概要
このドキュメントでは、ソリューションとして Cisco Video Communication Server(VCS)または Cisco Expressway を使用して Cisco Unified Communications Manager(CUCM)に登録されたエンドポイントから IP アドレスにダイヤルする方法を説明します。
前提条件
要件
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
- Cisco VCS/Expressway 上のネイバー ゾーン
- Cisco VCS/Expressway でのトランスフォームおよび検索ルール
- CUCM での Session Initiation Protocol(SIP)ルート パターンと SIP トランク
注:このドキュメントでは、VCS Control/Expressway-C から VCS Expressway/Expressway-E に向けたトラバーサル ゾーンがアクティブになっていて、インターワーキング キーが VCS/Expressway にインストールされているものとします。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
- Cisco VCS x8.1 以降
- CUCM リリース 9 以降
注:Expressway シリーズの導入にも同じドキュメントを使用できます。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
背景
CUCM は、IP アドレスのダイヤルをサポートしていません。IP アドレスのダイヤルを使用する場合は、この記事で説明する 2 つの手順のどちらかをお勧めします。ここで示す使用例は、IP アドレスで H.323 エンドポイントにダイヤルするために CUCM に登録されているエンドポイントに関するものです。
オプション 1
- IP アドレスにサフィックスを追加して、文字列が SIP の Uniform Resource Identifier(URI)に似ているようにします。
- たとえば、IP アドレス 198.51.100.2 のユーザにダイヤルするには、198.51.100.2@domain を使用します。
- 管理者は <IP アドレス>@domain にダイヤルするようにユーザを教育する必要があります。このドメインは、企業の内部ドメインでもダミーのドメインでもかまいません。このドキュメントでは、VCS ドメインを使用します。
オプション 2
- ドットを記号に置き換えて、IP アドレスを文字列に変換します。
- たとえば、IP アドレス 198.51.100.2 のユーザにダイヤルするには、198*51*100*2 を使用します。
注:どちらの場合も、Expressway-E は H.323 プロトコルで IP アドレスの呼び出しを試みます。宛先のエンドポイントが H.323 をサポートしていない場合は、SIP UDP を有効にする必要があります。それ以外の場合は、SIP UDP を無効のままにしてください。
注:オプション 2 は、IP フォンからダイヤルするとき、または Tandberg Codec(TC)ソフトウェアを使用するエンドポイントの CLI または Web GUI からダイヤルするときに、使用できます。ダイヤルするためにこれらのオプションを使用している場合、タッチパネルまたはリモート コントロールで * をダイヤルすると、* が . に自動的に変換されるため、動作しない場合があります。
コンフィギュレーション
注:この設定は、前に示した両方のオプションに適用できます。
CUCM の設定
管理者は、CUCM で、ポート 5060 の VCS 用に SIP トランクセキュリティ プロファイルを設定する必要があります(TCP 経由の CUCM に対して VCS でポート 5060 が使用されているものとします)。
注:モバイルおよびリモート アクセス(MRA)にポート 5060/5061 を使用している場合は、別の TCP ポート(5075 など)を SIP トランクのセキュリティ プロファイル用に使用します。
CUCM で [System] > [Security] > [SIP Trunk Security Profile] を選択し、[Add New] をクリックします。
次のスクリーンショットに示すように、SIP トランク セキュリティ プロファイルを作成します。
CUCM で、VCS Control/Expressway-C に向かう SIP トランクを追加します。
[Device] > [Trunk] を選択し、[Add New] をクリックします。
これらのトランク設定は、設計によって異なります。
VCS Control の設定
VCS Control/Expressway-C に、CUCM に対するネイバー ゾーンを作成します。
[Configuration] > [Zones] > [Zones] を選択し、[New] をクリックして、ゾーンを追加します。
これらのゾーン設定は、設計によって異なります。
VCS Control/Expressway-CでCalls to unknown IP addressesパラメータがIndirectに設定されていることを確認します。これを行うには、[Configuration] > [Dial Plan] > [Configuration]を選択します。
VCS Expressway の設定
VCS Expressway/Expressway-E の [Calls to unknown IP addresses] ドロップダウン リストで、[Direct] を選択します。IP ベースのコールをルーティングするために、VCS Expressway/Expressway-E に検索ルールは必要ありません。
オプション 1 - IP アドレスにサフィックスを追加する
CUCM で、サフィックスが vcs.domain のコールを VCS Control/Expressway-C トランクに送信するように、SIP ルート パターンを追加します。
[Call Routing] > [SIP Route Pattern] を選択し、[Add New] をクリックします。
次に示すように SIP ルート パターンを設定します。
IPV4 のパターン:vcs.domain
VCS Control/Expressway-C で、IP アドレスがダイヤルされるときにエイリアスのストリップ ドメイン部分を変換します。
[Configuration] > [Dial Plan] > [Transforms] を選択し、[New] をクリックします。
次に示すように変換を作成します。
パターン文字列:(.*)\.(.*)\.(.*)\.(.*)@vcs.domain
置換文字列:\1.\2.\3.\4
VCS Control/Expressway-C では、IP アドレスがダイヤルされたときに VCS Expressway/Expressway-E にコールを送信する検索ルールが必要です。
[Configuration] > [Dial Plan] > [Search Rules] を選択し、[New] をクリックします。
VCS Expressway/Expressway-E 向けに次の検索ルールを作成します。
オプション 2 - IP アドレスを文字列に変換する
CUCMで、パターン!*!*!*!のコールを送信するためのルートパターンを追加しますのコールを VCS Control/Expressway-C トランクに送信するルート パターンを追加します。
[Call Routing] > [Route/Hunt] > [Route Pattern] を選択し、[Add New] をクリックします。
次に示すように、新しいルート パターンを追加します。
ルート パターン:!*!*!*!
注:!*!*!*!は他のルート パターンを処理するときに遅延が発生する可能性があるため、このパターンを使用するときは注意する必要があります。よい方法は、このルート パターンを独立したパーティションに配置し、IP アドレスをダイヤルする必要があるエンドポイントだけがそのパーティションにアクセスするようにします。
VCS Control/Expressway-C では、IP アドレスがダイヤルされたときに、「*」を含むエイリアスを「.」に変更するトランスフォームが必要です 。
[Configuration] > [Dial Plan] > [Transforms] を選択し、[New] をクリックします。
次に示すように変換を作成します。
パターン文字列:(\d\d?\d?)(\*)(\d\d?\d?)(\*)(\d\d?\d?)(\*)(\*)(\d\d?\d?)(.*)
置換文字列:\1.\3.\5.\7
VCS Control/Expressway-C では、IP アドレスがダイヤルされたときに VCS Expressway/Expressway-E にコールを送信する検索ルールが必要です。
[Configuration] > [Dial Plan] > [Search Rules] を選択し、[New] をクリックします。
VCS Expressway/Expressway-E 向けに次の検索ルールを作成します。
注:SIP UDP モードが有効になっている場合、VCS Expressway/Expressway-E は最初にネイティブ コールとして SIP コールを開始します。宛先デバイスが SIP の招待に応答しない場合、VCS Expressway/Expressway-E は、標準のコール ネゴシエーションがタイムアウトするまで(約32秒)、SIP UDP コールの実行を続けます。 その後、設計された動作として、H.323 インターワーキング コールにフォールバックします。
確認
ここでは、設定が正常に機能しているかどうかを確認します。
前の手順が完了した後、文字列として、またはドメインが追加された IP アドレスとして(選択した設定オプションによります)、IP アドレスをダイヤルし、遠端へのコールが動作するかどうかを確認します。
トラブルシュート
ここでは、設定のトラブルシューティングに使用できる情報を示します。
CUCM から詳細な System Diagnostic Interface/Signal Distribution Layer(SDI/SDL)ログを収集し、VCS-Control/Expressway-C および VCS-Expressway/Expressway-E から「デバッグ レベル」の診断ログを収集します。前の設定手順が完了した後で、呼び出しが動作しない場合は、Cisco Technical Assistance Center(TAC)にこれらのログを提供して分析を依頼します。