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この章では、Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender の概要について説明します。この章の内容は次のとおりです。
• 「Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender の概要」
• 「管理モデル」
• 「接続モデル」
Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender は、新しいカテゴリのデータセンター製品で、高度にスケーラブルで柔軟なサーバ ネットワーキング ソリューションを提供します。Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチと組み合わせて使用することにより、サーバ集約のための高密度、低コストの接続が達成されます。Fabric Extender は、ギガビット イーサネット、10 ギガビット イーサネット、ユニファイド ファブリック、ラック、ブレード サーバなどの環境全体で拡張性を高め、データセンターのアーキテクチャと運用を簡素化するように設計されています。
Fabric Extender は、親スイッチの Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチに統合されることで、親スイッチから提供される設定情報を使用して、自動的にプロビジョニングおよび設定を行うことができます。この統合により、図 1-1 に示されている単一管理ドメインで、多くのサーバやホストが、セキュリティや QoS(Quality Of Service)設定パラメータを含め、親スイッチと同じフィーチャ セットを使用してサポートされます。Fabric Extender と親スイッチを統合することにより、スパニング ツリー プロトコル(STP)を使用することなく、大規模なマルチパス、ループフリー、およびアクティブ-アクティブのデータセンター トポロジが構築できます。
Cisco Nexus 2148T Fabric Extender は、すべてのトラフィックを親の Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチに 10 ギガビット イーサネット ファブリック アップリンクを介して転送します。このため、すべてのトラフィックが Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチで確立されているポリシーにより検査されます。
Cisco Nexus 2148T に、ソフトウェアは同梱されません。ソフトウェアは、親スイッチから自動的にダウンロードおよびアップグレードされます。詳細については、「Fabric Extender のイメージ管理」を参照してください。
• ファブリック インターフェイス:Fabric Extender から親スイッチへの接続専用の 10 ギガビット イーサネットのアップリンク ポートです。ファブリック インターフェイスは他の目的には使用できません。親スイッチに直接接続する必要があります。
(注) ファブリック インターフェイスに対応するインターフェイスが親スイッチにあります。このインターフェイスを有効にするには、switchport mode fex-fabric コマンドを入力します。
• EtherChannel ファブリック インターフェイス:Fabric Extender から親スイッチへの EtherChannel アップリンク接続です。この接続は、単一論理チャネルにバンドルされているファブリック インターフェイスで構成されます。
• ホスト インターフェイス:サーバまたはホスト システムに接続するためのイーサネット ホスト インターフェイスです。これらのポートは、ギガビット イーサネット インターフェイスです。
(注) ブリッジまたはスイッチをホスト インターフェイスに接続しないでください。これらのインターフェイスは、エンド ホスト接続またはエンド サーバ接続を提供するように設計されています。
スイッチ環境でオーバーサブスクリプションとは、ポート使用を最適化するために、複数のデバイスを同じインターフェイスに接続することです。インターフェイスは最大速度で動作する接続をサポートしますが、ほとんどのインターフェイスは最大速度で動作しないため、ポートを共有することにより未使用の帯域幅を有効活用できます。Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender の場合、オーバーサブスクリプションは、アクティブなホスト インターフェイスへの利用可能なファブリック インターフェイスの機能で、イーサネット環境にコスト効果の高い拡張性と柔軟性をもたらします。
Cisco Nexus 2148T Fabric Extender には、4 つの 10 ギガビット イーサネット ファブリック インターフェイスと 48 の 1 GBase-T イーサネット ホスト インターフェイスが用意されています。このため、多くの種類の設定が可能です。次に、可能な設定の例を示します。
• オーバーサブスクリプションなし(4 つの ファブリック インターフェイスに対して 40 のホスト インターフェイス)
• 1.2:1 のオーバーサブスクリプション(4 つの ファブリック インターフェイスに対して 48 のホスト インターフェイス)
• 4.8:1 のオーバーサブスクリプション(1 つの ファブリック インターフェイスに対して 48 のホスト インターフェイス)
Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender は、親スイッチにより、ゼロタッチ設定モデルを使用してファブリック インターフェイスを介して管理されます。スイッチは Fabric Extender のファブリック インターフェイスを検出することにより、Fabric Extender を検出します。
Fabric Extender が検出され、親スイッチに正常に関連付けられていると、次の手順が実行されます。
1. スイッチはソフトウェア イメージの互換性を確認し、必要に応じて、Fabric Extender をアップグレードします。
2. スイッチと Fabric Extender は、相互にインバンド IP 接続を確立します。スイッチは、ネットワークで使用されている可能性のある IP アドレスとの競合を避けるために、Fabric Extender にループバック アドレスの範囲(127.0.0.0/8)で IP アドレスを割り当てます。
3. スイッチは、設定データを Fabric Extender にプッシュします。Fabric Extender は、設定をローカルに保存しません。
4. Fabric Extender は、更新された動作ステータスをスイッチに通知します。Fabric Extender のすべての情報は、スイッチの監視およびトラブルシューティングのためのコマンドを使用して表示されます。
(注) Cisco NX-OS リリース 4.0(1a)N2(1) では、Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender を管理できるのは、1 台の親スイッチだけです。
Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender は、ローカル スイッチングを実行しません。すべてのトラフィックは、セントラル フォワーディングおよびポリシー適用を行う親スイッチに送信されます。このトラフィックには、図 1-2に示されているように、同じ Fabric Extender に接続されている 2 つのシステム間でのホスト間通信も含まれます。
フォワーディング モデルにより、Fabric Extender と親スイッチ間の機能の一貫性が維持されます。
(注) Fabric Extender は、エンドホスト接続をネットワーク ファブリックに提供します。このため、ブリッジ プロトコル データ ユニット(BPDU)ガードがすべてのホスト インターフェイスでイネーブルになります。ブリッジまたはスイッチをホスト インターフェイスに接続すると、そのインターフェイスは BPDU が受信された時点で、エラーディセーブル状態になります。
Fabric Extender のホスト インターフェイスで BPDU ガードはディセーブルにできません。
Fabric Extender は、ネットワークからホストへの出力マルチキャスト レプリケーションをサポートします。Fabric Extender に接続されているマルチキャスト アドレスに対して親スイッチから送信されるパケットは、Fabric Extender の ASIC により複製され、対応するホストに送信されます。
エンド ホストから親スイッチへのトラフィックが Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender を通過する際に配信されるようにするために、2 つの方法(静的ピン接続ファブリック インターフェイス接続および EtherChannel ファブリック インターフェイス接続)が用意されています。ここでは、次の内容について説明します。
• 「EtherChannel ファブリック インターフェイス接続」
ホスト インターフェイスと親スイッチとの間の決定論的関係を提供するために、個々のファブリック インターフェイス接続を使用するように Fabric Extender を設定できます。この設定では、図 1-3 で示されるように、10 ギガビット イーサネット ファブリック インターフェイスが接続されます。Fabric Extender のモデルで利用可能な最大数までの範囲で、任意の数のファブリック インターフェイスを利用できます。
Fabric Extender がアップすると、ホスト インターフェイスは利用可能なファブリック インターフェイス間で均等に配布されます。このため、各エンド ホストから親スイッチへの接続に割り当てられている帯域幅はスイッチにより変更されません。常に指定された帯域幅が使用されます。
(注) ファブリック インターフェイスに障害が発生すると、関連付けられているすべてのホスト インターフェイスもダウンし、ファブリック インターフェイスが復旧するまでダウンしたままとなります。
ピン接続ファブリック インターフェイス接続を作成し、親スイッチがホスト インターフェイスの配布を決定できるようにするために、 pinning max-links コマンドを使用する必要があります。ホスト インターフェイスは max-links で指定した数で分割され、それに従って配布されます。max-links のデフォルト値は 1 です。
ホスト インターフェイスのピン接続順序は、最初、ファブリック インターフェイスが設定された順序で決定されます。親スイッチがリブートすると、設定されているファブリック インターフェイスは、ファブリック インターフェイスのポート番号の昇順でホスト インターフェイスにピン接続されます。
リブート後にも決定論的で固定的な関連付けを維持するために、ピン接続を手動で再配布できます。「リンクの再配布」を参照してください。
(注) ホスト インターフェイスの再配布は、常に、ファブリック インターフェイスのポート番号の昇順になります。
ホスト インターフェイスと親スイッチとの間のロード バランシングを提供するために、EtherChannel ファブリック インターフェイス接続を使用するように Fabric Extender を設定できます。この接続は、図 1-4 に示されているように、10 ギガビット イーサネット ファブリック インターフェイスを単一の論理チャネルにバンドルします。
図 1-4 EtherChannel ファブリック インターフェイス接続
親スイッチとの接続に EtherChannel ファブリック インターフェイス接続を使用するように Fabric Extender を設定すると、スイッチは、次のロード バランシング基準を使用してリンクを選択することで、ホスト インターフェイス ポートに接続されているホストからのトラフィックをロード バランシングします。
• レイヤ 2 フレームに対しては、スイッチは送信元および宛先の MAC アドレスを使用します。
• レイヤ 3 フレームに対しては、スイッチは送信元および宛先の MAC アドレスと送信元および宛先の IP アドレスを使用します。
(注) EtherChannel でファブリック インターフェイスに障害が発生しても、ホスト インターフェイスは影響を受けません。トラフィックは、EtherChannel ファブリック インターフェイスの残りのリンク間で自動的に再配布されます。
Fabric Extender で使用されるポート番号の表記法は、次のとおりです。
interface ethernet シャーシ / スロット / ポート
• シャーシは管理者により設定されます。Fabric Extender は、個々のファブリック インターフェイスまたは EtherChannel ファブリック インターフェイスを介して親スイッチに直接接続されている必要があります。シャーシ ID をスイッチの物理イーサネット インターフェイスまたは EtherChannel で設定して、それらのインターフェイスで検出される Fabric Extender が識別されるようにします。
(注) シャーシ ID が必要になるのは、Fabric Extender のホスト インターフェイスにアクセスする場合だけです。100 未満の値は、親スイッチのスロットであることを示します。
Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender にソフトウェアは同梱されません。Fabric Extender のイメージは、親スイッチのシステム イメージにバンドルされています。イメージは、スイッチと Fabric Extender との間の関連付け処理時に自動的に検証され、必要に応じてアップデートされます。
install all コマンドを入力すると、親 Cisco Nexus 5000 シリーズ スイッチのソフトウェアがアップグレードされ、接続されている Fabric Extender のソフトウェアもアップグレードされます。ダウンタイムを最短にするために、インストール プロセスで新しいソフトウェア イメージがロードされている間、Fabric Extender はオンラインに維持されます。ソフトウェア イメージが正常にロードされると、親スイッチと Fabric Extender は自動的にリブートします。このプロセスは、スイッチと Fabric Extender との間のバージョンの互換性を維持するために必要になります。
Cisco Nexus 2000 シリーズ Fabric Extender のアーキテクチャでは、さまざまな数および速度のホスト インターフェイスを備えたハードウェア構成を実現できます。
ここでは、Fabric Extender のハードウェアについて、次の内容を説明します。
• 「シャーシ」
Cisco Nexus 2148T は、ラック マウント用に設計された 1 RU シャーシです。このシャーシは、冗長ホットスワップ対応ファンと冗長ホットスワップ対応電源をサポートしています。
Cisco Nexus 2148T には、サーバおよびホストとのダウンリンク接続用に 48 の 1 GBase-T イーサネット ホスト インターフェイスと、親スイッチへのアップリンク接続用に SFP+ インターフェイス アダプタを備えた 4 つの 10 ギガビット イーサネット ファブリック インターフェイスが用意されています。