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この章では、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ、ルート スイッチ プロセッサ(RSP)カード、ルート プロセッサ(RP)カード、ファブリック コントローラ(FC)カード、イーサネット ラインカード、電源および冷却システム、およびサブシステム(管理、設定、アラーム、モニタリングなど)の機能について説明します。
• 「ルータの動作」
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、スイッチ ファブリックを使用して一連のシャーシ スロットに相互接続する完全分散ルータです。各シャーシ スロットには、各種ラインカードのいずれかを装着できます。Cisco ASR 9000 シリーズの各ラインカードには、入力/出力(I/O)およびフォワーディング エンジンだけでなく、ラインカード リソースを管理するための十分なコントロール プレーン リソースも統合されています。シャーシの 2 つのスロットは、シャーシのプロビジョニングおよび管理のための単一接点を提供する RSP/RP カード用に予約されています。
図 2-1 に Cisco ASR 9010 ルータおよび Cisco ASR 9006 ルータのプラットフォーム アーキテクチャを示します。
図 2-1 Cisco ASR 9010 ルータおよび Cisco ASR 9006 ルータのプラットフォーム アーキテクチャ
図 2-2 に、Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータのプラットフォーム アーキテクチャを示します。
図 2-2 Cisco ASR 9922 ルータ および Cisco ASR 9912 ルータ プラットフォームのアーキテクチャ
図 2-3 に、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータの主要システム コンポーネントおよび相互接続を示します。
図 2-3 Cisco ASR 9000 シリーズ ルータの主要システム コンポーネントおよび相互接続
図 2-4 Cisco ASR 9000 シリーズ ルータのその他のシステム コンポーネント
図 2-5 Cisco ASR 9922 シリーズ ルータの主要システム コンポーネントおよび相互接続
RSP カードは、Cisco ASR 9010 ルータおよび Cisco ASR 9006 ルータ シャーシの主要コントロールおよびスイッチ ファブリック要素です。RSP カードには、システム用のシステム コントロール、パケット スイッチング、およびタイミング コントロールが備わっています。冗長性を確保するために、システムには 2 つの RSP カードを装備できます。1 つはアクティブ コントロール RSP として、もう 1 つはスタンバイ RSP として使用します。アクティブ RSP が故障すると、スタンバイ RSP がすべての制御機能を引き継ぎます。
図 2-6 に、RSP カードの前面パネルのコネクタおよびインジケータを示します。
図 2-6 RSP カードの前面パネルのインジケータおよびコネクタ
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図 2-7 に、RSP-440 カードの前面パネルを示します。
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RP カードは、Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータ シャーシの主要なコントロール要素です。スイッチ ファブリック要素は FC カードに移動しました。RP カードには、システム用のシステム コントロール、パケット スイッチング、およびタイミング コントロールが備わっています。冗長性を確保するために、システムには 2 つの RP カードが搭載されています。1 つはアクティブ コントロール RP として、もう 1 つはスタンバイ RP として使用します。アクティブ RP が故障すると、スタンバイ RP がすべての制御機能を引き継ぎます。
図 2-8 に、RP カードの前面パネルのコネクタおよびインジケータを示します。
図 2-8 RP カードの前面パネルのコネクタとインジケータ
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アウトオブバンド管理ポートとして使用できる 2 つのデュアルスピード(100M/1000M)管理 LAN RJ-45 コネクタが用意されています。管理 LAN の速度は自動ネゴシエーションされます。
EIA/TIA-232 RJ-45 コンソール ポートには、コンソール端末を接続するための Data Circuit-terminating Equipment(DCE; データ回線終端装置)インターフェイスが備わっています。このポートは、デフォルトで 9600 ボー、8 データ、パリティなし、フロー制御なしの 2 ストップ ビットに設定されています。
EIA/TIA-232 RJ-45 補助ポートには、フロー制御をサポートする Data Circuit-terminating Equipment(DCE; データ回線終端装置)インターフェイスが備わっています。このポートを使用して、モデム、Channel Service Unit(CSU; チャネル サービス ユニット)、または Telnet 管理用の他のオプション機器を接続します。このポートのデフォルトは、9600 ボー、8 データ、パリティなし、1 ストップ ビット、ソフトウェア ハンドシェイク方式です。
RSP/RP 上のアラーム回路により、RSP/RP 前面パネルの 9 ピン アラーム出力コネクタを使用してアクセスできるドライ メイク接点がアクティブにされます。各 RSP/RP カードで 3 つのアラーム出力接点のセットが駆動されます。ノーマル オープン接点およびノーマル クローズ接点の両方を使用できます。
アクティブ RSP/RP でだけアラーム出力が駆動されます。スタンバイ RSP/RP へのスイッチオーバーが発生すると、新たにアクティブになった RSP/RP によりアラーム出力が駆動されます。
同期 0 および同期 1 ポートは、Building Integrated Timing System(BITS; ビルディング総合タイミング システム)ポートとして設定できるタイミング ポートです。BITS ポートでは、外部同期ソース用の接続を実現し、複数のネットワーク ノードで正確な周波数制御を確立します(アプリケーションで必要な場合)。RSP/RP カードには Synchronous Equipment Timing Source(SETS; 同期装置タイミング ソース)が含まれており、外部 BITS タイミング インターフェイスから周波数参照を受信したり、受信インターフェイス(ギガビット イーサネット、10 ギガビット イーサネット、または SONET インターフェイスなど)から回復されたクロック信号から周波数参照を受信できるようになっています。RSP/RP SETS 回路では、受信したタイミング信号がフィルタリングされ、それを使用して発信イーサネット インターフェイスまたは BITS 出力ポートが駆動されます。
タイミング ポートは、J.211 または DTI ポートとして設定することもできます。DOCSIS タイミング インターフェイス(UTI)ポートは、外部 DTI サーバに接続して複数のルータ間でタイミングと周波数を同期するために使用されます。タイミング機能により、ネットワーク パフォーマンスの測定(たとえば、VPN 全体での遅延の測定)用にネットワークのリアルタイム クロックの正確な同期が可能になります。周波数参照は BITS 入力のように機能します。
RP カードには、外部 Universal Serial Bus(USB)ポートが 1 つあります。USB フラッシュ メモリ デバイスを挿入して、ソフトウェア イメージとファイルをロードして転送できます。このメモリ デバイスは、システムをターボブートするため、または Package Information Envelope(PIE)およびソフトウェア メンテナンス アップグレード(SMU)のインストール元として使用できます。このメモリ デバイスは、ユーザのデータ ファイル、コア ファイル、および設定のバックアップにも使用できます。
RSP カードには、8 つの個別 LED インジケータ、およびシステム情報のための LED ドット マトリクス ディスプレイがあります。RSP-440 では、3 つの USB 固有 LED が追加されます。RP には、9 つの個別 LED インジケータ、およびシステム情報のための LED ドット マトリクス ディスプレイがあります。
表 2-1 に、RSP の前面パネルにある 8 つの個別 LED、および 3 つの RSP-440 固有 USB LED のディスプレイ定義を示します。
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スタンバイ電源障害 LED。この LED は、Controller Area Network(CAN; コントローラ エリア ネットワーク)バス コントローラが稼働すると消灯します。 |
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アラーム カットオフはイネーブルである。少なくとも 1 つのアラームが発生した後で ACO プッシュ ボタンが押されました。 |
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表 2-2 に、RP 前面パネルにある 9 つの個別 LED のディスプレイ定義を示します。
LED マトリクスには、4 文字で構成される行が 1 行表示されます。CPU の電源がオンになると、マトリクスがアクティブになり、ブート プロセスのステージが表示されます。また、通常の動作時には実行時情報が表示されます。CAN バス コントローラに問題が発生すると、エラー メッセージが表示されます。
表 2-3 に、ブート プロセスのステージと実行時情報を表示する RSP LED マトリクスを示します。
表 2-4 に、ブート プロセスのステージと実行時情報を表示する RSP-440 および RP LED マトリクスを示します。
画面の更新速度が非常に速いため、正常なブートアップ プロセス中にはこれらのメッセージのすべてを確認できるわけではありません。ブートアップ プロセス中に障害が検出された場合、メッセージは表示されたままになり、ブートアップ プロセスが停止したステージが示されます。可能な場合は、RSP/RP カードに障害情報のログが記録され、カードがリブートします。
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表 2-5 に、RSP カードで電源投入時自己診断テストのいずれかが失敗した場合に LED マトリクスに表示されるエラー メッセージを示します。
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FPGA イメージの Cyclic Redundancy Checking(CRC; 巡回冗長検査)のチェックが失敗した。 |
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RSP/RP カードの前面パネルには、2 つのプッシュ ボタンが備わっています。
Alarm Cutoff(ACO; アラーム カットオフ):ACO アクティベーションによりアラーム出力が抑制されます。クリティカル アラームがアクティブなときに ACO ボタンを押すと、ACO LED が点灯し、対応するアラーム出力接点がノーマル オープン(非アラーム)状態に戻るため、アラームが抑制されます。ACO アクティベーションの後で後続のクリティカル アラームが検出され、アクティブになると、ACO 機能が非アクティブになり、ユーザに新しいアラームの着信が通知されます。この場合、ACO LED が消灯し、アクティブ アラームが再び示されます(アラーム出力接点がアラーム状態になります)。
ランプ テスト:ランプ テスト ボタンを押すと、ボタンを放すまで、RSP/RP ステータス LED、ラインカード ステータスおよびポート LED、およびファン トレイ LED が点灯します。LED マトリクス ディスプレイには影響しません。
Cisco ASR 9010 ルータおよび Cisco ASR 9006 ルータの 1 つの RSP カードにスイッチ ファブリック機能とルート プロセッサ機能の両方が備わっています。Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータでは、ルート プロセッサの機能は RP カード上にあり、スイッチ ファブリックは FC カード上にあります。また、RSP/RP カードには、バックプレーン イーサネット、タイミング、およびシャーシ コントロール用の共有リソースも用意されています。冗長 RSP/RP カードは、シャーシのプロビジョニング、管理、およびデータ プレーン スイッチングの中央制御ポイントとなります。
RSP カードのスイッチ ファブリック部分では、ラインカードが互いに結合されています。スイッチ ファブリックは複数のパラレル プレーンの単一スイッチング ステージとして設定されます。ファブリックは異なるラインカード間でパケットを転送するために使用されますが、パケット処理機能は兼ね備えていません。各ファブリック プレーンは、シングル ステージ、ノンブロッキング、パケット ベースで、ストア アンド フォワード スイッチです。ファブリック輻輳を管理するために、RSP カードには集中 Virtual Output Queue(VOQ; 仮想出力キュー)調停機能も備わっています。
RSP カードを備えるシステムでは、スイッチ ファブリックはラインカード スロットあたり 80 Gbps 配信が可能です。RSP-440 カードを備えるシステムでは、スイッチ ファブリックはラインカード スロットあたり 200 Gbps 配信が可能です。
スイッチ ファブリックは 1+1 冗長であり、各冗長 RSP カードで 1 つのファブリックが使用されます。各 RSP カードでは、ルータのスループット仕様を満たす十分なスイッチング キャパシティが伝送されるため、完全な冗長性が確保されます。
Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータでは、スイッチ ファブリック要素は、RP カードに沿ってバックプレーンに接続する専用 FC カードに移動しました。スイッチ ファブリックは、ラインカード スロットあたり 550 Gbps 配信が可能です。
シャーシに 5 つの FC カードが取り付けられている場合、スイッチ ファブリックは 4+1 冗長です。シャーシに 7 つの FC カードがすべて取り付けられている場合、スイッチ ファブリックは 6+1 冗長です。スイッチ ファブリックは、各 FC に 1 つのファブリックのコピーを備え、各 FC ではシャーシのスループット仕様を満たすのに十分なスイッチング キャパシティが伝送されるため、完全な冗長性が確保されます。
図 2-9 に、スイッチ ファブリックの相互接続を示します。
図 2-10 に、Cisco ASR 9922 ルータ スイッチ ファブリックを示します。
図 2-10 Cisco ASR 9922 ルータ スイッチ ファブリック
スイッチを通過するユニキャスト トラフィックは、VOQ スケジューラ チップで管理されます。VOQ スケジューラでは、パケットをスイッチに送信できるように、パケットを受信するスイッチの出力側でバッファを使用できるようにします。このメカニズムにより、出力カードの輻輳状況に関係なく、すべての入力ラインカードから出力カードに均等にアクセスできるようになります。
VOQ メカニズムはオーバーレイであり、スイッチ ファブリック自体とは分離されています。VOQ 調停では、スイッチ ファブリックは直接制御しませんが、スイッチに伝送されたトラフィックがスイッチを出るときにその最終的な到達場所が存在するようにします。これにより、ファブリック内での輻輳が防止されます。
VOQ スケジューラも 1 対 1 の冗長であり、2 つの各冗長 RSP/RP カードで 1 つの VOQ スケジューラ チップが使用されます。
マルチキャスト トラフィックは、スイッチ ファブリックでレプリケートされます。マルチキャスト(ユニキャスト フラッディングを含む)の場合、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでは、システム内の分岐ポイントで必要に応じてパケットがレプリケートされます。そのため、マルチキャスト パケットを効率的にレプリケートでき、同じパケットの複数のコピーによる負荷が特定のパスにかからなくてすみます。
スイッチ ファブリックには、ダウンリンク出力ポートへのマルチキャスト パケットをレプリケートするための機能が備わっています。また、ラインカードには、複数のコピーを単一ポートの別々のトンネルまたは接続回路内に入れるための機能が備わっています。
システムには、64K ファブリック マルチキャスト グループ(RSP 2 ベースのラインカード)または 128K ファブリック マルチキャスト グループ(RSP 440 ベースのラインカード)が用意されています。そのため、必要なダウンリンク パスに対してだけレプリケーションを実行でき、すべてのマルチキャスト トラフィックをすべてのパケット プロセッサに送信する必要はありません。システム内の各マルチキャスト グループを設定して、どのラインカードおよびそのカードのどのパケット プロセッサをパケットのレプリケート先にするかを決定できます。マルチキャストは VOQ メカニズムによる調停の対象にはなりませんが、スイッチ ファブリック内の輻輳ポイントでの調停の対象にはなります。
ルート プロセッサでは、通常のシャーシ管理機能が実行されます。Cisco ASR 9000 シリーズでは Cisco IOS XR ソフトウェアが実行されるため、ルート プロセッサではシャーシ制御および管理用ソフトウェアの中核部分が実行されます。
ルート プロセッサの補助的な機能として、ブート メディア、システム タイミング(周波数と日時)同期、精密なクロック同期、バックプレーン イーサネット通信、および(別個の CAN バス コントローラ ネットワークを介した)電源制御があります。
ルート プロセッサは、管理および制御のために、スイッチド イーサネット アウトオブバンド チャネル(EOBC)を介して他のルート プロセッサおよびラインカードと通信します。
図 2-11 に、RSP 上のルート プロセッサの相互接続を示します。
図 2-12 に、RP 上のコンポーネントの相互接続を示します。
図 2-13 に、FC 上のコンポーネントの相互接続を示します。
RSP/RP カードは、Ethernet Over Backplane Channel(EOBC)ギガビット イーサネット スイッチを介して各ラインカード上のコントロール プロセッサと通信します。このパスは、InterProcess Communication(IPC; プロセス間通信)などのプロセッサ間通信用です。アクティブ RSP/RP カードは、EOBC を使用してスタンバイ RSP/RP カード(取り付けられている場合)とも通信します。
RSP カードには、スイッチ ファブリックに接続され、パケット転送 FPGA を通じてギガビット イーサネット インターフェイスを経由するルート プロセッサにリンクされたファブリック インターフェイス チップ(FIC)が搭載されています。このパスは、RSP カードに転送される外部トラフィック用としてラインカード ネットワーク プロセッサによって使用されます。
パケット転送 FPGA には、次の 3 つの主要機能があります。
• ファブリック インターフェイス チップで使用されるヘッダーとルート プロセッサ上のイーサネット インターフェイスで交換されるヘッダーとの間のパケット ヘッダー変換
• ファブリック インターフェイス チップの 20 Gbps DDR バスとプロセッサ上の 1 Gbps インターフェイスとの間の I/O インターフェイス プロトコル変換(レート マッチング)
• パケット転送 FPGA 内の出力ファブリック バッファでのオーバーフローを回避するためのフロー制御(ファブリック輻輳の場合)
ルート プロセッサは、制御トラフィックを処理するために FIC を介してスイッチ ファブリックと通信します。FIC には、ファブリック輻輳が発生した場合に制御トラフィックとフロー制御を処理するのに十分な帯域幅があります。外部トラフィックは、ラインカード ネットワーク プロセッサによりルート プロセッサに転送されます。
Cisco ASR 9922 ルータの RP および FC カードには、コントロール プレーンとパント パスを提供するバックプレーンに接続された制御インターフェイス チップと FIC が搭載されています。
Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータでは、スイッチ ファブリックは FC カードに移動されました。
スイッチ ファブリックは複数のパラレル プレーンの単一スイッチング ステージとして設定されます。スイッチ ファブリックは、あるラインカードから別のラインカードにパケットを転送するために使用されますが、パケット処理機能は兼ね備えていません。各ファブリック プレーンは、シングル ステージ、ノンブロッキング、パケット ベースで、ストア アンド フォワード スイッチです。ファブリック輻輳を管理するため、RP には集中 Virtual Output Queue(VOQ; 仮想出力キュー)調停機能が用意されています。
スイッチ ファブリックは、ラインカード スロットあたり 550 Gbps 配信が可能です。シャーシに 5 つの FC カードが取り付けられている場合、スイッチ ファブリックは 4+1 冗長です。シャーシに 7 つの FC カードがすべて取り付けられている場合、スイッチ ファブリックは 6+1 冗長です。スイッチ ファブリックは、各 FC に 1 つのファブリックのコピーを備え、各 FC ではシャーシのスループット仕様を満たすのに十分なスイッチング キャパシティが伝送されるため、完全な冗長性が確保されます。
図 2-14 に FC カードを示します。
図 2-15 に、FC カードの前面パネルを示します。前面パネルには、ステータス LED、イジェクト レバー、イジェクト レバー リリース ボタン、および取り付けネジがあります。
FC カードの前面パネルには、システム情報を示す三色 LED インジケータが 1 つあります。
表 2-6 に、FC カードの前面パネルにある個別 LED のディスプレイ定義を示します。
表 2-7 に、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータで使用可能なイーサネット ラインカードの一覧を示します。
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SFP1 |
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2 ポート 10 ギガビット イーサネット プラス 20 ポート ギガビット イーサネット(2x10GE + 20x1GE)コンビネーション ラインカード |
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CFP4 |
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QSFP+5 |
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QSFP+6 |
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータ用のイーサネット ラインカードでは、64 バイトの小さなパケットのラインレート フォワーディング スループットが実現されます。Small Form-Factor Pluggable(SFP、SFP+、QSFP+、XFP、または CFP)トランシーバ モジュール ポートは、状態の変化と光学モニタの値を追跡するために定期的にポーリングされます。パケット機能は、Network Processor Unit(NPU; ネットワーク プロセッサ ユニット)ASIC 内にインプリメントされています(図 2-16 を参照)。
図 2-16 一般的なラインカード データ プレーンのブロック図
ほとんどのラインカードにはカードごとに 4 個の NPU があります(80 G ライン レート カードには 8 個)。2 ポート 100GE DX ラインカードには、カードごとに 8 個の NPU があります。一方、2 ポート 100GE DX ラインカード、80 ギガバイト モジュラ ラインカード、160 ギガバイト モジュラ ラインカード、およびこれらがサポートするモジュラ ポート アダプタ(MPA)は、カードごとに 4 個の NPU があります。NPU からのデータ パスは 2 つあります。プライマリ パスは、ブリッジ FPGA(ヘッダーが操作されインターフェイス変換が実行される)、ファブリック インターフェイス ASIC(VOQ を使用してパケットがキューイングされる)、バックプレーン(パケットが RSP/RP ファブリックに送信される)の順です。このパスでは、すべてのメイン データが処理されるとともに、RSP/RP カードの CPU にルーティングされるデータが制御されます。2 つ目のパスは、スイッチド ギガビット イーサネット リンクを介してローカル CPU に向かうものです。この 2 つ目のリンクは、ラインカードの CPU にルーティングされる制御データまたはファブリック リンクを介して RSP/RP カードに送信されるパケットを処理するために使用されます。
バックプレーン ギガビット イーサネット リンク(各 RSP/RP カードに対して 1 つ)は、アプリケーション イメージのダウンロード、IOS XR ソフトウェアからのシステム設定データ、統計の収集、ラインカードの電源投入とリセット コントロールなど、コントロール プレーン機能用に主に使用されます。
CAN Bus Controller(CBC; CAN バス コントローラ)では、電源動作および電源投入時リセット機能が管理されます。CBC のローカル 3.3 V レギュレータは、ブートアップ時にバックプレーンからの 10 V を使用して作動します。その後、電源シーケンサを使用して、カード上の残りの回路の電源投入が制御されます。
各 NPU では、単純な設定で、入力および出力を含めて 1 秒あたり合計で約 2,500 ~ 3,000 万パケットを処理できます。より多くのパケット処理機能をイネーブルにすると、パイプラインで処理できる 1 秒あたりのパケット数が減ります。これは、NPU の 15 Gbps の双方向パケット処理機能に相当します。外部インターフェイスからの最小パケット サイズは 64 バイト、最大パケット サイズは 9 KB(9216)です。NPU では最大で 16 KB のフレームを処理でき、ブリッジ FPGA およびファブリック インターフェイス チップは 10 KB のフレーム サイズを処理するように設計されています。
パケット ストリームは NPU によって処理され、ギガビット イーサネット リンクを介してローカル CPU にローカルにルーティングされるか、2 つのブリッジ FPGA およびファブリック インターフェイス チップを介して RSP/RP ファブリック カードにルーティングされます。4 つの NPU から 2 つのブリッジ FPGA へのパスの合計帯域幅は 60 Gbps です。2 つのブリッジ FPGA からファブリック インターフェイス チップへのパスの合計帯域幅は 60 Gbps です。ファブリック インターフェイス チップからバックプレーンへの合計帯域幅は 46 Gbps 冗長です。ファブリック インターフェイス チップは、4 つの 23 Gbps リンクを介してバックプレーンに接続します。
各 NPU では、(パケット サイズと処理要件に応じて)最大 15 Gbps のラインレートのトラフィックを処理できます。 ラインカードでは、レイヤ 2/レイヤ 3 スイッチングを実現するために多くの異なるイーサネット プロトコルを処理できます。各 NPU では、完全にサブスクライブされた設定で 30 Gbps のラインレートのデータを処理できます。ポート間のすべてのスイッチングは、バックプレーンからすべてのラインカードに接続された RSP/RP カードで処理されます。VOQ は、ラインカードおよび RSP/RP カードの両方のファブリック インターフェイス チップにインプリメントされています。これにより、すべての入力データ パスでそれぞれの出力データ ポートに均等にアクセスできるようになっています。
ファブリック インターフェイス ASIC からのバックプレーン上で使用可能なファブリック帯域幅は 80 Gbps ですが、インターフェイスを介して送信される使用可能データは最大で 40 Gbps だけであり、その他は発生したオーバーヘッド トラフィック(46 Gbps)になります。
40 ポート ギガビット イーサネット(40x1GE)ラインカードには、SFP モジュールに接続する 40 のポートが備わっています。SFP モジュールでは、4 つの NPU への SGMII 接続を介して 40 ギガビット イーサネット インターフェイスが処理されます。40 の SFP ポートは、10 ポートずつの 4 つのブロックにまとめられています。10 ポートずつの各ブロックは、SGMII シリアル バス インターフェイスを介して 1 つの NPU に接続されます。
40x1GE ラインカードには、基本バージョン、拡張バージョン、およびローキュー バージョンがあります。これらのバージョンは機能的には同等です。ただし、拡張バージョンのラインカードでは、通常、基本ラインカードの 2 倍の規模のサービスが提供されます。
図 2-17 に、40x1GE ラインカードのブロック図を示します。また、図 2-18 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-17 40 ポート ギガビット イーサネット(40x1GE)ラインカードのブロック図
図 2-18 40 ポート ギガビット イーサネット(40x1GE)ラインカードの前面パネル
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8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)2:1 オーバーサブスクライブ型ラインカードには、8 個の 10 ギガビット イーサネット オーバーサブスクライブ型 XFP モジュール ポートがあります。10 ギガビット イーサネット ポートの 2 つは、4 つの各 NPU 上の XAUI インターフェイスに接続します。
8x10GE 2:1 オーバーサブスクライブ型ラインカードには、基本バージョン、拡張バージョン、およびローキュー バージョンがあります。これらのバージョンは機能的には同等です。ただし、拡張バージョンのラインカードでは、通常、基本ラインカードの 2 倍の規模のサービスが提供されます。
図 2-19 に、8x10GE 2:1 オーバーサブスクライブ型ラインカードのブロック図を示します。また、図 2-20 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-19 8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)2:1 オーバーサブスクライブ型ラインカードのブロック図
図 2-20 8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)2:1 オーバーサブスクライブ型ラインカードの前面パネル
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4 ポート 10 ギガビット イーサネット(4x10GE)ラインカードには、4 個の 10 ギガビット イーサネット XFP モジュール ポートがあります。10 ギガビット イーサネット ポートの 1 つは、4 つの各 NPU 上の XAUI インターフェイスに接続します。
4x10GE ラインカードには、基本バージョン、拡張バージョン、およびローキュー バージョンがあります。これらのバージョンは機能的には同等です。ただし、拡張バージョンのラインカードでは、通常、基本ラインカードの 2 倍の規模のサービスが提供されます。
図 2-21 に、4x10GE ラインカードのブロック図を示します。また、図 2-22 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-21 4 ポート 10 ギガビット イーサネット(4x10GE)ラインカード:ブロック図
図 2-22 4 ポート 10 ギガビット イーサネット(4x10GE)ラインカードの前面パネル
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8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)80 Gbps ライン レート カードには 8 個の 10 ギガビット イーサネット XFP モジュール ポートがあります。10 ギガビット イーサネット ポートの 1 つは、8 つの各 NPU 上の XAUI インターフェイスに接続します。8x10GE 80 Gbps ライン レート カードは、デフォルトの LAN モードのほか、WAN PHY および OTN モードをサポートします。
8x10GE 80 Gbps ライン レート カードには、基本バージョン、拡張バージョン、およびローキュー バージョンがあります。これらのバージョンは機能的には同等です。ただし、拡張バージョンのラインカードでは、通常、基本ラインカードの 2 倍の規模のサービスが提供されます。
図 2-23 に、8x10GE 80 G ライン レート カードのブロック図を示します。また、図 2-24 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-23 8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)80 Gbps ライン レート カードのブロック図
図 2-24 8 ポート 10 ギガビット イーサネット(8x10GE)80 Gbps ライン レート カードの前面パネル
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2 ポート 10 ギガビット イーサネット プラス 20 ポート 1 ギガビット イーサネット(2x10GE + 20x1GE)コンビネーション ラインカードには 2 個の 10 ギガビット イーサネット XFP モジュール ポートと、20 個のギガビット イーサネット SFP モジュール ポートがあります。各ポート(XFP または SFP)は 4 つの NPU のうちいずれかの XAUI インターフェイスに接続します。2x10GE + 20x1GE コンビネーション ラインカードは、デフォルトの LAN モードのほか、WAN PHY および OTN モードをサポートします。
2x10GE + 20x1GE コンビネーション ラインカードには、基本バージョン、拡張バージョン、およびローキュー バージョンがあります。これらのバージョンは機能的には同等です。ただし、拡張バージョンのラインカードでは、通常、基本ラインカードの 2 倍の規模のサービスが提供されます。
図 2-25 に、2x10GE + 20x1GE コンビネーション ラインカードのブロック図を示します。また、図 2-26 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-25 2 ポート 10 ギガビット イーサネット プラス 20 ポート ギガビット イーサネット(2x10GE + 20x1GE)コンビネーション ラインカードのブロック図
図 2-26 2 ポート 10 ギガビット イーサネット プラス 20 ポート 1 ギガビット イーサネット(2x10GE + 20x1GE)コンビネーション ラインカードの前面パネル
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16 ポート 10 ギガビット イーサネット(16x10GE)オーバーサブスクライブ型ラインカードには、16 個の 10 ギガビット イーサネット オーバーサブスクライブ型 SFP+(10 ギガビット イーサネット SFP)モジュール ポートがあります。10 ギガビット イーサネット ポートの 2 つは、8 つの各 NPU 上の XAUI インターフェイスに接続します。
16x10GE オーバーサブスクライブ型ラインカードは、基本バージョンを使用できます。
図 2-27 に、16x10GE オーバーサブスクライブ型ラインカードのブロック図を示します。また、図 2-28 に、前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-27 16x10GE オーバーサブスクライブ型ラインカードのブロック図
図 2-28 16 ポート 10 ギガビット イーサネット(16x10GE)オーバーサブスクライブ型ラインカードの前面パネル
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24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは、SFP+ イーサネット光インターフェイス モジュール用の 2 台のスタック 2x6 ケージ アセンブリを備えています。24 個の SFP+ モジュールは 10 Gbps の速度で動作します。
ルータに 2 つの RSP カードを搭載する 24 ポート 10 ギガビット イーサネットはライン レートで動作します。
ルータに 1 つの RSP カードを搭載する 24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは 220 Gbps ライン レート カードです。
24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは、SE(サービス エッジ最適化)または TR(パケット転送最適化)バージョンで使用できます。
24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードの前面パネルにある各 SFP+ ケージの隣にはリンク LED があります。リンク LED は関連する SFP+ ポートのステータスを示します。
図 2-29 に、24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードの前面パネルおよびコネクタを示します。
図 2-29 24 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカード
図 2-30 24 ポート 10 ギガビット イーサネット(24x10GE)ラインカードの前面パネル
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36 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは、SFP+ イーサネット光インターフェイス モジュール用の 3 台のスタック 2x6 ケージ アセンブリを備えています。36 個の SFP+ モジュールは 10 Gbps の速度で動作します。
このカードは、マザーボードとドーター ボードの 2 つのボードで構成されます。マザーボードの主要コンポーネントには、2 個のネットワーク プロセッサ、CPU および ASIC が含まれます。ドーター ボードの主要コンポーネントには、4 個のネットワーク プロセッサ、2 個の ASIC、6 個の Hex Phy、3 個の 2x6 SFP+ ケージが含まれます。
Cisco ASR 9922 ルータに 2 つの RP カードを搭載する 36 ポート 10 ギガビット イーサネットはライン レートで動作します。Cisco ASR 9922 ルータに 1 つの RP カードを搭載する 36 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは 220 Gbps ライン レート カードです。
36 ポート 10 ギガビット イーサネット ラインカードは、SE(サービス エッジ最適化)または TR(パケット転送最適化)バージョンで使用できます。どちらのバージョンも機能的には同等ですが、設定の規模とバッファ容量によって異なります。
図 2-31 に、36 ポート 10 GE ラインカードの前面パネルのコネクタとインジケータを示します。
図 2-31 36 ポート 10 ギガビット イーサネット(36x10GE)ラインカードの前面パネル
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2 ポート 100GE ラインカードは、100 Gbps の速度で動作する CFP イーサネット光インターフェイス モジュール用の 2 つの CFP ケージを備えています。
2 台の CFP モジュールに、100 ギガビット イーサネット マルチモードで接続することが可能です。
2 ポート 100GE ラインカードは、SE(サービス エッジ最適化)または TR(パケット転送最適化)バージョンで使用できます。どちらのバージョンも機能的には同等ですが、設定の規模とバッファ容量によって異なります。
2 ポート 100GE ラインカードの前面パネルにある各 CFP ケージの隣にはリンク LED があります。リンク LED は関連する CFP ポートのステータスを示します。
図 2-32 に、2 ポート 100GE ラインカードの前面パネルおよびコネクタを示します。
図 2-32 2 ポート 100 ギガビット イーサネット(2x100GE)ラインカードの前面パネル
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1 ポート 100GE ラインカードは、100 Gbps の速度で動作する CFP イーサネット光インターフェイス モジュール用の 1 つの CFP ケージを備えています。CFP モジュールに、100 ギガビット イーサネット マルチモードで接続することが可能です。
1 ポート 100GE ラインカードは、SE(サービス エッジ最適化)または TR(パケット転送最適化)バージョンで使用できます。どちらのバージョンも機能的には同等ですが、設定の規模とバッファ容量によって異なります。
前面パネルにある CFP ケージの隣にはリンク LED があります。リンク LED は CFP ポートのステータスを示します。
図 2-33 に、1 ポート 100GE ラインカードの前面パネルを示します。
図 2-33 1 ポート 100 ギガビット イーサネット(1x100GE)ラインカードの前面パネル
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モジュラ ラインカードは、2 つのネットワーク処理装置(スループット 80 GB)と 4 つネットワーク処理装置(スループット 160 GB)のバージョンで使用できます。各バージョンは、サービス エッジ最適化(SE)またはパケット転送最適化(TR)バージョンで使用できます。どちらのバージョンも機能的には同等ですが、設定の規模とバッファ容量によって異なります。
図 2-34 に、下部ベイに取り付けられた 20 ポート ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタ(MPA)を搭載するモジュラ ラインカードを示します。図 2-34 に示すように、ベイ 0 は「上部」または「左」ベイ、ベイ 1 は「下部」または「右」ベイです。
MPA の前面パネルには、アクティブ/リンク(A/L)LED があります。各 A/L LED はポートおよびリンクの両方のステータスを示します。グリーンに点灯する A/L LED は、ステートがオン、ポートがイネーブル、リンクがアップ状態であることを示します。グリーンに点灯する A/L LED は、ステートがオン、ポートがイネーブル、リンクがダウン状態であることを示します。A/L LED がオフの場合、ステートがオフ、ポートがイネーブルになっていない、リンクがダウン状態であることを示します。
モジュラ ラインカードは、次の MPA をサポートする 2 個のベイを備えています。
20 ポート ギガビット イーサネット MPA は、光ファイバまたは銅線ギガビット イーサネット トランシーバをサポートする 10 個のダブルスタック(合計 20 個)SFP ケージを搭載しています。10/100/1000 Mbps の速度をもつ銅線 SFP モジュールもサポートします。
ギガビット イーサネット MPA の前面パネルにある各 SFP ケージの隣には A/L LED があります。A/L LED は関連する SFP ポートのステータスを示します。
図 2-35 に、20 ポート ギガビット イーサネット MPA の例を示します。
図 2-35 20 ポート ギガビット イーサネット MPA
8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュラ ポート アダプタは、10 Gbps の速度で動作する SFP+ イーサネット光インターフェイス モジュール用の 8 つのケージを搭載しています。
8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタには次の注意事項と制限があります。
• 8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタは、160 ギガバイト モジュラ ラインカード(A9K-MOD160-TR および A9K-MOD160-SE)でのみサポートされます。
• 8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタは、80 ギガバイト モジュラ ラインカード(A9K-MOD80-TR および A9K-MOD80-SE)では サポートされません 。
• 8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタは ASR 9001 では サポートされません 。
8 ポート 10 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタの前面パネルにある各 SFP+ ケージの隣には A/L(アクティブ/リンク)LED があります。A/L(アクティブ/リンク)LED は関連する SFP+ ポートのステータスを示します。
図 2-36 に、8 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA の例を示します。
図 2-36 8 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA
4 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA は、10 Gbps の速度で動作する XFP イーサネット光インターフェイス モジュール用の 4 つのケージを備えています。4 台の XFP モジュールに、10 ギガビット イーサネット マルチモードで接続することが可能です。
4 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA の前面パネルにある各 XFP ケージの隣には A/L LED があります。A/L LED は関連する XFP ポートのステータスを示します。
図 2-37 に、4 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA の例を示します。
図 2-37 4 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA
2 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA は、10 Gbps の速度で動作する XFP イーサネット光インターフェイス モジュール用の 2 つのケージを備えています。2 台の XFP モジュールに、10 ギガビット イーサネット マルチモードで接続することが可能です。
2 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA の前面パネルにある各 XFP ケージの隣には A/L LED があります。A/L LED は関連する XFP ポートのステータスを示します。
図 2-38 に、2 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA の例を示します。
図 2-38 2 ポート 10 ギガビット イーサネット MPA
2 ポート 40 ギガビット イーサネット MPA は、40 Gbps の速度で動作する QSFP+ イーサネット光インターフェイス モジュール用の 2 つのケージを備えています。2 台の QSFP+ モジュールに、40 ギガビット イーサネット マルチモードまたはシングル モードで接続することが可能です。
2 ポート 40 ギガビット イーサネット MPA の前面パネルにある各 QSFP+ ケージの隣には A/L LED があります。A/L LED は関連する QSFP+ ポートのステータスを示します。
図 2-39 に、2 ポート 40 ギガビット イーサネット MPA の例を示します。
図 2-39 2 ポート 40 ギガビット イーサネット MPA
1 ポート 40 ギガビット イーサネット モジュラ ポート アダプタは、40 Gbps の速度で動作する QSFP+ イーサネット光インターフェイス モジュール用のケージを搭載しています。QSFP+ モジュールは、40 ギガビット イーサネット マルチ モード接続または 40 ギガビット イーサネット シングル モード接続のいずれかをサポートします。
1 ポート 40 ギガビット イーサネット モジュール ポート アダプタの前面パネルにある各 QSFP ケージの隣には A/L(アクティブ/リンク)LED があります。A/L LED は関連する QSFP+ ポートのステータスを示します。
1 ポート 40 ギガビット イーサネット モジュラ ポート アダプタの例については、下の図 2-40 を参照してください。
図 2-40 1 ポート 40 ギガビット イーサネット モジュラ ポート アダプタ
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータは、AC または DC 電源で動作します。電源システムは、システム バックプレーン上の -54 VDC プリント基板の電源バスを中心とした分散電力アーキテクチャに基づいています。
-54 VDC システム バックプレーンの電源バスへの電力供給には、次の 2 つのオプションのいずれかを使用できます。
• AC システム:お客様の 200 ~ 240 V +/- 10%(180 VAC ~ 264 VAC)電源に接続された AC/DC バルク電源トレイ。
• DC システム:お客様のセントラル オフィス DC バッテリ電源(公称 -54 VDC)に接続された DC/DC バルク電源トレイ。
システム バックプレーンは、バックプレーンから各カードおよびファン トレイに DC 電源を供給します。各カードには、分散バス電圧からの -54 VDC を特定の各カードで必要な電圧に変換するオンボード DC-DC コンバータが備わっています。
電源システムのアース位置は、-54 VDC リターンに 1 箇所用意されています。つまり、-54 VDC リターンは、バックプレーンだけのシャーシ グラウンドにアースされます。Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータでは、内部 -54 VDC 電源供給が電源モジュール内の変圧器によってセントラル オフィスから分離されでます。アース位置は、-54 VDC リターン分散バスにも 1 箇所用意されています。
電源システムの現場交換可能なすべてのモジュールが Online Insertion and Removal(OIR; 活性挿抜)向けに設計されているため、システムの動作を中断することなく、取り付けたり取り外したりできます。
図 2-41 および図 2-42 に、バージョン 1 およびバージョン 2 電源システムを備える ASR 9010 ルータ AC 電源システムのブロック図に示します。図 2-43 および図 2-44 に、バージョン 1 およびバージョン 2 電源システムを備える ASR 9010 ルータ DC 電源システムのブロック図に示します。
(注) ASR 9000 シリーズ ルータには、使用可能な DC バージョン 1 電源モジュールが 2 基(2100 W モジュールと 1500 W モジュール)搭載されています。両方のタイプの電源モジュールを単一のシャーシで使用できます。ASR 9000 シリーズ ルータには、使用可能なバージョン 2 DC 電源モジュールが 1 基(2100 W)搭載されています。
図 2-41 ASR 9010 ルータ AC 電源システムのブロック図:バージョン 1 電源システム
図 2-42 ASR 9010 ルータ AC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
図 2-43 ASR 9010 ルータ DC 電源システムのブロック図:バージョン 1 電源システム
図 2-44 ASR 9010 ルータ DC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
図 2-45 および図 2-46 に、バージョン 1 およびバージョン 2 電源システムを備える ASR 9006 ルータ AC 電源システムのブロック図に示します。図 2-47 および図 2-48 に、バージョン 1 およびバージョン 2 電源システムを備える ASR 9006 ルータ DC 電源システムのブロック図に示します。
図 2-45 ASR 9006 ルータ AC 電源システムのブロック図:バージョン 1 電源システム
図 2-46 ASR 9006 ルータ AC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
図 2-47 ASR 9006 ルータ DC 電源システムのブロック図:バージョン 1 電源システム
図 2-48 ASR 9006 ルータ DC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
図 2-49 および図 2-50 に、AC および DC バージョン 2 電源システムを備える ASR 9922 ルータのブロック図を示します。
図 2-49 ASR 9922 ルータ AC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
図 2-50 ASR 9922 ルータ DC 電源システムのブロック図:バージョン 2 電源システム
複数の AC/DC 電源モジュールは各 AC/DC 電源トレイに設置できます。
図 2-51 に、バージョン 1 電源モジュールを示し、図 2-52 にバージョン 2 電源モジュールを示します。
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図 2-53 に、バージョン 1 電源モジュールのステータス インジケータを示し、図 2-54 に、バージョン 2 電源モジュールのステータス インジケータを示します。2 つの図の後にインジケータの定義を示します。
図 2-53 バージョン 1 電源モジュールのステータス インジケータ
図 2-54 バージョン 2 電源モジュールのステータス インジケータ
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AC 電源システムと DC 電源システムの両方に、シャーシの設定に応じてシステム電源冗長性があります。各トレイには最大で 4 つのモジュールを装着できます。また、複数の電源構成用に設定できます。電源システムの冗長性の詳細については、「電源の冗長性」を参照してください。
AC 電源トレイには、20-A UL/CSA 認定、16-IEC 認定の AC レセプタクルが備わっています。バージョン 1 レセプタクルには、電源コードを保持するためのベイル ロック保持ブラケットがあります。バージョン 2 レセプタクルには、締め付けて電源コードを保持できるネジとクランプ機能があります。AC 電源トレイからの DC 出力電源は、バックプレーン上の電源バスに結合される 2 つの電源ブレードによってルータに接続されます。システム通信は、バックプレーンからの I2C ケーブルを介して行われます。
図 2-55 にバージョン 1 AC 電源装置の背面を示し、図 2-56 にバージョン 2 電源トレイの背面を示します。
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各 AC 電源トレイには、トレイに取り付けられているすべての電源モジュールの電源を同時に投入またはスタンバイ モードにできる単極単投の電源スイッチが備わっています。電源モジュールの電源が切断されると、DC 出力電力のみが切断され、電源モジュール ファンおよび LED は機能し続けます。バージョン 1 電源トレイの電源スイッチは、トレイの背面にあります(図 2-55 を参照)。バージョン 2 電源トレイの電源スイッチは、トレイの前面にあります(図 2-57 を参照)。
図 2-57 AC 電源スイッチの場所:バージョン 2 電源システム
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各 AC モジュールでは、個々の単相 220-VAC 20-A 電源を使用できます。 表 A-14 に、指定された AC 入力電圧の限度を示します。所定の電圧は単相電源です。
各モジュールの出力は、入力電圧の変動、負荷の変動、および環境条件をすべて組み合わせた条件下で、許容仕様( 表 A-16 を参照)の範囲内になります。モジュールの合計出力電力は 3000 W を超えません。
AC トレイの出力容量は、装着されているモジュールの数によって決まります。最大出力電流は、最大モジュール電流にモジュール数を乗算することで決定されます。たとえば、3 つの電源モジュールを使用している場合の最大容量を判断するには、電流に 3 を乗算(x3)します。
1. お客様の AC 回路ブレーカーを ON の位置に切り替えて、AC 電源を電源トレイに適用します。
2. 各電源トレイにある電源オン/オフ ロジック スイッチを ON の位置に切り替えて、AC/DC 電源をイネーブルにします。
3. AC が適用されてから 6 秒以内に、電源トレイの AC/DC モジュールにより -54 VDC 出力が供給されます。
4. ロジック カード内のソフトスタート回路により、100 ミリ秒間、オンボード DC/DC コンバータの入力コンデンサが充電されます。
5. カード電力コントローラ MCU により、デジタル コントローラへの PMBus インターフェイスを使用する直接通信を介して、DC/DC コンバータの電力シーケンシングおよび Points of Load(POL; ポイント オブ ロード)がイネーブルにされます。
6. プログラム パラメータが各 POL にダウンロードされ、オン/オフ コントロール ピンがアサートされてから最大で 50 ミリ秒以内に、DC/DC コンバータの出力が電圧変動範囲まで増加します。
1. 電源オン/オフ ロジック スイッチを OFF の位置に切り替えるか、AC 電源から電源コードを抜いて、電力変換をディセーブルにします。
2. 電源トレイの AC/DC モジュールは、AC 電源を切断してから最低で 15 ミリ秒間、電圧変動範囲内にとどまります。
3. AC/DC モジュールが電圧変動範囲の最低レベルから減少し始めてから最低で 15 ミリ秒間、ロジック カードへの -54 V が -36 V まで減少します。
DC 電源トレイ(図 2-58 を参照)には、A と B の 2 つの給電コネクタ バンクが備わっています。システム通信は、バックプレーンからの I2C ケーブルを介して行われます。
各 DC 電源トレイには、トレイに取り付けられているすべての電源モジュールの電源を同時に投入または切断できる単極単投の電源スイッチが備わっています。電源モジュールの電源が切断されると、DC 出力電力のみが切断され、電源モジュール ファンおよび LED は機能し続けます。電源スイッチは前面パネルにあります。
図 2-58 に、バージョン 1 電源システムの電源トレイの背面パネルを示します。図 2-59 に、バージョン 2 電源システムの電源トレイの背面パネルを示します。
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図 2-59 DC 電源トレイの背面パネル:バージョン 2 電源システムを備える ASR 9006 ルータ
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図 2-60 に、バージョン 1 電源システムを備える ASR 9010 ルータおよび ASR 9006 ルータの DC 電源のトレイの背面パネルにある給電インジケータの位置を示します。図 2-61 に、バージョン 2 電源システムを備える ASR 9006 ルータの DC 電源トレイの背面パネルにある給電インジケータの位置を示します。
図 2-60 DC 電源トレイの給電インジケータ:バージョン 1 電源システム
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図 2-61 DC 電源トレイの給電インジケータ:バージョン 2 電源システム
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1. お客様の DC 回路ブレーカーを ON の位置に切り替えて、DC 電源を電源トレイに適用します。
2. 各電源トレイにある電源オン/オフ ロジック スイッチを ON の位置に切り替えて、DC/DC 電源をイネーブルにします。
3. DC が適用されてから 7 秒以内に、電源トレイの DC/DC 電源モジュールにより -54 VDC 出力が供給されます。
4. ロジック カード内のソフトスタート回路により、100 ミリ秒間、オンボード DC/DC コンバータの入力コンデンサが充電されます。
5. カード電力コントローラ MCU により、デジタル コントローラ(LT7510 など)への PMBus インターフェイスを使用する直接通信を介すか、またはデジタル ラッパー(LT2978 など)を介して、DC/DC コンバータの電力シーケンシングおよび POL がイネーブルにされます。
6. プログラム パラメータが各 POL にダウンロードされ、オン/オフ コントロール ピンがアサートされてから最大で 50 ミリ秒以内に、DC/DC コンバータの出力が電圧変動範囲まで増加します。
1. 電源トレイの電源オン/オフ ロジック スイッチを OFF の位置に切り替えて、電力変換をディセーブルにします。
2. 電源トレイの DC/DC モジュールは、電源オン/オフ ロジック スイッチをディセーブルにしてから最低で 3.5 ミリ秒間、電圧変動範囲内にとどまります。
3. DC/DC モジュールが電圧変動範囲の最低レベルから減少し始めてから最低で 3.5 ミリ秒間、ロジック カードへの -54 VDC が -36 VDC まで減少します。
Cisco ASR 9000 シリーズのシャーシは、着脱式ファン トレイによって冷却されます。ファン トレイにより完全な冗長性が確保され、1 つのファンで障害が発生した場合でも必要な冷却が維持されます。
Cisco ASR 9010 ルータでは、2 台のファン トレイはカード ケージの下に上下に配置されています。また、簡単に取り外せるようにハンドルが付いています。
Cisco ASR 9006 ルータでは、2 台のファン トレイはカード ケージの上、中央左に隣り合わせに配置されています。ファン トレイは、下部がヒンジで固定されたファン トレイ ドアで保護されています。トレイを取り外すには、このドアを開く必要があります。
Cisco ASR 9922 ルータでは、2 台の上部ファン トレイは上部ケージと中央ケージの間に配置され、2 台の下部ファン トレイは中央と下部ケージの間に配置されています。2 台の下部ファン トレイには、2 台の上部ファン トレイと対照的に上下逆に挿入されます。Cisco ASR 9912 ルータでは、2 台のファン トレイはカード ケージの上に配置されています。各ファン トレイは、12 個の軸流ファンを保持し、シャーシの温度が制限内のときにファンの速度を減速し、音響ノイズの発生を低下させるコントローラが装備されています。また、ファン コントローラは、個々のファンの障害を感知し、レポートします。
Cisco ASR 9010 ルータのシャーシでは、前面から背面に向かう冷却パスが使用されています。吸気口はシャーシの前面下部にあり、排気口は背面上部にあります。
図 2-62 に、Cisco ASR 9010 ルータのシャーシの冷却パスを示します。
図 2-62 ASR 9010 ルータのシャーシの冷却パス:側面図
Cisco ASR 9006 ルータのシャーシでは、側面から上部、背面へと向かう冷却パスが使用されています。吸気口はシャーシの右側面にあり、排気口は背面上部にあります。
図 2-63 に、Cisco ASR 9006 ルータのシャーシの冷却パスを示します。
Cisco ASR 9922 ルータのシャーシのケージでは、前面から背面に向かう冷却パスが使用されています。吸気口は中央ケージの前面にあり、排気口は上下背面にあります。
図 2-64 に、Cisco ASR 9922 ルータのシャーシの冷却パスを示します。
図 2-64 ASR 9922 ルータのシャーシの冷却パス:側面図
図 2-65 Cisco ASR 9912 ルータのシャーシの冷却パス:側面図
ASR 9010 ルータには冗長性確保のため 2 つのファン トレイが備わっています(図 2-66 を参照)。ファン トレイには、ファン トレイのステータスを示す LED インジケータがあります。1 つのファン トレイで障害が発生した場合、システムの動作を中断することなく、そのファン トレイ アセンブリを交換できます。ファン トレイを取り外す際に、ケーブルを取り外す必要はありません。
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ファン トレイには、12 個の軸流 120 mm(4.72 インチ)ファンが装備されています。各トレイの背部には、ファン制御ボードがあり、バックプレーンに接続する電源/データ コネクタが 1 つ付いています。
ファン トレイは、シャーシ内の 2 つのガイド ピンによって位置を合わせ、2 つの非脱落型ネジによって固定します。コントローラ ボードは、位置合わせの許容範囲を広くするために、ファン トレイ内で動かせるようになっています。
ファン トレイの取り外し時に回転するファン ブレードに触れることができないように、ほとんどのファンの前面にフィンガー ガードが隣接しています。
ファン トレイの最大重量は 6.29 kg(13.82 ポンド)です。
ASR 9006 ルータには冗長性確保のため 2 つのファン トレイが備わっています(図 2-67 を参照)。1 つのファン トレイで障害が発生した場合、システムの動作を中断することなく、そのファン トレイ アセンブリを交換できます。ファン トレイを取り外す際に、ケーブルを取り外す必要はありません。
(注) Cisco ASR 9010 ルータ および Cisco ASR 9006 ルータの場合、システムを正常に動作させるには両方のファン トレイが必要です。ルータの両方のファン トレイが引き出されていたり、ファン トレイが取り付けられていない場合は、クリティカル アラームが発生します。
ファン トレイには、6 個の軸流 92 mm(3.62 インチ)ファンが装備されています。各トレイの背部には、ファン制御ボードがあり、バックプレーンに接続する電源/データ コネクタが 1 つ付いています。
ファン トレイは、シャーシ内の 2 つのガイド ピンによって位置を合わせ、1 つの非脱落型ネジによって固定します。コントローラ ボードは、位置合わせの許容範囲を広くするために、ファン トレイ内で動かせるようになっています。
ファン トレイの取り外し時に回転するファン ブレードに触れることができないように、ほとんどのファンの前面にフィンガー ガードが隣接しています。
ファン トレイの最大重量は 18.0 kg(39.7 ポンド)です。
図 2-68 Cisco ASR 9922 ルータおよび Cisco ASR 9912 ルータのファン トレイ
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Cisco ASR 9922 ルータには 4 台のファン トレイが装備され、Cisco ASR 9912 ルータには冗長性確保のために 3 台のファン トレイ(図 2-68 を参照)が装備されています。ファン トレイには、ファン トレイのステータスを示す LED インジケータがあります。1 つのファン トレイで障害が発生した場合、システムの動作を中断することなく、そのファン トレイ アセンブリを交換できます。ファン トレイを取り外す際に、ケーブルを取り外す必要はありません。
(注) 空気漏れのため、ファン トレイが完全に欠落している状態でシャーシを稼働させることはできません。5 分以内に欠落しているファン トレイを交換してください。
ファン トレイには、12 個の軸流 120 mm(4.72 インチ)ファンが装備されています。各トレイの背部には、ファン制御ボードがあり、バックプレーンに接続する電源/データ コネクタが 1 つ付いています。
ファン トレイは、シャーシ内の 2 つのガイド ピンによって位置を合わせ、2 つの非脱落型ネジによって固定します。コントローラ ボードは、位置合わせの許容範囲を広くするために、ファン トレイ内で動かせるようになっています。
ファン トレイの取り外し時に回転するファン ブレードに触れることができないように、ほとんどのファンの前面にフィンガー ガードが隣接しています。
ファン トレイの最大重量は 8.16 kg(18.00 ポンド)です。
ファン トレイの幅は 16.3 インチから 17.3 インチに拡大します。ファン トレイ全体の奥行は同じ 23 インチのままです。個々のファンの電流定格は、より高速をサポートするため 2A に増加します。
ファン トレイの前面パネルには、ファン トレイのステータスを示す実行/障害ステータス LED があります。
ファン トレイをシャーシに挿入すると、LED が一時的に黄色で点灯します。通常の動作時には、次のようになります。
• モジュール内のすべてのファンが正常に動作している場合、LED は緑で点灯します。
• ファン トレイ モジュール内のファンなどに障害が発生している場合、LED は赤で点灯します。考えられる障害としては、次のものがあります。
ファン トレイの取り付けまたは取り外し時に、ケーブルやファイバを移動する必要はありません。ファン トレイを交換しても、サービスが中断することはありません。
シャーシの冷却パフォーマンスをスロット レベルで最適に維持するには、未使用のスロットにカード ブランクまたはフロー リストリクタを装着する必要があります。これらのスロット フィルタは単にシンプルなシートメタルであり、アクティブではありません。ソフトウェアではこれらの存在を検出できません。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータのシャーシ エアー フィルタは NEBS に準拠しています。フィルタは保守対象ではありせん。現場交換可能ユニットです。フィルタを交換しても、サービスが中断することはありません。
Cisco ASR 9010 ルータでは、シャーシ エア フィルタはファン トレイの下にあります(図 2-69 を参照)。
図 2-69 ASR 9010 ルータのシャーシ エアー フィルタ
Cisco ASR 9006 ルータでは、シャーシ エア フィルタはシャーシの右側面に沿って配置されており、シャーシの背面からアクセスできます(図 2-70 を参照)。
図 2-70 ASR 9006 ルータのシャーシ エアー フィルタ
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Cisco ASR 9922 ルータには、中央ケージに 3 個のエアー フィルタがあります(図 2-71 を参照)。中央のエアー フィルタは FC カードの正面をカバーします。側面のエアー フィルタは RP カードをカバーします。
図 2-71 ASR 9922 ルータのシャーシ エアー フィルタ
Cisco ASR 9912 ルータには、RP/FC カード ケージに 3 個のエアー フィルタがあります(図 2-72 を参照)。中央のエアー フィルタは FC カードの正面をカバーします。側面のエアー フィルタは RP カードをカバーします。
図 2-72 Cisco ASR 9912 ルータのシャーシ エアー フィルタ
図 2-73 に、中央エアー フィルタ内のフォーム メディアを交換する方法を示します。
図 2-73 ASR 9922 ルータのシャーシ中央エアー フィルタ
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図 2-74 に、2 つのエアー フィルタの 1 つにあるフォーム メディアを交換する方法を示します。
図 2-74 ASR 9922 ルータのシャーシ側面エアー フィルタ
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冷却システムでは、システムまたは外部周囲温度の変化を補償するために速度調整が行われます。作動音を軽減するために、ファンの速度は変化します。また、速度は、合計消費電力に影響するシステム設定によっても変わることがあります。取り付けているカードの電力が低いほど、システムの実行速度は遅くなり、カードの電力が高いほど、システムの実行速度は速くなります。
ファンの速度は、RSP/RP カードおよびファン トレイ内のコントローラ カードによって管理されます。RSP/RP により、カードの温度がモニタリングされ、ファンの速度がコントローラ カードに送信されます。
モジュール内の 1 つのファンに障害が検出されると、その障害によりアラームが生成され、ファン トレイ内の他のすべてのファンが全速力で動作するようになります。
1 つのファン トレイが完全に故障すると、交換用のファン トレイを取り付けるまで、残りのファン トレイのファンが全速力で動作するようになります。
カードには、内部温度をモニタリングするための温度センサーが備わっています。ラインカードと RSP/RP カードでは、先端部分(差し込み口)と最も熱くなる部分が温度センサーによって継続してモニタリングされます。カードの中には、モニタリングが必要な高温コンポーネントの近くに追加のセンサーが配置されているものもあります。一部の ASICS には内部ダイオードが含まれており、接合部温度を読み取るために使用される場合があります。
周囲の大気温度が正常な動作範囲内の場合、ファンは可能な限り低速で動作し、ノイズと電力消費が最小限に抑えられます。
カード ケージ内の大気温度が上昇すると、ファンの速度も上昇し、内部コンポーネントに追加の冷却用空気が送られます。1 つのファンで障害が発生すると、それを補償するために他のファンの速度が上がります。
システムには、冗長性確保のために 2 つのファン トレイが備わっています。1 つのファン トレイで障害が発生した場合、システムの動作を中断することなく、そのファン トレイ アセンブリを交換できます。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータの Cisco IOS XR ソフトウェアには、システム管理インターフェイスである CLI、XML、および SNMP が備わっています。
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでは、Cisco IOS XR ソフトウェアが実行され、該当オペレーティング システムの管理アーキテクチャ(CLI、SNMP、および XML を含む)が使用されます。Cisco IOS XR ソフトウェアには、パフォーマンス モニタリング用のグラフィカル クラフト ツールである Craft Works Interface(CWI)が組み込まれています。また、CWI は、HTTP プロトコルを使用してダウンロードできます。ただし、ASR 9000 シリーズ ルータでサポートされているのは、一部の CWI 機能だけです。このモードでは、ユーザはルータの設定ファイルを編集したり、Telnet/SSH アプリケーション ウィンドウを開いたり、ユーザ定義のアプリケーションを作成したりできます。
システム管理インターフェイスは、CLI、XML、および SNMP プロトコルで構成されます。デフォルトでは、コンソールでの CLI だけがイネーブルになっています。管理 LAN ポートを設定すると、Telnet、SSH、SNMP などの外部クライアントでさまざまなサービスを開始して使用できるようになります。また、TFTP および Syslog クライアントでは外部サーバと対話できます。CWI は、PC または Solaris ボックスにダウンロードしてインストールできます。
SNMP の詳細については、「SNMP」を参照してください。
CLI では、TFTP を介した設定ファイルのアップロードとダウンロードがサポートされています。システムでは、パスワードやキーなどの機密情報を使用することなく設定出力を生成できます。ASR 9000 シリーズ ルータでは、CLI コマンドによって組み込み障害マネージャ(TCL スクリプトのポリシー)を使用できます。また、システムでは、CLI および SNMP 管理インターフェイス間の機能の一貫性が保たれます。
システムでは、パフォーマンス モニタリング、設定の編集、および設定のロールバック用のグラフィカル クラフト ツールである CWI がサポートされています。CWI は IOS XR に組み込まれています。また、HTTP プロトコルを使用してダウンロードできます。ユーザは、CWI を使用して、ルータの設定ファイルを編集したり、ユーザ定義のアプリケーションを作成したり、Telnet/SSH アプリケーション ウィンドウを開いて CLI にアクセスしたりできます。
外部(または XML)クライアントでは、XML を使用して、Cisco ASR 9000 シリーズ ルータの設定および運用データにプログラムでアクセスできます。XML サポートには、コンポーネント、インターフェイス、アラーム、およびパフォーマンス データの取得が含まれます。システムでは、15 個の XML/SSH セッションを同時に処理できます。システムでは、XML を介したアラームおよびイベント通知以外に、PM のバルク取得およびアラームのバルク取得がサポートされています。
XML クライアントには、XML 要求に含めることができる(また XML 応答で予期できる)オブジェクトの階層および考えられるコンテンツが XML スキーマの形式で文書化されて提供されます。
XML エージェントで要求を受信すると、その要求は XML サービス ライブラリを使用して解析および処理されます。要求は XML サービス ライブラリから Management Data API(MDA; 管理データ API)クライアント ライブラリに転送され、そこで SysDB からデータが取得されます。XML サービス ライブラリに返されるデータは、XML 応答として符号化されます。その後、エージェントで応答が処理され、invoke メソッド コールの応答パラメータとしてクライアントに戻されます。アラーム エージェントでは、同じ XML サービス ライブラリを使用して、設定データの変更とアラーム状態について外部クライアントに通知されます。
SNMP インターフェイスでは、管理ステーションでのデータやトラップの取得を可能にします。このインターフェイスでシステムの設定を行うことはできません。
RFC 2580 に記載されている Structure of Management Information Version 2(SMIv2; 管理情報構造バージョン 2)に従って、システムでは SNMPv1、SNMPv2c、および SNMPv3 インターフェイスがサポートされています。システムでは、CLI および SNMP 管理インターフェイス間の機能の一貫性が保たれます。
システムでは、少なくとも 10 個の SNMP トラップ宛先をサポートできます。信頼できる SNMP トラップ/イベント処理がサポートされています。
SNMPv1 および SNMPv2c サポートの場合、システムでは SNMP ビューがサポートされており、特定のコミュニティ ストリングに対して失敗の包含/除外が可能になっています。SNMP インターフェイスでは、SNMP SET 操作を実行できます。
システムの実行時診断は、現場の問題のトラブルシューティングを行ったり、特定のシステムの状態を評価したりする場合に、Cisco Technical Assistance Center(TAC)またはエンド ユーザが使用します。
• ラインカードから RSP/RP カードへの通信パスのモニタリング