概要
このドキュメントでは、ユニファイド コンピューティング システム(UCS)バージョン 2.1(2a) で Windows Server 2012 N_Port ID Virtualization(NPIV)を設定する方法について説明します。 この機能を使用すると、サーバ上で動作する仮想マシン(VM)が単一のアダプタを共有しながら、独自の保護ストレージに引き続き独立してアクセスできます。
前提条件
要件
次の項目に関する知識があることが推奨されます。
- UCS Manager(UCSM)バージョン 2.1(2) と互換性がある Windows Fabric Network Interface Controller(fNIC)ドライバ
- UCSM バージョン 2.1(2) 仮想インターフェイス カード(VIC)ファームウェア イメージ
- ファブリック インターコネクト I/O モジュール(IOM)上の UCSM バージョン 2.1(2)
- Hyper-V 2012 と Windows 2012 ゲスト
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
- Hyper-V バージョン 3.0
- Windows Server 2012
- NetApp ストレージ
- UCS シャーシ、ファブリック インターコネクト、および B シリーズ サーバ
- Cisco Nexus 5000 Series Switches
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
設定
NPIV を設定するには、次の手順を実行します。
- UCS パースペクティブから、各ファブリック用に 1 つずつ、2 つの仮想ホスト バス アダプタ(vHBA)を使ってサービス プロファイルを設定する必要があります。このイメージは、1 つのサービス プロファイルの vHBA を示しています。このドキュメントで後述する出力の中でサービス プロファイルにワールド ワイド ポート名(WWPN)を関連付けることができます。
注:Hyper-V ホストを起動するためにストレージ エリア ネットワーク(SAN)ストレージを使用する場合、VM トラフィック用とデバイス起動用に別個の vHBA セットを使用することを強く推奨します。この例では、2 つの vHBA を使用した基本設定の概要を示します。
- Hyper-V Manager から仮想ストレージ エリア ネットワーク(VSAN)を設定します。各ファブリック用に 1 つずつ、2 つの VSAN を作成する必要があります。他の Hyper-V ホストで VSAN を作成するときには、必ず同じ名前を使用してください。そうしない場合、ライブ マイグレーションが機能しません。ホストをクリックして、[Virtual SAN Manager] をクリックします。
- FabricA という名前の新しいファイバ チャネル SAN を作成し、vHBA0-FabricA に対応するワールドワイド ノード名 (WWNN)/WWPN を選択します。
- FabricB を追加し、vHBA1-FabricB に対応する WWNN/WWPN を選択します。
- Windows Server 2012 VM を設定し、2 つのファイバ チャネル アダプタを追加します。VM がオフの状態のときに右クリックして、[Settings] を選択します。これらのホストはクラスタに含まれているため、フェールオーバー クラスタ マネージャでこれが行われます。
- [Add Hardware] をクリックし、[Fibre Channel Adapter] を選択して [Add] をクリックします。
- 最初のアダプタに [Virtual SAN FabricA] 、2 番目のアダプタに [Virtual SAN FabricB] をそれぞれ選択します。
これらのイメージは、両方のアダプタとそれぞれの WWNN/WWPN を示しています。
- Nexus 5000 スイッチでゾーン分割を追加します。
Nexus 5000 シリーズ スイッチは、たとえば次のようになります(UCS vHBA の WWPN に関するゾーン分割は示されていません)。
! Zoning for HYVERTEST Fabric A
fcalias name HYPERVTEST vsan 10
member pwwn c0:03:ff:69:d1:5c:00:0e
member pwwn c0:03:ff:69:d1:5c:00:0f
zone name HYPERVTEST_to_NetApp1 vsan 10
Member fcalias HYPERVTEST
Member fcalias NetApp1
zoneset name HyperVZoneset1 vsan 10
member HYPERVTEST_to_NetApp1
zoneset activate name HyperVZoneset1 vsan 10
!Zoning for HYPERVTEST Fabric B
fcalias name HYPERVTEST vsan 11
member pwwn c0:03:ff:69:d1:5c:00:10
member pwwn c0:03:ff:69:d1:5c:00:11
zone name HYPERVTEST_to_NetApp2 vsan 11
Member fcalias HYPERVTEST
Member fcalias NetApp2
zoneset name HypervZoneset2 vsan 11
member HYPERVTEST_to_NetApp2
zoneset activate name HyperVZoneset2 vsan 11
- 論理ユニット番号(LUN)に確実にアクセスできるようにするために、WWPN を NetApp に追加してください。
ライブ マイグレーション
各 VM アダプタには 2 組の WWNN/WWPN があります。これらは、ライブ マイグレーション時に Hyper-V によって使用されます。このイメージは、ライブ マイグレーション時にそれぞれの WWPN がどのように使用されるかを示しています。
出典:Hyper-V仮想ファイバチャネルの概要
両方の WWPN がファブリックに重複してログインしている時点があることに注意してください。
これにより、マイグレーションで障害が発生した場合でも、ストレージが中断なしで継続的に機能するようになります。
ライブ マイグレーション プロセス中に flogi データベースが [Verify Live Migration] セクションに表示されるため、プロセス中にアダプタ flogi に関する両方の WWPN を確認できます。
クイック マイグレーション
クイック マイグレーションの場合、ライブ マイグレーションとは異なり、移行される VM が一時的に中断されます。
このため、セットで両方の WWPN にログインする理由がありません。代わりに、VM は 1 つのノードからログアウトし、新しいノードからログインできます。
ライブ マイグレーションの検証
すべてが正しく設定されていれば、UCS vHBA および VM ファイバ チャネル アダプタに関する flogi データベースに flogi エントリが表示されます。
NEXUS1# show flogi database
--------------------------------------------------------------------------------
Interface VSAN FCID Port Name Node Name
--------------------------------------------------------------------------------
fc1/31 10 0x930001 50:0a:09:83:8d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
fc1/32 10 0x930000 50:0a:09:84:9d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
San-po31 10 0x930002 24:1f:54:7f:ee:57:1d:c0 20:0a:54:7f:ee:57:1d:c1
San-po31 10 0x930003 20:00:00:25:b5:02:a0:8f 20:00:00:25:b5:02:00:8f <vHBA0-FabricA
San-po31 10 0x930004 20:00:00:25:b5:02:a0:9f 20:00:00:25:b5:02:00:9f
San-po31 10 0x930005 20:00:00:25:b5:02:a0:6f 20:00:00:25:b5:02:00:6f
San-po31 10 0x930006 20:00:00:25:b5:02:a0:7f 20:00:00:25:b5:02:00:7f
San-po31 10 0x930007 20:00:00:25:b5:02:a0:4f 20:00:00:25:b5:02:00:4f
San-po31 10 0x930008 20:00:00:25:b5:02:a0:5f 20:00:00:25:b5:02:00:5f
San-po31 10 0x930009 c0:03:ff:69:d1:5c:00:0e c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Set A for
Adapter FabricA
NEXUS2# show flogi database
--------------------------------------------------------------------------------
Interface VSAN FCID Port Name Node Name
--------------------------------------------------------------------------------
fc1/31 11 0x9f0001 50:0a:09:84:8d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
fc1/32 11 0x9f0000 50:0a:09:83:9d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
San-po32 11 0x9f0002 24:20:54:7f:ee:57:1a:80 20:0b:54:7f:ee:57:1a:81
San-po32 11 0x9f0003 20:00:00:25:b5:02:b1:8f 20:00:00:25:b5:02:00:8f <vHBA1-FabricB
San-po32 11 0x9f0004 20:00:00:25:b5:02:b1:9f 20:00:00:25:b5:02:00:9f
San-po32 11 0x9f0005 20:00:00:25:b5:02:b1:6f 20:00:00:25:b5:02:00:6f
San-po32 11 0x9f0006 20:00:00:25:b5:02:b1:7f 20:00:00:25:b5:02:00:7f
San-po32 11 0x9f0007 20:00:00:25:b5:02:b1:4f 20:00:00:25:b5:02:00:4f
San-po32 11 0x9f0008 20:00:00:25:b5:02:b1:5f 20:00:00:25:b5:02:00:5f
San-po32 11 0x9f000b c0:03:ff:69:d1:5c:00:10 c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Set A for
Adapter FabricB
LUN を表示するために、ゲスト VM でディスク管理を開いて rescan disks コマンドを入力します。LUN が二度表示される場合、マルチパス I/O(MPIO)が有効になっていません。
ライブ マイグレーション中に、それぞれのスイッチでアドレス セット A およびアドレス セット B の両方に関する WWPN が表示されるはずです。
NEXUS1# show flogi database
--------------------------------------------------------------------------------
Interface VSAN FCID Port Name Node Name
--------------------------------------------------------------------------------
fc1/31 10 0x930001 50:0a:09:83:8d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
fc1/32 10 0x930000 50:0a:09:84:9d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
San-po31 10 0x930002 24:1f:54:7f:ee:57:1d:c0 20:0a:54:7f:ee:57:1d:c1
San-po31 10 0x930003 20:00:00:25:b5:02:a0:8f 20:00:00:25:b5:02:00:8f
San-po31 10 0x930004 20:00:00:25:b5:02:a0:9f 20:00:00:25:b5:02:00:9f
San-po31 10 0x930005 20:00:00:25:b5:02:a0:6f 20:00:00:25:b5:02:00:6f
San-po31 10 0x930006 20:00:00:25:b5:02:a0:7f 20:00:00:25:b5:02:00:7f
San-po31 10 0x930007 20:00:00:25:b5:02:a0:4f 20:00:00:25:b5:02:00:4f
San-po31 10 0x930008 20:00:00:25:b5:02:a0:5f 20:00:00:25:b5:02:00:5f
San-po31 10 0x930009 c0:03:ff:69:d1:5c:00:0e c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Address Set A
San-po31 10 0x93000a c0:03:ff:69:d1:5c:00:0f c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Address Set B
NEXUS2# show flogi database
--------------------------------------------------------------------------------
Interface VSAN FCID Port Name Node Name
--------------------------------------------------------------------------------
fc1/31 11 0x9f0001 50:0a:09:84:8d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
fc1/32 11 0x9f0000 50:0a:09:83:9d:80:b7:ae 50:0a:09:80:8d:80:b7:ae
San-po32 11 0x9f0002 24:20:54:7f:ee:57:1a:80 20:0b:54:7f:ee:57:1a:81
San-po32 11 0x9f0003 20:00:00:25:b5:02:b1:8f 20:00:00:25:b5:02:00:8f
San-po32 11 0x9f0004 20:00:00:25:b5:02:b1:9f 20:00:00:25:b5:02:00:9f
San-po32 11 0x9f0005 20:00:00:25:b5:02:b1:6f 20:00:00:25:b5:02:00:6f
San-po32 11 0x9f0006 20:00:00:25:b5:02:b1:7f 20:00:00:25:b5:02:00:7f
San-po32 11 0x9f0007 20:00:00:25:b5:02:b1:4f 20:00:00:25:b5:02:00:4f
San-po32 11 0x9f0008 20:00:00:25:b5:02:b1:5f 20:00:00:25:b5:02:00:5f
San-po32 11 0x9f000b c0:03:ff:69:d1:5c:00:10 c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Address Set A
San-po32 11 0x9f000c c0:03:ff:69:d1:5c:00:11 c0:03:ff:00:00:ff:ff:00 <Address Set B
トラブルシュート
ここでは、設定のトラブルシューティングに使用できる情報を示します。
一般的な問題
- Microsoft Windows 2012 FNIC ドライバが正しいバージョンでない場合、[Hyper-V Manager] > [Virtual SAN Manager] の [Virtual Fibre Channel SAN] の [Status] 列に「device or driver does not support virtual fibre channel」というメッセージが表示されます。[Device Manager] > [Storage Controllers] > [Cisco VIC FCoE Storport Miniport] > [Properties] > [Driver] に移動して、現在の FNIC ドライバ バージョンを確認してください。ブレード モデル、UCS ファームウェア バージョン、およびアダプタに基づいてどのドライバがサポートされているかを判別するには、[UCS Interoperability Matrix] を使用します。必要に応じて、ドライバを更新してください。
- 特定の条件下で、「Synthetic FibreChannel Port:Failed to finish reserving resources」というメッセージを伴ってライブ マイグレーションが失敗します。次の点を確認してください。
- ストレージ ターゲット(NetApp のイニシエータ グループ)で WWPN が追加されているかどうか。
- VM に割り当てられた両方の WWPN セットのアクセスが、ゾーン分割情報で説明されているかどうか。
- Microsoft の最新パッチ(KB 2894032 を含む)が適用済みかどうか。
- デバイスが起動用と VM トラフィック用に同じ HBA ペアを使用している場合、ライブ マイグレーションが失敗する可能性があります。これは、「仮想ファイバ チャネル アダプタで Unified Computing System 仮想マシンのライブ マイグレーションが失敗する」で説明されています。
MPIO
回復性と耐障害性を確保するには、オペレーティング システムでマルチパス I/O を有効にする必要があります。
- 特定のイニシエータ グループに関して NetApp で Asymmetric Logical Unit Access(ALUA)を有効にしてください。
- Microsoft 側で MPIO 機能を有効にします。[Add Roles and Features] から、MPIO が有効になっていることを確認します。
関連情報