はじめに
このドキュメントでは、発生頻度の低いタイプのシステム クラッシュに関する情報を提供します。このドキュメントを読む前に、『Troubleshooting Router Crashes』に目を通すことを推奨します。
前提条件
要件
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
使用するコンポーネント
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、クリアな(デフォルト)設定で作業を開始しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
表記法
表記法の詳細については、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
リロードの原因の特定
ルータの電源再投入または手動によるリロードを行っていない場合は、以下に示すように、show version output でリロードの原因を確認できます。
Router uptime is 3 days, 18 hours, 39 minutes
System restarted by [reload cause]
System image file is "flash:c2500-js-l.120-9.bin"
ご使用のCiscoデバイスの、show versionコマンドの出力データがあれば、Cisco CLI Analyzerを使用して今後予想される障害と修正を表示できます。Cisco CLI Analyzer を使用するには、登録ユーザとしてログインする必要があり、また、JavaScript を有効にする必要があります。
トラブルシュート
クラッシュには、タイプによって明らかにハードウェアまたはソフトウェアの障害を示す場合と、それほど明確でない場合があります。このケースでは、常識に頼るのが最も賢明です。ルータが何ヶ月も正常に動作していたのに、突然 20 分ごとにリロードするようになった場合、問題はおそらくハードウェアに関連しています。設定を変更した後にルータがクラッシュするようになった場合は、問題はおそらくソフトウェアに関連しています。
ハードウェアの問題の場合は、より新しいバージョンのCisco IOS®ソフトウェアでshow regionコマンドを使用し、障害のあるカードを特定するように試みてください。あるいは、演繹的に推測することもできます(たとえば、新しいモジュールを挿入した後に問題が現れるようになった場合は、その新しいモジュールが問題の原因になっている可能性があります)。また、同じモジュールを別のスロットに取り付けたり、同じスロットに別のモジュールを取り付けたりするなど、追加のテストを行って、障害が発生している機器を特定することもできます。
Cisco IOS ソフトウェア リリース トレインの最新バージョンにアップグレードすると、ソフトウェア関連の既知の問題がすべて解消されます。
ご使用のシスコデバイスの、show stacksコマンドの出力データがあれば、Cisco CLI Analyzerを使用して今後予想される障害と修正を表示できます。Cisco CLI Analyzer を使用するには、登録ユーザとしてログインする必要があり、また、JavaScript を有効にする必要があります。
アップグレードした後もルータがクラッシュする場合、新しいバグが問題の原因となっている可能性があります。この場合は、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡し、できる限り多くの情報を提供してください。詳細は、「トラブルシューティング:ルータのクラッシュ」を参照してください。
発生頻度の低いタイプのシステム クラッシュ
アドレス エラー
アドレスエラーは、ソフトウェアが正しく位置合わせされていない境界でデータにアクセスしようとしたときに発生します。2バイトおよび4バイトのアクセスは、偶数アドレスでのみ許可されます。大抵の場合、アドレス エラーはソフトウェア バグがあることを示していますが、障害のあるハードウェアが原因となっている場合もあります(詳細については、「トラブルシューティング」セクションを参照)。
算術演算例外
大抵の場合、このタイプのエラーはソフトウェアの問題が原因で発生します(詳細については、「トラブルシューティング」セクションを参照)。
キャッシュ エラー例外
このタイプのクラッシュは、ルータが不良パリティを検出したときに発生します。これは一時的な問題か、またはハードウェア障害のいずれかです。この問題のトラブルシューティング方法については、「プロセッサ メモリ パリティ エラー」を参照してください。
エラー - レベル <x>
x は 1~7 の数字です。
大抵の場合、このタイプのクラッシュはハードウェアに関連しています。通常は、欠陥のある CPU ボードがこのタイプのクラッシュの原因です。
エラー割り込み
エラー割り込みのクラッシュは、プロセッサ以外の何かが致命的なエラーを検出したことを意味します。根本原因を突き止めるには、より詳しい情報が必要です。トラブルシューティングには、crashinfo file または show tech-support コマンドの出力が必要です(「トラブルシューティング:ルータのクラッシュ」を参照)。必要な情報を収集した後、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
フォーマット エラー
ハードウェアの問題を明らかに指している状況でない限り(詳細については「トラブルシューティング」セクションを参照)、この問題については、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
不正命令
このエラーは通常、ソフトウェアに関連しています。ただし、障害のあるハードウェア(大抵の場合、欠陥のあるフラッシュ メモリまたは DRAM)が、この問題の原因となっている場合もあります。この問題は、破損した Cisco IOS ソフトウェア イメージが原因で発生することもあります(詳細については、「トラブルシューティング」セクションを参照)。
不正な opcode 例外
このエラーの原因は、ハードウェア障害です(CPU ボードの障害など)。場合によっては、ソフトウェアの問題によって、このエラーが発生することもあります(詳細については、「トラブルシューティング」セクションを参照)。
ゼロへのジャンプ エラー
このタイプのエラーは、Cisco IOS ソフトウェアがコードの代わりにデータを実行しようとしたときによく起こります。ほとんどの場合、この問題の原因はソフトウェアのバグですが、症状が明らかにハードウェア障害を示している場合、CPU に欠陥がある可能性を検討してください(詳細については、「トラブルシューティング」セクションを参照)。
回線エミュレータ トラップ
「line 1010/1111 Emulator Error」は、プロセッサが無効な命令を実行しようとしたときに発生します。コード 1010/1111 は、実際に関連するものではありません(このコードは、実行しようとした無効な命令によって異なります)。
回線エミュレータ トラップ エラーには次のような原因が考えられます。
電源投入
show version コマンドの出力に、restarted by reload または System returned to ROM by power-on と示されている場合、ルータの電源再投入が行われたか、数秒間の停電が発生したと推測できます。電源を確認し、コンセントの回線(ルータの電源)のトラブルシューティングを行ってください。
注:Cisco 7200シリーズルータは、ウォッチドッグタイムアウトが原因でクラッシュする場合があります。ルータが、以下に示すポートアダプタの初期のハードウェアバージョンを使用している場合、クラッシュは「System returned to ROM by power-on」として報告されます。
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PA-CT1/PRI
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PA-CE1/PRI-75
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PA-CE1/PRI-120
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PA-4E
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PA-5EFL
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PA-8E
この問題によってルータが影響を受けていると判断した場合、(電源が問題でないことを確認してから)show tech-support レポートを収集し、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
リロード
show version コマンドの出力に restarted by reload またはrestarted by reload と示されている場合、ユーザが reload コマンドによって手動でルータをリブートしたと推測できます。これはシステム クラッシュではありません。
予約例外
このタイプのクラッシュの場合、ルータが破損データを送信しないようにするために、リロードが行われます。原因は、ハードウェアまたはソフトウェアのどちらかに関連する可能性があります(「トラブルシューティング」セクションを参照)。
エラーによる再起動
エラーがハードウェアの問題であることが明らかでなければ(「トラブルシューティング」セクションを参照)、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
Sigtrap(シグナル トラップ)例外
大抵の場合、これはソフトウェアの問題であり、ソフトウェア強制クラッシュを報告する別の手段です。
未定義のトラップ
ハードウェアの問題を明らかに示す状況でない限り(「トラブルシューティング」セクションを参照)、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
予期しないハードウェアの中断
このタイプのクラッシュは、一般にハードウェアの問題が原因となっています(「トラブルシューティング」セクションを参照してください)。
不明な障害
ハードウェアの問題を明らかに示す状況でない限り(「トラブルシューティング」セクションを参照)、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
不明なリロード原因
この場合、クラッシュの原因となった障害により、ルータはリロードの理由を記録できません。この問題は、ハードウェアまたはソフトウェアに関連している可能性があります。ハードウェアの問題を明らかに示す状況でない限り(「トラブルシューティング」セクションを参照)、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
リリース トレインの最新の Cisco IOS ソフトウェア バージョンにアップグレードすることによって、問題を解決できるかどうかを確認します。解決できない場合は、crashinfo ファイルまたはコンソール ログから詳細な情報を収集し(「トラブルシューティング:ルータのクラッシュ」を参照)、シスコのテクニカル サポート担当者に連絡してください。
書き込みバス エラー割り込み
このタイプのクラッシュは、一般にハードウェアの問題が原因となっています(「トラブルシューティング」セクションを参照してください)。
TAC サービス リクエストをオープンする場合に収集する情報
この文書で列挙されているトラブルシューティング手順に従っても問題を解決できず、Cisco TAC でサービス リクエストを作成する場合、システム クラッシュのトラブルシューティングに必要な以下の情報を必ず含めてください。 |
- show tech-support の出力(可能であればイネーブル モードで)
- show log の出力またはコンソールのキャプチャ(可能な場合)
- crashinfo ファイル(ファイルがあり、show technical-support の出力に含まれていない場合)
収集したデータは、圧縮しないプレーン テキスト形式(.txt)でサービス リクエストに添付してください。情報をサービス リクエストにアップロードするには、TAC Service Request Tool を使用できます(登録ユーザのみ)。TAC Service Request Tool にアクセスできない場合は、関連する情報をサービス リクエスト添付し、メッセージの件名の行にサービス リクエスト番号を記入して、attach@cisco.com に送信できます。 注:システムクラッシュのトラブルシューティングが必要でない限り、この情報を収集する前にルータを手動でリロードしたり、電源のオフ/オンを行わないようにしてください。このような操作を行うと、問題の根本原因を突き止めるために必要となる重要な情報が失われる可能性があります。 |
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