High
High
日本語による情報は、英語による原文の非公式な翻訳であり、英語原文との間で内容の齟齬がある場合には、英語原文が優先します。
概要
Cisco IOS ソフトウェアおよび Cisco IOS XE ソフトウェアにおけるインターネット キー エクスチェンジ バージョン 2(IKEv2)の実装における脆弱性により、認証されていないリモートの攻撃者が、IKEv2 で新しいセキュリティ アソシエーションを確立できなくする可能性があります。
この脆弱性は、巧妙に細工された IKEv2 SA-Init パケットの処理が適切でないことに起因します。攻撃者は、巧妙に細工された IKEv2 SA-Init パケットを影響を受けるデバイスに送信することで、この脆弱性をエクスプロイトする可能性があります。エクスプロイトすることで、攻撃者は影響を受けるデバイスの着信ネゴシエーション数を上限に到達させ、新たな IKEv2 セキュリティ アソシエーションが形成されないようにする可能性があります。
シスコはこの脆弱性に対処するソフトウェアアップデートをリリースしています。この脆弱性に対処する回避策はありません。
このアドバイザリは、次のリンクより確認できます。
https://sec.cloudapps.cisco.com/security/center/content/CiscoSecurityAdvisory/cisco-sa-ikev2-9p23Jj2a
このアドバイザリは、2020 年 6 月 3 日に公開された 25 件の脆弱性に関する 23 件のシスコ セキュリティ アドバイザリを含む Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアリリースのセキュリティ アドバイザリ バンドルの一部です。アドバイザリとリンクの一覧については、『シスコイベントレスポンス:Cisco IOSおよびIOS XEソフトウェアに関するセキュリティアドバイザリ公開資料(半年刊、2020年6月)』を参照してください。
該当製品
脆弱性のある製品
この脆弱性は、Cisco IOS または IOS XE ソフトウェアの脆弱性が存在するリリースを実行し、 IKEv2 機能が設定されているシスコデバイスに影響を与えます。
IKEv1 機能のみが設定されているデバイスは影響を受けません。
脆弱性が存在する Cisco IOS および IOS XE のリリースに関する詳細ついては、このアドバイザリの「修正済みソフトウェア」のセクションを参照してください。
IKEv2 は、次に示すさまざまな VPN タイプを含む、多くの機能で使用できます。
- LAN 間 VPN
- リモートアクセス VPN(SSL VPN を除く)
- Dynamic Multipoint VPN(DMVPN)
- FlexVPN
- Group Encrypted Transport VPN(GET VPN)
IKEv2 が有効になっているかどうかの評価
1. デバイスにIKE(バージョン1または2)が設定されているかどうかを評価する
管理者は、CLI で show ip sockets または show udp EXEC コマンドを使用して、IKE 処理が有効になっているかどうかを確認できます(IKEv1 と IKEv2 では同じポート番号が使用されるため、IKEv1 と IKEv2 の両方について表示されます)。UDP ポート 500、UDP ポート 848、UDP ポート 4500、UDP ポート 4848 のいずれかがデバイスでオープンされている場合、そのデバイスは IKE パケットを処理しています。
次の例は、UDP ポート 500 および UDP ポート 4500 で IKE パケットを処理しているデバイスでの show udp コマンドの出力を示します。このデバイスでは、IP バージョン 4(IPv4)または IP バージョン 6(IPv6)を使用しています。
router# show udp
Proto Remote Port Local Port In Out Stat TTY OutputIF
17 --listen-- 192.168.130.21 500 0 0 1001011 0
17(v6) --listen-- UNKNOWN 500 0 0 1020011 0
17 --listen-- 192.168.130.21 4500 0 0 1001011 0
17(v6) --listen-- UNKNOWN 4500 0 0 1020011 0
.
.
router#
コマンドから出力が返されない場合、またはエラーが返される場合、そのデバイスは脆弱ではありません。デバイスから IKE 用の前述の UDP ポートのいずれかに関する出力が返される場合は、次の手順に進みます。
2. デバイスのIKE設定がIKEv2を使用しているかどうかを評価する
show udp コマンドの結果に、デバイスが IKE トラフィックをリッスンしていることが示されている場合 、管理者は CLI コマンド show running-config | include ikev2|gikev2 入力して、デバイスが IKEv2 を使用するように設定されているか評価できます。コマンドから出力が返される場合、IKEv2 または G-IKEv2 トラフィックを処理するように設定されている可能性が高いため、影響を受けます。
注:一部のお客様は、IKEv2コマンドを入力したにもかかわらず、適切な機能に関連付けなかったことがあります。すべての設定を確認するか、さまざまな show crypto ikev2 CLI コマンドの出力を調べて、IKEv2 が適切に設定されているか確認できます。
脆弱性を含んでいないことが確認された製品
このアドバイザリの脆弱性のある製品セクションに記載されている製品のみが、この脆弱性の影響を受けることが分かっています。
シスコは、この脆弱性が Cisco IOS XR ソフトウェアまたは Cisco NX-OS ソフトウェアには影響を与えないことを確認しました。
詳細
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェアは、IPv4 および IPv6 通信に対して IKEv2 をサポートしています。IKEv2 通信は次の UDP ポートを使用できます。
- UDP ポート 500
- UDP ポート 848、Group Domain of Interpretation(GDOI)
- UDP ポート 4500、ネットワーク アドレス変換トラバーサル(NAT-T)
- UDP ポート 4848、GDOI NAT-T
攻撃者が、IPv4 または IPv6 で上記リストの UDP ポートのいずれかを使用し、この脆弱性を不正利用する可能性があります。トラフィックは、影響を受けるデバイスをターゲットにする必要があります。
回避策
この脆弱性に対処する回避策はありません。
デバイスが max-in-negotiation-sa の制限に達し、自動的にクリアされない場合、in-negotiation キューをクリアする方法はありません。デバイスを回復する唯一の方法は、電源の再注入です。攻撃の送信元が特定されて停止している場合、次の例に示すように、管理者は、max-in-negotiation-sa キューのサイズを増やすことができます。設定済みの max-in-negotiation-sa キューを増やすことで、電源の再注入がスケジュール可能になるまで、デバイスを機能させることができます。
Router#configure terminal Router(config)#crypto ikev2 limit max-in-negotiation-sa 300 Router(config)#end Router#
修正済みソフトウェア
シスコはこのアドバイザリに記載された脆弱性に対処する無償のソフトウェアアップデートをリリースしています。お客様がインストールしたりサポートを受けたりできるのは、ライセンスをご購入いただいたソフトウェア バージョンとフィーチャ セットに対してのみとなります。そのようなソフトウェアアップグレードをインストール、ダウンロード、アクセスまたはその他の方法で使用した場合、お客様は以下のリンクに記載されたシスコのソフトウェアライセンスの条項に従うことに同意したことになります。
https://www.cisco.com/c/en/us/products/end-user-license-agreement.html
また、お客様がソフトウェアをダウンロードできるのは、ソフトウェアの有効なライセンスをシスコから直接、あるいはシスコ認定リセラーやパートナーから取得している場合に限ります。通常、これは以前購入したソフトウェアのメンテナンス アップグレードです。無償のセキュリティ ソフトウェア アップデートによって、お客様に新しいソフトウェア ライセンス、追加ソフトウェア フィーチャ セット、またはメジャー リビジョン アップグレードに対する権限が付与されることはありません。
ソフトウェアのアップグレードを検討する際には、[シスコのセキュリティアドバイザリおよびアラート(Cisco Security Advisories and Alerts)] ページで入手できるシスコ製品のアドバイザリを定期的に参照して、侵害を受ける可能性と完全なアップグレード ソリューションを確認してください。
いずれの場合も、アップグレードするデバイスに十分なメモリがあること、および現在のハードウェアとソフトウェアの構成が新規リリースで引き続き正しくサポートされていることを十分に確認してください。不明な点については、Cisco Technical Assistance Center(TAC)もしくは契約しているメンテナンスプロバイダーにお問い合わせください。
サービス契約をご利用でないお客様
シスコから直接購入したが Cisco Service Contract をご利用いただいていない場合、また、サードパーティベンダーから購入したが修正済みソフトウェアを POS から入手できない場合は、Cisco TAC に連絡してアップグレードを入手してください。
https://www.cisco.com/c/en/us/support/web/tsd-cisco-worldwide-contacts.html
無償アップグレードの対象製品であることを証明していただくために、製品のシリアル番号と、本アドバイザリの URL をご用意ください。
Cisco IOS および IOS XE ソフトウェア
Cisco IOS ソフトウェアおよび IOS XE ソフトウェアの脆弱性による侵害の可能性を判断できるよう、シスコでは Cisco Software Checker を提供しています。このツールにより、特定のソフトウェアリリースに該当するシスコ セキュリティ アドバイザリ、および各アドバイザリで説明されている脆弱性が修正された最初のリリース(「First Fixed」)を特定できます。また該当する場合、そのリリースに関するすべてのアドバイザリの脆弱性が修正された最初のリリース(「Combined First Fixed」)を特定できます。
お客様は、Cisco Software Checker を使用して次の方法でアドバイザリを検索できます。
- ソフトウェアと 1 つ以上のリリースを選択します。
- 特定のリリースのリストを含む .txt ファイルをアップロードする
- show version コマンドの出力を入力する
検索を開始した後で、すべてのシスコ セキュリティ アドバイザリ、特定のアドバイザリ、または最新の公開資料に記載されているすべてのアドバイザリが含まれるように検索をカスタマイズできます。
また、次のフォームで15.1(4)M2や3.13.8SなどのCisco IOSソフトウェアリリースまたはIOS XEソフトウェアリリースを入力して、そのリリースがCisco Security Advisoryのいずれかに該当するかどうかを確認することもできます。
デフォルトでは、Cisco Software Checker の結果には、Security Impact Rating(SIR)が「重大」または「高」の脆弱性だけが含まれます。「中間」の SIR 脆弱性の結果を含めるには、Cisco.com にある Cisco Software Checker を使用して、検索をカスタマイズするときに [影響の評価(Impact Rating)] の下にあるドロップダウンリストの [中間(Medium)] チェックボックスをオンにします。
Cisco IOS XE ソフトウェア リリースと Cisco IOS ソフトウェア リリースのマッピングについては、Cisco IOS XE ソフトウェアのリリースに応じて「Cisco IOS XE 2 Release Notes」、「Cisco IOS XE 3S Release Notes」、または「Cisco IOS XE 3SG Release Notes」を参照してください。
不正利用事例と公式発表
Cisco Product Security Incident Response Team(PSIRT)は、本アドバイザリに記載されている脆弱性の不正利用事例やその公表を確認していません。
出典
この脆弱性は Cisco TAC サポートケースの解決中に発見されました。
URL
改訂履歴
バージョン | 説明 | セクション | ステータス | 日付 |
---|---|---|---|---|
1.0 | 初回公開リリース | — | Final | 2020 年 6 月 3 日 |
利用規約
本アドバイザリは無保証のものとしてご提供しており、いかなる種類の保証も示唆するものではありません。 本アドバイザリの情報およびリンクの使用に関する責任の一切はそれらの使用者にあるものとします。 また、シスコは本ドキュメントの内容を予告なしに変更したり、更新したりする権利を有します。
本アドバイザリの記述内容に関して情報配信の URL を省略し、単独の転載や意訳を施した場合、当社が管理した情報とは見なされません。そうした情報は、事実誤認を引き起こしたり、重要な情報が欠落していたりする可能性があります。 このドキュメントの情報は、シスコ製品のエンドユーザを対象としています。