実際は正常に機能するハードウェアを交換することで、貴重な時間とリソースが無駄になることがあります。このドキュメントは、Cisco 7300 シリーズ ルータ シャーシに関する一般的なハードウェア問題のトラブルシューティングに役立ちます。
注:このドキュメントは、ハードウェアの問題と誤認されやすい問題を除き、ソフトウェア関連の障害は取り上げていません。
このドキュメントの読者は次のトピックについての専門知識を有している必要があります。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
Cisco IOS® ソフトウェア バージョン 12.1(9)EX1 以降
Cisco 7304 ルータ
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
新しいラインカードやモジュールを取り付けたり、Cisco IOS ソフトウェア イメージをインストールする場合には、ルータに十分なメモリがあることを常に確認する必要があります。また、ソフトウェアとハードウェアに、使用する機能との互換性があることを確認する必要もあります。
ハードウェアとソフトウェアの互換性やメモリの要件を確認するには、次の手順を実行します。
使用しているネットワーク デバイス用のソフトウェアを選択するには、Software Advisor(登録ユーザ専用)を使用します。
ヒント:「ハードウェアに対するソフトウェアのサポート」(登録ユーザ専用)セクションは、選択したCisco IOSソフトウェアバージョンがルータにインストールされているモジュールとカードをサポートしているかどうかを確認するのに役立ちます。
Download Software Area(登録ユーザ専用)を使用して、Cisco IOS ソフトウェアまたは Cisco IOS ソフトウェア イメージのダウンロードに必要な最低限のメモリ量(RAM およびフラッシュ)を確認します。ルータに装備されているメモリの量(RAM およびフラッシュ)を判別するには、『Cisco IOS ソフトウェア リリースの選択方法』の「メモリ要件」を参照してください。
ヒント:
現在のバージョンと同じ機能を確保する必要があっても、使用しているフィーチャ セットがわからない場合は、そのルータで show version コマンドを発行してください。アウトプット インタープリタ(登録ユーザ専用)ツールに出力を貼り付けて、フィーチャ セットを見つけます。機能がサポートされていることを必ず確認してください。新しいソフトウェア機能の使用を計画している場合は、機能のサポートを確認することが重要です。
Cisco IOS ソフトウェア イメージを新しいバージョンまたは機能セットにアップグレードする必要がある場合、詳細は、『Cisco IOS ソフトウェア リリースの選択方法』を参照してください。
Cisco IOS ソフトウェアのアップグレードが必要と判断した場合には、Cisco 7300 シリーズ ルータの『ソフトウェア インストレーションおよびアップグレード手順』を実行します。
ヒント:ROMmonでスタックしたCisco 7300シリーズルータの回復方法(rommon # >プロンプト)については、「Cisco 7300のROMmon回復手順」を参照してください。
原因を特定するための最初のステップは、その問題について可能な限り多くの情報を収集することです。問題の原因を特定するには、次のような情報が必要です。
コンソール ログ(詳細は、『コンソール接続用ターミナル エミュレータの正しい設定』を参照してください)。
Syslog 情報:Syslog サーバにログを送信するようにルータが設定されている場合、発生している問題の情報を入手できることがあります。詳細は、「Syslog に関するシスコ デバイスの設定方法」を参照してください。
show technical-support:show technical-support コマンドは、show version、show running-config、show stacks などの複数のコマンドを 1 つにまとめたものです。通常、ルータで問題が発生したときには、ハードウェアの問題をトラブルシューティングするために、Cisco Technical Assistance Center(TAC)のエンジニアにこの情報を提供するように求められます。ルータのリロードまたは電源のオン/オフを行うと、問題に関する情報がすべて失われることがあるため、事前に show technical-support の情報を収集する必要があります。
ブート シーケンス情報:ルータでブート エラーが発生しているかどうかを示す完全なブートアップ シーケンスです。
crashinfo ファイル(利用できる場合):crashinfo ファイルの入手方法については、『Crashinfo ファイルからの情報の取得』を参照してください。
ご使用のシスコデバイスのshowコマンドの出力がある場合(show technical-supportなど)、 表示します。使用するために 登録ユーザとしてログインし、JavaScriptを有効にする必要があります。
このような問題をトラブルシューティングするには、ルータのコンソールから情報を取得する必要があります。後で解析するため、または Cisco Technical Assistance Center(TAC)でサービス リクエストをオープンするために、コンソール出力をファイルに記録します。
シスコ ルータのブート プロセスを詳しく理解していない場合は、「図 12:ブート プロセス」(『リブーティング ドキュメンテーション』)を参照してください。
ブート問題が発生した場合は、表 1 で症状と推奨処置を確認してください。
表 1 – ブート問題の症状と推奨処置症状 | 推奨処置 |
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ルータの電源投入後に LED が点灯しない。 | 有効な電源にルータがしっかりと接続されていることを確認します。ルータの電源を入れたら、「電源の概要」で説明されているとおりに電源の LED のライトが変わるかどうかを確認します。Network Services Engine(NSE; ネットワーク サービス エンジン)の LED の電源投入の流れは次のとおりです。
|
エラーが発生した電源の LED が赤になる。 | オンまたはスタンバイ スイッチを確認します。問題が解決されない場合は、「電源装置の取り外しと交換」の説明に従って電源装置を取り外して交換します。 |
電源の INPUT OK LED が点灯しない。 | ライン入力電圧が利用できるかどうか、またそれが適切な範囲内にあるかどうかを確認します。
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適切な Network Services Engine(NSE; ネットワーク サービス エンジン)と電源 LED はルータに電源を入れた後にオンになるが、コンソールが応答しない。 | 端末設定を確認します。 |
コンフィギュレーションが不揮発性 RAM(NVRAM)に保存されているにもかかわらず、ルータがブートして毎回セットアップ モードで開始する。 | コンフィギュレーション レジスタが適切に設定されているかどうかを確認します。 |
ルータがブートし、ROMmon モード(rommon #> プロンプト)でスタックする。 | コンフィギュレーション レジスタを 0x2102 に設定し、ルータをリロードします。 rommon 1 > confreg 0x2102 rommon 2 > reset7300 ルータが ROMmon モードのままの場合は、『ROMmon 回復手順』を参照してください。 |
ルータがブートするが、ブート モード(ルータ(ブート)> プロンプト)でスタックする。 | ルータがブート モードでスタックする場合、Cisco IOS ソフトウェア イメージがないか、破損している可能性があります。この問題を解決するには、Cisco IOS ソフトウェア イメージをアップグレードする必要があります。 |
ルータが自動的にリブート/リロードしたり、クラッシュしたりする原因は、ソフトウェアとハードウェアのいずれかにある場合があります。このドキュメントでは、ハードウェア関連のクラッシュのみを取り上げます。問題の原因がハードウェアまたはソフトウェアのどちらにあるかを判別するには、crashinfo ログとコンソール ログが必要です。
次に、ハードウェアによるクラッシュの例を示します。
パリティ エラー:パリティ エラーが一度だけ発生した場合は、Single Event Upset(SEU; シングル イベント アップセット)と見なされます。 特に対処する必要はありません。シングル イベント アップセットの詳細は、『ネットワーク アベイラビリティの向上』を参照してください。ルータで複数のパリティ エラーがレポートされる場合は、ハードウェアの問題であると考えられます。詳細は、『プロセッサ メモリ パリティ エラー(PMPE)』を参照してください。
バス エラー:ソフトウェアまたはハードウェアによって、これらのタイプのクラッシュが発生することがあります。この問題の原因がハードウェアまたはソフトウェアのどちらにあるかを判別するには、『トラブルシューティング:バス エラー クラッシュ』を参照してください。
ルータのハングはソフトウェアの問題によって最も頻繁に発生します。この問題の対処方法については、『トラブルシューティング:ルータがハングする場合』を参照してください。
「システム クラッシュ」とは、システムが回復不可能なエラーを検出し、自動的に再起動された状況を指します。クラッシュはソフトウェアの問題、ハードウェアの問題、またはその両方によって発生することがあります。このセクションでは、ハードウェアに起因するクラッシュと、ソフトウェアに関連するクラッシュであってもハードウェアの問題と誤認される可能性のあるクラッシュについて説明します。
重要:クラッシュの後で、電源のオン/オフや reload コマンドの実行などによってルータをリロードすると、クラッシュに関する重要な情報が失われることがあります。ルータをリロードする前に、show technical-support および show log の出力、さらに可能であれば crashinfo ファイルの収集を試みてください。
この問題の詳細については、「ルータのクラッシュのトラブルシューティング」を参照してください。
プロセッサが、メモリ上に存在しない場所(ソフトウェアのエラー)や適切に応答しない場所(ハードウェアの問題)にアクセスしようとすることがあります。 このような場合、システムではバス エラーが発生します。
バス エラーを特定するには、ルータから提供される show version 出力を確認します(ルータの電源のオン/オフや、手動でのリロードを行っていない場合)。
次に、バス エラーによるクラッシュの例を 2 つ示します。
Router uptime is 2 days, 21 hours, 30 minutes System restarted by bus error at PC 0x30EE546, address 0xBB4C4 System image file is "flash:igs-j-l.111-24.bin", booted via flash .........
このエラー メッセージは、バス エラー中にコンソール プロンプトに表示されることがあります。
*** System received a Bus Error exception *** signal= 0xa, code= 0x8, context= 0x608c3a50 PC = 0x60368518, Cause = 0x20, Status Reg = 0x34008002
詳細は、『トラブルシューティング:バス エラー クラッシュ』を参照してください。
表 2 には、ラインカードの問題の症状と推奨処置の一覧が示されています。
表 2 – ラインカードの問題の症状と推奨処置症状 | 推奨処置 |
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カードが挿入されているにもかかわらず、show diag の出力には空のスロットが表示される。 | LED が点灯しているかどうかを確認します。LED が点灯していない場合、ラインカードを取り外して再度挿入するか、他のスロットに挿入してみます。この方法で問題が解決されない場合、ルータまたはカードのハードウェアの障害である可能性があります。さらにサポートが必要な場合は、Cisco TAC にお問い合わせください。 |
不明なラインカード。次のようなメッセージが表示される。 00:00:06: %LC-3-LCCREATE: Unable to create driver for Line Card type 630 in slot 2 |
現在の Cisco IOS ソフトウェア バージョンでそのラインカードがサポートされているかどうかを確認します。確認するには、Software Advisor(登録ユーザ専用)ツールを使用します。 |
show diag の出力に、非アクティブなラインカードであると表示される。 | show diag の出力に、非アクティブなラインカードであると表示される場合、現在の Cisco IOS ソフトウェア バージョンでそのラインカードがサポートされているかどうかを確認します。確認するには、Software Advisor(登録ユーザ専用)ツールを使用します。 |
デフォルトでは、Parallel eXpress Forwarding(PXF)プロセッサはイネーブルです。ただし、PXF プロセッサがイネーブルかどうかが不確かな場合や PXF に問題が発生した場合は、Cisco Express Forwarding および PXF がイネーブルであるかどうかを確認します。PXF 処理を使用するには、IP Cisco Express Forwarding スイッチングがイネーブルである必要があります。イネーブルかどうかを確認するには、show running-config コマンドの出力を確認します。Cisco Express Forwarding がイネーブルの場合、コンフィギュレーションの出力には「ip cef」と表示されます。PXF がディセーブルの場合、コンフィギュレーションの出力には「no ip pxf」と表示されます。「no ip pxf」と表示されていない場合、PXF はイネーブルです。
そのインターフェイスから受信したパケットが PXF で処理されたか、廃棄されたかを確認するには、show c7300 pxf interface all コマンドを入力します。
Router# show c7300 pxf int all PXF-If: Y 00001 Gi0/0 (Up, Processing Input) !--- Processing input => PXF processed Features: in=CEF [0x208], out=None [0x0] qstatus=XON
さらに PXF のトラブルシューティングを行うには、show c7300 pxf accounting コマンドの出力で、PXF プロセッサに発着信したパケットを確認します。
7300 プラットフォームには、コマンド ライン インターフェイス ベースのラインカードの Online Insertion and Removal(OIR; 活性挿抜)用準備メカニズムが導入されました。hw-module slot slot-number stop コマンドから、特定のラインカードのトラフィックを停止したり、すべてのインターフェイスをシャット ダウンしたり、ラインカードを非アクティブにしたりできます。
ラインカードを非アクティブにしている間は、OIR LED が緑になってから、ラインカードに関連するコマンドを発行します。また、ラインカードをアクティブにしている間は、OIR LED が消えてから、ラインカードに関連するコマンドを発行します。
データ フローを中断せずに Cisco 7304 ルータからラインカードを取り外すには、hw-module slot slot-number stop コマンドを使用します。このコマンドによりトラフィックが停止し、OIR LED が緑になり、すべてのラインカード インターフェイスがシャットダウンされます。アクティブなトラフィックがある間はラインカードを取り外さないでください。
stop キーワードを使用すると、ラインカード インターフェイスを通過するトラフィックが停止され、ラインカードが非アクティブになります。OIR LED が緑になると、ラインカードが非アクティブになり、物理的に取り外すことができます。
hw-module slot slot-number start コマンドを使用して、ラインカードを再起動して、OIR LED をシャットオフし、カードをオンラインに戻します。hw-module slot slot-number stop コマンドを使用した場合、hw-module slot slot-number start コマンドを使用して、ラインカードを再アクティブ化します。また、hw-module slot slot-number start コマンドを使用して、障害により非アクティブになっているラインカードを回復することもできます。さらに、hw-module slot slot-number start コマンドを使用せずにラインカードを物理的に取り外して再度挿入すると、ラインカードを再アクティブ化できます。
注:ラインカードは、ラインカードの挿入時またはシステムブートアップ後に自動的に初期化されます。hw-module slot slot-number start コマンドを発行する必要はありません。
表 3 には、7300 のよくあるエラー メッセージとその理由が示されています。
表 3 – 7300 ルータのよくあるエラー メッセージエラー メッセージ | 原因 |
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Line card activation is in progress. Please retry the command later. |
hw-module slot slot-number start コマンドを入力すると、hw-module slot slot-number start コマンドの追加のコンフィギュレーションはすべて無視されます。 |
Line card deactivation is in progress. Please retry the command later. |
hw-module slot slot-number stop コマンドを使用して、ラインカードを非アクティブにできます。ただし、OIR LED が緑になり、非アクティブ化プロセスが完了する前に hw-module slot slot-number start コマンドを発行すると、このメッセージが表示されます。 |
Command cannot be executed. Line card status is deactivated. |
ラインカードがすでに非アクティブになっている場合は、このメッセージが表示されます。hw-module slot slot-number stop コマンドは無視されます。 |
上記のトラブルシューティング方法を実行した後も引き続きサポートが必要な場合は、Cisco TAC でサービス リクエストをオープンできます(登録ユーザ専用)。必ず次の一覧に示されている情報を収集してください。 |
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注:特に必要な場合を除き、上記の情報を収集する前に、手動でルータをリロードしたり、ルータの電源をオフ/オンしたりしないでください。ルータをリロードしたり、ルータの電源のオン/オフを行うと、問題の根本的な原因を判断するために必要な重要情報が消えてしまう可能性があります。 |
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
06-Oct-2005 |
初版 |