このドキュメントでは、複数のトラッキング オプション機能を使用したポリシー ベース ルーティングの設定例について説明します。この機能は、Cisco IOS® ソフトウェア リリース 12.3(4)T で導入されました。詳細については、『複数のトラッキング オプションの PBR サポート』を参照してください。
この機能は、トラフィックをネクストホップに転送する前にネクストホップ IP アドレスを検証するための目標トラッキング機能を拡張するものです。検証方式は、Internet Control Message Protocol(ICMP; インターネット制御メッセージ プロトコル)PING、User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)PING、または Hypertext Transfer Protocol(HTTP; ハイパーテキスト転送プロトコル)GET 要求です。ICMP は、インターネット上で最も一般的に使用される検証方式です。複数のトラッキング オプション機能は、複数のイーサネット接続をネクストホップとして持つルータに最適です。通常、イーサネット インターフェイスは、Digital Subscriber Line(DSL; デジタル加入者線)またはケーブル モデムに接続します。現在、ISP ブロードバンド ネットワークにおける障害アップストリームを検出する方法はありません。イーサネット インターフェイスはアップ状態のままになり、あらゆる形式のスタティック ルーティングがそのインターフェイスをポイントします。この強力な機能を利用すると、2 つのイーサネット インターフェイスをバックアップし、ICMP PING を送信して到達可能性を検証することで利用可能なインターフェイスを選択し、そのインターフェイスにトラフィックをルーティングできるようになります。
この設定を試行する前に、次の要件が満たされていることを確認してください。
エンタープライズ ベースの IOS 機能セットをルータにロードします(まだロードしていない場合)。この機能セットの料金をお支払いになった場合は、ソフトウェアダウンロードエリア(登録ユーザ専用)からダウンロードできます。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメントの表記法の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
この項では、この文書で説明する機能を設定するために必要な情報を提供します。
注:この文書で使用されているコマンドの詳細を調べるには、「Command Lookup ツール」を使用してください(登録ユーザのみ)。
このドキュメントでは、次のネットワーク設定を使用します。このシナリオでは、R1 は 2 つの異なる ISP(ISP-1、ISP-2)に接続されています。R1 は、両方の ISP ルータへの到達可能性を追跡します。
このドキュメントでは、次の設定を使用しています。
R1 |
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R1# show running-config Building configuration... Current configuration : 1203 bytes ! version 12.3 service timestamps debug datetime msec service timestamps log datetime msec no service password-encryption ! hostname R1 ! boot-start-marker boot-end-marker ! ! clock timezone EST 0 no aaa new-model ip subnet-zero no ip domain lookup ! ! ! ! track 123 rtr 1 reachability !--- Track Router 1's reachability. ! track 124 rtr 2 reachability !--- Track Router 2's reachability. ! ! interface Loopback0 ip address 1.1.1.1 255.255.255.255 ! interface Ethernet0/0 ip address 192.168.0.1 255.255.255.0 ! interface Ethernet1/0 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0 ! interface Ethernet2/0 ip address 10.10.10.1 255.255.255.0 ip policy route-map alpha !--- Enable policy routing on the outgoing interface. ! ip classless no ip http server ! ! ! ! route-map alpha permit 10 !--- Define a route-map to set the next hop depending on !--- the state of the tracked routers. set ip next-hop verify-availability 192.168.0.10 10 track 123 set ip next-hop verify-availability 192.168.1.20 20 track 124 ! ! control-plane ! rtr 1 !--- Define and start Router 1. type echo protocol ipIcmpEcho 192.168.0.10 rtr schedule 1 life forever start-time now rtr 2 !--- Define and start Router 2. type echo protocol ipIcmpEcho 192.168.1.20 rtr schedule 2 life forever start-time now ! line con 0 transport preferred all transport output all line aux 0 transport preferred all transport output all line vty 0 4 login transport preferred all transport input all transport output all ! ! end |
ここでは、設定が正しく機能していることを確認するために使用する情報を示します。
一部の show コマンドはアウトプット インタープリタ ツールによってサポートされています(登録ユーザ専用)。このツールを使用することによって、show コマンド出力の分析結果を表示できます。
show track:トラッキング情報を表示します。
show track brief:制限付きのトラッキング情報を表示します。
R1# show track Track 123 Response Time Reporter 1 reachability Reachability is Up 3 changes, last change 00:06:43 Latest operation return code: OK Latest RTT (millisecs) 8 Tracked by: ROUTE-MAP 0 Track 124 Response Time Reporter 2 reachability Reachability is Up 3 changes, last change 00:06:43 Latest operation return code: OK Latest RTT (millisecs) 12 Tracked by: ROUTE-MAP 0 R1# show track brief Track Object Parameter Value 123 rtr 1 reachability Up 124 rtr 2 reachability Up
show track brief コマンドの出力から、両方の ISP が到達可能であることがわかります。ISP-1 に接続されているインターフェイスをシャットダウンすると、追跡時には、そのインターフェイスはダウンと表示されます。
R1# conf t R1(config)# int ethernet 0/0 R1(config-if)# shutdown R1(config-if)# end R1# *Jan 21 06:06:50.167: %SYS-5-CONFIG_I: Configured from console by console *Jan 21 06:06:50.807: %LINK-5-CHANGED: Interface Ethernet0/0, changed state to administratively down *Jan 21 06:06:51.827: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Ethernet0/0, changed state to down R1# show track brief Track Object Parameter Value 123 rtr 1 reachability Up 124 rtr 2 reachability Up R1# show track brief Track Object Parameter Value 123 rtr 1 reachability Down 124 rtr 2 reachability Up R1#
注:インターフェイスまたはルートがアクティブかどうかを判断するには、PBRではトラッキングが必要です。ルート トラッキングのステータスを表示するときにも、show route-map コマンドを使用できます。
現在、この設定に関する特定のトラブルシューティング情報はありません。
改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
10-Aug-2005 |
初版 |