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このドキュメントでは、ASR1000 ルータでのパケット損失の原因が、そのコンポーネントや Field Replaceable Unit(FRU)の最大キャパシティであるかどうかを確認する手順について説明します。 ルータのフォワーディング容量に関する知識があると、ASR1000 のパケット損失のトラブルシューティングに長い時間がかからないため、時間の節約になります。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
ASR1000 シリーズ ルータのプラットフォームは集中型のルータプラットフォームです。そのため、ルータが受け取るすべてのパケットは、送信可能になる前に、集中型フォワーディングエンジンに到達する必要があります。集中型のフォワーディングカードは、Embedded Service Processor(ESP)と呼ばれます。 シャーシの ESP モジュールにより、ルータの転送キャパシティが決まります。回線とのパケットの送受信を行う共有ポートアダプタ(SPA)は、SPA インターフェイスプロセッサ(SIP)と呼ばれるキャリアカードを介して ESP に接続されています。 SIP の合計帯域幅容量により、ESP に送受信されるトラフィックの量が決まります。
使用されているハードウェア構成(ESP と SIP の組み合わせ)に対するルータのキャパシティの計算を誤ると、ASR1000 シリーズ ルータがパケットをラインレートで転送することができないネットワーク設計となるおそれがあります。
ここでは、ASR1000 シリーズ ルータでパケット損失の可能性がある 3 つのシナリオについて説明します。その次の項では、ルータがこれらのシナリオのいずれかに該当するかどうかを判断するために使用できるコマンド ライン インターフェイス(CLI)を紹介します。
例は、
SIP カードは、入力パケットの分類と、オーバーサブスクリプションを許容するためのバッファリングをサポートしています。トラフィック フローの入力と出力のインターフェイスを特定します。ルータの入力リンクは帯域幅が大きく、パケットをライン レートで受信しており、出力リンクは帯域幅が小さい場合、入力 SIP でバッファリングが行われます。
こうしたシナリオで、ライン レートでの入力トラフィックが一定期間持続すると、最終的にはバッファが枯渇し、ルータによるパケット ドロップが始まる原因となります。これらは、入力インターフェイスでの show interface <interface-name> x/x/x controller の出力では、ignored または ingress over sub drops と表示されます。
注:SIP では入力パケットの分類がサポートされています。これにより、優先順位の高いパケットは(オーバーサブスクリプションになっていない限り)転送し、重要でないパケットはドロップすることができます。
ASR1000 ルータでの入力の分類およびスケジューリングについては、次のリンクで説明されています。
フロー制御が有効になっているか、また、インターフェイスがネクストホップデバイスから pause input を受信しているかを確認するには、show interface の出力結果を使用します。pause input は、ネクスト ホップのデバイスが輻輳していることを意味します。入力ポーズフレームは、 ASR1000 に減速するよう通知するため、ASR1000 でパケットバッファリングが発生する原因になります。 トラフィックレートが高い状態が一定時間続くと、最終的にパケット損失につながります。
show platform コマンドを実行して、シャーシ内の ESP と SIP のタイプを特定します。ASR1000 にはパッシブ バックプレーンがあります。システムのスループットは、システムで使用されている ESP および SIP のタイプによって決まります。
以下に、いくつかの例を示します。
ESP10 を搭載した ASR1000 ルータのスループットは、次の画像のようになります。
ルータを通過する合計トラフィックを確認するには、show interface summary コマンドを使用します。Received Data Rate(RXBS)および Transmit Data Rate(TXBS) のカラムに入力および出力の合計レートが表示されます。
ESP の負荷を確認するには、Show platform hardware qfp active datapath utilization summary を実行します。ESP が過負荷になると、減速するように入力 SIP カードにバックプレッシャがかかり、バッファリングが開始されます。これにより、高いレートが長期間維持されると、最終的にパケット損失につながります。
このシナリオで取るべきアクションは次のとおりです。
トラブルシューティング コマンドの結果、ルータがここで説明するシナリオの影響を受けていないことが確認された場合は、ASR1000 でのパケットドロップのトラブルシューティングに進みます。
Cisco ASR 1000 シリーズ サービス ルータでのパケット ドロップ
便利なコマンドは次のとおりです。
この例では、トラフィックは TenGigEthernet 0/2/0 で受信されており、TenGigEthernet 0/1/0 で送信されています。 出力は、IOS XE ソフトウェアリリース 15.1(3)S2 IOS®-XE を搭載した ASR1002 ルータからキャプチャされたものです。
show platform の出力結果を使用して、ESP と SIP カードのキャパシティを特定します。この例では、ルータのフォワーディング容量(最大出力容量)は 5 G になります。これは、ESP のキャパシティによって決まります。
------------------ show platform ------------------ Chassis type: ASR1002 Slot Type State Insert time (ago) --------- ------------------- --------------------- ----------------- 0 ASR1002-SIP10 ok 3y45w 0/0 4XGE-BUILT-IN ok 3y45w 0/1 SPA-1X10GE-L-V2 ok 3y45w 0/2 SPA-1X10GE-L-V2 ok 3y45w R0 ASR1002-RP1 ok, active 3y45w F0 ASR1000-ESP5 ok, active 3y45w P0 ASR1002-PWR-AC ok 3y45w P1 ASR1002-PWR-AC ok 3y45w Slot CPLD Version Firmware Version --------- ------------------- --------------------------------------- 0 07120202 12.2(33r)XNC R0 08011017 12.2(33r)XNC F0 07091401 12.2(33r)XNC
ingress over sub drops は、入力 SIP でバッファリングが行われていることを示し、フォワーディングエンジンまたは出力パスが輻輳していることを意味します。フロー制御ステータスは、輻輳が発生した場合にルータが受信したポーズフレームを処理するか、またはポーズフレームを送信するかを示します。
Router#sh int Te0/2/0 controller TenGigabitEthernet0/2/0 is up, line protocol is up Hardware is SPA-1X10GE-L-V2, address is d48c.b52e.e620 (bia d48c.b52e.e620) Description: Connection to DET LAN Internet address is 10.10.101.10/29 MTU 1500 bytes, BW 10000000 Kbit/sec, DLY 10 usec, reliability 255/255, txload 8/255, rxload 67/255 Encapsulation ARPA, loopback not set Keepalive not supported Full Duplex, 10000Mbps, link type is force-up, media type is 10GBase-SR/SW output flow-control is on, input flow-control is on ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00 Last input 00:06:33, output 00:00:35, output hang never Last clearing of "show interface" counters 1d18h Input queue: 0/375/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0 Queueing strategy: fifo Output queue: 0/40 (size/max) 5 minute input rate 2649158000 bits/sec, 260834 packets/sec 5 minute output rate 335402000 bits/sec, 144423 packets/sec 15480002600 packets input, 18042544487535 bytes, 0 no buffer Received 172 broadcasts (0 IP multicasts) 0 runts, 0 giants, 0 throttles 0 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored 0 watchdog, 257 multicast, 0 pause input 10759162793 packets output, 4630923784425 bytes, 0 underruns 0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets 0 unknown protocol drops 0 babbles, 0 late collision, 0 deferred 0 lost carrier, 0 no carrier, 0 pause output 0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out TenGigabitEthernet0/2/0 0 input vlan errors 444980 ingress over sub drops 0 Number of sub-interface configured vdevburr01c10#
このコマンドは、ESP に対する負荷を表示します。行の処理:Load の値が大きい場合は ESP の使用率が高いため、さらなるトラブルシューティングを行い、その原因はルータに設定されている機能であるか、トラフィックレートが高いことであるか確認する必要があります。
Router0#show platform hardware qfp active datapath utilization CPP 0 5 secs 1 min 5 min 60 min Input: Priority (pps) 1073 921 1048 1203 (bps) 1905624 1772832 1961560 2050136 Non-Priority (pps) 491628 407831 415573 373270 (bps) 3536432120 2962683416 3051102376 2652122448 Total (pps) 492701 408752 416621 374473 (bps) 3538337744 2964456248 3053063936 2654172584 Output: Priority (pps) 179 170 124 181 (bps) 535864 509792 370408 540416 Non-Priority (pps) 493706 409239 417159 374982 (bps) 3545612320 2967293504 3056172104 2657838152 Total (pps) 493885 409409 417283 375163 (bps) 3546148184 2967803296 3056542512 2658378568 Processing: Load (pct) 17 46 38 36
[TXBS] フィールドには、ルータの合計出力トラフィックが表示されます。この例では、合計出力トラフィックは、3.1 G(2680945000 + 372321000 = 3053266000)です。
Router#sh int summary *: interface is up IHQ: pkts in input hold queue IQD: pkts dropped from input queue OHQ: pkts in output hold queue OQD: pkts dropped from output queue RXBS: rx rate (bits/sec) RXPS: rx rate (pkts/sec) TXBS: tx rate (bits/sec) TXPS: tx rate (pkts/sec) TRTL: throttle count Interface IHQ IQD OHQ OQD RXBS RXPS TXBS TXPS TRTL ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------- GigabitEthernet0/0/0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 GigabitEthernet0/0/1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 GigabitEthernet0/0/2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 GigabitEthernet0/0/3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 * Te0/1/0 0 0 0 0 383941000 152887 2680945000 265668 0 * Te0/2/0 0 0 0 0 2541026000 254046 372321000 147526 0 GigabitEthernet0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 * Loopback0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
このコマンドは、PLIM 上のバッファの使用状況を確認するために使用します。Curr の値が最大に近いときは、PLIM バッファがいっぱいになっています。
Router#Show platform hardware port 0/2/0 plim buffer settings Interface 0/2/0 RX Low Buffer Size 28901376 Bytes Drop Threshold 28900416 Bytes Fill Status Curr/Max 0 Bytes / 360448 Bytes TX Low Interim FIFO Size 192 Cache line Drop Threshold 109248 Bytes Fill Status Curr/Max 1024 Bytes / 2048 Bytes RX High Buffer Size 4128768 Bytes Drop Threshold 4127424 Bytes Fill Status Curr/Max 1818624 Bytes / 1818624 Bytes TX High Interim FIFO Size 192 Cache line Drop Threshold 109248 Bytes Fill Status Curr/Max 0 Bytes / 0 Bytes
Router#Show platform hardware port 0/2/0 plim buffer settings detail Interface 0/2/0 RX Low Buffer Size 28901376 Bytes Fill Status Curr/Max 0 Bytes / 360448 Bytes Almost Empty TH0/TH1 14181696 Bytes / 14191296 Bytes Almost Full TH0/TH1 28363392 Bytes / 28372992 Bytes SkipMe Cache Start / End Addr 0x0000A800 / 0x00013AC0 Buffer Start / End Addr 0x01FAA000 / 0x03B39FC0 TX Low Interim FIFO Size 192 Cache line Drop Threshold 109248 Bytes Fill Status Curr/Max 1024 Bytes / 2048 Bytes Event XON/XOFF 49536 Bytes / 99072 Bytes Buffer Start / End Addr 0x00000300 / 0x000003BF RX High Buffer Size 4128768 Bytes Fill Status Curr/Max 1818624 Bytes / 1818624 Bytes Almost Empty TH0/TH1 1795200 Bytes / 1804800 Bytes Almost Full TH0/TH1 3590400 Bytes / 3600000 Bytes SkipMe Cache Start / End Addr 0x00013B00 / 0x00014FC0 Buffer Start / End Addr 0x03B3A000 / 0x03F29FC0 TX High Interim FIFO Size 192 Cache line Drop Threshold 109248 Bytes Fill Status Curr/Max 0 Bytes / 0 Bytes Event XON/XOFF 49536 Bytes / 99072 Bytes Buffer Start / End Addr 0x000003C0 / 0x0000047F