このドキュメントでは、いくつかの ATM コントロール セルの形式を示し、コントロール セルのそれぞれのタイプがどのアプリケーションで使用されるかを示します。セル ヘッダーには、3 ビットの Payload Type Identifier(PTI; ペイロード タイプ識別子)フィールドが含まれています。この PTI フィールドの最初のビットで、セルがデータ セル(1)なのかコントロール セル(0)なのかが示されています。
図 1:ATM ユーザ ネットワーク インターフェイス(UNI)セル ヘッダーの形式
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このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
International Telecommunications Union(ITU-T; 国際電気通信連合電気通信標準化部門)では、I361 勧告で未指定セルとアイドル セルの形式を定義しています。これらのセルの目的は、正確なセルのデカップリング、つまりセルの線引きを確実に実現させることです。その結果、受信側の ATM インターフェイスは新しいセル単位の始点を認識できます。ITU-T は、I432 勧告でセルの線引きに関するメカニズムを定義しています。
ATM フォーラム標準は、SONET/SDH インターフェイスがあると、ATM デバイスがアイドル セルまたは未指定セルのどちらかを送信し、選択されたセル形式が設定されたフレーミングによって異なることを要求します。たとえば、PA-A3-OC3 は、Synchronous Optical Network(SONET; 同期光ファイバ ネットワーク)同期転送信号 STS-3c フレーミングで設定されると、未指定セルを送信します。Synchronous Digital Hierarchy(SDH; 同期デジタル ハイアラーキ)同期転送モジュール STM-1 フレーミングを設定し、インターフェイスを設定してアイドル セルを送信するには、atm sonet stm-1 コマンドを使用します。
受信側の ATM デバイスは、アイドル セルの内容では動作せず、それらを ATM プロトコル スタックの ATM レイヤまでは引き渡しません。
Circuit Emulation Service(CES; 回線エミュレーション サービス)を提供する ATM インターフェイスも、音声通信が存在しない場合にはアイドル セルを送信します。ATM スイッチのオンフック検出機能を伴う Channel-Associated Signaling(CAS; チャネル対応シグナリング)は、音声通信がない間のアイドル セルの伝送をディセーブルにします。
表 1:アイドル セルの形式
オクテット 1 | オクテット 2 | オクテット 3 | オクテット 4 | オクテット 5 | |
---|---|---|---|---|---|
ヘッダー パターン | 00000000 | 00000000 | 00000000 | 00000001 | HEC = 有効なコード 01010010 |
ITU-T は、I.361 勧告で、アイドル セルに 01101010 または 0x6A のペイロード パターンを指定しています。
表 2:未指定セルの形式
オクテット 1 | オクテット 2 | オクテット 3 | オクテット 4 | オクテット 5 | |
---|---|---|---|---|---|
ヘッダー パターン | 00000000 | 00000000 | 00000000 | 0000BBB0 | HEC = 有効なコード |
4 つ目のオクテットの Cell Loss Priority(CLP; セル損失率優先度)ビットは 0 に設定する必要があります。PTI フィールド(BBB 値で示されているもの)は、無視してください。
ATM プロトコルに対する逆多重化は、2 つ以上の物理 T1 リンクの帯域幅を、1 つの仮想リンクまたは IMA グループ インターフェイスとメンバー T1 にわたる ATM レイヤからのラウンドロビン セルにバンドルします。IMA Control Protocol(ICP)セルは、逆多重化機能の操作を制御します。デフォルト フレーム長値 128 によって、各リンクの 128 セルごとに 1 つのセルが ICP セルになります。
アイドル セルと未指定セルのように、IMA 充てんセルは、IMA サブレイヤでセル レート デカップリングを実行し、ATM レイヤには渡されません。これらは、受信端にあるセルの安定した流れを確実にするために使用されます。IMA 充てんセルは、5 バイト ヘッダーの値と、Operation, Administration, and Maintenance(OAM)ラベル、セル ID、Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)フィールドによって特定されます。
ATM フォーラムの IMA 仕様は、次のように IMA フィラー セルの用途を定義しています。
IMA 送信装置は、巡回ラウンドロビン方式とセルごとの単位で N リンク経由で ATM レイヤから到着する ATM セル(未指定セルを含む)を配布します。
IMA 送信装置は、IMA グループ内の各リンクに割り当てられたリンク ID に基づいて昇順を使用してリンク経由で ATM レイヤ セルを配布します。
IMA 仮想リンクの終端にある各インターフェイスは、IMA 設定、同期化、ステータス、障害情報を遠端に伝送するために、IMA 仕様に定義された IMA コントロール プロトコル セル形式を使用します。
IMA 送信装置は、ATM レイヤに利用可能なセルが存在しないときに、ATM の代わりに IMA 充てんセルを挿入することでセル レート デカップリングを実行します。
IMA 受信装置は次のことを行います。
N リンクからのセルを受け付ける
充てんセルを廃棄する
不良 Header Error Checksum(HEC)のセルを廃棄する
ICP セルを処理して廃棄し、集約 ATM セル ストリームを ATM レイヤに渡す(未指定セルを含む)
着信セルの順序を維持する
表 3:IMA 充てんセルの形式
オクテット | ラベル | 注 |
---|---|---|
1-5 | ATM セル ヘッダー | オクテット1 = 00000000オクテット2 = 00000000オクテット3 = 00000000オクテット4 = 00001011(0x0B)オクテット5 = 01100100(有効なHEC) |
6 | OAM ラベル | 00000001(IMAバージョン1.0) |
7 | セルIDリンクID | 00000000 |
8-51 | 未使用 | 01101010(0x6A) ITU-T勧告I.432 |
52-53 | CRC エラー コントロール | ビット15 - 10 = 0000000ビット9 - 0 = CRC-10 ITU-T勧告I.610 |
ITU-T は、I.361 勧告で無効なセルの形式を規定しています。Virtual Path Identifier(VPI)フィールドの 0 以外の値のセルと、Virtual Circuit Identifier(VCI)フィールドの 0 値のセルは、I.361 に規定されているように無効なセルです。
表 4:無効なセルの形式
オクテット 1 | オクテット 2 | オクテット 3 | オクテット 4 | オクテット 5 | |
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ヘッダー パターン | XXXXXXXX | XXXX0000 | 00000000 | 0000BBBB | HEC = 有効なコード |
B = 考慮しない
X = 0 以外の任意の値