この文書では、Cisco Catalyst 2950 シリーズ スイッチの QoS(Quality of Service)機能に関する FAQ について説明しています。
A. 2950では、Cisco IOS®ソフトウェアリリース12.0(5)WC(1)以降で、IEEE 802.1pサービスクラス(CoS)値に基づく出力キューイングとスケジューリングがサポートされています。スイッチの各ポートがデフォルトのプライオリティ値を取得します。タグなしで受信したフレームにはこの値が割り当てられます。タグ付きで受信したフレームについては、2950 はこの値をタグで使用します。2950 は、出力ポートのフレームを 4 つのプライオリティ キューのいずれかにキューイングします。このキューの割り当ては、入力時にフレームに割り当てられるプライオリティ、つまり CoS 値に基づいて行われます。出力スケジューリングは、完全優先スケジューリングまたは Weighted Round-Robin(WRR; 加重ラウンドロビン)スケジューリングとして設定することができます。Catalyst 2950 シリーズ スイッチでは、Standard Image(SI)および Enhanced Image(EI)という、Cisco IOS ソフトウェアの 2 つの機能セットが動作します。SI バージョンと EI バージョンには、いくつかの機能上の違いがあります。SI でサポートされる QoS 機能は出力スケジューリングだけですが、EI では分類、マーキング、およびポリシングもサポートされます。ハードウェアおよびソフトウェアの互換性については、Catalyst 2955、Catalyst 2950、および Catalyst 2940 スイッチ、Cisco IOS リリース 12.1(22)EA4 のリリース ノートを参照してください。
A. SIが組み込まれた2950では、出力側でのキューイングとスケジューリングがサポートされています。また、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(11)EA1 以降では、ポートの信頼状態を使用した入力分類もサポートされています。デフォルト ポートの信頼状態が信頼できないとなっている場合に、CoS または DiffServ コード ポイント(DSCP)のどちらかを信頼するように入力ポートを設定することができます。出力スケジューリングは、完全優先スケジューリングまたは加重ラウンドロビン(WRR)スケジューリングとして設定できます。
Cisco IOSソフトウェアリリース12.0では、SIはCoSプライオリティとWRRの設定のみをサポートしています。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1 以降では、SI に次の機能が追加されました。
分類
Cisco IP Phone からの Cisco Discovery Protocol(CDP)に基づく分類
出力キューイングおよびスケジューリング
完全優先スケジューリング
WRR スケジューリング
A. EIの組み込まれた2950では、次のものを使用して、入力時にレイヤ2(L2) – レイヤ4(L4)の分類をサポートしています。
ポートの信頼状態
QoS Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)
クラス マップおよびポリシー マップ
EI の動作する 2950 ではまた、出力におけるキューイングおよびスケジューリングだけではなく、入力におけるポリシングおよびマーキングもサポートされています。出力スケジューリングは、完全優先スケジューリングまたは加重ラウンドロビン(WRR)スケジューリングとして設定できます。ハードウェアおよびソフトウェアの互換性については、Catalyst 2955、Catalyst 2950、および Catalyst 2940 スイッチ、Cisco IOS リリース 12.1(22)EA4 のリリース ノートを参照してください。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0 では、EI はサービス クラス(CoS)プライオリティおよび WRR の設定のみをサポートしています。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1 では、EI に次の機能が追加されました。
分類
次のものに基づく分類
ポートの信頼状態
Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)
ポリシー マップ
Cisco IP Phone からの Cisco Discovery Protocol(CDP)
CoS または DiffServ コード ポイント(DSCP)の信頼
ポートの CoS 設定
マーキング
ポリシング
入力ポリシング
マッピング テーブルの設定
CoS/DSCP
DSCP/CoS
出力キューイングおよびスケジューリング
完全優先スケジューリング
WRR スケジューリング
A. Enhanced Image(EI)を実行するCatalyst 2950シリーズスイッチでは、物理インターフェイスでの入力ポリシングだけがサポートされています。VLAN インターフェイス上では、ポリサーはサポートされていません。Standard Image(SI)を実行する Catalyst 2950 シリーズ スイッチは、ポリシングをサポートしていません。サポートが提供されているのは、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1 以降です。
A.はい、Enhanced Image(EI;拡張イメージ)を実行しているCatalyst 2950シリーズスイッチでは、IPバージョン4(IPv4)パケットのヘッダー内でToSビットのマーキングや書き換えを行うことができます。set ip dscp 文が含まれているポリシーマップを使用します。または、ポリサーを設定し、ポリサー内のルールに準拠しないフレーム上の DiffServ コード ポイント値をマークダウンするか書き換えます。
注:Catalyst 2950でサポートされるのは、入力ポリシングだけです。
A. Catalyst 2950シリーズスイッチでは、入力スケジューリングは提供されませんが、出力キューイングとスケジューリングはサポートされています。wrr-queue bandwidth コマンドを使用してください。デフォルトでは、FIFO が使用されます。
A. Catalyst 2950シリーズスイッチでは、QoSベースの802.1p CoS値が提供されます。 Cisco IOSソフトウェアリリース12.0(5)WC1以降では、2950シリーズスイッチは着信フレームのCoS値をデフォルトで維持します。
注:信頼できるポートと信頼できないポートで受信されたタグなしフレームについては、QoSによって、mls qos cosインターフェイス設定コマンドで指定されているCoS値が割り当てられます。 デフォルトでは、この値はゼロで、これは信頼できます。
A.はい、スイッチはトラフィックにタグを付けることができます。ただし、そのポートをトランク ポートとして設定し、mls qos cos value も設定する必要があります。この設定例では、インターフェイス FastEthernet 0/1 を、CoS 値にタグ付けできない IP Phone に接続します。
interface fastethernet 0/1 switchport mode trunk mls qos cos 7タグ情報付きの IEEE 802.1Q フレームの場合、ヘッダー フレームのプライオリティ値が使用されます。ネイティブ VLAN で受信したフレームについては、入力ポートのデフォルトのプライオリティが使用されます。
A. はい、CoSは上書きできます。 mls qos cos {default-cos | override}このコマンドを使用すると、前回設定された着信パケットの信頼状態が上書きされ、すべての着信パケットに対して、そのポートのデフォルトの CoS 値が適用されます。Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1 以降でこのコマンドをサポートしています。
A. パススルーモードでは、スイッチはDifferentiated Services Code Point(DSCP)値を変更することなく、着信パケットのサービスクラス(CoS)値を使用します。 着信した CoS と DSCP の両方の値をそのまま保った状態で、フレームがスイッチを通過します。 パススルー モードをディセーブルにし、CoS を信頼するようにスイッチ ポートを設定すると、CoS-to-DSCP マップから DSCP 値が算出されます。この場合、通常は結果として DSCP が変更されます。 Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(11)EA1よりも前のCisco IOSソフトウェアリリースでは、このDSCP値の導出はデフォルトでオンになっており、変更できません。 Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(11)EA1以降では、ポートでパススルーモードを有効にすることで、これを設定できます。
次に設定例を示します。
interface fastethernet 0/1 switchport mode access mls qos trust cos pass-through dscp
A.はい、データのCoS値は再分類できます。 switchport priority extend cosインターフェイス設定コマンドを発行します。このコマンドによって、PC から送信されるトラフィックのプライオリティを上書きするように、IP Phone が設定されます。
A. 2950シリーズスイッチでは、出力ポートごとに4つのサービスクラス(CoS)キューがサポートされています。 Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(12c)EA1よりも前のCisco IOSソフトウェアリリースでは、CoSプライオリティキュー(PQ)および加重ラウンドロビン(WRR)スケジューリングがサポートされています。次に設定例を示します。
wrr-queue cos-map 1 0 1 wrr-queue cos-map 2 2 3 wrr-queue cos-map 3 4 5 wrr-queue cos-map 4 6 7 wrr-queue bandwidth 1 2 3 4注:1が最も低いCoSプライオリティキューで、4が最も高いCoSプライオリティキューです。
Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(12c)EA1 以降では、緊急キューおよび WRR スケジューリングが代わりにサポートされています。このスケジューリングでは、4 つの出力キューのうちの 1 つ(キュー 4)が緊急キューとして使用されます。WRR スケジューリングは、残りの 3 つの出力キュー上で実行されます。緊急キューは、完全優先キューです。他の 3 つのキューのサービスより前に、この緊急キューが空になるまで常に最初にサービスを受信します。すべてのリリースで、完全優先スケジューリングがデフォルトになっています。次に設定例を示します。
wrr-queue cos-map 1 0 1 2 4 wrr-queue cos-map 3 3 6 7 wrr-queue cos-map 4 5 wrr-queue bandwidth 20 1 80 0注:CoS 5はキュー4にマッピングされます。キュー 4 は緊急キューであり、帯域幅には 0 が割り当てられています。
A.はい、IP標準ACL、IP拡張ACL、およびレイヤ2(L2)MAC ACLを使用して、同じ特性を持つパケットのグループを定義できます。このパケットグループの定義によって、パケットが分類されます。 ただし、スイッチのQoS ACLでは、拒否アクションの設定はサポートされていません。 また、permitアクションと一致する場合、スイッチはQoSに関連する指定されたアクションを実行し、リストを終了します。 リスト内のすべてのエントリと一致するエントリがない場合、パケットではQoS処理は行われません。すべてのCisco IOSソフトウェアリリースで、このプロセスはEnhanced Image(EI)でのみサポートされています。 Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(11)EA1以降では、Differentiated Services Code Point(DSCP)値に基づく照合がサポートされています。
A. Cisco IOSソフトウェアリリース12.1(12c)EA1以降で、2950を音声用のアクセスレイヤスイッチとして設定する場合は、最初にデフォルトのサービスクラス(CoS)とDifferentiated Services Code Point(DSCP)のマッピングテーブルを次のように変更します。
CoS 3 を DSCP 26 にマップ
CoS 4 を DSCP 34 にマップ
CoS 5 を DSCP 46 にマップ
次に、電話ポートの音声およびデータの VLAN をイネーブルにし、IP Phone の信頼境界を設定します。IP Phone からmls qos trust cos コマンドを発行してください。最後に、CoS から出力キューへのマッピングを変更し、緊急キューをイネーブルにします。緊急キューをイネーブルにすると、音声パケットが常に他のすべてのパケットより先に処理されるようになります。次に設定例を示します。
c2950(config)# mls qos map cos-dscp 0 8 16 26 34 46 48 56 c2950(config)# mls qos bandwidth 10 20 70 0 c2950(config)# interface fastethernet 0/1 c2950(config-if)# mls qos trust cos c2950(config-if)# switchport voice vlan 100 c2950(config-if)# switchport access vlan 10 c2950(config-if)# switchport priority extend cos 0また、自動 QoS 機能は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(12c)EA1 以降でサポートされています。自動 QoS 機能を使用すると、既存の QoS 機能を簡単に展開できるようになります。自動 QoS では、ネットワーク設計に関して推測を行います。それによってスイッチは、デフォルトの QoS 動作を使用せずにトラフィック フローごとに優先順位を付け、出力キューを適切に使用することができます。Catalyst 2950 シリーズ スイッチは、パケットのコンテンツやサイズに関係なく、各パケットにベストエフォート型のサービスを提供し、単一のキューからパケットを送信します。自動 QoS を有効にすると、トラフィック タイプおよび入力パケット レベルに基づいて、トラフィックが自動的に分類されます。この分類が、適切な出力キューの選択に使用されます。Cisco IP Phone に接続されているポートを識別するには、自動 QoS コマンドを使用します。また、アップリンクで信頼できる VoIP トラフィックを受け取っているポートを識別することもできます。自動 QoS は次の機能を実行します。
IP Phone の有無を検出します。
QoS 分類の設定
出力キューの設定
A. QoS設定を確認するには、次の表に示すコマンドを使用します。
コマンド 目的 show class-map [class-map-name] 1 トラフィックを分類する際の一致基準を定義した QoS クラス マップを表示します。 show policy-map [policy-map-name [class class-name]] 1 着信トラフィックの分類基準を定義した QoS ポリシー マップを表示します。 show mls qos maps [cos-dscp | dscp-cos] 1 QoS のマッピング情報を表示します。マップは、トラフィックのプライオリティを表す内部 DSCP 2 値の生成をイネーブルにします。 show mls qos interface [interface-id] [ポリサー] 1 インターフェイス レベルでの QoS 情報を表示します。この情報には、次のものが含まれます。
出力キューおよび CoS3 出力キューマップの設定
ポリサーが設定されているインターフェイス
ドロップされたバイト数を含む入力および出力統計情報
show wrr-queue cos-map CoS プライオリティ キューのマッピングを表示します。 show wrr-queue bandwidth CoS プライオリティ キューの WRR 4 帯域幅の割り当てを表示します。 1 このコマンドが使用できるのは、Enhanced Image(EI) の動作しているスイッチだけです。
2 DSCP = DiffServ コード ポイント
3 CoS =サービス クラス
4 WRR =加重ラウンド ロビン
A. Catalyst 2950シリーズスイッチには、ポリサー適合/超過/廃棄レート、またはポリサーでACLに一致するパケット数を表示するshowコマンドはありません。回避策として、入力インターフェイスの入力レートと出力インターフェイスの出力レートで単一固定ビット レート フローを測定してください。その後、ポリサーがジョブを正常に実行したかどうかを検証します。