Cisco 7x00のPA-T3やCisco 3600シリーズルータのNM-1A-T3などのATM T3インターフェイスに接続の問題が発生する場合があります。接続障害によって発生する症状には、次のようなものがあります。
Line Code Violation(LCV; 回線コード違反)
極性違反
過剰ゼロ
連続インターフェイス フラップ
エラー メッセージ
ATM インターフェイスの CRC エラー
この文書では、これらの症状を説明し、過敏レシーバまたは減衰の問題に相当する症状例を検討するほか、回避策を提供します。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
過敏レシーバまたは減衰の問題は、ATM インターフェイス上で発生する、「概要」のセクションで挙げた症状によって検知されます。次のセクションでは、それぞれの症状について説明します。
show controller コマンドの出力に、ATM DS-3 ポート アダプタまたはネットワーク モジュールでの Line Code Violations(LCV)およびその他のファシリティ統計の増加が見られることがあります。LCV エラー カウンタは、通常、インターフェイス上でライン コーディングのタイプにミスマッチが発生すると増加します。ただし、まれに、ルータが短いケーブル(15.24 M(50 フィート)以下)を使用してその次のデバイスに接続した場合にも、この障害が発生することがあります。 この問題の根本的な原因は、短いケーブルを使用した場合、これらの PA で使用される Line Interface Unit(LIU; 回線インターフェイス ユニット)が、一部の遠端機器の信号に過度の影響を受けることにあります。短いケーブルでは LIU レシーバが飽和することがあり、その結果 LCV が起こります。
CLI の出力の例を次に示します(使用している PA/NM によって、実際の表示は多少異なります)。
Router#show controllers atm 1/0/0 ATM1/0/0: Port adaptor specific information Hardware is DS3 (45Mbps) port adaptor Framer is PMC PM7345 S/UNI-PDH, SAR is LSI ATMIZER II Framing mode: DS3 C-bit ADM No alarm detected Facility statistics: current interval elapsed 796 seconds lcv fbe ezd pe ppe febe hcse ---------------------------------------------------------------------- lcv: Line Code Violation be: Framing Bit Error ezd: Summed Excessive Zeros PE: Parity Error ppe: Path Parity Error febe: Far-end Block Error hcse: Rx Cell HCS Error Router#show controller atm 3/0 Interface ATM3/0 is down< Hardware is RS8234 ATM DS3 [output omitted] Framer Chip Type PM7345 Framer Chip ID 0x20 Framer State RUNNING Defect FRMR OOF Defect ADM OOCD Loopback Mode NONE Clock Source INTERNAL DS3 Scrambling ON Framing DS3 C-bit direct mapping TX cells 0 Last output time 00:00:00 RX cells 1 RX bytes 53 Last input time 1w6d Line Code Violations (LCV) 25558650 DS3: F/M-bit errors 401016 DS3: parity errors 2744053 DS3: path parity errors 1879710 DS3/E3: G.832 FEBE errors 3099127 T3/E3: excessive zeros 25689720 uncorrectable HEC errors 554 idle/unassigned cells dropped 0 LCV errored secs 392 DS3: F/M-bit errored secs 392 DS3: parity errored secs 389 DS3: path parity errored secs 389 T3/E3: excessive zeros errored secs 392 DS3/E3: G.832 FEBE errored secs 380 uncorrectable HEC errored secs 67 LCV error-free secs 0 DS3: F/M-bit error-free secs 0 DS3: parity error-free secs 3 DS3: path parity error-free secs 3 T3/E3: excessive zeros error-free secs 0 DS3/E3: G.832 FEBE error-free secs 12 uncorrectable HEC error-free secs 325
LCV は、Bipolar Violation(BPV; 極性違反)または Excessive Zeros(EXZ; 過剰ゼロ)エラーの数を示しています。これらのエラーが増加する条件は、ライン コーディングによって異なります。
極性違反:
Alternate Mark Inversion(AMI)- 同じ極性のパルスを 2 回連続して受信した場合
Bipolar Three Zero Substitution(B3ZS)または High-Density Bipolar Three(HDB3)- 同じ極性のパルスを 2 回連続して受信したが、これらのパルスがゼロ置換の一部でない場合
過剰ゼロ:
AMI - 連続して 16 個以上のゼロを受信した場合
B3ZS - 連続して 8 個以上のゼロを受信した場合
LCV エラーの詳細は、次の文書を参照してください。
トラブルシューティング:DS-3 および E3 ATM インターフェイスでの回線の問題とエラー
show log コマンドを実行します。対応するリンクがダウンしていないにもかかわらず、コンソールに一連のリンクがアップしているというメッセージが表示されるでしょうか。この問題は、Cisco Bug ID CSCdm84527 によって解決されています。インターフェイスがフラップすると、通常は次のログ メッセージが表示されます。
Aug 11 02:54:46.243 UTC: %LINK-3-UPDOWN: Interface ATM2/0, changed state to down Aug 11 02:54:47.243 UTC: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface ATM2/0, changed state to down Aug 11 02:54:57.003 UTC: %LINK-3-UPDOWN: Interface ATM2/0, changed state to up Aug 11 09:59:14.544 UTC: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface ATM2/0, changed state to up
「debug atm error」を有効化すると、次のようなメッセージが表示されます。
Aug 11 10:01:27.940 UTC: pmon_change 0x3E, cppm_change 0x53 pmon_change 0x3E - Performance monitoring (pmon) reports line code violations, parity errors, path parity problems, and related errors. cppm_change 0x53 - Cell and PLCP performance monitoring (cppm) reports bit interleaved parity (BIP) errors and framing errors.
show interfaces コマンド出力の例を次に示します。
Router#show interfaces atm 4/0 ATM4/0 is up, line protocol is up [output omitted] Last clearing of "show interface" counters never Output queue 0/40, 0 drops; input queue 0/75, 0 drops Five minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec Five minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec 144 packets input, 31480 bytes, 0 no buffer Received 0 broadcasts, 0 runts, 0 giants 13 input errors, 12 CRC, 0 frame, 0 overrun, 1 ignored, 0 abort 154 packets output, 4228 bytes, 0 underruns 0 output errors, 0 collisions, 1 interface resets, 0 restarts
CRC エラーの詳細、およびそのトラブルシューティングの方法については、次の文書を参照してください。
ATM インターフェイスに関する CRC トラブルシューティング ガイド
減衰が過敏レシーバを引き起こしたことが問題である可能性があります。まず「トラブルシューティング」のセクションのステップを実行し、次のステップを実行することによって、過敏レシーバの問題を解決します。
T3 ネットワーク モジュールに接続されたデバイスの送信レベルを下げます。多くのデバイスには、このための Line Build Out(LBO; 回線ビルドアウト)の設定があります。
ケーブルを長くして、信号強度とエッジ レートを減らします。必要な長さを厳密に計算することはできませんが、最低でも合計で 30.48 M(100 フィート)が推奨されます。
75 Ω のインライン 同軸減衰器を使用します。これによって、LCV エラーは減少するか、まったく起こらなくなります。シスコは減衰器キット(ATTEN-KIT-PA=)を提供しており、これには標準 BNC コネクタ付きの 3-dB、6-dB、10-dB、15-dB、および 20-dB の減衰器が含まれます。このキットは、RMA では提供していません。このキットをご要望のお客様は、弊社担当者または販売代理店にご注文ください。
最初は 3 dB 減衰器から開始して、それでも LCV エラーが持続するようであれば、この次に高い値の減衰器へと移行してください。使用する回線の条件や遠端機器によっては、減衰器が通常の要件となることに注意してください。
ルータのインターフェイスがすべての物理層パラメータに対して適切に設定されているにもかかわらず、多数の LCV や CRC エラーが出力される場合は、ATM インターフェイスで過敏レシーバが発生した可能性があります。
過敏レシーバによる問題であると判断する前に、次の手順に従ってください。
PA(または NM)および遠端機器が、短いケーブルを使用するように適切に設定されているか、また、クロッキングが正しく設定されているかを確認します。ネットワークがクロック基準を提供している場合は、両端を「回線」クロックに設定する必要があります。提供していない場合は、一方の端を内部(またはローカル)クロックに、他方の端を回線クロックに設定する必要があります。
トラフィックシェーピングの設定ミスや、ATMスイッチでのATMセルのドロップが原因でCRCエラーが発生していないことを確認します。
推奨されるトラブルシューティングのステップを次に示します。
フレーミングやスクランブリングなど、すべての物理層パラメータ設定を確認します。
ATM接続の両端のクロッキング設定を確認します。
debug atm error を有効にしてから、収集した出力を上記の例と比較します。
loopback diagnostic コマンドを使用して、ATM インターフェイスでの CRC エラーのカウンタをチェックします。
LCV およびその他の物理層にエラーが生じ、CRC エラーと debug atm error に上記の出力結果が表示されているのであれば、最も考えられる原因は過敏レシーバです。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
18-Dec-2007 |
初版 |