概要
このドキュメントでは、Border Gateway Protocol(BGP)でピア グループを使用する場合の要件、制限、および利点について説明します。
BGP ピア グループの指定によって得られる主な利点は、BGP ピア グループがアップデートの生成に必要なシステム リソース(CPU およびメモリ)の量を減らすことです。また、BGP ピア グループは BGP の設定も簡素化します。BGP ピア グループは、ルーティング テーブルのチェックを一度だけ可能にし、アップデートがピア グループの各ピアに対して個別にではなく、すべてのピア グループ メンバーに複製されるようにすることによってシステム リソースの負荷を減らします。ピア グループ メンバーの数、テーブル中のプレフィックスの数、およびアドバタイズされたプレフィックスの数に基づいて、大幅に負荷を低減できます。同一の発信アナウンスメント ポリシーを持つピアをグループ化することを推奨します。
前提条件
要件
BGP の詳細な知識があることを推奨します。
使用するコンポーネント
このドキュメントの情報は、Cisco IOS® ソフトウェアのリリース 11.0 以降でサポートされている BGP ピア グループに基づいています。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
表記法
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
BGP ピア グループ
同じ発信ポリシーを共有する BGP ネイバーを、BGP ピア グループにグループ化できます。同じポリシーを持つ各ネイバーを個別に設定する代わりに、ピア グループを使用すると、個々のピアに適用できるポリシーをグループ化できるため、簡単な設定とともに効率的なアップデートの計算が可能になります。
ピアグループの要件
ピア グループには次のような要件があります。
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ピア グループのすべてのメンバーは、ピア グループ メンバーに対してもピア ベースで処理される default-originate を除き、同一の発信アナウンスメント ポリシー(distribute-list、filter-list、および route-map など)を共有する必要があります。
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ピア グループのすべてのメンバ向けに着信アップデート ポリシーをカスタマイズできます。
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ピア グループは内部(内部 BGP(iBGP)メンバーを持つ)または外部(外部 BGP (eBGP)メンバーを持つ)のいずれかである必要があります。 外部ピア グループのメンバーは異なる自律システムの(AS)番号を持ちます。
ピアグループの制限
Cisco IOS ソフトウェアの 11.1(18) CC より前のリリースには、この項で説明する制限があります。次のルールに従わないと、ルーティングに不整合が発生する可能性があります。
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ルート リフレクタのクライアント用にピア グループを使用する場合、すべてのクライアントを完全にメッシュする必要があります。
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eBGP ピア グループを使用する場合、中継はピア グループ メンバー間で実現できません。
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すべての eBGP ピア グループのメンバーは、非接続ネクスト ホップのアナウンスを避けるため、同じサブネットにある必要があります。
ただし、これらの制限は、Cisco IOSソフトウェアリリース11.1(18)CC、11.3(4)、および12.0以降では削除されています。ピアグループが定義されているルータだけを新しいコードにアップグレードする必要があります。
注:ピアグループを使用してroute-reflector-clientとしてデバイスを宣言する前に、まずデバイスとのネイバーシップを設定する必要があります。そうしないと再起動の実行時に、設定から route-reflector-client が削除されます。
この動作は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(25)S01 および 12.2(15)T02 で初めて発見され、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2 以降では修正されています。
注: ルータでサポートされている BGP ピアの総数と確立された BGP ピアの設定可能限度および最大数は、次のような多数の変数によって異なります。
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BGP テーブルのルートの総数
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ルートの安定性のレベル
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各ピアに送信されるルートの数
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異なるネイバーに送信されるルート間の類似性
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デバイスで使用可能なメモリおよびプロセッサ能力
ピアグループを使用する方法
通常、1 台のルータ上の複数の BGP ピアを、発信アップデート ポリシーに基づいたピア グループにグループ化できます。ISP によって一般的に使用されるピアグループのリストを次に示します。
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通常の iBGP ピアの通常の iBGP ピア グループ
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ルート リフレクタでのリフレクション ピアのための iBGP クライアント ピア グループ
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フル インターネット ルートを受信するピアのための eBGP フルルート
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ピアがISPの直接カスタマーからルートのみを受信するようにeBGPカスタマールートを設定します(一部のメンバにdefault-originateを設定して、顧客ルートに加えてデフォルトルートを受信することもできます。
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デフォルト ルートを受信するピアのための eBGP デフォルトルート、および他の少数のルート。
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