Cisco SRE Service モジュール コンフィギュレーション ガイド
シスコ サービス統合型ルータ第 2 世代向けの Cisco Services Ready Engine Service モジュール(SM-SRE ファミリのデバイス)は、ルータでシスコ製、サードパーティ製、およびカスタムのアプリケーションをホストできるようにするためのモジュールです。SRE モジュールには専用のプロセッサ、ストレージ、ネットワーク インターフェイス、およびメモリがあり、これらはホスト ルータ リソースとは独立して動作します。これにより、同時ルーティングとアプリケーションのパフォーマンスが最大限に発揮されるようになります。サービス対応の配置モデルであるため、ブランチ オフィスのアプリケーションをモジュール上にリモートでいつでもプロビジョニングできます。また、SM-SRE は、Cisco Software Licensing (CSL)および Pay-as-you-Grow (PAY-GO)機能をサポートしています。
• ソフトウェアのアップグレードまたはダウングレードは、ホスト ルータ上で実行されているすべてのアプリケーションをサービス停止またはオフラインにできるときに実施するよう計画します。
• ホスト ルータとして使用するルータが適切なシスコ サービス統合型ルータ第 2 世代(ISR G2)であることを確認します。Cisco SM-SRE は、次のルータでサポートされます。
– Cisco 2900 シリーズおよび 3900 シリーズの ISR
• ホスト ルータで Cisco IOS リリース 15.0(1)M 以降のリリースを実行していることを確認します。ルータで現在実行しているリリースを確認するには、 show version コマンドの出力を参照します。
(注) 最小要件を満たしている場合、パフォーマンスに影響なくルータまたはサービス モジュールのいずれかのイメージを変更できます。
• Cisco 2900 シリーズまたは 3900 シリーズのルータのサービス モジュール(SM)スロット内に、SM-SRE を装着します。詳細については、『 Installing Cisco Network Modules and Service Modules in Cisco Access Routers 』および『 Cisco Network Modules and Interface Cards Regulatory Compliance and Safety Information 』を参照してください。
• 工場出荷時にハードウェア装着済みのすべての SM-SRE モデルは、 表 1 の一覧のとおりです。
• ホスト ルータ内でのサービス モジュールの場所に関する情報を書き留めます。
– slot :サービス モジュールをインストールするルータ スロットの数。モジュールのインストール後、この情報をルータの show running-config コマンド出力から得られます。
– port :モジュール インターフェイスのポート番号。この値は常に 0 です。
この情報は、「ルータ上の SM インターフェイスの設定」および「セッションの開始と終了」で必要です。
Cisco SM-SRE は、シスコ認定アプリケーションを実行するサービス モジュールです。これは、Cisco IOS ソフトウェアを実行する Cisco 2900 シリーズまたは 3900 シリーズの ISR ホストに取り付けます。
サービス モジュールは、ルータ上の Cisco IOS 設定からは独立した、独自のスタートアップ設定およびランタイム設定を備えています。このモジュールには、外部のコンソール ポートはありません。代わりに、モジュールのコンフィギュレーション セッションを使うことで、ルータを通じてモジュールを起動および設定します。セッションの後、ルータ CLI に戻り、セッションをクリアします。
ホスト ルータおよびサービス モジュール(モジュールは アプライアンス や ブレード 、またはソフトウェアがインストールされている状態では サービス モジュール とも呼ばれる)は、データ集約型アプリケーションを高速化するためのルータ統合アプリケーション プラットフォームを提供します。通常、このようなアプリケーションには次のサービスが含まれます。
• コンタクト センターおよび対話型の音声応答アプリケーション
SM-SRE を設定および管理するには、次の概念を理解する必要があります。
• 「電力効率管理」
図 1 は、Cisco SM-SRE の前面プレートと LED を示しています。
サービス モジュールは、2 つの内部ギガビット イーサネット(GE)インターフェイスを介してホスト ルータと通信します(図 2 を参照してください)。1 つのギガビット イーサネット インターフェイスは、ルータの Peripheral Component Interconnect Express (PCIe)バックプレーンと接続し、Cisco IOS CLI を使用して設定および管理されます。もう 1 つの GE インターフェイスは Multi-Gigabit Fabric (MGF)と接続し、Cisco IOS CLI を使用して設定され、モジュールにインストールされたシスコ認定アプリケーションを使用して管理されます。
サービス モジュール インターフェイスは、設定のためのサービス モジュール コンソールにアクセスするために使用されます。ルータ上の Cisco IOS ソフトウェアにだけ表示されるサービス モジュール インターフェイスは、ルータと SM-SRE との間の内部ギガビット イーサネット インターフェイスになります。サービス モジュール インターフェイスはルータの PCIe バックプレーンと接続し、サービス モジュール インターフェイスのすべての設定と管理は Cisco IOS CLI から実行されます。
Multi-Gigabit Fabric (MGF)インターフェイスによって、ホスト ルータに装着された 1 つ以上のサービス モジュールと SM-SRE で通信することができます。このインターフェイスは内部ギガビット イーサネット インターフェイスであり、High-Speed Intrachassis Module Interconnect (HIMI)接続を使用してルータの MGF と接続し、これによりサービス モジュール間の論理的接続を提供します。MGF インターフェイスの設定は、Cisco IOS CLI で実行します。SM-SRE で実行されているシスコ認定アプリケーションがこの接続を管理します。
HIMI 接続の設定方法については、『 Cisco High-Speed Intrachassis Module Interconnect (HIMI) Configuration Guide 』を参照してください。
HIMI バックプレーン インターフェイスの管理については、SM-SRE 上で実行されているシスコ認定アプリケーションのマニュアルを参照してください。
外部サービス モジュール インターフェイスは、LAN トラフィックの監視に使用できます。外部インターフェイスは、サービス モジュールの管理インターフェイスとしても選択できます。
SM-SRE 上のサービス モジュール ソフトウェアにだけ表示される外部サービス モジュール インターフェイスは、SM-SRE 前面プレート上のギガビット イーサネット インターフェイスです(図 1を参照してください)。外部インターフェイスは、外部ソースからのデータ要求とデータ転送に対応し、RJ-45 コネクタを介した LAN への直接接続を提供します。外部サービス モジュール インターフェイスの設定および管理は、すべて NAM ソフトウェアから実行する必要があります。
電力効率管理機能は、Cisco 2900 シリーズおよび 3900 シリーズの ISR の SM-SRE に供給する電力を管理するために使用します。これらのルータの電力効率管理機能は、使用されていないモジュールの電源を切断する、またはモジュールや周辺機器への未使用のクロックを無効にして電力消費を抑えるように設定できます。電力効率管理のための電力に関するレベルは、モジュールの種類別に変えることができます。電力効率機能の設定方法については、『 Cisco 3900 Series, 2900 Series, and 1900 Series Integrated Services Routers Software Configuration Guide 』を参照してください。
SM-SRE では、ハードウェアの始動と確認を容易にするための診断ユーティリティを実行できます。このユーティリティを使用すると、ハードウェアの始動プロセスにおけるさまざまなフェーズでのデバッグ処理を行い、ハードウェアの問題の特定に役立てることができます。このユーティリティは、メモリ、ハード ディスク、eUSB フラッシュ、ブート フラッシュ、ギガビット イーサネット インターフェイスなど、サービス モジュールの主なコンポーネントをテストします。
診断ユーティリティ ソフトウェアは、サービス モジュールのブート フラッシュに保存されており、標準の診断インターフェイスを使用してブートローダ モードから実行されます。
ここでは、Cisco IOS CLI を使用したサービス モジュールの基本的なネットワーク パラメータの設定方法について説明します。その他の設定手順については、『 Cisco Services Ready Engine Configuration Guide 』またはモジュールにインストールされているシスコ認定アプリケーションに付属のオンライン ヘルプを参照してください。
• 「Cisco SM-SRE のシャットダウンとスタートアップ」
(注) • 次の操作中に電源または接続が切断された場合、通常、中断されたことがシステムで検出され、回復が試みられます。回復に失敗した場合、ブートヘルパーを使用してシステムを再インストールします。
最初の設定タスクとして、SM とホスト ルータとの間の内部インターフェイスを設定します。このインターフェイスにより、サービス モジュールにアクセスでき、シスコ製アプリケーションをインストールおよび設定できるようになります。
4. ip address router-side-ip-address subnet-mask
または
ip unnumbered type number
5. service-module ip address module-side-ip-address subnet-mask
6. service-module ip default-gateway gateway-ip-address
次に、SM とルータとの間の内部インターフェイスの設定例を示します。
interface SM1/0
ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
service-module ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
service-module ip default-gateway 10.0.0.1
hold-queue 60 out
4. service-module ip address module-side-ip-address subnet-mask
• ルータの MGF への HIMI 接続を設定するには、『 Cisco High-Speed Intrachassis Module Interconnect (HIMI) Configuration Guide 』を参照してください。
• モジュールにシスコ認定アプリケーションがインストール済みの SM-SRE をご発注いただいた場合、そのアプリケーションのオンライン マニュアルを参照してください。
• シスコ認定アプリケーションを SM-SRE にインストールする必要がある場合、『 Cisco Services Ready Engine Configuration Guide 』を参照してください。
これまでの手順で、サービス モジュールのセッションを開始および終了することができるようになりました。
(注) • アプリケーション ソフトウェアをインストールする前に、ブートローダを始動するセッションを開始します。ソフトウェアのインストール後、アプリケーションを始動するセッションを開始します。
指定したモジュールのステータスを表示します。これにより、モジュールが稼動している(安定した状態にある)ことを確認できます。 (注) モジュールが稼動していない場合、「Cisco SM-SRE のシャットダウンとスタートアップ」の一覧にあるスタートアップ コマンドのいずれかを使用して開始します。 |
||
service-module sm slot /0 session |
指定したモジュール上でセッションを開始します。次のいずれかを実行します。 |
|
モジュールでブートローダ コマンドまたはコンフィギュレーション コマンドを必要に応じて入力します。 • ブートローダ コマンドの候補には、 boot 、 config 、 exit 、 help 、 ping 、 reboot 、 show 、 verify などがあります。 • コンフィギュレーション コマンドを入力します。 exit コマンドを使用し、グローバル コンフィギュレーション モードを終了します。 write コマンドを使用し、新しい設定を保存します。 enable コマンドを使用しないことに注意してください。また、プロンプトは > から変更されません。 |
||
キーを押すことで、このセッションにルータ CLI から戻ることができます。 | ||
指定したモジュールのサービス モジュール セッションをクリアします。このコマンドを確認するプロンプトが表示されたら、 Enter キーを押します。 |
サービス モジュールをシャットダウンまたはスタートアップするには、表 2 の一覧にある一般的なルータ コマンドから選択します。
(注) これらのセクションの表には、最も一般的なルータ コマンドが記載されています。
• 使用可能なすべてのコマンドの一覧を表示するには、 ? をプロンプトで入力します
(例: Router(config-if)#
? )。
• すべてのコマンド キーワード オプションの一覧を表示するには、 ? をコマンドの最後に入力します
(例: Router#
service-module sm? )。
(注) • シャットダウン コマンドの一部には、サービスを中断する可能性があるものがあります。このようなコマンドのコマンド出力に確認プロンプトが表示された場合、Enter キーを押して確認するか、n と入力して Enter キーを押してキャンセルします。no-confirm キーワードを使用することで、プロンプトが表示されないようにすることができます。
• コマンドには、モジュールまたはアプリケーションをシャットダウンして即時に再起動するものがあります。
インストールのステータスを確認したり、問題のトラブルシューティングを行うには、表 3 の一覧にある一般的なルータ コマンドを必要に応じて使用します。
(注) 多くの show コマンドには、診断出力を画面に表示したり、出力をファイルまたは URL に送信するためのキーワード オプションが用意されています。
サービス モジュールで診断ユーティリティを実行して、問題がないかどうかを判断するには、次の手順を実行します。テストの完了には数分かかります。SM-SRE-900 では約 2 分半、SM-SRE-700 では約 1 分 15 秒かかります。
サービス モジュールを稼動しておく必要があります。モジュールが稼動していない場合、「Cisco SM-SRE のシャットダウンとスタートアップ」の一覧にあるスタートアップ コマンドのいずれかを使用して開始します。
次に、診断ユーティリティが SRE-SM-700 で実行される場合の出力の例を示します。この例では、すべてのテストに合格します。
ServicesEngine boot-loader> boot diag
Verifying ... Verifying diag image.... done
[NetBSD-elf, <0x100020:0x27fe0:0x9160>, entry=0x100020]
Diagnostics is a standalone utility that runs on the module independent of the operating system or applications running on the module. All tests are non-destructive but there is a possibility of hard disk data corruption during power failure when the tests are in progress. Therefore, making a backup of the data on the drive is recommended before executing the tests.
For any questions or concerns with the utility, please open a Service Request with Cisco TAC at
http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html
Yes to continue test - No to exit (y/n) y
Test will start and result of each test will appear on the screen. Please do not interrupt test while in progress!
Probing Primary SATA Hard Disk. It may take 4 seconds if no drive attached!
Signature Serial_number Model_number Firmware_version
0x045a 090505PB4400Q7GMH3AA Hitachi HTE545050B9A300 PB4OC64G
Probing Secondary SATA Hard Disk. It takes 4 secs if no drive attached!
SECONDARY Hard Disk reset failed! Either the device is not attached or the device has a communication problem.
Main memory test (1 of 5) is in progress...
Hard disk test (2 of 5) is in progress...
No SECONDARY Hard Disk found. Skipping the SECONDARY Hard Disk test.
USB test (3 of 5) is in progress...
Boot flash test (4 of 5) is in progress...
GE PHY loopback test (5 of 5) is in progress...
For any questions or concerns with the test results, please open a Service Request with Cisco TAC at
http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html
Please press any key to reset the board and go back to bootloader prompt...
次のコマンドは、このモジュールでドキュメント化された機能で採用されています。
この機能で使用されるその他のコマンド情報については、「 Cisco IOS Interface and Hardware Component Command Reference 」( http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/interface/command/reference/ir_book.html )を参照してください。
すべてのシスコ IOS コマンドの詳細については、「Command Lookup Tool」( http://tools.cisco.com/Support/CLILookup )、または「 Cisco IOS Master Command List, All Releases 」( http://www.cisco.com/en/US/docs/ios/mcl/allreleasemcl/all_book.html )を参照してください。
Cisco 1900、2900、3900 シリーズの Integrated Service Routers(ISR)のサービス モジュールでフィールド診断を実行するには、 boot-diag コマンドをブートローダ モードで使用します。
Bootloader (ServicesEngine boot-loader>)
サービス モジュールに、不具合または交換する必要があるコンポーネントがあるかどうかを確認するには、このコマンドを使用します。
実行されたテストは、コンソールに表示されます。診断テストが完了するたびに、合格または不合格を示すメッセージが表示されます。テストの完了には数分かかります。SM-SRE-900 では約 2 分半、SM-SRE-700 では約 1 分 15 秒かかります。
テストに合格しなかったサービス モジュールには不具合があるため、交換する必要があります。Cisco TAC ( http://www.cisco.com/cisco/web/support/index.html )にお問い合わせください。
次に、サービス モジュールでフィールド診断を実行したときの出力の例を示します。