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この章では、Cisco Digital Media Suite(DMS)フェールオーバー コンフィギュレーションについて説明します。このコンフィギュレーションでは、一方で障害が発生した場合にもう一方がその動作を引き継ぐように 2 台の Cisco DMS アプライアンスを設定することができます。
• 「概要」
• 「フェールオーバー コンフィギュレーションに関する特記事項」
• 「次の手順」
Cisco DMS アプライアンスは、ステートレスなアクティブ/スタンバイ フェールオーバー コンフィギュレーションで設定できます。フェールオーバー コンフィギュレーションには、専用のフェールオーバー リンクで相互に接続した同一の Cisco DMS アプライアンスが 2 台必要です。アクティブ ユニットの状態がモニタされて、所定のフェールオーバー条件に一致しているかどうかが判別されます。所定の条件に一致すると、フェールオーバーが行われます。
• 「サポートされるフェールオーバー コンフィギュレーション」
このマニュアルでは、フェールオーバー コンフィギュレーションを説明する際に次の用語を使用します。
• アクティブ アプライアンス :ユーザの要求に現在応答しているアプライアンス。アクティブ アプライアンスへのアクセスには、必ず仮想 IP アドレスおよび仮想 FQDN を使用します。
• アプリケーション インターフェイス :ユーザが接続する Cisco DMM アプライアンスまたは Cisco Show and Share アプライアンス上のインターフェイス。このインターフェイスを介して、状態のモニタリングも行われます。
• 専用 FQDN :アプライアンスに割り当てられている FQDN。この FQDN は、フェールオーバー中もアプライアンスで引き続き使用されます。アプライアンスにはこの FQDN を介して到達できますが、スタンバイ アプライアンスの AAI インターフェイスにアクセスする場合にのみ使用する必要があります(スタンバイ状態のアプライアンスの GUI にはアクセスできません)。
ユーザは、アクティブ アプライアンス上の Cisco DMM または Cisco Show and Share の GUI へのアクセスに、専用 FQDN を使用しないようにする必要があります。アクティブ アプライアンスの GUI にアクセスする場合は、仮想 FQDN を使用する必要があります。
• 専用 IP アドレス:アプライアンスに割り当てられている IP アドレス。この IP アドレスは、フェールオーバー中もアプライアンスで引き続き使用されます。
• プライマリ アプライアンス :フェールオーバー ペアで最初にアクティブ状態になり、初期設定時にデータ ソースとなるアプライアンス。既存の Cisco DMS インストレーションにフェールオーバーを追加すると、既存の Cisco DMS アプライアンスがプライマリ アプライアンスになります。仮想 IP アドレスと仮想 FQDN は、プライマリ アプライアンスから取得されます。
• 複製インターフェイス :フェールオーバー ペアの 2 台のアプライアンスを接続するインターフェイス。このインターフェイスを介して、状態のモニタリングとデータ複製が行われます。複製インターフェイスを介して Cisco DMM または Cisco Show and Share の GUI にアクセスすることはできません。
• セカンダリ アプライアンス :最初はスタンバイ状態になるアプライアンス。既存の Cisco DMS インストレーションにフェールオーバーを追加すると、既存のコンフィギュレーションに追加するアプライアンスがセカンダリ アプライアンスになります。
• スタンバイ アプライアンス :ユーザの要求にアクティブに応答していないアプライアンス。スタンバイ アプライアンスは、フェールオーバーのトリガーに備えてアクティブ アプライアンスの状態をモニタします。フェールオーバー中は、スタンバイ アプライアンスがアクティブになり、仮想 IP アドレスおよび FQDN を引き継ぎます。
• 仮想 FQDN :どの物理アプライアンスがアクティブ アプライアンスであるかに関係なく、アクティブ アプライアンスが使用する FQDN。ユーザと管理者が Cisco DMM または Cisco Show and Share アプライアンス インターフェイスにアクセスするには、必ず仮想 FQDN を使用する必要があります。
• 仮想 IP アドレス :どの物理アプライアンスがアクティブ アプライアンスであるかに関係なく、アクティブ アプライアンスが使用する IP アドレス。アクティブ アプライアンスで障害が発生した場合は、スタンバイ アプライアンスがアクティブとなって仮想 IP アドレスを使用します。
フェールオーバーは、Cisco Digital Signs および Cisco Show and Share の実装でサポートされます。各タイプのフェールオーバー サポートの詳細については、次のトピックを参照してください。
Cisco Digital Signs の実装では、プライマリ Cisco DMM アプライアンスを、スタンバイ アプライアンスとして機能するセカンダリ Cisco DMM アプライアンスとペアにする必要があります。これらのアプライアンスのアプリケーション インターフェイス(ギガビット イーサネット 1)は、同じサブネット上にある必要があります。2 台のアプライアンスは、ギガビット イーサネット 2 インターフェイス上でクロス ケーブル(図 1-1 を参照)またはスイッチ(図 1-2 を参照)によって接続されます。この接続は、フェールオーバーの状態のモニタ、およびアプライアンス間のデータの複製を行うために使用されます。
図 1-1 クロス ケーブルを使用した Digital Signs フェールオーバー
図 1-2 スイッチを使用した Digital Signs フェールオーバー
Cisco Show and Share アプライアンスで Cisco DMS インストレーションを使用している場合は、Cisco Digital Signs の実装に対するフェールオーバー サポートのみが必要である場合でも、Cisco Show and Share のフェールオーバー コンフィギュレーションを使用する必要があります(「Cisco Show and Share」を参照)。
Cisco Digital Signs フェールオーバーの設定方法の詳細については、「Cisco Digital Signs フェールオーバー コンフィギュレーション」を参照してください。
Cisco Show and Share フェールオーバー コンフィギュレーションには、次のデバイスが必要です。
• プライマリおよびセカンダリ Cisco DMM アプライアンス。アプリケーション インターフェイス(GE 1)は、同じサブネット上にある必要があります。これらのアプライアンスは、複製インターフェイス(GE 2)上でクロス ケーブルまたはスイッチによって接続されている必要があります。アプリケーション インターフェイスは、複製インターフェイスとは別のサブネット上にある必要があります。
• プライマリおよびセカンダリ Cisco Show and Share アプライアンス。アプリケーション インターフェイス(GE 1)は、同じサブネット上にある必要があります。ただし、アプリケーション インターフェイスが Cisco DMM アプライアンスとは別のサブネット上にあってもかまいません。これらのアプライアンスは、複製インターフェイス(GE 2)上でクロス ケーブルまたはスイッチによって接続されている必要があります。アプリケーション インターフェイスは、複製インターフェイスとは別のサブネット上にある必要があります。
(注) Cisco Show and Share アプライアンスのみにフェールオーバーを設定することはできません。Cisco Show and Share と Cisco DMM の両方のアプライアンスにフェールオーバーを設定する必要があります。
図 1-3 は、Cisco Show and Share フェールオーバー コンフィギュレーションの例を示しています。
図 1-3 Cisco Show and Share フェールオーバー コンフィギュレーション
Cisco Show and Share フェールオーバーの設定方法の詳細については、「Cisco Show and Share フェールオーバー コンフィギュレーション」を参照してください。
• スタンバイ デバイスがアクティブ デバイスからのハートビート メッセージの受信に 10 回失敗。
ハートビート メッセージは、1 秒に 1 回送信されます。ハートビートを 10 個連続で受信できなかった場合は、フェールオーバーが発生します。
• AAI インターフェイスを使用して次のサービスを手動で再起動。
• 停電(アプライアンスの電源をオフにしたか、一般的な電源障害が発生したため)。
• アクティブ アプライアンスで実行されているモニタ対象サービスで障害カウントのしきい値(5)に到達。サービスが停止すると、アプライアンスは自動的にそのサービスの再起動を試みます。サービスで障害が発生するたびに、障害カウンタが増加します。いずれかのサービスで障害カウンタが 5 に到達すると、フェールオーバーがトリガーされます。カウンタをクリアするには、アプライアンスをリブートする必要があります。詳細については、「マイナー障害イベントの回復」を参照してください。
アクティブなユニットで 1 つのディスクに障害が発生した場合は、フェールオーバーが発生しません。フェールオーバーを行うには、アクティブ アプライアンスをリブートして強制的にフェールオーバーする必要があります。アクティブなユニットで複数のディスクに障害が発生した場合は、フェールオーバーが発生します。ディスク障害からの回復の詳細については、「メジャー障害イベントの回復」を参照してください。
1. フェールオーバー イベントが発生します。これにより、障害のタイプに応じてアクティブ アプライアンスがダウンまたは不明な状態になります。「ダウン」通知が送信されます。
2. 仮想 FQDN および IP アドレスを使用して、スタンバイ アプライアンスがアクティブ状態になります。
3. 新しいアクティブ アプライアンスがアプリケーション サービスを再起動します。Cisco Show and Share アプライアンスの場合は、この処理に最大で 3 分かかることがあります。「アップ」通知が送信されます。
4. 障害の発生したアプライアンスがオンラインに戻ると、そのアプライアンスはスタンバイ ユニットになり、ハートビート要求の送信を開始します。
フェールオーバーはステートレスです。このため、アプライアンスとのアクティブなセッションを確立していたユーザは、再接続する必要があり、ログインしていた場合は再度ログインする必要があります。
ユーザが外部サーバでホストされている Cisco Show and Share ビデオを表示していた場合は、ユーザがアプリケーションの操作を試みるまで、ビデオが引き続き再生されます。ユーザが Cisco Show and Share からストリーミングされるビデオを表示していた場合は、ビデオの再生が停止されます。
フェールオーバー発生時にユーザがビデオをアップロードまたはパブリッシュしていた場合は、プロセスが失敗し、ユーザはビデオを再度アップロードまたはパブリッシュする必要があります。
• 各アプライアンス ペアのアプリケーション インターフェイスは、同じサブネット上にある必要があります(ただし、Cisco DMM ペアと Cisco Show and Share ペアは、同じサブネット上にある必要はありません)。
• 各アプライアンス ペアの複製インターフェイスは、同じサブネット上にある必要があります。ただし、アプリケーション インターフェイスと同じサブネット上に置くことはできません。
• フェールオーバーを設定するには、事前にセカンダリ アプライアンス ペアに基本ライセンスをインストールする必要があります。
• フェールオーバーのアクティブ化と複製には、最大で 15 時間かかることがあります。
– アクティブ化フェーズ(所要時間最大 20 分)では、エンド ユーザが Cisco DMM および Cisco Show and Share アプリケーションを使用できなくなります。
– 複製フェーズでは、ユーザが Cisco Show and Share でのビデオの表示およびアップロードを行うことができますが、パフォーマンスが低下する可能性があります。
– アクティブ化および複製の実行中は、コンフィギュレーションの変更や管理上の変更を行わないでください。
• Cisco Show and Share アプライアンスのみのフェールオーバー コンフィギュレーションは設定できません。
• スタンバイ アプライアンスの GUI にはアクセスできません。スタンバイ アプライアンスの AAI インターフェイスには、専用 IP アドレスまたは専用 FQDN を使用してアクセスできます。スタンバイ アプライアンスに対してコンフィギュレーションの変更を行わないでください。
• スタンドアロン モードの一連のアプライアンスから作成したバックアップを、フェールオーバー クラスタ上で復元することはできません。ただし、フェールオーバー クラスタ内のアクティブなデバイスから作成したバックアップを、スタンドアロン モードに変換されるアプライアンス上で復元することは可能です。
• フェールオーバーを設定する前に、プライマリ アプライアンス ペアに外部の証明書をインストールします。証明書の期限が切れたときは、仮想 FQDN を使用して新しい証明書を取得します。新しい証明書は、仮想 FQDN を使用して AAI インターフェイスにアクセスしてインストールします。
• フェールオーバーを設定したら、ただちにフェールオーバー クラスタをバックアップします(仮想 FQDN を使用して AAI にアクセス)。スタンドアロン モードで作成されたバックアップは、フェールオーバー クラスタ上で復元できません。
• 複製インターフェイス接続にスイッチ インターフェイスを使用する場合は、アクティブ デバイスとスタンバイ デバイス間の遅延が 10 秒を超えないようにする必要があります。遅延が 10 秒を超えると、ハートビート メッセージを 10 個連続で受信できなくなり、フェールオーバーが発生します。
• フェールオーバー クラスタ内の Cisco Show and Share アプライアンスでデータを復元すると、Cisco Show and Share がリブートされて、フェールオーバーが発生します。これは想定されている動作です。データは復元中にスタンバイ アプライアンスに書き込まれるため、スタンバイ アプライアンスがアクティブになったときには、そのアプライアンスに正しいデータが格納されています。
• スイッチを使用するコンフィギュレーションでは、複製インターフェイスに接続されたスイッチ インターフェイスが 1000 Mbps に設定されている必要があります。
• Cisco Digital Signs の実装に対してフェールオーバーを設定する方法については、「Cisco Digital Signs フェールオーバー コンフィギュレーション」を参照してください。
• Cisco Show and Share の実装に対してフェールオーバーを設定する方法については、「Cisco Show and Share フェールオーバー コンフィギュレーション」を参照してください。
• アラートを設定してアプライアンスをモニタする方法については、「フェールオーバーのモニタと制御」を参照してください。
• フェールオーバー イベントから回復する方法については、「フェールオーバーからの回復」を参照してください。