『Cisco Wide Area Application Services vWAAS インストレーション コンフィギュレーション ガイド』
このマニュアルでは、VMware 仮想マシン(VM)に仮想 WAAS(vWAAS)をインストールおよび設定する方法を説明します。vWAAS ソフトウェアは仮想プライベート クラウド、オンデマンド プロビジョニング、およびティアダウンをサポートする WAN 最適化の仮想版で、ブランチ オフィスやデータセンターの占有面積の削減につなげることができます。
• 「概要」
• 「要件」
• 「関連資料」
vWAAS ソフトウェアは、通常は物理 WAE デバイスを展開できないクラウド環境での WAN 最適化をサポートします。また、データセンターのアプリケーションおよびサービスを展開するための推奨プラットフォームとして VMware ESXi 標準に準拠します。
仮想化によって、弾力性、メンテナンスの容易さ、ブランチ オフィスやデータセンターの占有面積削減など、さまざまな利点が得られます。仮想 WAN 最適化は、オンデマンドのプロビジョニングおよびティアダウンが必要な仮想プライベート クラウドの展開に対するソリューションです (図 1 を参照)。
vWAAS は、ブランチ オフィスとデータセンターの両方で、従来の WAN エッジに展開できます。また、vPATH インターセプションを使用する場合には、サーバの近くに展開することもできます。
– 次を含む、Cisco UCS またはその他の x86 サーバ:
-- VMware 互換性リスト(HCL)に含まれる 64 ビット CPU ハードウェア。
-- BIOS で有効になっている Intel VT(インテル バーチャライゼーション テクノロジー)。
– UCS E シリーズのサーバ モジュールを搭載した Cisco ISR G2。
• VMware vCenter サーバおよび vSphere クライアント バージョン 4.x 管理ソフトウェア。
• ディスク サイズが 256 GB より大きい仮想 WAAS モデルでは、1 MB を超えるデータストア ブロック サイズが必要です。
次の Virtual Machine File System(VMFS)制限が適用されます。
• v5.3.1 までのモデル WAAS バージョン別 ESXi サーバ データストアのメモリとディスク容量:
• WAAS 5.4.1 用モデル別の ESXi サーバ データストアのメモリとディスク容量:
(注) ESXi サーバ データストアのメモリに関する上記 2 つの表には vWAAS のみのメモリ要件が記載されています。総メモリ コミットメントを計算するには、次に示す追加のメモリ要件を考慮してください。
- VMware v5.0/v5.1 には 2 GB 以上のメモリが必要です。
- VMware v5.5 には 4 GB 以上のメモリが必要です。
- vCPU メモリのメモリ オーバーヘッド(vCPU 数 1、2、4、8 の場合など)。
次に例を示します。
vWAAS-1300 には 6 GB が、VMware バージョン 5.1 には 2 GB が必要なため、全体のメモリ コミットメントは 8 GB を超えます。この設定で、デフォルトで 8 GB DRAM が搭載された UCS-E モジュールをこの要件に対応させるには、UCS-E に DRAM アップグレードを追加する必要もあります。
• vWAAS データストアの場合、SAN ストレージまたは ESXi サーバ上のローカル ストレージを使用できます。NAS ストレージは、実稼働以外のシナリオ(たとえばテスト用途)のみで使用してください。
• 特定の仮想 WAAS モデル用の OVA ファイル(特に注記のない限り、どのモデルも WAAS バージョン 4.3.1 以降で使用可能):
• vWAAS をインストールする前に Central Manager または仮想 Central Manager(モデル vCM-100N または vCM-2000N)にアクセスできる ESXi サーバ。vCM には Central Manager は不要です。
• vPATH インターセプション用の Nexus 1000v バージョン 4.2(1)SV1(4)。
(注) vWAAS を実行する UCS E シリーズ サーバ モジュールでは、5.1.1 より前のバージョンへのダウングレードはサポートされていません。他の vWAAS デバイスでは、4.3.1 より前のバージョンへのダウングレードはできません。
vWAAS を設定する前に、vSphere を使用して VMware サーバに vWAAS VM をインストールする必要があります。vWAAS VM をインストールするには、次の手順を実行します。
ステップ 1 vSphere クライアントから [File] > [Deploy OVF Template] を選択します (図 2 を参照)。
ステップ 3 vWAAS OVA ファイルの場所に移動し、[Open] をクリックします。
ステップ 4 [Next] をクリックして、選択した OVA ファイルを受け入れます。
[Name and Location] ウィンドウが表示されます。
ステップ 5 vWAAS VM の名前を入力し、適切なデータセンターを選択し、[Next] をクリックします (図 3 を参照してください)。
クラスタが設定される場合は [Cluster] ウィンドウが表示され、リソース プールが設定される場合は [Resource Pool] ウィンドウが表示されます。それ以外の場合は [Datastore] ウィンドウが表示されます(その場合は、ステップ 7 に進みます)。
ステップ 6 vWAAS VM のクラスタが設定された場合はクラスタを選択し、リソース プールが設定された場合はリソース プールを選択して、[Next] をクリックします。
ステップ 7 仮想マシンをホストするデータ ストアを選択し、[Next] をクリックします (図 4 を参照してください)。
(注) 256 GB を超えるファイル サイズをサポートするには、1 MB を超えるブロック サイズでデータストアをフォーマットする必要があります。
ステップ 8 [Thick provisioned format] ディスク フォーマットを選択し、[Next] をクリックします (図 5 を参照してください)。
(注) vWAAS 環境の場合、[Thick provisioned format] を選択する必要があります。
[Network Mapping] ウィンドウが表示されます。
ステップ 9 ESXi によって提供されるネットワーク マッピングを選択し、[Next] をクリックします。これは、必要に応じて後で変更できます (図 6 を参照してください)。
[Ready to Complete] ウィンドウが表示されます。
ステップ 10 [Finish] をクリックして、インストールを完了します。
OVA ファイルが展開される間、ステータス ウィンドウが表示されます (図 7 を参照してください)。
ステップ 11 展開が完了すると、[Deployment Completed Successfully] ウィンドウが表示されます (図 8 を参照してください)。
ステップ 12 これで VM を起動できるようになりました。vWAAS VM を選択し、[Power on Virtual Machine] をクリックします。
ステップ 13 vWAAS の起動が完了したら、[Console] タブをクリックすると、起動メッセージが表示されます(図 9 を参照してください)。
vWAAS の設定については、「vWAAS の設定」の項を参照してください。
vWAAS VM をインストールした後で、次の vWAAS 設定を行う必要があります。
• デフォルト ゲートウェイおよびプライマリ インターフェイス
ネットワーク接続の vWAAS を設定するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 vSphere クライアントで、[Console] タブを選択し、vWAAS コンソールにログインします。
ユーザ名は admin、パスワードは default です。
ステップ 2 interface virtual コマンドを使用して、IP アドレスおよびネットマスクを設定します。
ステップ 3 ip コマンドを使用して、デフォルト ゲートウェイおよびプライマリ インターフェイスを設定します。
(注) 仮想 1/0 と仮想 2/0 の両方のインターフェイスを使用している場合は、vPATH インターセプション用に使用しているインターフェイスと IP デフォルト ゲートウェイを関連付ける必要があります。別の仮想インターフェイスを介してトラフィックをルーティングする(通常は Central Manager への管理トラフィック)には、スタティック ルートを設定する必要があります。
(注) 管理トラフィック用に個別の仮想インターフェイスを使用している場合は、プライマリ インターフェイスとして管理仮想インターフェイスを設定する必要があります。
次の手順に進む前に、デフォルト ゲートウェイおよび Central Manager の IP アドレスに対して ping を実行して、これらのアドレスに到達できることを確認します。
ステップ 4 license コマンドを使用して、エンタープライズ ライセンスを追加します。
ステップ 5 central-manager コマンドを使用して、Central Manager アドレスを追加します。
ステップ 6 cms コマンドを使用して、CMS で Central Manager に登録できるようにします。
(注) トラフィックを最適化できるようにするには、Central Manager で vWAAS を登録する必要があります。
ステップ 7 vWAAS へトラフィックをリダイレクトできるように WCCP、AppNav、または vPATH インターセプションを設定します。WCCP では WCCP 対応ルータまたはレイヤ 3 スイッチを使用しますが、vPATH では Nexus 1000v 仮想スイッチ内からトラフィックをリダイレクトします。vPATH インターセプションについては、「vPATH インターセプション」を参照してください。
(注) IOS で UCS-E インターフェイスが IP アンナンバードとして設定されている、Cisco ISR G2 内の UCS-E 上で動作する vWAAS 用のリダイレクト方式として、WCCP-GRE を設定する必要があります。
WCCP インターセプションのイネーブル化および設定の詳細については、『Wide Area Application Services Configuration Guide』を参照してください。
特定コマンドの詳細については、『Wide Area Application Services Command Reference』を参照してください。
仮想データセンターでネットワーク サービスとして vWAAS が展開される場合、Nexus 1000v 仮想スイッチ内で vPATH インターセプションを使用してサーバ トラフィックがインターセプトされ、WAN 最適化のために vWAAS へリダイレクトされます。
• 概要
• 要件
vPATH インターセプションは、VM サーバ パケットを vWAAS へリダイレクトするように VM サーバのポート プロファイルで双方向に設定されます。vWAAS は、vPATH インターセプトされたパケットを受信して、WAN 最適化を実行し、応答パケットを VEM に返します。
VEM で受信された vWAAS 出力トラフィックは、それ以降は vPATH インターセプションを使わずに転送されます (図 10 を参照)。
vPATH によってインターセプトされるパケット、および vWAAS によって返されるパケットには、Nexus 1000v サービス VLAN と呼ばれる専用の VLAN が使用されます。
Nexus 1000v スイッチでは、サービス VLAN で ARP メカニズムを使用して、vWAAS のステータスをチェックします。スイッチがタイムアウト間隔(18 ~ 24 秒)に vWAAS から ARP リプライを受信しない場合、vWAAS は到達不能であると宣言され、サービス パスから削除されます。この動作はフェール オープン モードと呼ばれ、VN サービス設定で指定されます。
• インターセプションの方向(入または出)の定義は不要:vPATH は、トラフィックのインターセプションおよびリダイレクトに使用される TCP フローごとにフロー エントリ テーブルを維持します。
• パススルー トラフィックの自動バイパス:パススルー トラフィックのために、vWAAS ではオフロードが vPATH に自動的に送信されます。
• ポリシーベースの設定:Nexus 1000v VSM で定義されたポリシーは、VMware vCenter にプロパゲートされ、指定された仮想マシンに適用されます。
• VM モビリティ認識:仮想マシンが移動される場合、vPATH ではトラフィックのインターセプトおよびリダイレクトを続行します。ネットワークの変更は必要ありません。
• フォールトトレラントの持続パフォーマンス:SAN で vWAAS DRE キャッシュを展開できます。VMware HA では、vWAAS の障害時に、同じ DRE キャッシュ ストレージを使用して新規 VM を作成します。
vPATH インターセプションをサポートするために、Nexus 1000V に次の要件が適用されます。
• Nexus 1000V 4.2(1)SV1(4) ソフトウェア バージョン
• 仮想スーパーバイザ モジュール(VSM)がインストールされ、設定されていること
• ポート プロファイルが作成されていること(必須の vWAAS ネットワーク プロファイル、service-VLAN を含む)
• 仮想イーサネット モジュール(VEM)がインストールされていること
• WAAS 5.1.1 以降の vWAAS のデフォルトのネットワーク インターフェイス アダプタは VMXNET3 です。WAAS 5.2.1 以降の vWAAS では、VMXNET3 または E1000 がネットワーク インターフェイス アダプタとして使用できます。
vPATH インターセプション方式は、データセンターで vWAAS を展開するために、Nexus 1000v スイッチで使用されます。
(注) VPATH 2.0 は、Nexus 1000v スイッチ バージョン 1.52 および 2.1 を搭載する WAAS バージョン 5.2 でサポートされます。5.2 より前の WAAS バージョンを実行していて、Nexus 1000v バージョン 1.52 以降にアップグレードする場合は、WAAS バージョン 5.2 にアップグレードする必要があります。
サーバを宛先とするインターネット トラフィックは、Nexus 1000v 仮想スイッチ(ESX ホスト内に常駐)によってインターセプトされ、WAN 最適化のために vWAAS へリダイレクトされます。vWAAS は同じ ESX ホスト内、または L2 隣接である別の ESX ホスト内で稼働できます。
同様に、サーバからのトラフィックも Nexus 1000v スイッチでインターセプトされ、WAN 最適化のために vWAAS へリダイレクトされます (図 11 を参照)。
vWAAS 用に Nexus 1000v で vPATH インターセプションを設定するには、ポート プロファイルおよび VN サービス プロファイルを設定し、vPATH をイネーブルにする必要があります。
– vWAAS(WAAS VLAN)のポート プロファイルを作成
– vWAAS ポート プロファイルを vWAAS VM にアタッチ
• vWAAS で interception-method vn-service vpath グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、vPATH をイネーブル化
• 最適化するサーバのポート プロファイルで vPATH インターセプションを設定
vn-service グローバル コンフィギュレーション コマンドの詳細については、 『 Cisco Wide Area Application Services Command Reference 』 を参照してください。
まれな状況においては、ホスト VM サーバ上の他の VM がシステム リソースの制御をリリースしない、または物理ディスクが応答しない場合に、vWAAS VM がディスクレス モードで起動することがあります。vWAAS デバイスは、disk01 に disk_failure クリティカル アラームを発し、disk01 は交換されるまで、 show disk details EXEC コマンドで「Not Used」と表示されます。
Akamai Connect 機能は Cisco WAAS 内部で HTTP オブジェクト キャッシュを統合します。これにより、WAAS は、HTTP コンテンツが社内ネットワークを介して配信されるか、インターネットから直接配信されるか、Akamai のインテリジェント プラットフォームから配信されるかに関係なく、HTTP コンテンツをキャッシュすることができます。
(注) v5.4.1 より前の vWAAS を実行している場合は、Akamai Connect 機能を利用するために 3 番目の仮想ディスクを追加する(場合によってはさらに多くのメモリも追加する)必要があります。
キャッシュ エンジンを使用するためにメモリとディスクをアップグレードするには、次の手順を実行します。
ステップ 2 [vWAAS] を右クリックして、[Editing Settings...] を選択します。
ステップ 4 [Add Hardware] ダイアログボックスで、[Hard Disk] を選択します。[Next] をクリックします。
ステップ 5 [Select a Disk] ダイアログボックスで、[Create a new virtual disk] を選択します。[Next] をクリックします。
ステップ 6 [Create a Disk] ダイアログ ボックスで、次の操作を実行します。
• [Capacity] ドロップダウン リストで、新しいディスクのサイズを入力します。
• [Disk Provisioning] で、[Thick Provision Lazy Zeroed] を選択します。
• [Location] で、[Store with the virtual machine] を選択します。
ステップ 7 [Ad3vanced Options] ダイアログボックスで、次の操作を実行します。
• [Virtual Device Node] ドロップダウン リストで、[SCSI (0:2)] を選択します。
• [Mode] で、[Persistent] を選択します。
ステップ 8 [Ready to Complete] ダイアログボックスで、次のオプションを確認します。
ステップ 10 画面上に「New hard Disk (adding)」というステータス メッセージが表示されます。[OK] をクリックします。
ステップ 11 [Recent Tasks] 画面で [Reconfigure Virtual machine] タスクが [Completed] と表示されるまで待ちます。電源をオンにします。
ステップ 12 新しいディスクを確認するには、[Virtual Machine Properties] > [Hardware] の順にクリックして、現在のハードウェア一覧を表示します。
Cisco WAAS ソフトウェアの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
• 『Cisco Wide Area Application Services Upgrade Guide』
• 『Cisco Wide Area Application Services Quick Configuration Guide』
• 『Cisco Wide Area Application Services Configuration Guide』
• 『Cisco Wide Area Application Services Command Reference』
• 『Cisco Wide Area Application Services API Reference』
• 『Cisco Wide Area Application Services Monitoring Guide』
• 『Cisco WAAS Installation and Configuration Guide for Windows on a Virtual Blade』
• 『Cisco WAAS Troubleshooting Guide for Release 4.1.3 and Later』
• 『Cisco WAAS on Service Modules for Cisco Access Routers』
• 『Cisco SRE Service Module Configuration and Installation Guide』
• 『Configuring Cisco WAAS Network Modules for Cisco Access Routers』
• 『WAAS Enhanced Network Modules』
• 『Cisco Wide Area Application Services Online Help』
• 『Using the Print Utilities to Troubleshoot and Fix Samba Driver Installation Problems』
• 『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco Wide Area Virtualization Engines』
• 『Cisco Wide Area Virtualization Engine 274 and 474 Hardware Installation Guide』
• 『Cisco Wide Area Virtualization Engine 574 Hardware Installation Guide』
• 『Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco Content Networking Product Series』
• 『Cisco Wide Area Application Engine 512 and 612 Hardware Installation Guide』
• 『Cisco Wide Area Application Engine 7326 Hardware Installation Guide』
• 『Cisco Wide Area Application Engine 7341, 7371, and 674 Hardware Installation Guide』
• 『Installing the Cisco WAE Inline Network Adapter』
• 『Cisco Nexus 1000V Software Installation Guide, Release 4.2(1) SV1(4)』
• 『Cisco Nexus 1000V Getting Started Guide, Release 4.2(1) SV1(4)』
• 『Cisco Nexus 1000V and VMware Compatibility Information, Release 4.2(1) SV1(4)』
• 『Cisco Virtual Security Gateway Firewall Policy Configuration Guide, Release 4.2(1)VSG1(1)』
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http://www.cisco.com/en/US/docs/general/whatsnew/whatsnew.html
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