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この章では、WAAS デバイスのモニタに使用できる Cisco Network Analysis Module(NAM; ネットワーク解析モジュール)について説明します。
NAM は、クライアントとアプリケーション サーバ間の TCP パケットの交換を分析することによって、ネットワークと Application Response Time(ART; アプリケーション応答時間)をモニタします。NAM バージョン 4 は、WAAS FlowAgent から受信したデータを処理および分析して、WAAS の最適化済みフローの ART を正確に計算するよう拡張されています。FlowAgent は、TCP パケット データを収集して、フロー データを分析と報告のために NAM に送信するために WAAS デバイスで実行されます(図 5-1)。
• Client-Edge 接続のモニタリング:クライアントと WAAS エッジ デバイス間の TCP 接続(上の図の接続 TCP-1)をモニタすることによって、次の ART メトリックを測定できます。
– クライアントで発生する Total Delay(TD; 合計遅延)
– 2 つのセグメント(Client-Edge と Edge-Server)にわかれたネットワーク RTT
• Edge-Core でカスタマイズされた接続のモニタリング:エッジおよびコア WAAS デバイス間のスプーフィングされた TCP 接続(上の図の接続 TCP-2)をモニタすることによって、追加の ART メトリックとして圧縮後の帯域幅使用状況(バイト/パケット)を測定できます。
• Edge-Core 接続のモニタリング:コア WAAS デバイスとサーバ間の TCP 接続(上の図の接続 TCP-3)をモニタすることによって、次の追加の ART メトリックを測定できます。
– アプリケーション(サーバ)の遅延(プロキシ アクセラレーションまたはキャッシング サーバなし)
– コア WAAS デバイスとサーバ間のネットワーク RTT
次の項では、NAM によるモニタリングをイネーブルにするよう WAAS を設定する方法と、特定の WAAS 機能をモニタするよう NAM を設定する方法について説明します。
NAM の詳細については、次のマニュアルの URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/cscowork/ps5401/tsd_products_support_series_home.html
• 『 Cisco WAAS NAM Virtual Service Blade Installation and Configuration Guide 』:
http://www.cisco.com/en/US/docs/net_mgmt/network_analysis_module_virtual_blade/4.2/install/guide/waas/waas42install.htm
ここでは、WAAS フロー レコード データを NAM にエクスポートするよう WAAS デバイスを設定する方法について説明します。
ステップ 1 WAAS Central Manager から、[My WAN] > [Device Group] > [AllDevicesGroup] > [Configure] > [Monitoring] > [Flow Monitor] を選択します。
[Flow Monitoring Settings] ウィンドウが表示されます(図 5-2)。
図 5-2 WAAS Central Manager:[Flow Monitoring Settings]
ステップ 2 [Flow Monitoring Settings] ウィンドウから、次の操作を行います。
a. [Enable] チェックボックスをオンにして、データのエクスポートをイネーブルにします。
b. [Destination] ボックスに NAM IP アドレスを入力します。
これで、WAAS でフロー レコード データをエクスポートする準備ができました。NAM でモニタする WAAS データを指定するには、「WAAS デバイスをモニタするよう NAM を設定」を参照してください。
ここでは、NAM でモニタできる WAAS データ ソース機能の概要と、NAM でモニタする WAAS データの指定方法について説明します。
(注) エクスポートがイネーブルにされた WAAS デバイスを NAM に追加する必要はありません。NAM はそのようなデバイスを自動的に検出できるためです。
• 「NAM を使用した WAAS デバイスのモニタに関する情報」
• 「モニタする WAAS デバイスのデータ ソースの指定」
NAM では、WAAS データ ソースを使用して、さまざまな WAAS セグメント(クライアント、クライアント WAN、サーバ WAN、およびサーバ)から収集されたトラフィックをモニタします。それぞれの WAAS セグメントは、データ ソースによって表されます。モニタ対象 ART メトリックに加えて、WAAS データ ソースのその他のトラフィック統計情報(アプリケーション、ホスト、および変換情報など)をモニタして報告するよう NAM を設定できます。
データ ソースの使用は、WAAS の配置シナリオに依存します。 表 5-1 で、一般的ないくつかの WAAS 配置シナリオと適用可能なデータ ソースについて説明します。
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NAM バージョン 4.1 以降では、図 5-3 に示されているように、相関データと結合セグメントはクライアント サーバごとに 1 行で表示されます。
NAM は、ネットワーク アプリケーション、使用中のプロトコル、および最もアクティブなクライアントとサーバまたは最も使用率の高いクライアントとサーバに関するデータを表示できます(図 5-4 を参照)。
図 5-4 NAM ネットワーク アプリケーション、プロトコル、ホスト、およびサーバのレポート
さまざまなレポートを生成して、クライアント、サーバ、またはアプリケーションの応答時間と、上位のアクティブなアプリケーション、アクティブなホストなどを表示できます(図 5-5 を参照)。
次の WAAS データ ソースをモニタするよう NAM を設定できます。
• クライアント:クライアントから発生した元の(LAN 側の)TCP フローをモニタのために NAM にエクスポートします。
• クライアント WAN:クライアントから発生した最適化済みの(WAN 側の)TCP フローをモニタのために NAM にエクスポートします。
• サーバ WAN:サーバからの最適化済みの(WAN 側の)TCP フローをモニタのために NAM にエクスポートします。
• サーバ:サーバからの元の(LAN 側の)TCP フローをモニタのために NAM にエクスポートします。
• パススルー:(NAM 4.1 以降だけ)WAAS を横断するフローを最適化せずにエクスポートします。
WAAS デバイスをモニタするよう NAM を設定する方法については、Cisco.com でホワイト ペーパー『 Using Cisco NAM 4.1 Reporting with Cisco WAAS 』を参照してください。
NAM の設定および使用に関する追加情報については、『 User Guide for Cisco Network Analysis Module Traffic Analyzer 』を参照してください。
NAM を使用したトラフィックのモニタリングおよび分析機能により、直観的なワークフローとインタラクティブなレポーティング機能が実現します。
モニタリングおよび分析ダッシュボードでは、ネットワーク トラフィック、アプリケーション パフォーマンス、サイト パフォーマンス、およびアラームをひと目で確認できます。そこから、応答時間に問題のあるアプリケーションなど、1 つのエリアを特定してダッシュボードにドリルダウンし、調査を進めることができます。
トップ トーカーの要約ダッシュボードには、[Top N Applications]、[Top N Application Groups]、[Top N Hosts (In and Out)]、[IP Distribution by Bytes]、[Top N DSCP]、およびネットワークでモニタされている [Top N VLAN] を表示できます。このダッシュボードは、すべての WAAS デバイスからのトラフィックの自動モニタリングを可能にします。トラフィック要約ダッシュボードを表示するには、[Monitor] > [Network Analysis] > [Overview] に移動します。
[Top N Applications] グラフでは、[Interactive Report] フィルタの選択(データ レートまたは累積)に応じて、トラフィック レート(1 秒あたりのバイト数または 1 秒あたりのビット数)あるいはトラフィック ボリューム(バイト数またはビット数)を表示できます。
このグラフは、上位 N 位のアプリケーション グループの詳細な分析と、この間隔のトラフィック レートまたはボリュームが表示されます。
このグラフには、トラフィック レート(1 秒あたりのバイト数または 1 秒あたりのビット数)あるいはトラフィック ボリューム(バイト数またはビット数)が表示されます。
このグラフには、IP プロトコル(IPv4 TCP など)に分散されるバイトの割合が表示されます。
このグラフには、上位の DSCP 集約グループの統計情報が表示されます。
このグラフには、上位 N 位の VLAN の統計情報が表示されます。このグラフには、VLAN タグを持たないトラフィック用に、VLAN 0 が表示される場合があります。
WAAS デバイスの配置プロセスを実行しながら、データを WAAS の計画および設定に役立てることができます。
[Monitor] > [Network Analysis] > [Top Talkers Details] に移動すると、配置前のプロセスに役立つウィンドウが表示されます。[Interactive Report] ウィンドウを使用して、最適化のために分析するトラフィックを選択します。このウィンドウには、[Top Applications]、[Top Network Links]、[Top Clients]、および [Top Servers] が表示されます。
• 「ネットワーク」
ネットワーク ダッシュボードには、WAAS ユーザ用に、LAN と WAN の着信および発信の両方向のスループット比較を表示できます。これらのレポートを表示するには、WAN および LAN インターフェイスで構成されるインターフェイス グループを設定します。表示される情報は、収集が作成されてから、または NAM が再起動されてから収集された合計データを表します。ネットワーク ダッシュボードを表示するには、[Monitor] > [Network Analysis] > [Throughput] > [Network] に移動します。
ウィンドウの左側にある [Interface Selector] からインターフェイス グループ ビューを選択して、グラフにトラフィックを表示します。NDE データ ソース名の左側にある矢印アイコンをクリックして、すべてのインターフェイス グループを表示してから、インターフェイス グループ ビューを選択します。グラフにデータが表示されず、「Interface needs to be selected」というメッセージが表示される場合は、インターフェイス グループ ビューが選択されていません。
インターフェイス グループ ビューを選択した後は、データが入力された次のグラフが表示されます。
• Interface Traffic (Ingress % Utilization and Egress % Utilization)
インターフェイス容量テーブルを利用してインターフェイス速度を手動で入力できますが、データ ソース テーブルに NDE デバイスの SNMP 設定が入力されている場合には、速度を自動設定することもできます。
上位アプリケーション ダッシュボードには、選択した時間と指定のサイトまたはデータ ソースのトラフィック レートによる上位のアプリケーションを表示できます。
[Applications Over Time] は、一定時間に実行されていたすべてのアプリケーションを示します。色分けされた凡例は、アプリケーションの実行内容を示します。
[Application Analysis] ウィンドウには、選択した期間の特定のアプリケーションに関するトラフィック レベルを表示できます。このウィンドウを表示するには、[Monitor] > [Network Analysis] > [Throughput] > [Application] に移動します。このウィンドウには、次の情報が表示されます。
• 時間の経過に伴うアプリケーション トラフィックのグラフ。
• 選択した期間にそのアプリケーションでトラフィックを送受信する上位ホスト。
• NAM がそのアプリケーションとしてパケットを分類する基準を示す、アプリケーションの設定。この基準は通常、アプリケーションを識別する TCP または UDP、あるいはその両方のポートのリストになります。一部のアプリケーションはヒューリスティック アルゴリズムまたはその他の状態ベースのアルゴリズムによって識別されます。
[Top N Hosts - Traffic In] または [Top N Hosts - Traffic Out] グラフで [Hosts Detail] を選択すると、[All Hosts] ウィンドウとすべてのホストに関する詳細情報が表示されます。[All Hosts] ウィンドウには、次の情報が表示されます。
• [In Bytes/sec]:1 秒あたりの着信バイト数
• [In Packets/sec]:1 秒あたりの着信パケット数
アプリケーション ダッシュボードには、アプリケーションのトランザクション時間のパフォーマンスと、フロー エージェントによって報告される元のトラフィック量および最適化されたトラフィック量が表示されます。トランザクション時間がクライアント、WAN、およびサーバ セグメント間でどのように分割されるかという情報も表示されます。たとえば、トランザクション時間の中心がサーバ セグメント時間(低速サーバのため)となっている場合、WAAS では、WAN ネットワーク時間が中心となっているときほど、パフォーマンスを向上させることができません。アプリケーション パフォーマンス分析ダッシュボードを表示するには、[Monitor] > [Network Analysis] > [Performance Analysis] > [Application] に移動します。
• Transaction Time (Client Experience)
• Traffic Volume and Compression Ratio
• Average Concurrent Connections (Optimized vs.Passthru)
• Multi-Segment Network Time (Client LAN - WAN - Server LAN)
カンバセーションの複数セグメント ダッシュボードは、異なるデータ ソースのデータの相互関係を示し、複数の WAAS セグメント(データ ソース)から応答時間メトリックを表示して比較できるようにします。カンバセーションの複数セグメント ダッシュボードを表示するには、[Monitor] > [Network Analysis] > [Performance Analysis] > [Conversation Multisegments] に移動します。
[Response Time Across Multiple Segments] ウィンドウには、適用可能なデータ ソースから選択したサーバまたはクライアント/サーバ ペアの応答時間メトリックが表示されます。