このドキュメントでは、Catalyst スイッチの VLAN(SVI)上、またはレイヤ 3 インターフェイス上での一意な MAC アドレスの設定のサポート状況について説明します。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
スーパーバイザ エンジンで Catalyst OS(CatOS)を使用し、マルチレイヤ スイッチ フィーチャ カード(MSFC)で Cisco IOS® を使用する場合(ハイブリッド):CatOS イメージをシステム ソフトウェアとして使用し、Catalyst 6500/6000 スイッチ上でスーパバイザ エンジンを稼働させることができます。オプションの MSFC が取り付けられている場合、MSFC を稼働させるために、別途、Cisco IOS ソフトウェア イメージを使用します。
スーパーバイザ エンジンおよび MSFC 上の Cisco IOS ソフトウェア(ネイティブ):単一の Cisco IOS ソフトウェア イメージをシステム ソフトウェアとして使用し、スーパバイザ エンジンおよび MSFC を Catalyst 6500/6000 スイッチ上で稼働させることができます。
注:詳細については、『Cisco Catalyst 6500シリーズスイッチ用のCisco CatalystおよびCisco IOSオペレーティングシステムの比較』を参照してください。
Catalyst スイッチのすべてのインターフェイスは、デフォルトで同一の MAC アドレスが設定された状態で出荷されます。このセクションの図は、Supervisor Engine 2とMSFC2を搭載したCatalyst 6500を示しています。ただし、IPアドレスが異なる場合でも、3つのVLANインターフェイスすべてのMACアドレスは同じです。
VLAN(SVI)または L3 インターフェイスの MAC アドレスを変更できるようにするため、Catalyst スイッチにはさまざまなサポートが用意されています。ネットワーク デバイスが、共通の単一な MAC Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)テーブルでの複数 IP をサポートしている場合には、バーンイン MAC アドレスを変更する必要はありません。または、スイッチが VLAN 単位での MAC アドレス テーブルをサポートしている場合も、同様に MAC アドレスを変更する必要はありません。Cisco スイッチは、VLAN 単位の MAC アドレス テーブルまたは Content-Addressable Memory(CAM; 連想メモリ)テーブルをサポートしています。そのため、スイッチでは VLAN 単位での MAC アドレス テーブルを維持できます。したがって、複数の VLAN インターフェイスに同一 MAC アドレスが割り当てられていても問題はありません。
注:複数のインターフェイスでHSRPグループIDが再利用される場合、ホットスタンバイルータプロトコル(HSRP)グループは同じ仮想MACアドレスを使用します。そのため、このことをよく理解したうえで、可能であれば、異なる HSRP グループを使用する必要があります。Catalyst 6500/6000 における HSRP グループの制限事項については、次のドキュメントを参照してください。
Catalyst 3550 スイッチ、Supervisor Engine III/iV を搭載した Catalyst 4500/4000 スイッチ、および Supervisor Engine 720 を搭載した Catalyst 6500 スイッチでは、最大 256 個の一意な HSRP グループ ID(0 ~ 255)がサポートされています。
レイヤ 2 インターフェイス(スイッチポート)の MAC アドレスは一意であり、特定のライン モジュールに割り当てられます。Cisco 6500/6000、4500/4000、3750、3560、3550、および 2970 シリーズ スイッチでは、スイッチポートの MAC アドレスは変更できません。Cisco 2940、および 2950/2955 シリーズ スイッチでは、インターフェイス コンフィギュレーション モードで mac-address コマンドを使用することにより、スイッチポートの MAC アドレスを変更できます。
スパニング ツリーの計算に使用される MAC アドレスは、スーパーバイザ モジュールに存在する EEPROM に保存されます。設置されているライン モジュールの種類に関わりなく、スーパーバイザ モジュールを交換しない限りは、VLAN 用の レイヤ 2 MAC アドレスは変更されません。スーパーバイザ モジュールを交換した場合は、すべての VLAN の レイヤ 2 MAC アドレスは、新しいスーパーバイザ モジュールのアドレス アロケータに指定されたアドレスに変更されます。固定構成の Catalyst スイッチでは、VLAN の MAC アドレスは変更できません。
このセクションでは、インターフェイス単位での MAC アドレスの変更をサポートしているスイッチについて説明します。
次の出力は、MSFC 1 での出力です。MSFC1 では、すべてのインターフェイスで同一のデフォルトの MAC アドレスが使用されます。
cs-6506-24a#show interfaces | include line | address Vlan1 is down, line protocol is down Hardware is Cat6k RP Virtual Ethernet, address is 00d0.bcf1.ee5c (bia 00d0.bcf1.ee5c) Internet address is 14.18.2.182/16 Vlan2 is down, line protocol is down Hardware is Cat6k RP Virtual Ethernet, address is 00d0.bcf1.ee5c (bia 00d0.bcf1.ee5c) cs-6506-24a#
次に示すように、mac-address mac_address インターフェイス設定コマンドを使用して、MAC アドレスを変更します。以下が一例です。
cs-6506-24a#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. cs-6506-24a(config)#interface vlan 1 cs-6506-24a(config-if)#mac-address 0007.0001.0001 cs-6506-24a(config-if)#exit cs-6506-24a(config)#interface vlan 2 cs-6506-24a(config-if)#mac-address 0007.0001.0002 cs-6506-24a(config-if)#end cs-6506-24a#
MAC アドレスの変更は、次のように確認できます。
cs-6506-24a#show interfaces | include line | address Vlan1 is down, line protocol is down Hardware is Cat6k RP Virtual Ethernet, address is 0007.0001.0001 (bia 00d0.bcf1.ee5c) Internet address is 14.18.2.182/16 Vlan2 is down, line protocol is down Hardware is Cat6k RP Virtual Ethernet, address is 0007.0001.0002 (bia 00d0.bcf1.ee5c) cs-6506-24a#
Cisco IOS システム ソフトウェアを実行しているときには、同じコマンドが VLAN(SVI)およびレイヤ 3 インターフェイスに適用されます。ただし、レイヤ 2(L2)インターフェイスには、各モジュールの MAC アドレスの範囲から割り当てられた MAC アドレスが割り当てられています。この範囲は、show module コマンドを使用して表示できます。
cat6kIOS#show module 3 Mod Ports Card Type Model Serial No. --- ----- -------------------------------------- ------------------ ----------- 3 16 SFM-capable 16 port 1000mb GBIC WS-X6516-GBIC SAD0438056W Mod MAC addresses Hw Fw Sw Status --- ---------------------------------- ------ ------------ ------------ ------- 3 0030.f270.ce3b to 0030.f270.ce4a 1.0 6.1(3) 7.5(0.6)HUB1 Ok
この MAC アドレスは、特定の L2 インターフェイスが Bridge Protocol Data Unit(BPDU; ブリッジ プロトコル データ ユニット)などの制御トラフィックを送信する場合に使用されます。 しかし、no switchport コマンドを使用して、同じ L2 ポートを L3 インターフェイスとして設定する場合には、MAC アドレスは、SVI および L3 インターフェイスに対してはデフォルトの グローバル MAC アドレスに戻されます。これは、Cisco IOS システム ソフトウェアを実行している Supervisor Engine I を搭載した Catalyst 6500 上では、次のようにして変更できます。
cat6kIOS#show interfaces | include line | address Vlan1 is up, line protocol is up Hardware is EtherSVI, address is 00d0.003f.880a (bia 00d0.003f.880a) Internet address is 10.48.72.111/23 Vlan3 is administratively down, line protocol is down Hardware is EtherSVI, address is 00d0.003f.880a (bia 00d0.003f.880a) !--- Output suppressed. GigabitEthernet3/1 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is C6k 1000Mb 802.3, address is 0030.f270.ce3f (bia 0030.f270.ce3f) !--- Gigabit Ethernet 3/5 is an L2 interface. The MAC address !--- is from the module MAC address pool. !--- Output suppressed. GigabitEthernet3/10 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is C6k 1000Mb 802.3, address is 00d0.003f.880a (bia 00d0.003f.880a) !--- Gigabit Ethernet 3/10 is an L3 interface. The MAC address !--- is the default for SVI and L3 interface.
インターフェイス 3/10 を L2 ポートとして設定し、MAC アドレスの変更を確認します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. cat6kIOS(config)#interface gigabitethernet cat6kIOS(config)#interface gigabitethernet 3/10 cat6kIOS(config-if)#switchport cat6kIOS(config-if)#
次の例のように、ギガビット イーサネット 3/10 インターフェイスは、モジュールの MAC アドレス プールからの MAC アドレスを使用しています。
cat6kIOS#show interface gigabitethernet 3/10 GigabitEthernet3/10 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is C6k 1000Mb 802.3, address is 0030.f270.ce44 (bia 0030.f270.ce44) MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit, DLY 10 usec, reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Full-duplex mode, link type is autonegotiation, GBIC not connected output flow-control is unsupported, input flow-control is unsupported, 1000Mb/s
ギガビット イーサネット 3/10 を L3 インターフェイスに戻すと、デフォルトの MAC アドレスが割り当てられます。
cat6kIOS(config)#interface gigabitethernet 3/10 cat6kIOS(config-if)#no switchport cat6kIOS(config-if)#end cat6kIOS#show interface gigabitethernet 3/10 GigabitEthernet3/10 is up, line protocol is down (notconnect) Hardware is C6k 1000Mb 802.3, address is 00d0.003f.880a (bia 00d0.003f.880a) MTU 1500 bytes, BW 1000000 Kbit, DLY 10 usec, reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Keepalive set (10 sec)
Catalyst 4000 L3 モジュールは、MAC アドレスの変更をサポートしています。変更するには、物理インターフェイスおよびポート チャネル インターフェイス上で、mac-address mac_address コマンドを使用します。
Catalyst 6500/6000 Supervisor Engine II は、デフォルトのバーンドインアドレス(BIA)からの MAC アドレスの変更をサポートしています。 ただし、1 つのインターフェイスの MAC アドレスを変更することによって、すべての設定済み SVI の MAC アドレスも新しく設定された MAC アドレスに変更されてしまいます。その結果、インターフェイス単位で一意な MAC アドレスを割り当てることができなくなります。これは、Supervisor Engine II のハードウェア制限であり、将来のソフトウェア リリースでも修正されません。
次の例では、MAC アドレスを BIA の 0007.0e8f.088a から 0007.0001.0001 へ変更しています。
Router#show interfaces | include line | address Vlan1 is up, line protocol is up Hardware is EtherSVI, address is 0007.0e8f.088a (bia 0007.0e8f.088a) Vlan2 is up, line protocol is up Hardware is EtherSVI, address is 0007.0e8f.088a (bia 0007.0e8f.088a) !--- Output suppressed.
MAC アドレスを変更するには、インターフェイス コンフィギュレーションで mac-address mac_address コマンドを使用します。
Router#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Router(config)#interface vlan 1 Router(config-if)#mac-address 0007.0001.0001 Router(config-if)#end Router#
次の例で示すように、VLAN 1 インターフェイス モジュールの MAC アドレスを変更することによって、すべてのインターフェイスの MAC アドレスが修正されます。
Router#show interfaces | include line | address Vlan1 is up, line protocol is up Hardware is EtherSVI, address is 0007.0001.0001 (bia 0007.0e8f.088a) Vlan2 is up, line protocol is up Hardware is EtherSVI, address is 0007.0001.0001 (bia 0007.0e8f.088a)
Catalyst 4500/4000 Supervisor Engine III/IV は、現在のところ MAC アドレスの変更をサポートしていません。インターフェイスの MAC アドレスは BIA で、すべてのインターフェイスで共通です。
mac-address コマンドは、Supervisor Engine III/IV を搭載した Catalyst 4500/4000 では認識されません。
cat4kIOS(config)#interface vlan 110 cat4kIOS(config-if)#mac-address ? % Unrecognized command cat4kIOS(config-if)#mac-address
このセクションでは、Catalyst L2 固定構成スイッチ 2940、2950/2955、および 2970(VLAN インターフェイス)、さらに Catalyst L3 固定構成スイッチ 3550、3560、および 3750(VLAN および L3 インターフェイス) に関する情報を提供します。
スイッチ シリーズ | L2 スイッチポートの MAC アドレス変更のサポート | L3 インターフェイスの MAC アドレス変更のサポート | VLAN インターフェイスの MAC アドレス変更のサポート | VLAN インターフェイスに対して MAC アドレスが同一であるか一意であるか |
---|---|---|---|---|
2940、2950、2955 | Yes | 該当なし | Yes | 同一 MAC アドレス |
2970 | No | No | No | 一意な MAC アドレス |
3550 | No | No | No | 同一 MAC アドレス |
3560、3750 | No | No | No | 一意な MAC アドレス |
次の設定例では、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(22)EA9 を実行する Cisco Catalyst 2950 シリーズ スイッチの MAC アドレスを変更する手順を示しています。
2950(config)#interface fa0/2 2950(config-if)#mac-address 0007.0007.0002 2950(config-if)#interface vlan 2 2950(config-if)#mac-address 0007.0007.0022 2950#show interfaces | include line | address Vlan1 is up, line protocol is up Hardware is CPU Interface, address is 0009.b740.8900 (bia 0009.b740.8900) Internet address is 172.16.200.1/16 Vlan2 is administratively down, line protocol is down Hardware is CPU Interface, address is 0007.0007.0022 (bia 0009.b740.8900) FastEthernet0/1 is down, line protocol is down (notconnect) Hardware is Fast Ethernet, address is 0009.b740.8901 (bia 0009.b740.8901) FastEthernet0/2 is down, line protocol is down (notconnect) Hardware is Fast Ethernet, address is 0007.0007.0002 (bia 0009.b740.8902) FastEthernet0/3 is down, line protocol is down (notconnect) Hardware is Fast Ethernet, address is 0009.b740.8903 (bia 0009.b740.8903)
次の例では、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(14)EA1 を使用する 3550 では、mac-address コマンドが認識されていません。
3550(config)#interface vlan 2 3550(config-if)#mac-address 0007.0001.0001 ^ % Invalid input detected at '^' marker. 3550(config-if)#
注:Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(13)EA1以前では、スイッチはインターフェイスでmac-addressコマンドを設定できます。しかし、このコマンドを使用すると接続の問題が発生します。このコマンドライン インターフェイス(CLI)による設定の問題は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(14)EA 以降では修正されています。
Catalyst 2900XL/3500XL スイッチでは、mac-address コマンドは認識されますが、コマンドの使用は許可されておらず、サポートもされていません。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(5)WC3b を使用した Catalyst 3500XL の出力を示します。
Cat3512XL(config)#interface vlan 1 Cat3512XL(config-if)#mac-address Cat3512XL(config-if)#mac-address 005.0005.0005 "mac-address" override is not allowed in this system Cat3512XL(config-if)#