実際には正常に機能しているハードウェアを交換することで、貴重な時間とリソースが無駄になることがよくあります。この文書は、Cisco 7500 シリーズ ルータで発生する可能性があるハードウェア問題のトラブルシューティングに役立ちます。さらに、この文書では障害をあるハードウェアを特定するための手がかりとなる情報を提供します。
注:このドキュメントは、ハードウェアの問題と誤認されやすい問題を除き、ソフトウェア関連の障害は取り上げていません。
この文書を読むには、次の知識が必要です。
Second-generation Versatile Interface Processor(VIP2)のインストールと設定
Fourth Generation Versatile Interface Processor(VIP4)のインストールと設定
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
Cisco 7500 シリーズ ルータのすべての Versatile Interface Processor(VIP)。以下を含みます。
VIP タイプ | 説明 |
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VIP2-10 | MIPS R4600 CPU(内部実行速度 100MHz、外部バス速度 50MHz)を搭載し、メモリ 8MB を搭載 |
VIP2-15 | MIPS R4600 CPU(内部実行速度 100MHz、外部バス速度 50MHz)を搭載し、メモリ 8MB を搭載 |
VIP2-40 | MIPS R4600 CPU(内部実行速度 100MHz、外部バス速度 50MHz)を搭載し、メモリ 16 MB を搭載 |
VIP2-50 | MIPS R5000 CPU(内部実行速度 250MHz)を搭載し、32~128MB のメモリ オプションをサポート |
VIP4-50 | MIPS R5000 CPU を搭載し、64~256MB のメモリ オプションをサポート。メモリは ECC で保護されています |
VIP4-80 | MIPS R7000 CPU を搭載し、64~256MB のメモリ オプションをサポート。メモリは ECC で保護されています。 |
VIP6-80 | MIPS R7000 CPU(内部実行速度 400 MHz)を搭載し、64~256MB のメモリ オプションをサポート。メモリは ECC で保護されています。 |
すべての Cisco IOS® ソフトウェア バージョン
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
新しい RSP、VIP、ポート アダプタを取り付けたり、Cisco IOS ソフトウェア イメージをインストールする場合には、ルータに十分なメモリがあることや、そのハードウェアやソフトウェアに互換性があることを確認する必要があります。
次の推奨手順を実行して、ハードウェアとソフトウェアの互換性とメモリ要件を確認してください。
Software Advisor ツール(登録ユーザのみ)を使用して、目的の Cisco IOS ソフトウェア バージョンでモジュールおよびカードがサポートされているかどうかを確認します。
Cisco Download Software Area(登録ユーザ専用)を使用して、Cisco IOS ソフトウェアまたは Cisco IOS ソフトウェア イメージのダウンロードに必要な最低限のメモリ量(RAM およびフラッシュ)を確認します。装備されているメモリ量(RAM およびフラッシュ)を判別するには、「メモリ要件」を参照してください。
ヒント:
Cisco IOS Upgrade Planner では、メモリ要件を参照するために、手順 1 でプラットフォームおよび推奨される Cisco IOS ソフトウェア リリースを選択する必要があります。
Cisco IOS ソフトウェア イメージを新しいバージョンにアップグレードする必要がある場合、詳細情報を「Cisco IOS ソフトウェア リリースの選択方法」から参照してください。
Cisco IOS ソフトウェアのアップグレードが必要であると判断した場合は、Cisco 7500 シリーズ ルータに関する「ソフトウェア インストールおよびアップグレード手順」に従ってください。
エラー メッセージ デコーダ(登録ユーザ専用)ツールを使用すると、エラー メッセージの意味を確認できます。エラー メッセージは通常、次の形式でシスコ製品のコンソールに表示されます。
%XXX-n-YYYY : [text]
エラー メッセージの例を次に示します。
Router# %SYS-2-MALLOCFAIL: Memory allocation of [dec] bytes failed from [hex], pool [chars], alignment [dec]
エラー メッセージには、単なる通知もあれば、ハードウェアやソフトウェアの障害を示していて対処する必要のあるものもあります。エラーメッセージ デコーダ(登録ユーザ専用)ツールでは、メッセージの説明、推奨処置(必要な場合)、およびエラー メッセージに関する詳細なトラブルシューティング情報を提供するドキュメント(利用可能な場合)へのリンクが提供されます。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
この項では、Cisco 7500 シリーズ ルータで使用される Versatile Interface Processor 2(VIP2)および Versatile Interface Processor 4(VIP4)について説明します。
Interface Processor(IP; インターフェイス プロセッサ)には、通常、Cisco 7500 シリーズ ルータのネットワーク インターフェイスが組み込まれています。IP には次の 2 種類があります。
レガシー インターフェイス プロセッサ:これらのカードには、パケット スイッチング決定の機能が備わっていないため、VIP ほどインテリジェントではないと言えます。別のインターフェイスが必要な場合は、インターフェイス プロセッサ全体を交換する必要があります。
レガシー インターフェイス プロセッサには、異種のインターフェイスは組み込まれていません。つまり、1 枚のレガシー インターフェイス プロセッサでトークン リング インターフェイスとイーサネット インターフェイスを両方とも使用することはできません。
多用途インターフェイス プロセッサ(VIP):VIP は多機能です。 つまり、2 種類のインターフェイスを装備できます。そのため、レガシー インターフェイス プロセッサとは異なり、VIP では同一のインターフェイス プロセッサ上にトークン リングおよびイーサネット インターフェイスを装備できます。VIP に搭載されるインターフェイスは、Port Adapter(PA; ポート アダプタ)に組み込まれます。
インターフェイスの変更は簡単で、PA を入れ替えるだけです。PA には、シングル幅とデュアル幅の 2 種類のサイズがあります。シングル幅 PA は 1 スロットを占めます。デュアル幅 PA はサイズがシングル幅 PA の 2 倍あり、2 スロットを占めます。1 枚の VIP には、デュアル幅 PA を 1 枚だけ装着できます。
VIP のもう 1 つの特長は、メイン プロセッサとメイン メモリが搭載されていることです。そのため、ルータで分散スイッチングが有効であれば、VIP がパケット交換について判断できるため、Route-Switch Processor(RSP; ルート スイッチ プロセッサ)の負荷が軽減されます。
分散スイッチング構成では、スイッチングの判断に必要な情報が RSP から VIP に渡されます。VIP は、本質的にはブレード上のルータであり、7500 に VIP を装備すれば、RSP の代わりに VIP がスイッチングを判断する分散システムとなります。
注:
IP の中には、固定構成ではあるものの、プロセッサとメモリが搭載されており、分散スイッチングやその他の分散機能を使用できるものがあります。
特定の VIP に装着可能な PA に関して、制約と制限がある場合があります。VIP に PA を実装する前に、次に示す Cisco.com の製品ドキュメントを参照して、それらの組み合わせがサポートされているかどうかを必ず確認してください。
VIP2 シリーズの場合は、「Second-Generation Versatile Interface Processor(VIP2)のインストールと構成」の「VIP2 とポートアダプタの互換性」セクションを参照してください。
VIP4 シリーズの場合は、「Fourth Generation Versatile Interface Processor(VIP4)のインストールと構成ガイド」の「VIP4 とポートアダプタの互換性」セクションを参照してください。
VIP のリブートまたはリロードは、さまざまな理由で起こります。それらの理由のいくつかは、潜在的なハードウェアの問題です。次に、7500 シリーズの VIP の潜在的なハードウェアの問題から生じる、最も一般的な症状を示します。症状のトラブルシューティング ステップは、下記の「トラブルシューティング」セクションに記載されています。
問題の原因を特定するための最初のステップは、その問題について可能な限り多くの情報を収集することです。問題の原因を特定する上で不可欠な情報には、次のようなものがあります。
VIP crashinfo ファイル:VIP がクラッシュすると、プライマリ RSP のブートフラッシュにファイルが保存されます。そのファイルには、クラッシュの発生原因に関する詳細な情報が含まれています。crashinfo の詳細については、「Crashinfo ファイルからの情報の取得」を参照してください。
RSP コンソール ログと syslog 情報 - 複数の症状が発生している場合(これは、VIP がクラッシュしたときや、VIP にその他の問題があるときには通例です)は、その元となる問題を特定するためにこれらの情報は非常に重要です。 コンソール ログまたは syslog が使用可能な場合は、トラブルシューティングを効率的に実行できます。ルータが syslog サーバにログを送信するよう設定されている場合は、クラッシュの前に起こったことに関する情報を syslog サーバで確認できる場合があります。RSP コンソール ログの場合、ルータのコンソール ポートに直接接続しており、「コンソール接続用ターミナル エミュレータの正しい設定」が行われていることを確認します。ロギングが有効になっていることを確認します。
show diagbus コマンドの出力:VIP がクラッシュした場合、最新のクラッシュの理由が show diagbus コマンドの出力に表示されます。この情報は、問題のトラブルシューティングに役立ちます。この情報は、問題のトラブルシューティングに役立ちます。
ご使用のシスコデバイスのshowコマンドの出力がある場合(show technical-supportを含む)、 表示します。使用 登録ユーザとしてログインし、JavaScriptを有効にしている必要があります。
実際にはハードウェアの問題ではないにもかかわらず、ハードウェアの問題と誤解されることがある問題がいくつかあります。たとえば、新しいハードウェアのインストール後に起こった障害は、必ずしもハードウェアの問題とは限りません。次の表に、誤解を招きやすい問題についての症状、説明、およびトラブルシューティング ステップを示します。
症状 | 説明 |
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インストール時に VIP が認識されない、または ブートアップ時または Online Insertion and Removal(OIR)時に VIP がクラッシュする | Software Advisor を使用して、現在の Cisco IOS ソフトウェア バージョンで問題の VIP がサポートされているかどうかを確認します。また、RxBoot イメージでも VIP がサポートされているかを確認します。「Bad CPU ID」メッセージの原因の背景説明のセクションでは、メインの Cisco IOS ソフトウェア イメージと RxBoot イメージの相違について詳しく説明しています。 |
Output Stuck/Output Frozen/Not Transmitting エラー メッセージが発生する | これらのエラー メッセージは通常、ソフトウェアの問題が発生した場合に表示されます。詳細については、「What Causes %RSP-3-RESTART:interface [xxx], output stuck/frozen/not transmitting Messages?」を参照してください。 |
エラー メッセージ「RSP-3-RESTART:cbus complex」が発生する | このエラー メッセージの原因には、構成の変更、インターフェイス プロセッサまたは他のソフトウェアの OIR、または不良ハードウェアの問題などがあります。このエラー メッセージの詳細については、「What Causes a "%RSP-3-RESTART:cbus complex」の原因」を参照してください。 |
VIP の CPU 使用率が非常に高い | ハードウェアの問題が原因でこの症状が起こることはほとんどありません。VIP CPU の使用率が高い理由のうち、最も一般的な理由の 1 つを利用率 99 % で動作する VIP CPU および Rx サイド バッファリングについてで詳しく説明しています。 |
VIP がクラッシュする | VIP のクラッシュの原因は、必ずしもハードウェアの不良とは限りません。クラッシュの原因がソフトウェアにあるかどうかを判断するには、トラブルシューティング:Versatile Interface Processor(VIP)のクラッシュが役立ちます。 |
Memory Size Unknown エラー メッセージが発生する | このメッセージは、show diag-bus コマンドの出力に見られることがあります。このメッセージは単に、VIP のブートアップ処理が完了しなかったことを意味します。VIP のブートアップが完了しない原因には、次のようなものがあります。
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VIP4 のブートアップが失敗する | VIP4 では、プロセッサ メモリとパケット メモリの両方で同じタイプのメモリ(Synchronous Dynamic RAM - SDRAM)が使用されます。そのため、プロセッサ メモリ用のスロットにパケット メモリを装着したり、パケット メモリ用のスロットにプロセッサ メモリを装着したりするミスが少なくありません。この症状が発生した場合は、VIP にマイクロコードをブートするだけの十分なメモリがない可能性があります。各メモリ スロットに正しいメモリが装着されているかどうかを確認してください。 |
パリティ エラー - Cisco 7500 シリーズ プラットフォームでのパリティ エラーのトラブルシューティングは非常に困難です。1 枚の VIP で発生したパリティ エラーが RSP や別の VIP に転送されて、これら 3 枚のプロセッサがすべてクラッシュすることがあるためです。
この情報を収集したら、トラブルシューティング ステップについて「トラブルシューティング:Versatile Interface Processor(VIP)のクラッシュ - パリティ エラー」を参照してください。「VIP クラッシュ フォルト ツリー分析」も、VIP パリティ エラー クラッシュの原因を絞り込む上で役立ちます。
CyBus 上の NACK - 通常、これはソフトウェアの問題ですが、ハードウェアの問題である場合もあります。問題発生時に必ず RSP コンソール ログを収集し、「トラブルシューティング:Versatile Interface Processor(VIP)のクラッシュ - CyBus 上の否定応答(NACK)」のトラブルシューティング情報を確認してください。
注:これらのエラーメッセージのどこかに「Parity Error from CyBus」または「NACK Present on CyBus access」というメッセージが表示された場合、パリティエラーは他のコンポーネントから発生するか、7500内に誤って挿入されたカードがあります。
上記のトラブルシューティング方法を実行した後も、依然としてサポートが必要で、Cisco TAC でサービス リクエストをオープンする必要がある場合は、TAC Service Request tool(登録ユーザ専用)を使用して、次の情報を必ず収集してください。 |
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改定 | 発行日 | コメント |
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1.0 |
09-Mar-2009 |
初版 |