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日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアのインターネット キー エクスチェンジ バージョン 1(IKEv1)のフラグメンテーション機能における複数の脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、影響を受けるシステムのヒープオーバーフローまたは破損を引き起こす可能性があります。
これらの脆弱性の詳細については本アドバイザリの「詳細情報」セクションを参照してください。
シスコはこれらの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。これらの脆弱性には、回避策が存在します。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-ikev1-NO2ccFWz
このアドバイザリは、2024 年 3 月に公開された Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアリリースのセキュリティ アドバイザリ バンドルの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、『Cisco Event Response: March 2024 Semiannual Cisco IOS and IOS XE Software Security Advisory Bundled Publication』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
これらの脆弱性は、Cisco IOS または IOS XE ソフトウェアの脆弱性が存在するリリースを実行していて、以下の両方が該当するシスコ製品に影響を与えます。
- IKEv1 フラグメント化が有効化されている
- IKEv1 に基づくいずれかのタイプの VPN が設定されている
脆弱性が存在する Cisco ソフトウェアリリースについては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」セクションを参照してください。
CVE-2024-20307: この脆弱性のエクスプロイトには、デバイスの buffers huge size コマンドが 32,767 より大きい値に設定されていることが必要です。
IKEv1 フラグメンテーションの設定を確認する
IKEv1フラグメンテーションが有効になっているかどうかを確認するには、show running-config | include crypto isakmp fragmentation コマンドを実行します。以下の例に示すように、コマンドによって出力が返される場合は IKEv1 フラグメンテーションが有効になっています。
router#show running-config | include crypto isakmp fragmentation
crypto isakmp fragmentation
デバイスの IKEv1 の設定を確認する
以下に示すように、さまざまなタイプの VPN を含む機能で IKEv1 が使用されます。
- Dynamic Multipoint VPN(DMVPN)
- FlexVPN
- Group Encrypted Transport VPN(GET VPN)
- LAN 間 VPN
- リモート アクセス VPN(SSL VPN を除く)
IKEv1 がデバイスに設定されているかどうかを確認するための推奨される方法は、show ip sockets または show udp の EXEC コマンドを実行することです。デバイスの UDP ポート 500、UDP ポート 4500、UDP ポート 848(GDOI)が開放されている場合、そのデバイスは IKEv1 パケットを処理しています。
以下の例は、UDP ポート 500 および UDP ポート 4500 で IKEv1 パケットを処理しているデバイスでの show udp コマンドの出力を示しています。このデバイスでは、IPv4 またはIPv6 を使用しています。
router# show udp
Proto Remote Port Local Port In Out Stat TTY OutputIF
17 --listen-- 192.168.130.21 500 0 0 1001011 0
17(v6) --listen-- UNKNOWN 500 0 0 1020011 0
17 --listen-- 192.168.130.21 4500 0 0 1001011 0
17(v6) --listen-- UNKNOWN 4500 0 0 1020011 0
.
.
.
router#
buffers huge 設定の確認(CVE-2024-20307 にのみ必要)
buffers huge size がデフォルト値から変更されているかどうかを確認するには、show running-config | include buffers huge コマンドを実行し、出力が返されることを確認します。以下の例に示すように、コマンドが出力を返し、buffers huge size の値が 32,767 より大きい場合、デバイスは脆弱であると考えられます。
router#show running-config | include buffers huge
buffers huge size 50000
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が以下のシスコ製品には影響を与えないことを確認しました。
- 適応型セキュリティ アプライアンス ソフトウェア
- Firepower Threat Defense ソフトウェア
- IOS XR ソフトウェア
- Meraki 製品
- NX-OS ソフトウェア
詳細
これらの脆弱性は依存関係にはなく、いずれかの脆弱性をエクスプロイトするために、他の脆弱性をエクスプロイトする必要はありません。また、いずれかの脆弱性の影響を受けるリリースであっても、他の脆弱性の影響は受けない場合があります。
脆弱性の詳細は以下のとおりです。
CVE-2024-20308:Cisco IOS および IOS XE ソフトウェアの IKEv1 フラグメンテーションのヒープアンダーフローによるサービス妨害(DoS)の脆弱性
Cisco IOS ソフトウェアおよび Cisco IOS XE ソフトウェアの IKEv1 フラグメンテーションコードにおける脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、ヒープアンダーフローを引き起こし、影響を受けるデバイスがリロードされる可能性があります。
この脆弱性は、細工されフラグメント化された IKEv1 パケットが適切に再構成されないために発生します。細工された UDP パケットが該当システムに送信されると、本脆弱性がエクスプロイトされる危険性があります。エクスプロイトに成功すると、攻撃者が該当デバイスをリロードできるようになり、その結果サービス妨害(DoS)状態が発生する可能性があります。
注:本脆弱性をエクスプロイトする目的で使用できるのは、影響を受けるシステム宛てのトラフィックに限られます。また、この脆弱性は、IPv4 トラフィックと IPv6 トラフィックでトリガーされる可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。本脆弱性に対処する回避策がいくつかあります。
バグ ID:CSCwh66334
CVE ID:CVE-2024-20308
セキュリティ影響評価(SIR):高
CVSS ベーススコア:8.6
CVSS ベクトル:CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:C/C:N/I:N/A:H
CVE-2024-20307:Cisco IOS および IOS XE ソフトウェアの IKEv1 フラグメンテーションのヒープオーバーフローによるサービス妨害(DoS)の脆弱性
Cisco IOS ソフトウェアおよび Cisco IOS XE ソフトウェアの IKEv1 フラグメンテーションコードにおける脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、ヒープオーバーフローを引き起こし、影響を受けるデバイスがリロードされる可能性があります。
この脆弱性は、細工されフラグメント化された IKEv1 パケットが適切に再構成されないために発生します。細工された UDP パケットが該当システムに送信されると、本脆弱性がエクスプロイトされる危険性があります。不正利用に成功すると、攻撃者は該当デバイスのリロードを引き起こし、その結果 DoS 状態が発生する可能性があります。
注:本脆弱性をエクスプロイトする目的で使用できるのは、影響を受けるシステム宛てのトラフィックに限られます。また、この脆弱性は、IPv4 トラフィックと IPv6 トラフィックでトリガーされる可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。本脆弱性に対処する回避策がいくつかあります。
バグ ID:CSCwf11183
CVE ID:CVE-2024-20307
セキュリティ影響評価(SIR):中
CVSS ベーススコア:6.8
CVSS ベクトル:CVSS:3.1/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:C/C:N/I:N/A:H
回避策
CVE-2024-20308:この脆弱性に対処する回避策はありません。IKEv1 フラグメンテーションを無効化する
IKEv1 フラグメンテーションを無効化するには、以下の例のコマンドを使用します。
Router# configure terminal
Router(config)#no crypto isakmp fragmentation
Router(config)#end
Router#
CVE-2024-20307:本脆弱性に対処する回避策がいくつかあります。buffers huge の設定をデフォルト値に戻すか、IKEv1 フラグメンテーションを無効化します。
buffers huge の設定をデフォルト値に戻すには、以下の例のコマンドを使用します。
Router# configure terminal
Router(config)#default buffers huge size
Router(config)#end
Router#
IKEv1 フラグメンテーションを無効化するには、以下の例のコマンドを使用します。
Router# configure terminal
Router(config)#no crypto isakmp fragmentation
Router(config)#end
Router#
IKE v1 フラグメンテーション機能は、大きな IKE パケットを一連の小さな IKE パケットに断片化して、UDP レイヤでの断片化を回避します(たとえば、大規模な証明書ペイロードや証明書リクエストペイロード)。ステートフル パケット インスペクション用に設定されたファイアウォールなど、一部のサードパーティベンダーのデバイスでは、UDP フラグメントがフラグメンテーション攻撃の一部である場合はそのパススルーを許可しません。
これらの回避策は導入されており、テスト環境では実証済みですが、お客様は、ご使用の環境および使用条件において適用性と有効性を判断する必要があります。また、導入されている回避策または緩和策が、お客様固有の導入シナリオおよび制限に基づいて、ネットワークの機能やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があることに注意してください。回避策や緩和策は、ご使用の環境への適用性と環境への影響を評価した後で導入してください。
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。通常のソフトウェアアップデートが含まれるサービス契約をお持ちのお客様は、通常のアップデートチャネルからセキュリティ修正を取得する必要があります。
お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
Cisco.com の シスコサポート & ダウンロードページには、ライセンスとダウンロードに関する情報が記載されています。このページには、[マイデバイス(My Devices)] ツールを使用するお客様のカスタマーデバイスサポート範囲も表示できます。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、シスコ セキュリティ アドバイザリ ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性とアップグレード ソリューション一式を確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したがシスコのサービス契約をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを購入先から入手できない場合は、Cisco TAC(https://www.cisco.com/c/ja_jp/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html)に連絡してアップグレードを入手してください。
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェア
お客様が Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断できるように、シスコは Cisco Software Checker を提供しています。このツールを使うことで、特定のソフトウェアリリースに関連するすべてのシスコ セキュリティ アドバイザリを検索でき、それぞれのアドバイザリで言及された脆弱性を修正した最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。また、該当する場合には、Software Checker により判別されたすべてのアドバイザリに記載のすべての脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
このツールを使用するには、「Cisco Software Checker」ページの手順に従います。あるいは、次のフォームを使用して、シスコ セキュリティ アドバイザリに該当するリリースであるかどうかを確認します。このフォームを使用するには、次の手順に従います。
- ツールで検索するアドバイザリを選択します。このアドバイザリのみ、セキュリティ影響評価(SIR)が「重大」または「高」のアドバイザリのみ、すべてのアドバイザリのいずれかです。
- リリース番号(15.9(3)M2、17.3.3 など)を入力します。
- [チェック(Check)] をクリックします。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
CVE-2024-20307 は、Cisco Advanced Security Initiatives Group(ASIG)の X.B による内部セキュリティテストで発見されました。
CVE-2024-20308 は、Cisco Advanced Security Initiatives Group(ASIG)による内部セキュリティテストで発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
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1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2024 年 3 月 27 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
本アドバイザリの記述内容に関して情報配信の URL を省略し、単独の転載や意訳を施した場合、当社が管理した情報とは見なされません。そうした情報は、事実誤認を引き起こしたり、重要な情報が欠落していたりする可能性があります。 このドキュメントの情報は、シスコ製品のエンドユーザを対象としています。