この文書では、一般的な同期光ファイバ ネットワーク(SONET)アラームおよびこれらのアラームのトラブルシューティングについて説明します。
アラーム サーベイランスでは、次の 2 つの用語を使用します。
State:報告または検出された状態。デバイスがイベントの発生を検出した場合に、SONET デバイスはある一定の状態になります。デバイスがこの先イベントを検出しない場合、SONET デバイスは状態を終了します。この文書では、信号消失(LOS)状態およびフレーム同期損失(LOF)状態について述べます。
Indication:状態の変化によるプロンプトです。これは条件があることを表示します。この文書では、アラーム表示信号(AIS)、リモート障害表示(RDI)、および遠端受信故障信号(FERF)表示について述べます。
アクティブ アラームまたはアクティブ障害には、インターフェースをダウン/ダウン状態にします。ダウン/ダウン状態の SONET インターフェイスのトラブルシューティングを使用した手順は、T1、T3 などのデジタル インターフェイスとほぼ同じです。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
SONET機器は、SONETの3つのレイヤ(セクション、回線、パス)ごとにイベントとアラームを検出します。一般的に、アップストリーム、ダウンストリームの両方でアラームが送信され、他のデバイスに問題状態が通知されます。
Packet over SONET(POS)インターフェイス経由で有効化できるアラームを設定するには、pos report コマンドを発行します。
RTR12410-1(config)#interface pos 2/1 RTR12410-1(config-if)#pos report ? all all Alarms/Signals b1-tca B1 BER threshold crossing alarm b2-tca B2 BER threshold crossing alarm b3-tca B3 BER threshold crossing alarm lais Line Alarm Indication Signal lrdi Line Remote Defect Indication pais Path Alarm Indication Signal plop Path Loss of Pointer prdi Path Remote Defect Indication rdool Receive Data Out Of Lock sd-ber LBIP BER in excess of SD threshold sf-ber LBIP BER in excess of SF threshold slof Section Loss of Frame slos Section Loss of Signal
show controllers コマンドを使用すると、アラームが検出された時間数と、POS および ATM over SONET インターフェイス上にあるアクティブ アラームが表示されます。下記の出力はギガビット スイッチ ルータ(GSR)上での例です。 Active Defectsセクションには、ローカル インターフェイスに表示されるものが示されます。Active Alarmsのセクションには、アップストリーム デバイスで報告されるものが示されます。
RTR12410-1#show controller pos 1/0 POS1/0 SECTION LOF = 1 LOS = 1 BIP(B1) = 31165 LINE AIS = 1 RDI = 0 FEBE = 0 BIP(B2) = 0 PATH AIS = 1 RDI = 1 FEBE = 0 BIP(B3) = 25614 LOP = 0 NEWPTR = 1 PSE = 0 NSE = 0 Active Defects: SLOF SLOS B1-TCA LAIS PAIS PRDI B3-TCA Active Alarms: SLOS B1-TCA B3-TCA Alarm reporting enabled for: SF SLOS SLOF B1-TCA B2-TCA PLOP B3-TCA
次のサンプル出力も、GSR における出力例です。LINK-3-UPDOWN メッセージには、物理層がアップ状態で、アクティブ アラームは現在すべてクリアであることが表示されす。LINEPROTO-5-UPDOWN メッセージは、ライン プロトコルが起動していることを示します。POS インターフェイス上の回線プロところルは、フレーム リレー、High-Level Data Link Control(HDLC; ハイレベル データ リンク制御)またはPoint-to-Point Protocol(PPP)です。
Aug 7 05:14:37 BST: %LINK-3-UPDOWN: Interface POS4/7, changed state to up Aug 7 05:14:38 BST: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface POS4/7,changed state to up Aug 7 05:14:49 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI cleared Aug 7 05:14:52 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI Aug 7 05:15:02 BST: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface POS4/7, changed state to down ! --- Router receives the Line Remote Defect Indicator (LRDI) ! --- and brings down the line protocol. Aug 7 05:15:13 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI cleared Aug 7 05:16:42 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI Aug 7 05:16:45 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: SLOS Aug 7 05:16:47 BST: %LINK-3-UPDOWN: Interface POS4/7, changed state to down Aug 7 05:16:56 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI cleared Aug 7 05:16:56 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: PRDI Aug 7 05:17:49 BST: %SONET-4-ALARM: POS4/7: LRDI
注:ログメッセージの詳細なタイムスタンプをキャプチャするには、service timestamps log datetime msecコマンドを設定します。
ATM over SONET インターフェイスを使用したルータでも、次のログ メッセージを介して、アクティブ アラームが報告されます。
Feb 18 16:34:22.309: %SONET-4-ALARM: ATM5/0: ~SLOF SLOS LAIS ~LRDI PAIS PRDI ~PLOP
"~"文字は、特定のアラームが非アクティブであることを示しており、"~"文字がない場合、アラームがアクティブであることを示しています。このサンプル出力では、~SLOF は、フレーム エラーのセクション損失がないことを示しています。ただし、インターフェイスでは、セクションの信号損失(SLOS)および 回線アラーム検出信号(LAIS)を含む、他のアクティブ アラームが数個検出されています。
一般的に、SONET デバイスが障害状態を検出すると、1 つまたは複数のエラー状態がネットワークのアップストリーム、ダウンストリームの両方に送信されます。AIS は、ダウンストリーム デバイスに問題を通知するためと、発生している間接的なダウンストリームの障害や通知を防ぐために送信されます。ネットワークのコントロールおよびフィードバック メカニズムとして、アップストリームに RDI アラームが送信されます。RDI は、以前は FERF として知られていました。
RDI は、リモート エラー インジケータ(REI)とは異なります。 REI は、ビット誤り率のような監視値を交換するものです。
次の表を使用して、SONET アラームを切り分け、障害を追跡します。トラブルシューティングの際は、エラーおよびアラームが検出された SONET レイヤに注意します。たとえば、POS インターフェイスでパス層エラーが報告された場合、エンドツーエンド リンクの拡張テストを実行します。また、アップストリームおよびリモート デバイスで表示される内容にも注意します。
アラーム タイプと重大度 | アラームをトリガーする状態 | 推奨事項 |
---|---|---|
セクション信号消失(SLOS)Critical | 適切な同期を保証するためには、SONET リンクで特定数のデジタル ビット変換(1 から 0 および 0 から 1)が認識される必要があります。2.3 ~ 100 マイクロ秒の間に、着信信号上で(スクランブリング前に)ビット変換が検出されない場合、LOS が宣言されます。LOS 障害が検出されない 125 マイクロ秒インターバル(1フレーム)後、LOS 障害はクリアされます。 注:LOSは通常、バックツーバックのラボセットアップで発生します。これは、特に長距離シングルモードインターフェイスが使用されている場合に、レシーバが過剰な光で飽和するためです。信号の減衰を試みて下さい。 |
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セクション フレーム消失(SLOF)Critical | セクション オーバーヘッドの A1 バイトおよび A2 バイトで、フレーム アラインメントが提供されるためには、特定のビット パターンを使用します。3 ms の間にフレーム パターンでエラーを検出した後、受信インターフェイスは、LOF を宣言します。2 つの連続した有効のフレーム パターンである A1 およびA2 を受信すると、LOF はクリアされます。 |
router(config-if)# [no] pos framing-sdh |
アラーム表示信号:ライン(LAIS)Major | セクション終端装置(STE)から送出されるLAIS は、ダウンストリーム回線終端装置(LTE)に、LOS 障害または LOF 障害を着信 SONET セクション上で検出したことを知らせます。アップストリーム STE がダウンストリーム LTE に回線 AIS を生成するには、K2 バイトの 6、7、および 8 ビットを 111 ビットに設定します。 |
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リモート故障表示:ライン(LRDI)Major | RDI アラームは検出デバイスから、常にアップストリームへ報告されます。特に LRDI は、K2 のビット 6 ~ 8で報告され、既存の自動保護スイッチング(APS)モード:(APS 1+1)または APS 状態(BLSR)を無効にします。AIS-L も、ビット6 ~ 8で送信され、通常は、SONET 再生器あるいは他の STEから送信されます。 | RDI:回線の問題はリモートインターフェイスから発生します。アラーム状態のリモート サイトをチェックします。 |
アラーム表示信号:パス(PAIS)Minor | LAIS を受信するアップストリーム LTE は、H1 バイトおよび H2 バイトを設定することで、ダウンストリーム PTE にパス AIS を送信します。送信の目的は、ダウンストリーム PTE にアップストリーム LTE の着信回線信号上の障害を知らせることです。 | パス AIS は LAIS を受信したサイトによって送信されます。この送信はマイナー警告であり、遠端の監視以外に必要なアクションはありません。アラームが続く場合、トランクの両端のインターフェイス設定を確認します。 |
リモート故障表示:パス(PRDI)Minor | パス リモート障害識別子(PRDI)は、パス レベル以外では使用されません。パス層に問題が発生すると、PAIS はダウンストリームに、PRDI はアップストリームに送信され、ダウンストリーム側に問題があることをトラフィックの送信元に知らせます。 | PRDI アラームでは、通常 2 サイト離れたところに問題が表示されます。アラームが続く場合、最も近い隣のサイトのアラーム状態をチェックします。 |
ループバック テストにより、機器の誤動作のトラブルシューティング、検出、および分離を行うたに、OC-3 インターフェイスとリモート デバイス間の接続をテストできます。loopback コマンドを使用すると、インターフェースは内部ループバック(ローカル ループバックとも呼ばれる)、または回線ループバック モードに設定されます。これにより、ping コマンドから生成されるテスト パケットを、リモート デバイスまたはケーブルを介してループできます。パケットがループを完了した場合、接続は良好です。パケットがループを完了しない場合、ループバック テストのパスにあるリモート デバイスまたはケーブルから障害を切り分ける事ができます。
内部ループバックの場合、次のことに注意してください。
ループバックを設定する場合、clock source internal コマンドを使用して、内部クロッキングを必ず使用して下さい。フレーマは、クロック ソース回線が設定された場合に、伝送を測定するためにこれらのフレームを同期し使用する、着信有効フレームを待機します。受信フレームがない場合、フレームを送信するタイミングはありません。
ハードウェアループを行う場合(つまり、ファイバをインターフェイスにループバックする場合)、シングルモードインターフェイスを使用する場合は必ず減衰器を使用してください。減衰器を使用しないと、強力な電力によりインターフェイスが破損する可能性があり、ロングリーチカードの場合、または伝送が定格レベルより高いレベルで送信している場合に、光カードに損傷を与えることがあります。
ループバックのデフォルト設定は、ループバックなしです。内部(またはローカル)ループバックの場合、ルータからのパケットは、フレーマーにループバックされます。発信データは、実際には送信されずに受信者にループバックされます。内部ループバックは、POS インターフェイスの動作を確認するのに役立ちます。内部ループバックのインターフェイスを設定するには、次のように loop internal コマンドを発行します。
Router(config)#interface pos 3/0 Router(config-if)#loop internal
ループバックのデフォルト設定は、ループバックなしです。回線ループバックの場合、リモート ルータからのパケットをループバックするように、受信(Rx)ファイバを送信(Tx)光ファイバ ケーブルに論理的に接続します。受信データは、実際には受信されずにループされ、再送信されます。回線ループバックのインターフェイスを設定するには、次のように loop line コマンドを発行します。
Router(config)#interface pos 3/0 Router(config-if)#loop line
注:loopback lineコマンドは、SONETフレーマの前で信号をループします。
トリガーは、アサート時に回線プロトコルを停止するアラームです。次の項では、pos delay triggers コマンドで設定される回線トリガーおよびパス トリガーについて述べます。
RTR12410-1(config)#interface pos 1/0 RTR12410-1(config-if)#pos delay triggers ? line Specify delay for SONET LINE level triggers (S-LOS, S-LOF, L-AIS) path Enable SONET PATH level triggers (P-AIS, P-RDI), with optional delay RTR12410-1(config-if)#pos delay triggers line ? <0-511> Holdoff time, in msec <cr>
内部保護の高密度波長分割多重(DWDM)システムに接続されたインターネット ルータの POS インターフェイスでは、pos delay triggers line コマンドを使用します(Cisco 12000 シリーズ ルータの CSCdm36033 および CSCdp65436、Cisco 7200 および 7500 シリーズ ルータの CSCdr72941 に記載)。 このコマンドは、APS が動作するように設定されたインターフェイス、または APS を保護するように設定されたインターフェイスでは無効です。通常は、ラインレベルまたはセクション レベルの数マイクロ秒のアラーム(SLOS、SLOF、または LAIS)により、アラームが 10 秒間クリアになるまでは、リンクを停止します。延期を設定すると、このリンクダウン トリガーは 100 ミリ秒間遅れます。アラーム起動状態が 100 ミリ秒を超えると、リンクは現在と同様にダウンします。アラームが 100 ms より前にクリアになる場合、リンクは停止しません。
デフォルトでは次のラインアラームおよびセクションアラームは、回線プロトコルダウンのトリガーになります。
セクション信号損失(Section loss of signal)
セクションレーム損失(Section loss of frame)
ラインのアラーム表示信号(Line alarm indication signal)
これらのアラームの 1 つ以上がアサートされると、インターフェイスの回線プロトコルは遅延なしにダウンします。pos delay triggers line コマンドを発行して、インターフェイスの回線プロトコル ダウンのタイミングを遅らせることができます。遅延は 0~511 ミリ秒に設定できます。時間間隔を指定しない場合、デフォルトの遅延は 100 ミリ秒で設定されます。
次のパス アラームは、デフォルトではトリガーではありません。これらのパス アラームをトリガーとして設定し、遅延を指定することもできます。
パス アラーム表示信号(Path alarm indication signal)
パス リモート障害表示 (Path remote defect indication)
パス ポインタ損失(Path loss of pointer)
pos delay triggers path コマンドを使用すると、さまざまなパス アラームをトリガーとして設定したり、0 ~ 511 ミリ秒のアクティベーション遅延を指定することができます。遅延のデフォルト値は 100 ms です。
B2 および B3 でエラー レートの高い方を信号障害(SF)しきい値と比較する場合、pos delay triggers path を設定して、回線プロトコルを停止することもできます。SF しきい値が超過する場合、インターフェイスの回線プロトコルは停止します。
Cisco IOS ® ソフトウェア リリース 12.0(16)S では、pos delay triggers path コマンドが導入されました。
Cisco SONETインターフェイスは、Request for Comments(RFC) 1595で定義されているSONET MIBもサポートしています 。RFC では、SONET サーキットのエラーコンディションを説明するための用語に、ANSI 標準のSONET、及び国際電気通信連合(ITU-T)の G.783 仕様である同期デジタル ハイアラーキ(SDH)と同じ用語を使用しています。
Cisco POS インターフェイスおよび ATM over SONET インターフェイスに関する SONET MIB サポートについては、次のリソースも参照してください。
Cisco MIBs:SONET MIB のオブジェクト ID ストリングや .my files に加えて、プラットフォームごとにサポートされる MIB を表示。
Cisco 7000 ファミリおよび 12000 シリーズ:リリース 12.0 S リリースノート:SONET MIB に対するシスコのサポートの改良についての説明。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
24-Oct-2006 |
初版 |