このドキュメントでは、サブネット マスク、ゲートウェイおよびドメイン名に関する Windows ダイヤルイン クライアントの問題について説明しています。
この手順を実行する前に、次の条件が検証済みであることを確認してください。
ルータでは、常に Windows クライアントからのダイヤルイン コールの受け入れが可能である必要があります。ダイヤルインを設定する必要がある場合は、『着信の非同期コールおよび ISDN コールについて、PRI(一次群速度インターフェイス)の備わったアクセス サーバの設定』のドキュメントを参照してください。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
Windows PC では、Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP; 動的ホスト制御プロトコル)を使用してダイヤルアップ(PPP)アダプタの IP 情報が取得されることはありません。 代わりに IP Control Protocol(IPCP)を使用します。IPCP は、PPP ネゴシエーションの端で IP を取り決める Network Control Protocol(NCP)です。IPCP には、IP アドレスのネゴシエーションと TCP のヘッダー圧縮のオプションがあります(『RFC 1332』を参照してください)。 Microsoft 社は、自社の PPP 仕様に合わせて IPCP 拡張セットを使用することを勧告しています(『RFC 1877』を参照してください)。 拡張セットには、ネゴシエート可能な追加のオプションとして、次の 4 つが定義されています。
プライマリ DNS サーバ アドレス
プライマリ NetBIOS Name Server(NBNS)/Windows Internet Naming Service(WINS)サーバ アドレス
セカンダリ DNS サーバ アドレス
セカンダリ NBNS/WINS サーバ アドレス
シスコは、これら 6 つのオプションすべてをサポートします。6 つのオプションによって、ダイヤルアップ(PPP)アダプタを使用する場合に Windows PC で取得できるすべての IP 情報が定義されます。クライアントに DNS と WINS サーバの情報を指定する方法については、『アクセス サーバでの WINS、DNS、および DHCP の設定』のドキュメントを参照してください。
注:サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、ドメイン名などの追加情報は、IPCPネゴシエーション中にクライアントに渡すことはできません。これはRFC 1877に準拠しています。ネームサーバアドレスのためのPPP IPCP拡張 。
このドキュメントは、ダイヤルイン接続での影響と可能な回避策について説明しています。
NAS と Windows PC は、PPP を実行するポイントツーポイント接続を確立します。PC は、複数のインターフェイスとの間で IP トラフィックをルーティングしないホストとして機能します。IPCP ネゴシエーションの項でも言及したように、PC では自動的に Network Access Server(NAS; ネットワーク アクセス サーバ)の IP アドレスをデフォルト ゲートウェイとして使用します。PC では、宛先アドレスがローカル アドレスと一致しない場合には、PPP リンク経由で常時到達可能なデフォルト ゲートウェイ(NAS)にパケットを転送する必要があると認識されています。
Microsoft 製品では、PC に割り当てられているアドレス(winipcfg または ipconfig を使用)が、デフォルト ゲートウェイ アドレスとして表示されるようになっています。ダイヤルアップ アダプタによる IP 接続が正常に動作している場合、これは問題ありません。
注:PCクライアントがLANに接続され、(ダイヤルアップネットワークを使用して)NASに接続されている場合、PCは2番目の接続のデフォルトゲートウェイを使用します。これにより LAN 接続が失われる場合があります。詳細については、次の Microsoft のサポート技術情報を参照してください。Q128647:TCP/IP LANおよびRASルーティングの問題のトラブルシューティング 。
ダイヤルによるポイントツーポイントの接続環境では、サブネット マスクは不要です。
Microsoft 製品では、これらのフィールドはブランクのままではなく、サブネット マスクとしてアドレスのクラスフル マスクが表示されるようになっています。通常、Windows NT 3.5では0.0.0.0のサブネットマスクが表示されます。NT 3.51(以降)、およびWindows 95と98では、IPアドレスクラスに応じてクラスフルマスクが表示され、Win2kとXPでは255.255.255.255のマスクが表示されます。
ダイヤルアップ アダプタによる IP 接続が正常に動作している場合は、この情報について懸念する必要はありません。
サブネット マスクの詳細については、『新規ユーザのための IP アドレス指定とサブネット化』のドキュメントを参照してください。
サブネット マスクとゲートウェイの情報を取得するには、Windows 95 および 98 のマシンでは Windows IP Configuration Program(winipcfg)を実行し、Windows NT、2000、および XP のマシンでは Windows NT Configuration Program(ipconfig)を実行します。サンプルとして次の画面キャプチャを示します。
Windows 95:
Windows 98:
Windows NT:
Windows 2000/XP:
IPCP ではドメイン名情報の受け渡しができないため、選択肢が 3 つあります。
ユーザがリソースの Fully Qualified Domain Name(FQDN; 完全修飾ドメイン名)を使用する。
Windows PC の TCP/IP プロパティでドメイン名情報を手動で指定する。これは、規模の大きい Windows 95 や 98 のクライアント ベースの NAS では、唯一の実行可能なオプションである可能性があります。IPCP ネゴシエーションが完了した後、BOOTP および DHCP を使用してこの情報を取得します。
Windows クライアントが NAS に DHCP inform パケットを送信し、NAS からドメイン名情報が送り返される。DHCP の機能が NAS 自体にある場合も、外部 DHCP サーバである場合もあります。現在、DHCP inform の送信がサポートされているのは、Windows 2000 および XP のクライアントだけです。これは、Microsoft 社の Web サイトで確認してください。
クライアントの TCP/IP プロパティでドメイン名を設定します。詳細については、次の Microsoft のサポート技術情報を参照してください。『Q200211-DUN Clients Do Not Receive DNS Domain Name over RAS/RRAS』
一部の Microsoft オペレーティング システム(たとえば、Windows 95 および 98)では、DHCP inform による NAS からのドメイン名の取得がサポートされていない場合があります。そのため、クライアントでドメイン名を手動で指定することが、唯一の可能な選択肢である可能性があります。ただし、Microsoft 社の Web サイトを参照して、使用中の Windows OS のバージョンにその機能が含まれているかどうかを確認することを推奨します。
IPCP ネゴシエーションが完了した後で、ルータは BOOTP(『RFC 1533』)を使用して、ダイヤルアップ クライアントに追加情報を送ることができます。
Windows 2000 や XP のクライアントでは、NAS に DHCP inform(オプション 15)パケットが送信されます。NAS は、ドメイン名情報で応答します。DHCP や BOOTP の機能が NAS 自体にある場合も、外部 DHCP サーバにある場合もあります。
Windows 2000 および XP のクライアントでは、レジストリへの変更をいくつか行うと、DHCP inform パケットを送信できます。クライアント設定の詳細については、次の Microsoft のサポート技術情報を参照してください。『Q312468-How to Request Additional DHCP Options from a DHCP Server』
クライアント PC で変更を行う前に、Microsoft 社の Web サイトでクライアント設定手順を確認することを強く推奨します。
警告: Windowsレジストリの変更は、経験豊富なシステム管理者だけが試してください。誤りによりシステムが起動不能になる可能性があるためです。適切な注意事項については、Microsoft 社の Web サイトを参照してください。
NAS で DHCP を設定するには、次のドキュメントを参照してください。
dhcp プール設定で domain-name コマンドを使用して、クライアントに提供されるドメイン名を指定できます。IOS の DHCP 機能は、Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.0(1)T で導入されました。
外部 DHCP サーバを代りに使用して、BOOTP を使用しているクライアントに必要なドメイン名情報を提供できます。次のステップを実行します。
ドメイン名のアトリビュートで DHCP サーバを設定します。このオプションの指定に関する詳細情報については、DHCP サーバのドキュメントを参照してください。
Group-Async インターフェイス(モデム用)で ip helper-address address コマンドを設定する、または ISDN コール用にシリアル x:23(d-チャネル)またはダイヤラ インターフェイス(いずれかコール制御する方)を適切に設定します。アドレスは BOOTP 要求が転送される DHCP サーバの IP アドレスを指定する必要があります。