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この章では、お使いの Cisco AVVID ネットワークにブランチ オフィスを追加する際の設計に関する考慮事項、およびその推奨事項について説明します。
ユーザが 100 人までのブランチ オフィスを設計するときは、従来は、1 台のブランチ ルータと 1 台のイーサネット スイッチで構成しています。そのルータは、すべての IP ルーティングと WAN 接続を処理します。ローカル PC はすべて小規模のイーサネット スイッチに接続され、このスイッチもその 1 台のルータに接続されています。ブランチ オフィス内での音声品質については、次に示す重要な 2 つの課題があります。
この章では、ブランチ オフィスの設計、IP アドレッシング、およびブランチ オフィス内での音声品質を説明します。WAN を介した音声品質を確保するための WAN QoS ツールの詳細は、第 5 章「ワイドエリア ネットワークの実装」で説明します。
図 4-1 では、ブランチ オフィス内で QoS が問題になることがある領域を示します。
図 4-1 ブランチ オフィス接続のための QoS に関する考慮事項
一般に、ブランチ オフィスを設計する場合、各オフィスに使用される IP サブネットは 1 つだけです。このサブネットを変更する設定は、現実的には行われていません。サブネットを変更すると、企業全体のルーティング方式に影響を与えてしまうからです。したがって、実際のブランチ オフィス設計では、IP 電話のオプションには次の 3 つの IP アドレッシングを検討する必要があります。
• 既存のリモート オフィス IP アドレス スペースをサブネットに分割することにより、VLAN を 2 つ設定し、ルータがトランキングをサポートする場合は 802.1Q を使用する。
• 既存のリモート オフィス IP アドレス スペースをサブネットに分割することにより、VLAN を 2 つ設定する。また、ルータのイーサネット インターフェイス上でセカンダリ IP アドレッシングを使用する(ルータがトランキングをサポートしている場合)。
• 各リモート オフィスについて単一の IP アドレス スペースと単一の VLAN を使用する。
この章で説明する各シナリオでは、ブランチ オフィス内で IP 電話を設置するのに単一のケーブルを使用します。これは、今日、最も一般的に行われている方法論であるためです。図 4-2 では、この章に説明しているブランチ オフィス設定の一般的なモデルを示します。
音声とデータには、ブランチ オフィスの既存の IP アドレス スペースをセグメント化するオプションがある場合は、必ず、音声とデータ用に個別の VLAN を使用してください。現在の Catalyst 3500 および 4000 シリーズなど、レイヤ 2 サービスのみをサポートするイーサネット スイッチは、ほとんどのブランチ オフィス設計で使用されています。この場合、ブランチ WAN ルータは、個別の VLAN をイーサネット スイッチからトランクします。これは、ルータおよびスイッチ上で 802.1Q トランキングを使用して行われます。
このガイドでは、イーサネット スイッチでの優先順位を提供するのには、802.1Q 標準ヘッダ内の 802.1p 部分にあるユーザ プライオリティ ビットが使用されます。これは、Cisco AVVID ネットワークを設計する際の重要な要素です。Cisco IOS リリース 12.1(5)T には、モジュラ CLI QoS コードが組み込まれています。これらコードが追加されたことにより、ブランチ オフィス Catalyst イーサネット スイッチ上で適切なキューイングが行われるように、WAN からのレイヤ 3 タグ付き VoIP パケットのマッピングを該当のレイヤ 2 の 802.1D ユーザ プライオリティ マーキングで分類することができます。
本社では、Catalyst 6000 が、すべてのレイヤ 3 の ToS 設定を入力インターフェイスにある正しいレイヤ 2 の CoS 値に関連付けます。
次の Catalyst 3600 設定には、着信音声パケット用のレイヤ 3 からレイヤ 2 への分類マッピングが組み込まれています。
次の例では、802.1Q トランキングを使用する Catalyst 4000 のためのブランチ オフィス設定を示します。
次の例では、802.1Q トランキングを使用する Catalyst 3500 のためのブランチ オフィス設定を示します。
ブランチ ルータが 802.1Q トランキングをサポートしていない場合、それでも音声およびデータのための個別の VLAN をお奨めします。たとえば、Cisco 1750 ルータはトランキングをサポートしていませんが、それでも音声トラフィックとデータ トラフィックを論理的に分離することをお奨めします。トランキングに代わるのは、Cisco ルータ上でセカンダリ IP アドレッシングを使用することです。次の例では、ブランチ オフィスにある Cisco 1750 のためのこのタイプの設定を示します。
リモート ブランチ ルータも、VoIP 制御トラフィックを分類して、ローカル サブネットを超えて、WAN を介して Cisco CallManager または VoIP ゲートウェイに向かう必要があります。この VoIP 制御トラフィックの分類は、入口イーサネット インターフェイス上でポリシー ベースのルーティングおよびルート マップを使用することによって行われます。
(注) リリース 3.0(5) から、Cisco CallManager には、Cisco CallManager、IP 電話、および Skinny プロトコル ゲートウェイ(AT および AS モデル アナログ ゲートウェイはこれには含まれません)からのすべての VoIP 制御および管理トラフィックについて CoS および ToS 値を設定する機能が組み込まれています。このユーザ設定可能な分類があれば、Skinny プロトコル VoIP 制御トラフィックにマークを付けるのにネットワーク要素アクセス リストはもう不要です。H.323 およびメディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)トラフィックでは、まだ数ヶ月間は、外部ネットワーク要素マーキングが必要です。
次の例では、ブランチ オフィスにおける VoIP 制御トラフィックのための設定を示します。
IP 電話用の追加の IP サブネットを割り当てるか、または既存の IP アドレス スペースを分割してリモート ブランチにある追加のサブネットに入れることが実際的でない場合は、ブランチ オフィスに単一の IP アドレス スペースを使用することが必要です。この場合、レイヤ 2 およびレイヤ 3 の両方で音声にデータより上位の優先順位を設定する必要があります。
第 2 章「IP 電話の接続」で説明のとおり、レイヤ 3 分類についてはすでに対処されています。電話はすべてのメディア ストリーム内のタイプ オブ サービス(ToS)ビットを 5 という IP Precedence 値に設定するためです。(Cisco CallManager リリース 3.0(5) では、このマーキングは、EF という差分サービス コード ポイント(DSCP;Differentiated Services Code Point)値に変更されました。)ただし、ブランチ オフィス スイッチ内の複数のキューに対する許可を得るためにレイヤ 2 分類が確実に存在するようにするには、電話は、レイヤ 2 の 802.1p ヘッダー内のユーザ優先度ビットを使用して、サービス クラス(CoS)マーキングを提供することも必要です。これは、ネイティブ VLAN 上でスイッチに 802.1p ヘッダーを検索させることによってのみ行えます。ほとんどのブランチ オフィス設計で採用されている 2 つのイーサネット スイッチ、Catalyst 3500 および 4000 では、次の項で説明されているとおり、これを実行するには、異なる設定コマンドを使用します。
Cisco 1750 シリーズ ルータは、スイッチ間リンクまたは 802.1Q イーサネット トランキングのどちらもサポートしていません。次の例では、Cisco 1750 ルータの単一サブネット設定を示します。
Catalyst 3500 は、補助 VLAN を設定するときに 802.1p 専用オプションの使用をサポートします。これにより、IP 電話は、ネイティブ VLAN 上で CoS 値の 5 を指定して VoIP パケットにタグを付けることができますが、すべての PC データ トラフィックはタグなしで送信されます。次の例では、Catalyst 3500 の単一サブネット設定を示します。
次の例では、Catalyst 2600 の単一サブネット設定を示します。
Catalyst 4000 は、Catalyst 3500 および 6000 とは異なり、補助 VLAN を設定するための dot1p 専用オプションをサポートしていません。次善策として、Catalyst 4000 に接続されている IP 電話を設定します。そうすると、補助 VLAN ID は、ポート VLAN ID(PVID)またはネイティブ VLAN ID と一致します。これにより、電話では、そのパケットを CoS 値 5 のタグ付きで送信できます。次の例は、Catalyst 4000 についてのこの構成を示しています。
この章で説明のとおり、Cisco AVVID ネットワーク上にブランチ オフィスを設定する際には、以下の一般的なガイドラインおよび推奨事項が適用されます。
• ブランチ WAN ルータは、Cisco AVVID ネットワークの拡張 QoS ツールをサポートする必要があります。
• 現在、ルータ内でレイヤ 3 の ToS 分類をレイヤ 2 の CoS に渡す方法はありません。ただし、Cisco IOS の今後のリリースには、これらのマッピングを可能にする追加の QoS 機能が含まれる予定です。