サービス プロバイダーによっては、ISDN サービス プロバイダーにアクセスするサービス総合デジタル ネットワーク(ISDN)デバイスでの加入対象サービスを定義するのに、サービス プロファイル識別子(SPID)を使用している場合があります。ユーザが最初にサービスに加入するときに、サービス プロバイダーは ISDN デバイスに 1 つ以上の SPID を割り当てます。SPID を要求するサービス プロバイダーを利用する場合、接続を開始するためにスイッチにアクセスする際に、割り当てられた有効な SPID をサービス プロバイダーに送信するまでは、ご使用の ISDN デバイスではコールの送受信ができません。
現在のところ、SPID が必要なのは DMS-100 と NI-1 のスイッチ タイプだけです。AT&T 5ESSスイッチタイプはSPIDをサポートする場合がありますが、SPIDの設定の詳細については、プロバイダーに問い合わせてください。SPID が必須であるのは北米地域だけであること、また、電話会社やプロバイダーから要求された場合にだけ設定することに注意してください。
SPID が有効であるかどうかを確認するには、show isdn status コマンドを使用します。show isdn status コマンドの使用方法については、『show isdn status コマンドを使用した BRI のトラブルシューティング』を参照してください。
このドキュメントに関しては個別の前提条件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づくものです。
Cisco IOSR ソフトウェア リリース 12.0
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
SPID は、通常、10 桁の電話番号にオプションの数桁の番号を付加したものです。ただし、サービス プロバイダーが異なる番号体系を使用している場合もあります。DMS-100 と NI-1 のスイッチ タイプの場合は、各 B チャネルに 1 つずつ、2 つの SPID を割り当てます。SPID のフォーマットの詳細については、『Known SPID Formats』を参照してください。
SPID の設定コマンドの形式は、isdn spid1 spid-number [ldn] です。以下に、いくつかの例を示します。
isdn spid1 51255544440101 5554444
SPID のフォーマットは、次のとおりです。
3 桁のエリア コード | 7 桁の電話番号 | 追加桁(オプション) | Local Directory Number(LDN; 市内電話番号)(オプション) |
---|---|---|---|
512 | 5554444 | 0101 | 5554444 |
この場合は、51255544440101 が SPID 番号で、その後の 7 桁の数字(5554444)がオプションの LDN です。LDN はオプションですが、電話会社で必要とされている場合は設定する必要があります。
LDNは、発信接続の確立には必要ありませんが、Bチャネル2で着信コールを受信する場合は指定する必要があります。LDNは、2つのSPIDが設定されている場合(DMS-100またはNI1スイッチに接続する場合など)にのみ必要があります。 各 SPID は LDN に関連付けられます。LDN を設定すると、2 つめの B チャネルへの着信コールに正しく応答するようになります。LDN が設定されていない場合、B チャネル 2 への着信コールは失敗します。
Basic Rate Interface(BRI; 基本速度インターフェイス)で SPID の設定を確認するには、show running-config コマンドを使用します。 上記の SPID のフォーマットを参照しながら、SPID の設定で次の点を確認します。
SPID のエリア コードが 1 で始まっていない。
LDN にエリア コードが含まれていない。
エリア コードと電話番号の後の追加桁が、電話会社から指示されたとおりに正しく設定されている。上記の例では、この桁は 0101 になっています。
SPID を削除して再入力すると、Terminal Endpoint Identifier(TEI; ターミナル エンドポイント識別子)に関連する問題を解消するのに役立つ場合があります。次の手順を実行します。
BRI のコンフィギュレーション モードで shutdown コマンドを使用して、BRI をシャットダウンします。
no isdn spid1 コマンドと no isdn spid2 コマンドを使用して、SPID を削除します。
可能であれば、ルータをリロードしてください。
通常、Cisco IOS ソフトウェアは、以前に保持していたものと同じ TEI を要求します。ただし、ルータをリロードすると、新しい TEI が要求されるようになります。ルータをリロードできない場合は、clear interface bri bri_number コマンド、または clear controller bri bri_number コマンドを使用します。
BRIコンフィギュレーションモードでisdn spid1 spid-number [ldn]コマンドとisdn spid2 spid-number [ldn]コマンドを使用してSPIDを設定します。
BRI のコンフィギュレーション モードで、no shutdown コマンドを使用して、BRI を起動します。
clear interface bri bri_number コマンド、または clear controller bri bri_number コマンドを使用します。
show isdn status コマンドを使用して、BRI が起動していることを確認します。詳細については、「 show isdn status コマンドを使用した BRI のトラブルシューティング」を参照してください。
一部の DMS-100 および National ISDN スイッチのインストレーションは「ハント グループ」として設定されている場合があり、この場合、最初はすべてのコールがプライマリ番号に転送されます。このような環境では、LDN の設定が不要になる場合があります。ハント グループに LDN が必要であるかどうかについては、電話会社に情報を確認できます。debug isdn q931 コマンドを有効にすると、LDN が必要であるかどうかを確認できます。着信した設定メッセージに ENDPOINT IDent が含まれている場合、スイッチは LDN ではなく、EID を使用して TEI のアドレス指定を行います。この場合は、LDN は設定できません。次に例を示します。
SETUP pd = 8 callref = 0x14 Bearer Capability i = 0x8890 Channel ID i = 0x89 Signal i = 0x40 - Alerting on - pattern 0 ENDPOINT IDent i = 0x8183 Called Party Number i = 0xC1, '5551212'
上記の ENDPOINT IDent は 0x8183(16 進数)で、0x81 はユーザ サービス ID(usid)、83 は端末 ID(tid)を表します。 数字(0x81または83)を16進数から2進数に変換して最上位ビットをドロップすると、usid=1とtid=3が表示されます。show isdn statusコマンドを使用して、どのBチャネルがコールに応答するかを確認します。usid と tid を特定の B チャネルに関連付ける方法については、『show isdn status コマンドを使用した BRI のトラブルシューティング』を参照してください。
また、上記の環境は、次の debug isdn q931 のメッセージでも示されています。
%ISDN-4-INVALID_CALLEDNUMBER: Interface BR1, Ignoring call, LDN and Called Party Number mismatch ISDN BR1: Ignoring incoming call, Called Party Number mismatch
上記のメッセージが表示された場合は、SPID を削除して、LDN なしの SPID を再入力してください。
電話会社が、LDN を使用してハント グループ内に複数の BRI を設定して、コールの応答をどの B チャネルにさせるかの信号を送信している場合もあります。このような設定の場合は、SPID の構成に LDN を含める必要があります。BRI は SPID を使用して設定される必要があり、さらに各 SPID には一意の LDN 番号が含まれている必要があります。各 BRI の 2 つめのチャネルでコールが受信されていない場合は、LDN が正しく設定されていることを確認してください。
Cisco IOS ソフトウェア バージョン 12.0(7)T では、Bug ID CSCdp20454 で示される Cisco IOS の不具合があり、show isdn status の出力で「SPID NOT valid」と表示されます。これは、表面的な不具合で、BRI 回線のパフォーマンスに影響を与えることはありません。現在、回避策はありませんが、Cisco IOS をアップグレードすると、この問題は解決します。
改定 | 発行日 | コメント |
---|---|---|
1.0 |
04-Feb-2010 |
初版 |