概要
このドキュメントでは、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)アップリンクを設定する方法について説明します。Cisco Unified Computing System(UCS)バージョン 2.1 以降のバージョンには、マルチホップ Fibre Channel over Ethernet(FCoE)のサポートが導入されました。このサポートにより、ファイバ チャネル(FC)とイーサネットの両方を伝送する単一のアップリンクへの 2 つの個別のリンクを統合できるようになります。
注:ユニファイド アップリンクは、ユニファイド ポートとは異なります。第 1 世代も含め、あらゆる Fabric Interconnect(FI; ファブリック インターコネクト)で、ユニファイド アップリンクを使用できます。ただし、ユニファイド ポートが使用できるのは、第 2 世代の FI だけです。
前提条件
要件
このドキュメントに特有の要件はありません。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、UCS Manager(UCSM)バージョン2.1に基づいています。このドキュメントを使用するには、バージョン2.1(1a)以降を実行する必要があります。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
設定
サポートされている設定
次に示す 3 つのすべての構成では、任意のリンクを同じタイプの port-channel に置き換えることができます。たとえば、構成に 1 つのリンクが示されている場合、そのリンクを 1 つの port-channel で構成できます。ただし、同じ port-channel にイーサネットとユニファイド ポートを使用することはできません。
仮想 Port Channel(vPC)による FCoE アップリンク
この構成には、ユニファイド リンクは含まれていませんが、現在の環境に FCoE アップリンクを統合する最も簡単な方法になります。この構成では、FC ファブリックを通過する必要がなくなります。
ピンニングによる交差接続
この構成では、Nexus 5000 シリーズ スイッチ(N5ks)と FI が交差接続されていますが、port-channel では結合されていません。これにより、いくつかのユニファイド アップリンクを使用できるようになりますが、既知のネットワーク設計を維持できます。
すべてのユニファイド アップリンク
この構成は、ほとんどの統合を実現します。これらのリンクは port-channel にすることもできますが、すべてのリンクがユニファイド アップリンクであることが必要になります。これは、最も一般的な実装になると考えられます。
UCS での設定
UCS の設定には、次の 3 つの手順があります。
- 仮想ストレージ エリア ネットワーク(VSAN)を設定します。
- ユニファイド アップリンクを設定します。
- port-channel を設定します(任意)。
VSAN の設定
この設定では、Fabric A から VSAN 500 を作成し、Fabric B から VSAN 600 を作成します。これは、通常の FC の VSAN を作成するために使用するものと同じ設定です。
ユニファイド アップリンクの設定
ユニファイド アップリンクは、GUI では非表示にされています。ユニファイド ポートを作成するには、最初に、アップリンクまたは FCoE アップリンクとして設定します。その後で、ユニファイド ポートとして設定できます。この設定では、最初のロールを削除しません。その代わりに、両方を備えたインターフェイスを作成します。
VSAN は、この時点で設定してください。
この時点で、UCS はユニファイド トラフィック用に設定されています。この例では、port-channel を使用しません。ただし、通常は、この時点で port-channel を設定できます。port-channel の [VSAN] タブで VSAN を設定してください。
N5k での設定
N5k での設定は、次の 3 つの手順で構成されます。
- FCoE とデフォルト Quality of Service(QoS)設定を有効にします。FCoE VLAN を作成して、VSAN をバインドします。
- イーサネット インターフェイス(または port-channel)を設定します。
- 仮想ファイバ チャネル(vFC)を作成して、イーサネット インターフェイスをバインドします。
注:デフォルトでは、UCS は N ポート仮想化(NPV)スイッチになるため、上流に位置するスイッチは N ポート ID 仮想化(NPIV)モードであることが必要になります(有効にするには、feature npiv コマンドを入力します)。 この機能の詳細は、『N ポート仮想化の設定』を参照してください。
FCoE とデフォルト QoS 設定の有効化
N5k が FCoE 用に設定されている場合は、この手順をスキップしてください。N5k が FCoE 用に設定されていない場合は、このドキュメントの最後にある「付録 A」の手順を参照してください。
イーサネット インターフェイス(または Port-channel)の設定
これは、通常は UCS に接続するインターフェイスの設定です。 FCoE VLAN を許可してください。
f340-31-15-5596-1(config)# interface ethernet 1/32
f340-31-15-5596-1(config-if)# switchport mode trunk
f340-31-15-5596-1(config-if)# switchport trunk allowed vlan all
これは、最も基本的なトランキングの設定例です。このインターフェイスでは、FCoE の設定がないことに注意してください。
vFC の設定
これは、UCS からの FCoE トラフィックをすべて処理する vFC の設定です。
f340-31-15-5596-1(config-if)# int vfc 25
f340-31-15-5596-1(config-if)# switchport trunk allowed vsan 500
f340-31-15-5596-1(config-if)# no shut
f340-31-15-5596-1(config-if)# bind interface ethernet 1/32
f340-31-15-5596-1(config-if)#
この例では、いくつかの注意点があります。
- vFC 番号は重要ではありません。これは使用されていない、あらゆる番号になります。
- これはトランキング ファブリック(TF)ポートであるため、VSAN を許可する必要があります。
- UCS に面したインターフェイスに、これをバインドします。これは、FCoE トラフィックが送受信される物理インターフェイスです。VSAN に関連付けられた VLAN で送信されます。
この時点で、すべての設定が完了しています。show interface vfc xx コマンドを入力して、VSAN が起動することを確認します。
f340-31-15-5596-1(config-if)# show interface vfc 25
vfc25 is trunking
Bound interface is Ethernet1/32
Hardware is Ethernet
Port WWN is 20:18:54:7f:ee:d3:f8:bf
Admin port mode is F, trunk mode is on
snmp link state traps are enabled
Port mode is TF
Port vsan is 500
Trunk vsans (admin allowed and active) (500)
Trunk vsans (up) (500)
Trunk vsans (isolated) ()
Trunk vsans (initializing) ()
1 minute input rate 4448 bits/sec, 556 bytes/sec, 1 frames/sec
1 minute output rate 610448 bits/sec, 76306 bytes/sec, 27 frames/sec
27347 frames input, 45743308 bytes
0 discards, 0 errors
114710 frames output, 218235936 bytes
0 discards, 0 errors
last clearing of "show interface" counters Thu May 9 13:37:42 2013
Interface last changed at Thu May 9 14:03:44 2013
VSAN が起動しない場合は、設定と接続を確認します。それでもダウンしている場合は、N5k のイーサネット ポートをフラップしてください。
この時点で、通常の FC 設定(ブート ポリシー、ゾーン分割)を適用します。
f340-31-15-5596-1(config-if)# show flogi database
--------------------------------------------------------------------------------
INTERFACE VSAN FCID PORT NAME NODE NAME
--------------------------------------------------------------------------------
fc2/3 500 0xd80000 20:42:00:0d:ec:b1:34:c0 21:f4:00:0d:ec:b1:34:c1
fc2/3 500 0xd80001 20:00:00:25:b5:12:dc:5f 20:00:00:25:b5:13:dc:2f
[svinfra-esxi-1]
fc2/3 500 0xd80003 20:00:00:25:b5:12:dc:3f 20:00:00:25:b5:13:dc:0f
[svinfra-esxi-2]
vfc7 500 0xd80060 25:f6:00:0d:ec:cc:d3:ff 21:f4:00:0d:ec:cc:d3:c1
vfc7 500 0xd80061 20:00:00:25:b5:19:70:28 20:00:00:25:b5:19:70:18
vfc25 500 0xd80042 20:00:00:25:b5:ab:1a:01 20:00:00:25:b5:00:00:8f
vfc25 500 0xd80043 20:00:00:25:b5:ab:1a:02 20:00:00:25:b5:00:00:9f
vfc25 500 0xd80044 20:00:00:25:b5:00:3a:08 20:00:00:25:b5:00:00:5f
vfc25 500 0xd80045 20:00:00:25:b5:00:3a:09 20:00:00:25:b5:00:00:4f
vfc25 500 0xd80048 2d:9a:00:05:73:c2:c6:3f 21:f4:00:05:73:c2:c6:01
確認
現在、この設定に使用できる確認手順はありません。
トラブルシュート
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
付録 A:N5k の基本的な FCoE 設定
FCoE 用に N5k を設定するには、次のコマンドを入力します。
feature fcoe
system qos
service-policy type network-qos fcoe-default-nq-policy
service-policy type queuing input fcoe-default-in-policy
service-policy type queuing output fcoe-default-out-policy
service-policy type qos input fcoe-default-in-policy
これらのコマンドでは、まず FCoE を有効にしてから、FCoE に必要なデフォルトの QoS ポリシーを有効にします。カスタムの QoS 設定がある場合は、その設定をベースとして使用します。次に、デフォルト設定を示します。
policy-map type qos fcoe-default-in-policy
class type qos class-fcoe
set qos-group 1
class type qos class-default
set qos-group 0
policy-map type queuing fcoe-default-in-policy
class type queuing class-fcoe
bandwidth percent 50
class type queuing class-default
bandwidth percent 50
policy-map type queuing fcoe-default-out-policy
class type queuing class-fcoe
bandwidth percent 50
class type queuing class-default
bandwidth percent 50
policy-map type network-qos fcoe-default-nq-policy
class type network-qos class-fcoe
pause no-drop
mtu 2158
class type network-qos class-default
mtu 1500
multicast-optimize
この出力例からわかるように、これらのポリシーでは FCoE トラフィック クラスを作成して、そのクラスに no-drop のマークを付けて、専用の帯域幅を提供しています。これらは、必要に応じて変更できます(たとえば、ジャンボ フレームを追加するなど)。
次に、VSAN を VLAN にバインドする必要があります。
f340-31-15-5596-1(config)# vlan 500
f340-31-15-5596-1(config-vlan)# name VNX_500
f340-31-15-5596-1(config-vlan)# fcoe vsan 500
f340-31-15-5596-1(config-vlan)#
これにより、VLAN 500 は FCoE VLAN であることと、着信トラフィックは VSAN 500 にスイッチングされる必要があることを N5k に通知します。
この時点で、N5k は FCoE 用に設定され、UCS 接続に使用できます。