この文書では、IP Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)に関する FAQ を記載しています。
A. EIGRPはデフォルトネットワーク方式を使用してデフォルトルートを伝播できますが、必須ではありません。EIGRP ではデフォルトのルートは直接再配布されます。
A.はい。このコマンドを使用すると、EIGRPネイバーがリセットされた理由を簡単に判別できます。これにより、トラブルシュートに要する時間が短縮されます。
A. EIGRPはセカルダアドレスをサポートします。しかし、EIGRP では常にプライマリ アドレスからデータ パケットが送信されるので、シスコでは、特定のサブネット上の全ルータを、同一のサブネットに属するプライマリ アドレスで設定するように推奨しています。ルータでは、セカンダリ ネットワークでの EIGRP 隣接関係は形成されません。そのため、ルータのプライマリ IP アドレスがすべて一致していない場合には、ネイバールータとの隣接関係に問題が発生する可能性があります。
A.プロトコルに依存しないdebugコマンドがあります。一連の show コマンドもあり、これにより、隣接テーブルの状態、トポロジ テーブルの状態、さらに EIGRP トラフィックの統計情報が表示されます。このコマンドには次のものがあります。
A.例:
show ip eigrp topology P 172.22.71.208/29, 2 successors, FD is 46163456 via 172.30.1.42 (46163456/45651456), Serial0.2, serno 7539273 via 172.30.2.49 (46163456/45651456), Serial2.6, serno 7539266serno はシリアル番号を意味します。DRDB をスレッド化して送信するときには、各 DRDB にシリアル番号が割り当てられます。エントリがスレッド化されるときにトポロジ テーブルを表示すると、DRDB に関連付けられているシリアル番号が表示されます。
スレッド化は、ネイバーに送信する項目をキューイングするためにルータ内部で使用される技法です。アップデートは、インターフェイスから送出される時点まで作成されません。その前に、送信する項目へのポインタの連結リストが作成されます(スレッドなど)。
これらの sernos はルータに対してローカルであり、ルーティング アップデートとともに渡されることはありません。
A. EIGRPバージョン1では、ネットワークコンバージェンス中に、単一のEIGRPプロセスが設定された帯域幅の50 %以上をリンク上で使用することを防止する機能が導入されました。EIGRP により提供される各 AS やプロトコル(たとえば、IP、IPX、または Appletalk)が個々のプロセスになります。ip bandwidth-percent eigrp インターフェイス設定コマンドを使用すると、各 WAN インターフェイスでの帯域幅の割合を適切に設定できます。この機能の動作に関する詳細は、『EIGRP ホワイト ペーパー』を参照してください。
さらに、部分的更新や差分更新の実装により、EIGRP ではトポロジに変更があった場合にだけルーティング情報が送信されます。この機能により帯域幅の使用が大幅に軽減されます。
EIGRP の feasible successor(使用可能な後継ルータ)機能により、自律システム(AS)が使用するプロセッサ リソースの総量が削減されます。 この機能を使用すると、ルートの再計算を行う必要があるのは、トポロジ変更の影響を受けるルータだけになります。ルートの再計算が発生するのは影響を受けるルートに関してだけなので、複雑なデータ構造での検索時間が削減されます。
A.はいえ、EIGRPは集約および可変長サブネットマスク(VLSM)をサポートしています。 Open Shortest Path First(OSPF)とは異なり、EIGRP では集約がネットワークのあらゆる箇所で可能となっています。EIGRP では、どのビットに対しても集約がサポートされています。このため、適切に設計された EIGRP ネットワークでは、エリアを使用しないでも比類のないスケーリングが可能です。EIGRP では、メジャー ネットワーク境界でのネットワーク アドレスの自動集約もサポートされています。
A.いいえ。単一のEIGRPプロセスは、リンクステートプロトコルのエリアに類似しています。しかし、そのプロセス内では、どのインターフェイス境界でも情報のフィルタリングと集約が可能です。集約を使用して階層構造を作成すると、ルーティング情報の伝搬を制限できます。
A.はいえ、同じルータに複数のEIGRP自律システムを設定できます。これは、通常は、2 つの EIGRP 自律システムが相互接続されている再配布点で行われます。個別のルータ インターフェイスは、単一の EIGRP 自律システム内に含まれるだけです。
ルータの同じセットのインターフェイス上で複数の EIGRP 自律システムを動作させることはお勧めしません。複数の EIGRP 自律システムが相互再配布の複数の点で使用される場合、正しいフィルタリングが再配布点で実行されないのであれば、EIGRP トポロジ テーブルの不一致を引き起こす可能性があります。可能であれば、単一の自律システム内には EIGRP 自律システムを 1 つだけ設定するようにお勧めします。また、2 つの EIGRP 自律システムを接続するには、Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲードウェイ プロトコル)のような別のプロトコルを使用できます。
A.いいえ、1つのルートだけがインストールされています。EIGRP プロセスを通じて学習されたルートのうち、Autonomous System(AS; 自律システム)番号が小さいものがインストールされます。12.2(7)T よりも前の Cisco IOS ソフトウェア リリースでは、いずれかの EIGRP プロセスから受け取ったパスのうち、タイムスタンプの新しいものがインストールされていました。この動作変更は、Cisco Bug ID CSCdm47037 で追跡されています。
A. EIGRPがstuck in active(SIA)メッセージを返す場合は、クエリーへの応答を受信していないことを意味します。これは、ルートが消失した際に EIGRP がクエリを送信したけれども、トポロジ テーブルには別の利用可能なルートが存在しないという意味です。SIA は次の 2 つの連続するイベントにより発生します。
SIA で報告されたルートが消失した。
1 台あるいは複数の EIGRP ネイバーが、そのルートに関するクエリに応答していない。
SIA が発生すると、ルータはそのクエリに応答しなかったネイバーをクリアします。この状態になった場合は、どのネイバーがクリアされたかを確認してください。このルータは何ホップも離れた場所にある可能性があります。詳細は、『EIGRP DUAL-3-SIA エラー メッセージは何を意味していますか。』に参照してください。
A. neighborコマンドは、ルーティング情報を交換する隣接ルータを定義するためにEIGRPで使用されます。neighbor コマンドの現在の動作では、インターフェイスに対してこのコマンドを設定すると、EIGRP はユニキャスト パケットを使用してネイバーとルーティング情報を交換します。そのインターフェイスに着信したマルチキャスト パケットは EIGRP で処理されなくなります。また、そのインターフェイスでは EIGRP によるマルチキャスト パケットの送信も行われなくなります。
このコマンドの理想的な動作は、EIGRP パケットをユニキャスト パケットとして特定のネイバーに送信し、そのインターフェイスでマルチキャスト パケットの送受信を行わないようにすることです。neighbor コマンドは意図したとおりには動作しないので、ネットワークに与える影響を理解したうえで、慎重に使用してください。
A. passive-interfaceコマンドは、インターフェイスでEIGRP helloパケットの送受信を無効にします。IGRP や RIP とは異なり、EIGRP では、隣接ルータとの隣接関係の形成と保持のために hello パケットが送信されます。ネイバー ルータとの隣接関係がない、EIGRP はネイバーとルートを交換できません。そのため、passive-interface により、インターフェイスでのルート交換が阻止されます。EIGRP は、passive-interface コマンドで設定されたインターフェイスではルーティング アップデートを送受信しませんが、他の非受動インターフェイスから送信されるルーティング アップデートには引き続きそのインターフェイスのアドレスが含まれています。詳細は、『EIGRP での受動インターフェイス機能の動作方法』を参照してください。参照してください。
A.スプリットホライズンルールでは、ルータが自身が宛先に到達するために使用するインターフェイスを介してルートをアドバタイズすることを禁止しています。このスプリット ホライズン動作を無効にするには、no ip split-horizon eigrp as-number インターフェイス コマンドを使用します。EIGRP のスプリット ホライズンに関して憶えておくべき重要点を列挙します。
スプリット ホライズン動作はデフォルトで有効になっています。
インターフェイスでの EIGRP スプリット ホライズン設定を変更すると、そのインターフェイスを介して到達できる EIGRP ネイバーとの隣接関係がすべてリセットされます。
スプリット ホライズンを無効にしてよいのは、ハブアンドスポーク ネットワークのハブ サイトだけです。
スポーク側でスプリット ホライズンを無効にすると、ハブ ルータでの EIGRP のメモリ消費量と、スポーク ルータで生成されるトラフィック量が急激に増加します。
ip split-horizon コマンドでは EIGRP のスプリット ホライズン動作の制御と調整は行えません。
スプリット ホライズンとポイズン リバースの詳細は、『スプリット ホライズンとポイズン リバース』を参照してください。コマンドの詳細は、『EIGRP コマンド』を参照してください。
A.オプションのnetwork-mask引数は、Cisco IOSソフトウェアリリース12.0(4)Tで最初にnetwork文に追加されました。このマスク引数は任意の形式(ネットワーク マスク形式やワイルド カード ビットなど)で設定できます。 たとえば、network 10.10.10.0 255.255.255.252 や network 10.10.10.0 0.0.0.3 を使用できます。
A.これを行うには、次に示すようにプレフィックスリストを使用する必要があります。
router eigrp 100 network 172.16.0.0 distribute-list prefix test in auto-summary no eigrp log-neighbor-changes ! ip prefix-list test seq 5 permit 172.16.1.0/24これにより 172.16.1.0/24 プレフィックスだけが許容され、その結果、172.16.1.0/28 は拒否されます。
注:この場合、EIGRPでのACLと配布リストの使用は機能しません。これは、ACL ではマスクがチェックされず、ネットワーク部だけがチェックされるためです。ネットワーク部が同じなので、172.16.1.0/24 を許容すると、172.16.1.0/28 も許容したことになります。
A. CEFの仕組みは、EIGRPなどのルーティングプロトコルによって設定されたルーティングテーブルに基づいて、CEFがパケットのスイッチングを行うことです。つまり、ルーティング プロトコル テーブルが計算されていれば、CEF によりロード バランシングが行われるということになります。詳細は、『ロード バランシングの動作方法』を参照してください。を参照してください。
A. EIGRP NSF機能を確認するには、show ip protocolsコマンドを発行します。次に出力例を示します。
show ip protocols Routing Protocol is "eigrp 101" Outgoing update filter list for all interfaces is not set Incoming update filter list for all interfaces is not set Default networks flagged in outgoing updates Default networks accepted from incoming updates EIGRP metric weight K1=1, K2=0, K3=1, K4=0, K5=0 EIGRP maximum hopcount 100 EIGRP maximum metric variance 1 Redistributing: eigrp 101 EIGRP NSF-aware route hold timer is 240s Automatic network summarization is in effect Maximum path: 4 Routing for Networks: Routing Information Sources: Gateway Distance Last Update Distance: internal 90 external 170この出力は、ルータが NSF 認識であること、およびルートホールド タイマーがデフォルトの 240 秒に設定されていることを示しています。
A.インターフェイスの帯域幅の値をデフォルトに設定し、バックアップインターフェイスの遅延を大きくして、ルータが2つの等コストパスを認識しないようにします。
A. EIGRPメトリックは、IGRPメトリックに256を掛けると得られます。IGRPでは、メトリックフィールドに更新パケットで24ビットのみが使用されますが、メトリックフィールドに更新パケットで32ビットが使用されます。たとえば、宛先ネットワークへのIGRPメトリックは8586ですが、EIGRPメトリックは8586 x 256 = 2,198,016です。整数除算は、10^7を最小BWで除算する場合に使用されます。そのため、計算にはは整数除算がが変動になります。
A.スタブルーティング機能は、ルートを集約およびフィルタリングすることによって帯域幅を節約するために使用されます。スタブ ルーティング機能を使用すると、指定したルートだけがリモート(スタブ)ルータからディストリビューション ルータに伝搬されます。スタブ ルーティング機能の詳細については、『EIGRP スタブ ルーティング』を参照してください。EIGRP スタブ機能は、eigrp stub [receive-only] [leak-map name] [connected] [static] [summary] [redistributed] コマンドでスイッチ上に設定できます。この機能は、no eigrp stub コマンドで削除できます。スイッチから eigrp stub コマンドを削除すると、IP Base イメージが稼働しているスイッチから次のエラーが返されます。
EIGRP is restricted to stub configurations onlyこの問題は、Advanced Enterprise Image にアップグレードすることで解決できます。このエラーは、CSCeh58135 に記載されています。
A.ハブルルータのアウトバウンドインターフェイスでip summary-address eigrp X 0.0.0.0 0.0.0.0コマンドを使用して行います。このコマンドを使用すると、個別的なルートがすべて抑制され、集約ルートだけが送信されます。0.0.0.0 0.0.0.0の場合は、すべてを抑制し、発信アップデート内の唯一のルートは0.0.0.0/0です。この方法の欠点は、EIGRPが0.0.0.0/0ルートをNull0にインストールすることが、アドミニストレーティブディスタンス5のローカルルーティングテーブルであることです。
A. EIGRPには次の3種類のルートがあります。
[Internal Route]:自律システム(AS)内から発生するルート。
[Summary Route]:ルータ内で要約されるルート(たとえば、要約される内部パス)。
[External Route]:EIGRP に再配布されるルート。
A. EIGRPでIPv6デフォルトルートを再配布する場合、設定例を次に示します。
ipv6 prefix-list DEFAULT-ONLY-V6 seq 10 permit ::/0route-map DEFAULT_2EIGRP-V6 permit 10match ipv6 address prefix-list DEFAULT-ONLY-V6router eigrp Starz_EIGRPaddress-family ipv6 unicastredistribute static route-map DEFAULT_2EIGRP-V6
A. EIGRPは、GREトンネルに対して同じアドミニストレーティブディスタンスとメトリック計算を使用します。コスト計算は、帯域幅と遅延に基づいて行われます。GRE トンネルの帯域幅と遅延は、ルータに設定されたトンネル インターフェイスから取得されます。GRE トンネルも、直接接続されたネットワークと同じように扱われます。VLAN インターフェイスまたはトンネル インターフェイス経由でネットワークに到達するパスが 2 つある場合は、Virtual-Access Interface(VAI; バーチャル アクセス インターフェイス)の VLAN インターフェイスが優先されます。これは、VLAN インターフェイスの方がトンネル インターフェイスよりも帯域幅が広いためです。トンネル インターフェイス経由でルーティングを行うようにするには、トンネル インターフェイスの帯域幅パラメータを大きくするか、VLAN インターフェイスの遅延パラメータを大きくします。
A. offset-listは、EIGRPの複合メトリックを変更するために使用される機能です。offset-list コマンドで設定された値は、アクセス リストに一致するルートに対してルータが算出した遅延値に追加されます。offset-list は、アドバタイズや選択の対象となるパスを調整するのに適した方法です。
A. EIGRPが別のルーティングプロトコルから学習したルートに、32ビットタグ値を使用してタグを付けることができます。ddts CSCdw22585 からは、内部ルートにタグを付けることもできます。ただし、内部ルートのパケット制限があるため、タグ値は 255 以内にする必要があります。
A. EIGRPは次の3つのプロトコルスイートをサポートします。IP、IPv6、IPX の 3 種類です。各プロトコル スイートには独自の PDM があります。PDM の主な機能は次のとおりです。
そのプロトコル スイートに属する EIGRP ルータのネイバー テーブルおよびトポロジ テーブルを管理する
DUAL 用にプロトコル固有のパケットを構築して変換する。
DUAL をプロトコル固有のルーティング テーブルにインターフェイスする。
メトリックを計算し、その情報を DUAL に渡す。DUAL は Feasible Successor(FS; フィージブル サクセサ)の選択のみを行う。
フィルタリングおよびアクセス リストを実装する。
他のルーティング プロトコルとの間で再配布機能を実行する。
A. offset-listを使用して、EIGRPが特定のインターフェイスを通じて学習したルートのメトリックを変更するか、PBRを使用できます。
A.このメッセージは、ルータがホールドタイム制限内にネイバーからEIGRPパケットを受信していないことを示しています。これは、パケット損失の問題であるため、レイヤ 2 の問題を確認します。
A.詳細は、「ブランチネットワークへのIPv6の配置」を参照してください。
A.ルータは、受信したアップデートに応答して、トポロジテーブルエントリをポイズンとしてスレッド化します(ルータはポイズンリバース用に設定します)。 ポイズン リバースを含むパケットの構築中に、ルータは送信の必要がないことを認識します。たとえば、ルータがネイバーからルートのクエリーを受信した場合、現在ポイズンにスレッド化されています。したがって、poison squashed メッセージを送信します。
A. CPUの使用率が高い場合にコンバージェンスに時間がかかるEIGRPは正常な動作です。EIGRP 統合は、保持時間を軽減すると速度が向上します。hello および保持時間の最小値はそれぞれ 1 秒と 3 秒です。以下に、いくつかの例を示します。
Router(Config)# interface Fa0/0 !--- (Under an interface directly connected to EIGRP peers.) Router(Config-if)#ip hello-interval eigrp 1 Router(Config-if)#ip hold-time eigrp 3注:両方の両端で保留時間が変更されていることを確認します。
EIGRP パフォーマンス関連の詳細は、『EIGRP パフォーマンスの問題の解決』を参照してください。