このドキュメントでは、活性挿抜(OIR)に関する一般的な情報を提供し、この動作をサポートするプラットフォームおよびモジュールのリストについて説明します。
このドキュメントの読者は、ルータ モジュールのハードウェア設置に関する基礎知識を持っている必要があります。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
すべての Cisco IOS® ソフトウェア バージョン
Cisco 3600 シリーズ ルータ
Cisco AS5800 Universal Access Server
Cisco 7200 シリーズ ルータ
Cisco 7500 シリーズ ルータ
Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータ
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
OIR は、システム運用への影響なく、不良部品を交換できるように開発されたものです。カードが挿入された時点で、カードでは電源が使用可能で、自身で初期化を行って動作を開始します。
ホットスワップ機能により、システムは、ユニットの物理設定で変化が発生したときに判別できます。その後、ユニットのリソースの再割り当てが行われ、すべてのインターフェイスが適切に機能します。この機能により、カードのインターフェイスは再度設定されますが、ルータ上の他のインターフェイスは変更されずに残ります。割り込みルーチンは、割り込み回線が安定した状態に達したことを確認する必要があります。
ソフトウェアは、カードの挿入および取り外しの処理に関係する必要なタスクを実行します。ハードウェア割り込みは、ハードウェアの変更が検出されると、ソフトウェア サブシステムに送信され、ソフトウェアは次のようにシステムを再度設定します。
カードが挿入されると、エンド ユーザが適切に設定できる方法で、カードが解析および初期化される。OIR 中に使用される初期設定ルーチンは、ルータの電源投入時に呼び出されるルーチンと同じです。ソフトウェアによっても処理されるシステム リソースは、新規インターフェイスに割り当てられます。
カードが抜かれると、空のスロットに関連付けられたリソースは状態の変化を示すように解放または変更される。
OIR が実行されると、ルータは次の内容を行います。
設定の変更のためにバックプレーンを迅速にスキャンします。
新たに挿入されたすべてのインターフェイスを初期化し、管理用シャットダウン状態にします。
カード上の設定済みのすべてのインターフェイスを、取り外し時の状態に戻します。新たに挿入されたインターフェイスは、管理用シャットダウン状態になります。
ルーティング テーブルに対する唯一の影響は、ルートがインターフェイスを経由して学習されるため、取り外したインターフェイスを経由するルートが削除されることです。Address Resolution Protocol(ARP)キャッシュは選択的にフラッシュされ、ルーティング キャッシュは完全にフラッシュされます(これは、OIR 以外でも、ルータの通常のオペレーション中に発生する場合もありますが、心配する必要はありません)。
カードを取り除いたスロットにそのカードをもう一度挿入する場合、または、同一のカードをその場所に挿入する場合、以前の取り付けからの制御ブロックの多くが再利用されます。これは、特定の制御ブロックの Cisco IOS ソフトウェアによる実装のために必要で、以前に取り付けたカードからの設定を保存する利点があります。
ハードウェアの変更を実行する場合は、つねにルータの電源を切っておく方が安全ですが、OIR を実行する必要がある場合の推奨事項をここに示します。正しい手順に従わない場合、システムはハードウェア障害を示す場合があります。
一度に 1 枚のカードだけを挿入してください。他のインターフェイス プロセッサを抜き挿しする前に、システムに前の作業を完了させる時間を与えることが必要です。システムが検証を完了させる前にシーケンスを中断すると、システムが誤ったハードウェア障害を検出する場合があります。
カードをすばやく、しっかりと挿入します。しかし、乱暴には行わないでください。
カードの側面に小さなプラスチック レバーがある場合は、これを使用してカードをロックします。
OIR が正常である場合、ルータのリロードをスケジュールする必要はまったくありません。
OIR の後で LONGSTALL メッセージが表示された場合、あるいは OIR の作業中に CPUHOG が表示された場合、この時に他の問題がなければこのメッセージは無視しても構いません。CPUHOG メッセージおよび OIR イベントの意味の詳細については、「%SYS-3-CPUHOG メッセージの原因」を参照してください。
Platform | OIR サポート |
---|---|
3620 | No |
3640 | No |
3660 |
|
制約事項
ネットワーク モジュールは、類似するモジュールに限り取り替えることができます(OIR を使用する場合)。 たとえば、NM-12DM は、NM-6DM ではなく、別の NM-12DM に限り取り替えられます。
モジュールに T1/E1 インターフェイスがある場合、T1/E1 コントローラは、ネットワーク モジュールが交換される前に、まずディセーブルにされる必要があります。
新規ネットワーク モジュールは、ルータがそのモジュールが稼動するのに十分な入出力(I/O)メモリを持つ場合に限り機能します(2600/3600/3700 Memory Calculator(登録ユーザ専用)を使用すると、使用している設定のメモリ要件を確認できます)。
Cisco 3600 シリーズ ルータについて次のような OIR 関連のエラー メッセージが表示される場合があります。
%OIRINT: OIR Event has occurred oir_ctrl 5000 oir_stat F02
OIR 関連のエラー メッセージのトラブルシューティングに役立つ情報については、「3600 シリーズ ルータでの OIR イベントのトラブルシューティング」を参照してください。
AS5800 プラットフォームで OIR を実行するには、次の手順に従ってください。
カードをシャーシから取り外す前に、カードの動作を完全に停止させます。AS5800 関連の各種用語については、「AS5800 のハードウェア トラブルシューティング」を参照してください。
ルータ シェルフの有効なプロンプトから show dial-shelf slot slot_number コマンドを発行し、リセットする機能ボード(スロット y)のタイプに関連する数値をメモします。次の出力例では、スロット 3 のボード タイプは 259 です。
as5800RS-VXR#show dial-shelf slot 3 Slot: 3, Type: Channelised T3 (259)
dsip console slave dsc_slot_number コマンドを発行して、ダイヤル シェルフ コントローラ(DSC)への仮想接続を開きます。dsc_slot_numberの値は12または13である必要があります。この値は、該当するフィーチャボードが属するDSCのスロット番号によって異なります。以下に、いくつかの例を示します。
routershelf#dsip console slave 12 Trying Dial shelf slot 12 ... Entering CONSOLE for slot 12
oir testport enable コマンドを発行して、OIR シミュレーションを有効にします。
oir slot slot_number remove コマンドを発行し、ソフトウェアを使用してカードを削除します。slot_number の値は、OIR を有効にする機能ボードのスロット番号です(上記エラー メッセージのスロット y)。
カードを取り外して、任意のスロットに交換用カードを挿入します。
カードを再挿入するために、oir slot slot_number コマンドを発行します(手順 1 のボード タイプを使用)。
oir log コマンドを発行して OIR イベントを確認します。
詳細については、「AS5800:ダイヤル シェルフ カードの交換または取り付け」を参照してください。
Cisco 7200 シリーズ ルータ | OIR サポート |
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NPE/NSE | No |
I/O コントローラ | No |
ポート アダプタ(PA) | Yes |
電源装置 | Yes |
異なるポート アダプタの詳細については、ポート アダプタに関するドキュメント ページを参照してください。
Cisco 7500 シリーズ ルータ | OIR サポート |
---|---|
マスター ルートスイッチ プロセッサ(RSP) | サポートされていない(スタンバイが存在しない場合) |
スタンバイ RSP | Yes |
チャンネル インターフェイス プロセッサ(CIP) | OIR は 11.1(5) からサポートされている |
インターフェイス プロセッサ(xIP) | OIR は 11.1(6) からサポートされている |
ポート アダプタ(PA) | No |
電源装置 | Yes |
制約事項
マスター RSP は、通常、システムの動作中に取り外すことはできません。ただし、スタンバイ RSP が存在する場合は、設定済みの HA 冗長性モードに従って引き継がれます(詳細については、「Cisco 7500 でのルート プロセッサの冗長性と高速ソフトウェア アップグレード」を参照)。Cisco 7500 シリーズ ルータの場合、設定されている冗長性モードは、アクティブ RSP のオンライン削除の場合には影響がありません。アクティブ RSP の活性挿抜を行った場合、すべてのラインカードがリセットされてリロードされます。つまり RPR のスイッチオーバーが実行されることになり、スイッチオーバーに時間がかかります。アクティブ RSP をシステムから取り外す必要がある場合は、まず switchover コマンドを実行してアクティブ RSP からスタンバイ RSP への切り替えを行います。アクティブ RSP を取り外す前にスタンバイ RSP にスイッチオーバーすれば、ステートフル スイッチオーバー(SSO)の連続的な転送機能を活用したネットワーク動作が可能になります(Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(22)S 以降でサポート)。
詳細については、「ステートフル スイッチオーバー」を参照してください。
ポート アダプタのない Versatile Interface Processor(VIP)を挿入しないでください。この設定はサポートされていません。未使用のインターフェイス プロセッサ スロットには、それぞれにインターフェイス プロセッサ フィラー(プリント基板のないインターフェイス プロセッサのキャリア)を入れて、ルータをダストから守り、インターフェイス プロセッサのコンパートメントを経由した正常なエアフローを保つ必要があります。
ポート アダプタの OIR はサポートされていませんが、VIP カードを完全に取り外してから、ポート アダプタを追加、取り外し、または交換し、VIP カードを戻すことができます。
注:ハイシステムアベイラビリティ(HSA)機能がアクティブなCisco 7507/7507-MXまたはCisco 7513/7513-MXルータでは、CyBusのいずれかのインターフェイスプロセッサの活性挿抜によって、スレーブRSP2がパリティエラーまたはエラー。マスター側の RSP はこのイベントから回復し、「cBus Complex Restart」メッセージを発行します。システムのスレーブとして設定された RSP4、あるいは RSP8 で構成されたシステムは影響を受けず、またこの問題も発生しません。この問題の詳細については、「重要なお知らせ:Cisco 7507 および Cisco 7513:RSP2 HSA OIR』を参照してください。
Cisco 7600 シリーズ ルータ | OIR サポート |
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FlexWAN および拡張 FlexWAN モジュール | Yes |
Supervisor Engine 720-3BXL | Yes |
2 ポート ATM光学サービス モジュール | Yes |
2 ポート OC-48c OC-48c/1 ポート OC-48c DPT OSM | Yes |
4ポートおよび8ポートOC-3c/STM-1 POS拡張OSM | Yes |
拡張ギガビット イーサネット光学サービス モジュール | Yes |
2ポートおよび4ポートOC-12c/STM-4 POS Enhanced OSM | Yes |
1 ポート OC-48c/STM-16 POS 拡張光学サービス モジュール | Yes |
FlexWAN および拡張 FlexWAN モジュールはホットスワップをサポートしていますが、個々のポート アダプタはサポートしていません。ポート アダプタを交換するには、まずシャーシから FlexWAN モジュールを取り外してから、必要に応じてポート アダプタを交換する必要があります。
Cisco 10000 シリーズ ルータ | OIR サポート |
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Performance Routing Engine(PRE-1) | Yes |
Performance Routing Engine(PRE-2) | Yes |
電源装置 | Yes |
ライン カード | Yes |
Cisco 12000 シリーズ ルータ | OIR サポート |
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プライマリ ギガビット ルート プロセッサ(GRP) | サポートされていない(セカンダリが存在しない場合) |
セカンダリ ギガビット ルート プロセッサ(GRP) | Yes |
クロック スケジューラ カード(CSC) | サポートされていない(冗長でない場合) |
スイッチ ファブリック カード(SFC) | Yes |
ラインカード(LC) | Yes |
ブロア モジュール | Yes |
電源装置 | Yes |
アラーム カード | Yes |
制約事項
Engine タイプ A のライン カードを Engine タイプ B のライン カードと交換する場合、ライン カードのメディア タイプが同じでも、交換後にライン カードの設定が保持されません。たとえば、4xOC12 POS Engine-2 ライン カードを 4xOC12 POS Engine-3 ライン カードと交換する場合、Engine-2 ライン カードの設定はすべて失われ、Engine-3 ライン カードに適用されません。
プライマリ GRP は、通常、システムの動作中に取り外すことはできません。ただし、セカンダリ GRP が存在する場合は、これが引き継ぎます。Route Processor Redundancy Plus(RPR+)をサポートする Cisco IOS ソフトウェア リリースを確認してください。 RPR+ では、セカンダリ GRP は完全に初期化され、設定されます。この機能により、プライマリ GRP が故障した場合、またはプライマリ GRP がシステムから取り外された場合に、切り替え時間が大幅に短縮されます。RPR+ の詳細については、「Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータ アーキテクチャ:ルート プロセッサ Route Processor』を参照してください。
ステートフル スイッチオーバー(SSO)を使用するように設定された Cisco 10000 および Cisco 12000 シリーズのインターネット ルータでは、アクティブ GRP の活性挿抜による取り外しを行うと、スタンバイ GRP へのステートフル スイッチオーバーが自動的に強制実行されます。SSO は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(22)S 以降でサポートされています。詳細については、「ステートフル スイッチオーバー」を参照してください。
CSC は、システムに 2 枚目の(冗長)CSC が取り付けられている場合に限り、取り外したり交換したりすることができます。システムの通常動作を維持するには、常に最低 1 枚の CSC が取り付けられており、動作している必要があります。冗長 CSC へのスイッチは数秒で行われ、一部またはすべての LC でデータの喪失が発生する可能性があります。
12406、12416、および 12816 では、冗長 CSC は、必ず、hw-module slot コマンドをシャットダウン キーワードとともに発行してシャットダウンしてから、取り外してください。
12406、12416、および 12816 では、セカンダリ CSC を挿入すると、トラフィック割り込みが発生し、誤った CRC エラー レポートが生成されます。ポスト 32S3 トラフィック ロスは見られません。
SFC は、システムに 2 枚目の(冗長)SFC が取り付けられている場合に限り、システムの通常動作を中断せずに取り外したり交換したりすことができます(冗長 CSC は CSC または SFC として機能することが可能)。
12406、12410、12416、12810、および 12816 では、SFC は、必ず、hw-module slot コマンドをシャットダウン キーワードとともに発行してからシャットダウンしてから、物理的に取り外してください。このようにしない場合は、ライン カードがクラッシュする可能性があります。
12406、12410、および 12416 では、SFC を挿入すると、トラフィック ロスと一時的なエラーの両方が発生します。ポスト 32S3 トラフィック ロスは見られません。
注:Cisco 12008、12012、および12016は、エンジン0のラインカードのみを使用する場合はSFCを使用せずに、1つのCSCでのみ実行できます。他のライン カードは、自動的にシャット ダウンされます。
注:12404には、すべてのCSC/SFC機能を含む1つのボードがあります。12404 の場合、冗長性がありません。統合スイッチ ファブリックは、ルータが機能している間は、OIR を行うことができません。
Cisco 12000 のメンテナンスの詳細については、Cisco 12000 シリーズ インターネット ルータに関するドキュメント ページを参照してください。