概要
このドキュメントでは、最後の番号がダイヤルされた直後に Cisco CallManager が公衆電話交換網(PSTN)の番号をダイヤルする仕組みについて説明します。
前提条件
要件
このドキュメントに特有の要件はありません。
この設定をテストするために、Cisco CallManager バージョン 11 および IOS® ソフトウェア バージョン 12.1.3aXI5 IP(機能セット付き)がゲートウェイ ルータで使用されました。この例では、Cisco CallManager 外部アクセスコード 0 を想定しています。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動ネットワークにいる場合は、使用前に、コマンドが及ぼす潜在的な影響を事前に十分に理解しておく必要があります。
背景説明
北米の Cisco CallManager のインストールでは、ルート パターンで「@」マクロを使用できるので、可変長ダイヤル プランを使用できます。発信者が 7 桁の市内番号、または 10 桁または 11 桁の長距離番号に電話をかけた場合、最後の番号がダイヤルされた直後にコールは公衆電話交換網(PSTN)に送信されます。ただし、このマクロは、北米地域以外では機能しません。以前は、代替ルート パターン 0.! を使用して、可変長ダイヤル プランを使用するコールを処理していました。このワイルドカード文字により、任意の長さの着信者番号文字列が可能になりますが、ゲートウェイ デバイスに着信番号をルーティングする前に 10 秒のデフォルトの桁間タイムアウトを待ちます。このタイマーを短くすることもできますが、ダイヤルしている途中で一時停止するユーザに問題が発生する可能性があります。Cisco CallManager は、この一時停止をダイヤル遅延の終了と判断して、不完全な番号をパルス出力する可能性があります。
ワイルドカード ! を使用する代わりに、 別の方法で各国の番号付け方式の可変長ダイヤル プランを作成するケース スタディを以下に示します。このダイヤル プランを使用すると、ユーザは桁間タイムアウト間隔を待つことなくサービス、情報、市内通話、および長距離通話の番号をダイヤルできます。
国際アクセス コードでは引き続き ! ワイルドカードを使用します。これは外国のすべてのダイヤル プランに対応できないためですが、ほとんどのユーザにとっては通常、問題となりません。
要件を満たすダイヤルプランの設計
次の例では、オーストラリアの国内番号システムに対応する国内ダイヤル プランを作成します。この原則を容易に他の国に当てはめることができます(その国で市内通話および長距離通話の一貫した番号方式が使用される限り)。
下記のダイヤル プランは、ある地域エリアに置かれる CallManager 用として開発されました。市内(市内交換エリアのみ)、地域 STD(長距離)、州の STD、国の STD および ISD(国際)アクセスを複数レベルで許可するコール制限を設定したいとします。これを実現するために、ダイヤルされた番号に対する細かなマッチングを作成し、市内プレフィックス(555XXXXX)付きの番号を他の番号の組み合わせから分離しました。さまざまなルート パターンが別々のパーティションに置かれました。次に、さまざまなパーティションを含む発呼側サーチ スペースが作成されました。これにより、各電話機からの発信アクセスを簡単に制御できるようになりました。
注:Cisco CallManager が設置されている場所の市内番号に合わせてダイヤル プランのこのエリアを変更する必要があります。[] ワイルドカードを使って番号の範囲を指定することにより、類似するルート パターンの数を全体的に減らすことができます。
オーストラリアのダイヤル プランは、市内交換エリア用の 8 桁の市内番号で構成されています。8 桁の市内番号の最初の 2 桁は地域コードです。州単位で機能する 2 桁の長距離(STD)アクセス コードがあります(先頭の桁は常に 0 で、たとえば02)。また、国際アクセス コードとして 0011 を使用します。携帯電話は 04XX XXXXXX の範囲です。無料通話(フリーコール)情報サービスは 1-30X-XXXXXX、1-800-XXXXXX、1-900-XXXXXX または 13XXXX です。緊急通話は 000 を使用します。
0055 有料通話情報サービスはこのダイヤル プランにまだ含まれていませんが、これを含めるのは簡単です。このサービスへのアクセスを希望しなかった場合でも、ルート パターンとして番号範囲 0055XXXXXX を指定し、このパターンをブロックするオプションを設定することで、コールを簡単に制限できます。
このリストは、可能な組み合わせをすべて完全に含んでいるわけではないことに注意してください。このリストに含まれない番号が他に存在する可能性があるため、地元の実際のダイヤル プランを調査するのが適切です。ほとんどの電話帳には市外局番と情報/サービス番号のリストが掲載されています。
ダイヤル プラン |
ルート |
パターン |
注 |
0.000 |
|
emergency |
0.013 |
|
情報 |
0.123X |
|
医療 |
0.124XX |
|
医療 |
0.125XXX |
|
医療 |
0.1194 |
|
時間 |
0.1196 |
|
天気 |
0.12455 |
|
情報 |
0.130XXXXXXX |
130XXXXXXX |
フリーコール番号 |
0.13[1-9]XXX |
130000 |
フリーコール情報 |
0.1[8-9]XXXXXXXX |
1-800/1-900 |
フリーコール番号 |
0.0[2-9]XXXXXXXX |
02XXXXXXXX-09XXXXXXXX |
国内/携帯 |
0.[2-4]XXXXXXX |
2XXXXXXX - 4XXXXXXX |
STD - VIC - 州 |
0.[6-9]XXXXXXX |
6XXXXXXX - 9XXXXXXX |
STD - VIC - 州 |
0.5[0-4]XXXXXX |
50XXXXXX - 54XXXXXX |
STD - VIC - 地域 |
0.5[6-9]XXXXXX |
56XXXXXX - 59XXXXXX |
STD - VIC - 地域 |
0.55[0-4]XXXXX |
550XXXXX - 554XXXXX |
STD - VIC - 地域 |
0.55[6-9]XXXXX |
556XXXXX - 559XXXXX |
STD - VIC - 地域 |
0.555XXXXX |
|
市内交換番号(8 桁の番号) |
0.0011! |
|
国際:桁間タイムアウト(10 秒)を使用 |
0.0011!# |
|
国際:ダイヤル文字の末尾として # を使用 |
Cisco CallManager のダイヤルプランの設定
Cisco CallManager でダイヤル プランを設定するには、次の手順を実行します。
- アクセス コード 0 '.' を アクセス コード デリミタとして入力します。ルート パターン桁またはワイルドカード マッチを追加します。
- [Route this pattern] および [Provide secondary dial tone] オプションが設定されていることを確認します。
- ゲートウェイ デバイス(H323、MGCP、SAA または SDA)へのルート パターンを指定します。
- ゲートウェイ デバイスが MGCP、SAA または SDA(Skinny プロトコル)である場合、アクセス コードを破棄する必要があります。[Called Party Transformations] の下で、番号の削除を <pre-dot> に設定します。
- ゲートウェイ デバイスが IOS ベースの H323 ゲートウェイである場合、着信側番号とともにアクセス コードが渡される必要があります。[Called Party Transformations] の下で、番号の削除を <none> に設定します。
- ルート パターンをデータベースに挿入します。
- ゲートウェイ デバイスが IOS ベースの H323 ゲートウェイである場合、[Configuring the Router to Route the Calls] に進みます
ダイヤルプランの確認
[Route Pattern Configuration] 画面の内容を調べて、ダイヤル プランを確認します。
設定済みの Cisco CallManager ダイヤル プラン設定は、次のように表示されます。
コールをルーティングする場合のルータの設定
ここでは、Cisco IOS ゲートウェイを CallManager H323 ゲートウェイとして設定する方法について説明します。
PSTN ポートをポイントするゲートウェイ ルータ POTS ダイヤル ピアで、CallManager から受信されるダイヤル番号の先頭桁(アクセス コード)に照合するために宛先パターン 0 を使用します。こうして「0」を明示的に照合することで、ダイヤル ピアは先頭 0 を削除し、残りの着信側番号が送出されます。下記の設定セグメントに、これが示されています。
!
dial-peer voice 100 pots
direct-inward-dial
! – 着信コールのDID
destination-pattern 0
! – コールが発信されると、0が削除されます
port 1/0:15
! – コールをPRI
port 1/0
!
1 つのハント グループに到着する複数の POTS ポートが存在する場合を除き、他の POTS ダイヤル ピアは必要ありません。たとえば 2 つの FXO ポートがあったら、ダイヤル ピアは以下のようになります。
!
dial-peer voice 100 pots
destination-pattern 0
port 1/0/0
!
dial-peer voice 101 pots
destination-pattern 0
port 1/0/1
!
この場合、これら 2 つの設定済み音声ポートを通してコールが循環します。
要約
北米以外の Cisco CallManager インストール環境では、北米番号計画にのみ関連する組み込み @ ルート パターン マクロを使用できません。このアプリケーション ノートの手順に従って開発できる CallManager システム用のローカル ダイヤル プランを使用すると、桁間タイムアウトを待つ必要がなく、最低限必要な桁数が電話機で押されるとただちにコールを発信できます。