このドキュメントでは、Cisco ルータ間の同期光ネットワーク(SONET)リンクの一方の側でシングルモード ファイバ(SMF)をサポートし、他方の側でマルチモード ファイバ(MMF)をサポートできるかどうかという質問に対する回答を説明します。また、このドキュメントでは、SMF と MMF の相違点にも触れ、現在これらのモードをサポートしているインターフェイス モジュールについても説明します。このドキュメントを読み終わると、インターフェイス タイプを特定し、インターフェイスを設定できるようになります。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
異なるモードを相互接続する方法を理解するには、まずモードを定義する必要があります。次に説明するように、モードには主に 2 つの定義があります。
特定の角度でファイバに進入する光束
光線がファイバ上を通過する経路。光がケーブル上を通過する際の移動距離と伝搬遅延は、これらの経路ごとに異なる場合があります。
MMF では、複数のモードの光をファイバ上で伝搬できます。ファイバ上で伝搬される複数のモードの光は、入射角に基づいて異なる距離を移動します。移動速度が異なるため、各モードの光が宛先に到達する時間はそれぞれ異なります。通常、MMF では LED を使用して光信号を発射します。
SMF では、1 つのモードの光だけをファイバ上で伝搬できます。SMF ではレーザーを使用し、より凝集された方法で光を発射します。レーザー トランスミッタが光を結合し、光ファイバケーブルに存在する既存のモードまたは光経路の断片だけを作成します。そのため、SMF は MMF より帯域幅が広く、長距離のケーブルを敷設できます。
図 1 は、MMF と SMF の間の伝送の違いを示しています。
図 1 - MMF と SMF の間の伝送の違い
『Telecorida GR-253 Specification for SONET Transmission Systems』 のセクション 4 では、「適用カテゴリのセットと対応する光インターフェイス仕様のセット」が定義されています。
次の表に、これらのカテゴリを示します。一般に、各カテゴリでは伝送信号の電力レベルと理論上の距離が記述されています。
伝送距離 | 損失バジェット |
---|---|
Short | 0 dB および 4 または 7 dB。 |
Intermediate | 0 dB および 11 または 12 dB。 |
Long | 10 dB ~ 22、24 または 28 dB(ビット レートに依存)。 |
Very-long | 最大 33 dB。(Optical Carrier-192(OC-192)ビットレートでのみ定義)。) |
MMF カテゴリでは、Short Reach(SR)だけが定義されています。SMF カテゴリでは、次の 2 つの伝送タイプが定義されています。
Intermediate Reach(IR)
Long Reach(LR)
通常、POS および Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)over SONET ハードウェアには、MMF バージョンと SMF バージョンがあります。次に、7x00 シリーズの PA-POS アダプタの使用例を示します。
PA-POS-OC3SMI:SMF、IR
PA-POS-OC3SML
PA-POS-OC3MM:MMF、SR
ほとんどの場合、show diag コマンドの出力では、光ハードウェアのモード タイプと伝送距離が表示されます。7x00シリーズ用のPA-POSアダプタのモードタイプは、Cisco IOS®ソフトウェアの将来のリリースでshow diagコマンドの出力に表示されます。回避策として、前面プレートに記載されているモデルと光タイプを確認してください。MM と表記されていればマルチモードであり、IR(Intermediate Reach)と表記されていればシングルモードです。
Cisco SONET インターフェイスでは、SMF 光カードと MMF 光カードの相互接続がサポートされています。つまり、一方の側に MMF レシーバを接続し、他方の側に SMF レシーバを接続できます。ただし、このようなモード タイプの不一致は、Cisco Technical Assistance Center(TAC)で正式にはサポートされません。 その理由は、SMF ケーブルで動作するように設計された無条件のレーザー源を MMF ケーブルに直接結合すると、Differential Mode Delay(DMD; ディファレンシャル モード遅延)が発生する可能性があるためです。DMD が発生すると、光ファイバケーブルのモード帯域幅が劣化することがあります。この劣化により、確実にサポートできるリンク距離(トランスミッタとレシーバの間の距離)が短くなります。また、これら 2 つのモードを相互接続する際には、マルチモード レシーバ光カードの影響とオーバードライブを避けるために、SMF トランスミッタを十分に減衰するよう特に注意する必要があります。
SMF 光カードと MMF 光カードを相互接続するためのコンバータ用デバイスを提供しているサードパーティ ベンダーの一覧を次に示します。
また、SMF インターフェイスと MMF インターフェイスを備える中継スイッチを使用し、2 つのセグメントを作成して、ノード間で効果的に変換を行うこともできます。