このドキュメントでは、Open Shortest Path First バージョン 3(OSPFv3)の仮想リンクの設定の例を示します。OSPFv3 は、OSPF バージョン 2 を拡張したもので、IPv6 ルーティング プレフィックスと大きいサイズの IPv6 アドレスのサポートを提供します。
仮想リンクごとに、マスター セキュリティ情報データブロックが作成されます。各インターフェイスでセキュア ソケットをオープンする必要があるため、中継エリア内のインターフェイスごとに、対応するセキュリティ情報データブロックが存在することになります。セキュア ソケット ステートは、インターフェイスのセキュリティ情報データブロック内に保持されます。マスター セキュリティ情報データブロック内のステート フィールドは、仮想リンクに対してオープンされたすべてのセキュア ソケットのステータスを反映しています。すべてのセキュア ソケットが UP の場合、仮想リンクのセキュリティ ステートは UP に設定されます。
IPsec が設定された仮想リンクで送信されるパケットは、事前に決定された送信元アドレスと宛先アドレスを使用する必要があります。エリアのルータのエリア内プレフィックス LSA で検出された最初のローカル エリア アドレスが、送信元アドレスとして使用されます。この送信元アドレスはエリア データ構造で保存されます。セキュア ソケットがオープンされ、パケットが仮想リンク経由で送信されるときにこの送信元アドレスが使用されます。送信元アドレスが選択されるまで、仮想リンクはポイントツーポイント ステートに移行しません。また、送信元アドレスまたは宛先アドレスが変更された場合は、以前のセキュア ソケットをクローズして、新しいセキュア ソケットをオープンする必要があります。
この設定例では、ルータ コンフィギュレーション モードで OSPF 仮想リンクを定義する area virtual-link コマンドを使用します。
注:各仮想リンクネイバーには、仮想リンクを適切に設定するために、中継エリアIDと対応する仮想リンク隣接ルータIDが含まれている必要があります。ルータ ID を表示するには、show ip ospf EXEC コマンドを使用します。
この設定を行う前に、次の要件が満たされていることを確認します。
ご使用の IPv6 ネットワークに対する OSPF ネットワーク戦略と計画を完成させます。
IPv6 ユニキャスト ルーティングをイネーブルにします。
インターフェイスで IPv6 をイネーブルにします。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの設定は、Cisco IOS® Software Release ソフトウェア 12.4 (15)T 13 の Cisco 3700 シリーズ ルータに基づきます。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このセクションでは、このドキュメントで説明する機能を設定するために必要な情報を提供しています。
注: このドキュメントで使用されているコマンドの詳細を調べるには、Command Lookup Tool(登録ユーザ専用)を使用してください。
このドキュメントでは、次のネットワーク セットアップを使用します。
このドキュメントでは、次の構成を使用します。
ルータ R1
ルータ R2
ルータ R3
ルータ R4
ルータ R1 |
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hostname R1 ! ipv6 unicast-routing ipv6 cef ! interface Loopback0 no ip address ipv6 address FE01:1::1/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 0 ! interface Ethernet1/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:1::1/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 0 ! ipv6 router ospf 10 router-id 1.1.1.1 log-adjacency-changes |
ルータ R2 |
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hostname R2 ! ipv6 unicast-routing ipv6 cef ! interface Loopback0 no ip address ipv6 address FE01:2::2/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 0 ! interface Ethernet1/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:1::2/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 0 ! interface Serial2/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:2::2/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 23 serial restart-delay 0 clock rate 64000 ! ipv6 router ospf 10 router-id 2.2.2.2 log-adjacency-changes area 23 virtual-link 3.3.3.3 ! |
ルータ R3 |
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hostname R3 ! ipv6 unicast-routing ipv6 cef ! interface Loopback0 no ip address ipv6 address FE01:3::3/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 23 ! interface Ethernet1/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:3::3/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 34 ! interface Serial2/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:2::3/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 23 serial restart-delay 0 ! ipv6 router ospf 10 router-id 3.3.3.3 log-adjacency-changes area 23 virtual-link 2.2.2.2 ! |
ルータ R4 |
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hostname R4 ! ipv6 unicast-routing ipv6 cef ! interface Loopback0 no ip address ipv6 address FE01:4::4/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 34 ! interface Ethernet1/0 no ip address ipv6 address 2011:8:8:3::4/64 ipv6 enable ipv6 ospf 10 area 34 ! ipv6 router ospf 10 router-id 4.4.4.4 log-adjacency-changes ! |
設定を確認するには、次のコマンドを使用します。
ルータ R1 内
この出力は、ルータ R1 がルータ R4 のループバック アドレスに対して ping を正常に実行できることを示しています。
ping ipv6 |
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R1#ping ipv6 Target IPv6 address: fe01:4::4 Ping Loopback 0 interface of R4 Repeat count [5]: Datagram size [100]: Timeout in seconds [2]: Extended commands? [no]: Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to FE01:4::4, timeout is 2 seconds: !!!!! Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 48/72/96 ms |
ルータ R2 内
show ipv6 ospf neighborコマンドは、インターフェイスごとにネイバー情報を提供します。
show ipv6 ospf neighbor |
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R2# show ipv6 ospf neighbor Neighbor ID Pri State Dead Time Interface ID Interface 3.3.3.3 0 FULL/ - - 22 OSPFv3_VL0 Virtual Link Between R2 & R3 1.1.1.1 1 FULL/DR 00:00:35 4 Ethernet1/0 3.3.3.3 0 FULL/ - 00:00:31 12 Serial2/0 |
ルータ R4 内
この出力は、ルータ R4 がルータ R1 のループバック インターフェイスに対して ping を正常に実行できることを示しています。
ping ipv6 |
---|
R4#ping ipv6 Target IPv6 address: fe01:1::1 Ping Loopback 0 interface of R1 Repeat count [5]: Datagram size [100]: Timeout in seconds [2]: Extended commands? [no]: Type escape sequence to abort. Sending 5, 100-byte ICMP Echos to FE01:1::1, timeout is 2 seconds: !!!!! Success rate is 100 percent (5/5), round-trip min/avg/max = 56/100/224 ms |
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
24-Aug-2011 |
初版 |