UplinkFast は、アップリンクの障害時にスパニング ツリー プロトコル(STP)のコンバージェンス時間を短縮するシスコ固有の機能です。UplinkFast 機能は、CatOS を実行している Cisco Catalyst 4500/4000、5500/5000、および 6500/6000 シリーズ スイッチでサポートされます。この機能は、Cisco IOS® システム ソフトウェアが稼働する Catalyst 4500/4000 および 6500/6000 スイッチや、2900 XL/3500 XL、2950、3550、3560、および 3750 シリーズのスイッチでもサポートされています。UplinkFast 機能は、スイッチが少なくとも 1 つの代替/バックアップ ルート ポート(ブロッキング状態のポート)を備えている場合にスイッチド環境で動作するように設計されています。そのため、UplinkFast は、通常はアクセス レイヤでポートがブロックされるスイッチに対してのみ有効にすることをお勧めします。代替/バックアップ ルート リンク(通常はシスコ マルチレイヤ設計の分散スイッチとコア スイッチへのリンク)の暗黙的なトポロジの知識がない状態でスイッチに対して使用しないでください。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
次の図は、一般的な設計の冗長ネットワークを示しています。ユーザはアクセス スイッチに接続しています。そのアクセス スイッチは、2 台のコア スイッチまたはディストリビューション スイッチへ二重に接続されています。冗長アップリンクによってネットワークの物理的なトポロジにループが組み込まれると、Spanning-Tree Algorithm(STA; スパニングツリー アルゴリズム)によってループがブロックされます。
コア スイッチ D1 に繋がるプライマリ アップリンクに障害が発生した場合、STP はスイッチ D2 へのセカンド アップリンクを再計算して最終的にブロックを解除し、接続を回復します。デフォルトの STP パラメータでは、この回復には最大で 30 秒を要します。タイマーを調整すると、この所要時間は 14 秒まで短縮できます。アップリンク ファースト機能は、シスコが独自に開発した技術であり、回復時間が 1 秒のレベルまで短縮されます。
このドキュメントでは、プライマリ アップリンクに障害が発生した場合の標準 STP の動作、UplinkFast が標準の再コンバージェンス処理よりも高速に再コンバージェンス可能な理由、および UplinkFast の設定方法について詳細に説明しています。このドキュメントでは、STP の動作についての基本的な情報は説明していません。STP の動作と設定についての詳細は、『Catalyst スイッチでのスパニング ツリー プロトコル(STP)についての説明と設定方法』を参照してください。
このセクションでは、上記の図を基に説明しています。このネットワークでは、最小のバックボーンを使用しています。アップリンクに障害が発生すると、STP の動作が検査されます。各ステップには図が付随しています。
D1 と D2 はコア スイッチです。D1 は、このネットワークのルート ブリッジとして設定されています。A はアクセス スイッチであり、アップリンクのうちの 1 つをブロッキング モードにしています。
A から D1 へのアップリンクに障害が発生したと仮定します。
ポート P1 はただちにダウン状態になり、スイッチ A では D1 へのアップリンクがダウンしたと宣言されます。
スイッチ A では、まだルートからの BPDU を受信している D2 へのリンクを代替用のルート ポートとします。ブリッジ A では、ポート P2 のブロッキング ステートからフォワーディング ステートへの移行を開始できます。これを行うには、リスニング ステージおよびラーンニング ステージを通過する必要があります。これらの各ステージは、forward_delay で指定した秒数(デフォルトでは 15 秒)だけ続き、ポート P2 のブロッキングは 30 秒間続きます。
ポート P2 がフォワーディング ステートに到達すると、スイッチ A に接続されているホストに対してネットワークの接続性が再確立されます。
ネットワークは 30 秒間停止します。
forward_delay タイマーに設定できる最短秒数は 7 秒です。STP パラメータの変更には、14 秒の回復時間がかかる場合があります。これはユーザにとっては気になる遅れであり、注意して調整する必要があります。このドキュメントの次のセクションでは、UplinkFast によってダウンタイムが大幅に短縮される仕組みについて説明しています。
UplinkFast 機能は、アップリンク グループの定義に基づいています。あるスイッチについて、ルート ポートとその他のポートとの間にアップリンク グループがあり、すべてのポートにルート ブリッジに対する代替用の接続があるとします。ルート ポートに障害が発生(つまりプライマリ アップリンクに障害が発生)した場合、アップリンク グループの中から次にコストの低いポートが選択され、ただちに置き換えられます。
次の図では、UplinkFast 機能の基盤をわかりやすく説明しています。
この図では、ルートポートは青のRで表され、指定ポートは緑のdで表されています。緑色の矢印は、ルートブリッジによって生成され、指定ポートのブリッジによって再送信されたBPDUを表します。正式なデモンストレーションを行うまでもなく、安定したネットワークの BPDU とポートについて、次のことが判定できます。
ポートが BPDU を受信している場合、これにはルート ブリッジへのパスが含まれています。これは、BPDU がルート ブリッジを起源としているためです。この図のスイッチ A をチェックします。A のポートのうちの 3 つで BPDU が受信されており、また、3 つのポートがルート ブリッジへと繋がっています。BPDU を送信している A のポートが指定されていますが、ルート ブリッジへは繋がっていません。
どんなブリッジでも、BPDU を受信しているポートは、ルート ポートを除いてすべてブロッキング状態にあります。BPDU を受信しているポートは、ルート ブリッジに繋がっています。2 つのポートがルート ブリッジに繋がるブリッジがある場合は、ブリッジ ループが発生します。
セルフループ ポートには、ルート ブリッジに対する代替パスがありません。図のスイッチ B を見てください。スイッチ B のブロックされたポートは、セルフループになっています。これは、自身の BPDU を受信できないことを意味します。この場合、このブロックされたポートではルートへの代替パスが提供されません。
あるブリッジでは、セルフループでないルート ポートとブロック状態にあるすべてのポートは、アップリンク グループを形成します。次のセクションでは、アップリンク グループでの代替ポートを使用して UplinkFast がコンバージェンスを高速に処理する方法について、ステップごとに説明します。
注:UplinkFastは、スイッチがポートをブロックしている場合にのみ動作します。この機能は、ブロックされた冗長アップリンクのあるアクセス スイッチを主な対象とする設計になっています。UplinkFast を有効にすると、スイッチ全体に対して有効になります。個別の VLAN に対して有効にすることはできません。
このセクションでは、UplinkFast の回復のステップについての詳細を説明しています。このドキュメントの最初に示したネットワーク ダイアグラムを使って説明します。
代替アップリンクに迅速に切り替えるには、次のステップに従います。
A のアップリンク グループは、P1 と非セルフ ループのブロック ポートである P2 によって構成されています。
D1 と A の間のリンクに障害が発生したとき、A ではポート P1 上のリンクがダウンしたことが検出されます。
A では、ルート ブリッジへの唯一のパスが失われたことがただちに判明します(他のパスはアップリンク グループを経由します。たとえば、ポート P2 はブロックされています)。
A は、ただちにポート P2 をフォワーディング モードにします。これは標準の STP の手順に違反しています。
ルート ブリッジへの唯一のパスが現在はダウンしているため、このネットワークにはループが存在しません。したがって、回復はほぼ瞬時に行われます。
UplinkFast によって、2 つのアップリンク間での高速な切り替えが行われると、ネットワーク上の個々のスイッチにある Content-Addressable Memory(CAM)テーブルが瞬間的に正しくないものとなり、実際のコンバージェンス時間がスローダウンします。
これを説明するために、次の例には S および C という 2 台のホストが追加されています。
個々のスイッチにある CAM テーブルが次の図で表されています。C に到達する場合、S を発信元とするパケットは D2、D1、そして A を通過する必要があることが分かります。
次の図では、バックアップ用のリンクが起動しています。
ただし、バックアップ リンクは非常に早く起動されるため、CAM テーブルは正確ではなくなっています。S から C へパケットが送られると、それは D1 へ転送され、ここでドロップされます。S と C の間の通信は、CAM テーブルが正しくない間は遮断されます。トポロジ変更メカニズムを使用しても、この問題が解決されるまでに最大で 15 秒かかる場合があります。
この問題を解決するために、スイッチ A からダミーのパケットのフラッドが始まります。このパケットには、ソースとなる CAM テーブルにあるものとは異なる MAC アドレスが付けられています。この場合、発信元アドレスとして C を持つパケットが A によって生成されます。この宛先は Cisco 独自のマルチキャスト MAC アドレスです。このアドレスによって、パケットがネットワーク全体に確実にフラッドされ、さらに他のスイッチ上の更新が必要な CAM テーブルが確実に更新されます。
ダミーのマルチキャストが送信されるレートは設定が可能です。
プライマリ アップリンクに障害が発生した場合には、代わりとなるアップリンクがアップリンク グループの中から速やかに選択されます。新しいポートが有効になった際には何が起きるでしょうか。また、STP のルールによれば、このポートは正統的に新しいプライマリ アップリンク(ルート ポート)になるのでしょうか。この例では、スイッチ A の元からのルート ポート P1 がダウンしたとき、ポート P2 が代わりとなりますが、その後スイッチ A のポート P1 は回復します。ポート P1 にはルート ポートとしての機能を取り戻す権限があります。UplinkFast はポート P1 が P2 に取って代わり、P2 をブロッキング モードに戻すことを許可するべきでしょうか。
いいえ。次の理由により、ポートP1への即時スイッチオーバーは必要ありません。ポートP2を即座にブロックし、ポートP1をフォワーディングモードにします。
安定:プライマリアップリンクがフラッピングしている場合は、ネットワークを即時に再有効化することで、ネットワークの不安定性を引き起こさないほうがよいでしょう。既存のアップリンクを一時的に保持する方が安定しています。
UplinkFast によって実行されることは、ポート P1 がアップ状態になりしだいファワーディング モードに移行させることだけです。問題は、D1 のリモート ポートもアップしつつあり、こちら側は通常の STP ルールに従うことです。
ポート P2 をただちにブロッキングし、ポート P1 をフォワーディング モードにすることは、この場合は役に立ちません。ポート P3 では、リスニング ステージおよびラーンニング ステージを経過するまではフォワーディングが行われません。これにはデフォルトでそれぞれ 15 秒ずつかかります。
最善の解決策は、現在のアップリンクをアクティブに保ち、ポート P3 がフォワーディングを開始するまではポート P1 をブロックしたままにすることです。ポート P1 とポート P2 との間の切り替えは、2 × forward_delay + 5 秒(デフォルトで 35 秒)だけ遅延します。 他のプロトコルでは、ネゴシエートのために 5 秒間余分にかかります(Etherchannel の DTP など)。
プライマリ アップリンクがバックアップすると、前に説明したように、フォワーディング ステートに迅速に切り替えられる前に、最初に約 35 秒間、UplinkFast によってブロック状態が保たれます。このポートは、ほぼ同じ期間、他の UplinkFast 移行を行うことができなくなります。これは、UplinkFastを頻繁にトリガーし続けるフラッピングのアップリンクから保護し、ネットワークを介して大量のダミーのマルチキャストがフラッディングされる可能性があるためです
この機能を有効にするには、ルートに対して冗長接続を提供するブロックされたポートが必要です。スイッチでUplinkFastが設定されると、スイッチは、これを実現するために一部のSTPパラメータを自動的に調整します。
スイッチのブリッジの優先度がデフォルトよりも著しく高い値に増やされます。これにより、そのスイッチはルート ブリッジとして選ばれなくなります。ルート ブリッジはルート ポートを持ちません(すべてのポートが指定されます)。
スイッチにあるすべてのポートで、コストが 3000 だけ増やされます。これにより、スイッチポートが指定ポートとして選択される可能性が低くなります。
警告:STPパラメータの自動変更によって現在のSTPトポロジが変更される可能性があるため、UplinkFast機能を設定する前に注意してください。
スイッチのハードウェアまたはソフトウェア機能により、UplinkFast 機能が正しく動作しなくなる場合があります。これらの制限事項の例をいくつか挙げます。
UplinkFast では、CatOS が稼働する 6500/6000 スイッチ上の High Availability スーパーバイザのスイッチオーバー中は、ファースト移行が行われません。リセットの失敗したスーパーバイザ上でルート ポートが失われた場合、スイッチオーバー後の状況は、スーパーバイザ間のルート ポート情報を同期しないためにスイッチが初めてブートするときに似ています。High Availability(HA)は、スパニング ツリー ポート状態だけを維持し、ルート ポート情報を維持しないため、HA のスイッチオーバーが発生すると、新しいスーパーバイザは障害の発生したスーバーバイザのアップリンク ポートの 1 つでポートが失われたことが分かりません。一般的な解決策としては、ポート チャネル(EtherChannel)を使用します。 両方のスーパーバイザ間(たとえば、1/1 と 2/1 の間または 1/2 と 2/2 の間)にポート チャネルが作成された場合や、ルート ポートが任意のライン カードのポート上にある場合、ルート ポートの状態が維持されます。アクティブなスーパーバイザのリセットに失敗したときには、スパニング ツリー トポロジが変更されないため、UplinkFast 移行は必要ありません。
UplinkFast は、Cisco IOS システム ソフトウェアが稼働する 6500/6000 スイッチ上の RPR または RPR+ スイッチオーバー中は、ファースト移行を行いません。レイヤ 2 ポートはスパニング ツリー コンバージェンス状態(リスニング、ラーニング、フォワーディング)を経る必要があるため、回避策はありません。
2900/3500XL/2950/3550/3560/3750 の gigastack 上の UplinkFast 実装は、CSUF(Cross Stack Uplink Fast Feature)と呼ばれ、gigastack セットアップ上の一般的な UplinkFast 機能はサポートされません。CSUF には、CAM テーブルを更新するための UplinkFast 移行後のダミー マルチキャスト パケットの生成は実装されていません。
UplinkFast が有効にされている場合は、スイッチ上のスパニング ツリー プライオリティを変更しないでください。変更すると、プラットフォームによっては、UplinkFast 機能が無効になったり、UplinkFast 機能が自動的にプライオリティを高い値に変更してスイッチがルート ブリッジになるのを防ぐために、ループが発生する場合があります。
このセクションでは、UplinkFast の設定と動作の例をステップごとに説明しています。次のネットワーク図を使用します。
スイッチ A、スイッチ D1、およびスイッチ D2 はすべて、UplinkFast 機能をサポートする Catalyst スイッチです。スイッチ A に注目しながら次の手順を実行します。
注:この設定は、CatOSおよびCisco IOSソフトウェアが稼働するスイッチAでテストされています。
次に示すものは、アクセス スイッチ A において、STP に設定されているデフォルト パラメータです。
注:スイッチD2に接続するポートは現在ブロック中で、ポートの現在のコスト値は帯域幅によって異なります。たとえば、イーサネットポートは100、ファストイーサネットポートは19、ギガビットイーサネットポートは4、ブリッジのプライオリティはデフォルトの32768です。
CatOS
A>(enable) show spantree VLAN 1 Spanning tree enabled Spanning tree type ieee Designated Root 00-40-0b-cd-b4-09 Designated Root Priority 8192 Designated Root Cost 100 Designated Root Port 2/1 Root Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID MAC ADDR 00-90-d9-5a-a8-00 Bridge ID Priority 32768 Bridge Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- 1/1 1 not-connected 19 32 disabled 0 1/2 1 not-connected 19 32 disabled 0 2/1 1 forwarding 100 32 disabled 0 !--- Port connecting to D1 2/2 1 blocking 100 32 disabled 0 !--- Port connecting to D2 2/3 1 not-connected 100 32 disabled 0 2/4 1 not-connected 100 32 disabled 0 2/5 1 not-connected 100 32 disabled 0 <snip>
Cisco IOS
A#show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 19 Port 130 (FastEthernet3/2) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 32768 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Altn BLK 19 128.129 P2p !--- Port connecting to D2 Fa3/2 Root FWD 19 128.130 P2p !--- Port connecting to D1
CatOS
スイッチ A で UplinkFast を有効にするには、set spantree uplinkfast enable コマンドを使用します。次のパラメータが設定されています。
A>(enable) set spantree uplinkfast enable VLANs 1-1005 bridge priority set to 49152. The port cost and portvlancost of all ports set to above 3000. Station update rate set to 15 packets/100ms. uplinkfast all-protocols field set to off. uplinkfast enabled for bridge.
show spantree を使用すると、次のような変化が起こります。
ブリッジのプライオリティが 49152 に上がる
ポートのコストが 3000 上がる
A>(enable) show spantree VLAN 1 Spanning tree enabled Spanning tree type ieee Designated Root 00-40-0b-cd-b4-09 Designated Root Priority 8192 Designated Root Cost 3100 Designated Root Port 2/1 Root Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID MAC ADDR 00-90-d9-5a-a8-00 Bridge ID Priority 49152 Bridge Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- 1/1 1 not-connected 3019 32 disabled 0 1/2 1 not-connected 3019 32 disabled 0 2/1 1 forwarding 3100 32 disabled 0 2/2 1 blocking 3100 32 disabled 0 <snip>
Cisco IOS
スイッチ A で UplinkFast を有効にするには、spanning-tree uplinkfast コマンドを使用できます。次のパラメータが設定されています。
A(config)#spanning-tree uplinkfast
show spanning-tree を使用すると、次のような変化が起こります。
ブリッジのプライオリティが 49152 に上がる
ポートのコストが 3000 上がる
A(config)#do show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 3019 Port 130 (FastEthernet3/2) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 49152 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Uplinkfast enabled Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Altn BLK 3019 128.129 P2p Fa3/2 Root FWD 3019 128.130 P2p
CatOS
set logging level コマンドを使用すると、STP に対するロギング レベルを上げることができ、テスト時に詳細な情報が画面に表示されます。
A>(enable) set logging level spantree 7 System logging facility for this session set to severity 7(debugging) A>(enable)
Cisco IOS
logging console debugging コマンドを使用し、メッセージのコンソール ロギングをデバッギング レベルに設定します。これは最も重大度の低いレベルであり、すべてのロギング メッセージが表示されます。
A(config)#logging console debugging
CatOS
この段階で、AとD1の間のケーブルを抜きます。同じ秒で、D1へのポート接続がダウンし、D2へのポート接続がフォワーディングモードに即座に移行されます。
2000 Nov 21 01:34:55 %SPANTREE-5-UFAST_PORTFWD: Port 2/2 in vlan 1 moved to forwarding(UplinkFast) 2000 Nov 21 01:34:55 %SPANTREE-6-PORTFWD: Port 2/2 state in vlan 1 changed to forwarding 2000 Nov 21 01:34:55 %SPANTREE-7-PORTDEL_SUCCESS:2/1 deleted from vlan 1 (LinkUpdPrcs)
show spantree コマンドを使用すると、STP がただちに更新されていることを確認できます。
A>(enable) show spantree <snip> Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- 1/1 1 not-connected 3019 32 disabled 0 1/2 1 not-connected 3019 32 disabled 0 2/1 1 not-connected 3100 32 disabled 0 2/2 1 forwarding 3100 32 disabled 0 <snip>
Cisco IOS
A# 00:32:45: %SPANTREE_FAST-SP-7-PORT_FWD_UPLINK: VLAN0001 FastEthernet3/1 moved to Forwarding (UplinkFast). A#
更新された STP 情報を確認するには、show spanning-tree コマンドを使用します。
A#show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 3038 Port 129 (FastEthernet3/1) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 49152 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 15 Uplinkfast enabled Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Root FWD 3019 128.129 P2p
この時点で、プライマリ アップリンクを手作業で接続し、元の状態に戻します。UplinkFast 機能は、ポートをブロッキング モードに強制的に移行させますが、通常の STP ルールではリスニング モードに移行させることになっています。これと同時に、D2 に接続しているポートは標準の STP に従えばただちにブロッキング モードに入る必要がありますが、ここではフォワーディング モードのままです。UplinkFast では、新しいアップリンクが完全に動作するまで、現在のアップリンクを維持します。
CatOS
A>(enable) 2000 Nov 21 01:35:38 %SPANTREE-6-PORTBLK: Port 2/1 state in vlan 1 changed to blocking 2000 Nov 21 01:35:39 %SPANTREE-5-PORTLISTEN: Port 2/1 state in vlan 1 changed to listening 2000 Nov 21 01:35:41 %SPANTREE-6-PORTBLK: Port 2/1 state in vlan 1 changed to blocking A>(enable) show spantree <snip> Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- <snip> 2/1 1 blocking 3100 32 disabled 0 2/2 1 forwarding 3100 32 disabled 0 <snip> A>(enable)
D1 に接続しているポートがアップ状態になって 35 秒後、UplinkFast によってアップリンクが切り替えられ、D2 へのポートがブロックされて、D1 へのポートが直接フォワーディング モードに入ります。
2000 Nov 21 01:36:15 %SPANTREE-6-PORTBLK: Port 2/2 state in vlan 1 changed to blocking 2000 Nov 21 01:36:15 %SPANTREE-5-UFAST_PORTFWD: Port 2/1 in vlan 1 moved to forwarding(UplinkFast) 2000 Nov 21 01:36:15 %SPANTREE-6-PORTFWD: Port 2/1 state in vlan 1 changed to forwarding A>(enable) show spantree <snip> Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- <snip> 2/1 1 forwarding 3100 32 disabled 0 2/2 1 blocking 3100 32 disabled 0 <snip>
Cisco IOS
A#show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 3038 Port 129 (FastEthernet3/1) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 49152 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Uplinkfast enabled Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Root FWD 3019 128.129 P2p Fa3/2 Altn BLK 3019 128.130 P2p A# 01:04:46: %SPANTREE_FAST-SP-7-PORT_FWD_UPLINK: VLAN0001 FastEthernet3/2 moved to Forwarding (UplinkFast). A#show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 3019 Port 130 (FastEthernet3/2) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 49152 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 300 Uplinkfast enabled Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Altn BLK 3019 128.129 P2p Fa3/2 Root FWD 3019 128.130 P2p
CatOS
UplinkFast を無効にするには、set spantree uplinkfast disable コマンドを使用します。このコマンドを発行すると、この機能だけが無効になります。このポートのコストやスイッチのプライオリティなど、調整されたすべての項目は、変更されないまま残ります。
A>(enable) set spantree uplinkfast disable uplinkfast disabled for bridge. Use clear spantree uplinkfast to return stp parameters to default. A>(enable) show spantree VLAN 1 Spanning tree enabled Spanning tree type ieee Designated Root 00-40-0b-cd-b4-09 Designated Root Priority 8192 Designated Root Cost 3100 Designated Root Port 2/1 Root Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID MAC ADDR 00-90-d9-5a-a8-00 Bridge ID Priority 49152 Bridge Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- 1/1 1 not-connected 3019 32 disabled 0 1/2 1 not-connected 3019 32 disabled 0 2/1 1 forwarding 3100 32 disabled 0 2/2 1 blocking 3100 32 disabled 0 <snip>
clear spantree uplinkfast コマンドを使用します。このコマンドはこの機能を無効にするだけでなく、パラメータもリセットします。
A>(enable) clear spantree uplinkfast This command will cause all portcosts, portvlancosts, and the bridge priority on all vlans to be set to default. Do you want to continue (y/n) [n]? y VLANs 1-1005 bridge priority set to 32768. The port cost of all bridge ports set to default value. The portvlancost of all bridge ports set to default value. uplinkfast all-protocols field set to off. uplinkfast disabled for bridge. A>(enable) show spantree VLAN 1 Spanning tree enabled Spanning tree type ieee Designated Root 00-40-0b-cd-b4-09 Designated Root Priority 8192 Designated Root Cost 100 Designated Root Port 2/1 Root Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID MAC ADDR 00-90-d9-5a-a8-00 Bridge ID Priority 32768 Bridge Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec Port Vlan Port-State Cost Priority Portfast Channel_id ------------------------ ---- ------------- ----- -------- ---------- ---------- 1/1 1 not-connected 19 32 disabled 0 1/2 1 not-connected 19 32 disabled 0 2/1 1 forwarding 100 32 disabled 0 2/2 1 blocking 100 32 disabled 0 <snip>
Cisco IOS
UplinkFast を無効にするには、no spanning-tree uplinkfast コマンドを使用します。CatOS スイッチとは異なり、Cisco IOS スイッチでは、ポート コストやスイッチのプライオリティに対して行われたすべての調整が、この時点で自動的に以前の値に戻ります。
A(config)#no spanning-tree uplinkfast A(config)#do show spanning-tree VLAN0001 Spanning tree enabled protocol ieee Root ID Priority 8193 Address 0016.4748.dc80 Cost 19 Port 130 (FastEthernet3/2) Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Bridge ID Priority 32768 Address 0009.b6df.c401 Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec Aging Time 15 Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type ---------------- ---- --- --------- -------- -------------------------------- Fa3/1 Altn BLK 19 128.129 P2p Fa3/2 Root FWD 19 128.130 P2p
UplinkFast 機能は、アクセス スイッチ上でアップリンク障害が発生した場合に、STP のコンバージェンス時間を劇的に減少させます。UplinkFast は、標準 STP が厳密に動作する他のスイッチと相互に動作します。UplinkFast は、設定されたスイッチにセルフループではないブロックされたポートがある場合にのみ有効です。ポートがブロックされる機会を増やすために、そのスイッチのポートのコストとブリッジのプライオリティは変更されます。この調整はアクセス スイッチでは整合性がありますが、コア スイッチでは役に立ちません。
アップリンク ファーストは、直接リンクの障害に対してだけ反応します。この機能を動かすには、アクセス スイッチのポートに物理的な障害が発生する必要があります。もう 1 つのシスコ独自の機能である Backbone Fast は、間接的なリンクに障害が発生した場合に、ブリッジ接続されたネットワークでのコンバージェンス時間を短縮します。
clear spantree uplinkfast(CatOS)
set spantree uplinkfast(CatOS)
show spantree(CatOS)
set logging level(CatOS)
spanning-tree uplinkfast(Cisco IOS)
show spanning-tree(Cisco IOS)