistics Manager
–Cisco Unified Provisioning Manager
IP WAN を介したクラスタ化呼処理モデルは、QoS 機能に対応した IP WAN によって接続された複数のサイトにわたって多くのユーザを抱える企業向けに設計されたものです。IP WAN を介したクラスタ化は、次の 2 つの展開モデルをサポートしています。
ローカル フェールオーバーには、両者間に WAN のない Unified Communications Manager サブスクライバとバックアップ サーバを同じサイトに配置する必要があります。この展開モデルは、 2 ~ 4 のサイトで Unified Communications Manager をを使用する場合に最適です。
リモート フェールオーバーにより、プライマリおよびバックアップ呼処理サーバを WAN を介して分割するように展開できます。この展開モデルを使用すると、サイトを 8 つまで展開でき別のサイトにある Unified Communications Manager サブスクライバによって、Unified Communications Manager サブスクライバをバックアップできます。
また、特定のサイト要件を満たすために、2 つの展開モデルを組み合わせて使用することもできます。たとえば、2 つのメイン サイトにはそれぞれプライマリおよびバックアップ サブスクライバがあり、残りの 2 つのサイトにはそれぞれプライマリ サーバのみが含まれていて、2 つのメイン サイトにある共有バックアップまたは専用バックアップを利用します。
IP WAN を介したクラスタ化呼処理モデルは、IP WAN を介して接続されているさまざまな地域にある複数のサイトで構成された企業向けです。これには、技術、製造、運輸、流通、物流企業などがあります。
IP WAN を介したクラスタ化呼処理モデルにあるローカル フェールオーバーおよびリモート フェールオーバー サイトは、IP WAN を介して運用されています。サイト間 WAN 接続には、フレームリレー、MPLS、またはサイト間 VPN を使用できます。
IP WAN は、以下の最大遅延および最小帯域幅要件に対応する必要があります。
• Unified Communications Manager クラスタ内にある任意の 2 サーバ間で許容される最大 Round-Trip Time(RTT; ラウンドトリップ時間)は、80 ms です。
• WAN を介してクラスタ化されているサイト間で、10,000 Busy Hour Call Attempts(BHCA)ごとに最小で 1.544 Mbps(T1)の帯域幅が Intra-Cluster Communication Signaling(ICCS)に必要です。これは呼制御トラフィックの最小帯域幅要件で、WAN を介してクラスタ化されているサイト間でディレクトリ番号が共有されていない展開に該当します。
• ICCS トラフィックで必要な帯域幅に加えて、すべてのリモート サブスクライバ サーバに対してデータベースおよびその他のサーバ間トラフィック用に、最小で 1.544 Mbps(T1)の帯域幅が必要です。
IP WAN ネットワークは、特に優先 ICCS トラフィックなど、すべての ICCS トラフィックに対して十分な優先帯域幅を提供するように設計してください。輻輳およびパケット損失を避けるために、標準 QoS メカニズムを実装してください。回線エラーやその他の状態によってパケットが消失した場合、信頼性のある送信用に TCP プロトコルを使用しているため、ICCS パケットが再送信されます。再送信が行われると、確立、切断(ティアダウン)、または通話中のその他の補完サービスの際に遅延が発生する場合があります。
IP WAN 遅延、帯域幅要件、QoS エンジニアリングの詳細については、Unified Communications SRND の「 Unified Communications Deployment Models 」の章にある「 Clustering Over the IP WAN 」を参照してください( http://www.cisco.com/go/srnd )。
IP WAN を介したクラスタ化呼処理モデルのローカル フェールオーバーおよびリモート フェールオーバー サイトのユーザの職務とエンドポイントは、「マルチサイト集中呼処理モデル」で説明したものと同じです。
IP WAN を介したクラスタ化呼処理モデルは、強力かつ柔軟で、スケーラブルな機能を提供するアプリケーションをサポートします。対象となるアプリケーションは、以下の通りです。
–Cisco Unified Communications Manager(サブスクライバとバックアップ)
–Cisco Unified Communications Manager Express(小規模サイトまたは環境)
–Unified SRST または SRST モードの Cisco Unified Communications Manager Express
–Cisco Unified Contact Center Enterprise
–Cisco Unified IP IVR(集中的なキューイング用)
–Cisco Unified Customer Voice Portal(集中的/分散型のキューイングとセルフサービス用)。Unified Customer Voice Portal は、インタラクティブな VoiceXML ベースの応答(IVR)ソリューションで、Voice over IP(VoIP)ネットワーク上でキャリアクラスの IVR と IP スイッチング サービスを提供します。Unified CVP と Unified Contact Center Enterprise を統合したり、セルフサービス IVR ソリューションとして展開できます。
• インスタント メッセージングとプレゼンス: Cisco Unfied Presence
–Cisco Unified Videoconferencing
–Cisco Unified Operations Manager
–Cisco Unified Service Monitor
–Cisco Unified Service Statistics Manager
–Cisco Unified Provisioning Manager
–Cisco Monitor Manager および Monitor Director(Cisco Unified Communications Manager のバックアップとして SRST モードの Cisco Unified Communications Manager Express の展開用)
表2-1 に、各 Cisco Unified Communications 展開モデルに含まれる主なシスコのコンポーネントを示します。