このドキュメントでは、IBM のシステム ネットワーク アーキテクチャ(SNA)で使用される、さまざまなタイプのサブエリアを説明します。 図 1 に、一般的なサブエリアをいくつか示します。
図 1:
ホスト サブエリア ノード:拡張通信機能(ACF)や仮想記憶通信アクセス方式(VTAM)を実行するメインフレーム。
通信コントローラ サブエリア ノード:ACF やネットワーク制御プログラム(NCP)を実行する通信コントローラ(3705、3725、3745、または 3746)。
ペリフェラル ノード:ホストでも通信コントローラでもない、SNA ネットワーク内の他の任意のノード。
サブエリア:サブエリア ノード(ホストまたは通信コントローラ)とこれに直接接続されているペリフェラル ノード。図 1 には、3 個の通信コントローラ サブエリアと、2 個のホスト サブエリアがあります。
サブエリア ノードは、ペリフェラル ノードを持ち、このペリフェラル ノードにネットワーク サービスを提供します。すべてのトラフィックは、サブエリア ノードを通過する必要があります。さらに、ペリフェラル ノードは、サブエリア ノード 1 つだけに接続できます。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
SNA ネットワークは、多数のさまざまなネットワーク アドレス可能単位(NAU)で構成されます。これにより、SNA ネットワーク内の他のコンポーネントと関連する NAU の動作および SNA ネットワークに加わるときの動作が定義されます。
図 2
ネットワーク アドレス可能単位(NAU):一意のアドレスで識別される SNA エンティティで、リソースを管理するための SNA 機能を含み、他の NAU と通信してネットワーク リソースを管理します。
物理ユニット(PU):1 台のマシンまたは 1 つのソフトウェア製品を表します(SNA ノード)。PU 番号が大きくなるほど、1 台のマシンまたは 1 つのソフトウェアは、多くの機能を含みます。次に、さまざまなタイプの PU に関する追加詳細のいくつかを示します。
PU は、接続されたリソースを管理する NAU です。PU は、機能によって分類されます。PU タイプ 5 は、最も広い機能を持ちます。ホスト コンピュータ内の VTAM によって実装されます。PU タイプ 5 では、すべての SNA ノード タイプ間で SNA データをルーティングできます。システム サービス制御点(SSCP)という機能も含みます。この機能は、VTAM によって実装されます。SSCP では、他の PU および論理ユニット(LU)を含むネットワーク リソースを制御できます。 同じドメインに定義されている単一の SSCP によってすべてのリソースを制御できます。したがって、SSCP を複数含むネットワークは、ドメインを複数含みます。
PU タイプ 4 は、通信コントローラ内の NCP によって実装されます。通信コントローラには、たとえば、3705、3725、3745、および 3746 があります。PU タイプ 4 では、その他のすべてのノード タイプ間で SNA データをルーティングできます。SSCP を含みませんが、SSCP によって制御されます。
PU タイプ 2 および 1 のルーティング機能は限定されています。これらは常にPUタイプ4または5に接続されます。接続されたノードに依存してルーティングされます。PU タイプ 2 または 1 のノードに含まれている LU は、別のタイプ 2 または 1 のノードに含まれている LU と通信できません。PU タイプ 2.1 は、拡張分散ネットワーク機能(APPN)と関連付けられます。
PU タイプ 2.1 には、さまざまなレベルの機能を実装するコントロール ポイントがあります。
論理ユニット(LU):ネットワークに対するエンド ユーザを表す NAU。エンド ユーザになるのは、個人またはアプリケーション プログラムのいずれかです。通常の LU-LU セッションは、個人を表す LU と、アプリケーション プログラムを表す LU の間で確立されます。アプリケーション プログラム間の LU-LU セッションも一般的です。LUはLU 0、1、2、3以降で番号付けされ、それぞれ異なる機能を持つレガシーLU???と見なされます。LU 6.2 は、APPN と関連する LU タイプです。
次にさまざまな LU タイプを示します。
LU タイプ 0 は、実装依存であり、ネットワーク プロトコルに準拠する必要のある LU-LU 通信用です。
LU タイプ 1 は、アプリケーション プログラム、単一デバイスまたは複数デバイスのデータ処理ワークステーション、および SNA Character String(SCS)データ ストリームを使用するプリンタに使用されます。
LU タイプ 2 は、インタラクティブ環境で、3270 データ ストリームを介する、アプリケーション プログラムと表示ワークステーションの間の通信に使用されます。
LU タイプ 3 は、SNA 3270 データ ストリームを使用するアプリケーション プログラムおよびプリンタ用です。
LU タイプ 4 は、インタラクティブ、バッチ データ転送、または分散データ処理環境で通信する、アプリケーション プログラムおよび単一デバイスまたは複数デバイスのデータ処理ワークステーションまたは文書処理ワークステーションで使用されます。相互に通信するペリフェラル ノードにも使用されます。
LU タイプ 6.1 は、分散データ処理環境で通信するアプリケーション サブシステム用です。
LU タイプ 6.2 は、分散データ処理環境で通信するトランザクション プログラム用です。LU タイプ 6.2 では、複数同時セッションをサポートしています。このデータ ストリームは、SNA General Data Stream(GDS)またはユーザ定義データ ストリームのいずれかです。LU 6.2 は、2 台のタイプ 5 ノード間、タイプ 5 ノードとタイプ 2.1 ノード間、または 2 台のタイプ 2.1 ノード間の通信に使用できます。
システム サービス制御点(SSCP):ホスト サブエリア ノードに配置されて、リソースおよびセッションを制御します。SSCP は、SNA リソースのアクティブ化と非アクティブ化、およびセッションの開始または終了を行います。
VTAM がアクティブ化されるとき、NCP(PU 4)、他の PU、および VTAM 設定の一部として定義されている LU のアクティベーション シーケンスは、自動的に開始するか、オペレータがオペレータ コンソールと NetView のいずれかからネットワークの部分をはっきり限定して特定のタイミングでアクティブ化することができます。図 3 では、これらのいずれかの方法で PU 2、LU-A、および LU-B のアクティベーションがトリガーされています。
特定のタイミングでネットワークの部分がアクティブ化される例としては、停止中に SSCP の 1 つがもう 1 つの SSCP からリソースを引き継ぐ場合があります。この場合、リソースは、停止が発生したときにだけアクティブ化されます。
Activate Physical Unit(ACTPU)は、SSCP-PU セッションをアクティブ化する要求です。
アクティブ化されると、このセッションを使用して、この PU に含まれる LU の Activate Logical Unit(ACTLU)が送信されます。PU と VTAM または NetView の間で相互にネットワーク管理情報を送信するためにも使用されます。
図 3 では、VTAM によって PU およびこの PU に属している 2 つの LU がアクティブ化されています。場合によっては、インテリジェント デバイスまたはアプリケーションが LU であり、LU 自体で制御フローに応答できます。その他の場合は、PU が応答します。
LU はアクティブになると、アプリケーションへのログオンを開始できます。図 4 では、LU 1 でユーザがアプリケーション 1 に対する LOGON を発行します。この結果、PU を介して INITIATE 要求が VTAM 1 に送信されます。
VTAM 1 は、アプリケーションが VTAM 1(同じドメイン セッション)にではなく VTAM 2(クロスドメイン セッション)にあることを判別します。VTAM1 は、セッションが要求されていることを VTAM2 に通知する必要があるため、Cross-Domain Initiate(CDINIT)を送信します。
VTAM 2 が CDINIT に応答すると、VTAM 1 は Cross-Domain Control Initiate(CDCINIT)を送信します。これには、BIND イメージなどのセッション固有の情報が含まれています。
VTAM 2 は、CDCINIT 内の情報を取り出し、Control Initiate(CINIT)に入れてアプリケーションに渡します。
アプリケーションがBINDを構築し、LU 1に送信します。LU 1がBINDに応答すると、セッションが正式に開始されます。
後続のセッション開始(SESSST)メッセージは、セッション認識の一部として、所有する VTAM に送信されます。
SNA ネットワーク内の NAU 間の通信は、静的に定義されたルートを介して発生します。
図 5:
サブエリア SNA では、すべてのルートが静的に定義されています。
任意の 2 個のサブエリア間に、明示ルート(ER)を 8 個まで定義できます。この例では、明示ルート 1(ER 1)と明示ルート 2(ER 2)が、サブエリア 2 とサブエリア 5 の間の物理パスを表します。
明示ルートが隣接サブエリア間の物理パスを表す一方で、仮想ルートはセッション エンド ポイント間の論理パスを表します。仮想ルートは、通過する必要のある 1 つ以上の明示ルートにマッピングされます。1 つの明示ルートに仮想ルートを 8 個まで割り当てることができます。各明示ルートは、1 つのサービス クラス(CoS)を表します。
CoS は、SNA 環境内でのアプリケーションごとのトラフィックのプライオリティを規定します。CoS と送信プライオリティが組み合わさって、明示ルートをまたがるセッション トラフィックのキューおよび送信のプライオリティが決まります。LU-LU セッションには 3 種類の送信プライオリティがあります。high、medium、および low です。CoS と、このプライオリティの組み合わせにより、明示ルートには合計 24 レベルのプライオリティが規定されます。
仮想ルートおよび明示ルートは、サブエリア間のパスを定義します。ペリフェラル ノードからこのノードの持つサブエリア ノードに対して持つことのできるパスは 1 つだけであるため、明示ルートも仮想ルートも適用されません。パスのこの部分をルート拡張と呼びます。