仮想パス トンネル インターフェイス(VPI)は、さまざまなソース(ATM インターフェイス)からの仮想チャネル(VC)がインターフェイス上の仮想パスに集約された ATM スイッチ(LS1010 および Catalyst 8540-MSR)の多重化/逆多重化ポイントです。VP は、トラフィックが WAN 経由で伝送される場合に多く使用されます。VP は、すべてが同じ VPI 番号を持つ、複数の VC で構成される ATM 接続です。これらは VP スイッチングを処理する ATM スイッチを通過します。
このドキュメントでは、VP トンネルとスイッチングに関する主要な概念について説明しています。また、関連する設定例やその他の参考資料へのリンクも紹介しています。このドキュメントでは、LS1010、Catalyst 8510-MSR、Catalyst 8540-MSR エンタープライズ ATM スイッチを重点的に取り上げています。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。
VP スイッチングは LS1010 および Catalyst 8540-MSR でサポートされます。
VP トンネル インターフェイスは、LS1010、Catalyst 8540-MSR、7200 ルータ(PA-A2 または PA-A3 搭載)、7500 シリーズ ルータ(PA-A3 搭載)でサポートされます。
CBRサービスカテゴリの整形VPトンネルは、LS1010(FC-PFQ搭載)、Catalyst 8510-MSR、Catalyst 8540-MSR、PA-A3搭載7500シリーズルータ、およびPAシリーズでサポートされていますPA-A6を搭載した7500シリーズルータ、およびPA-A6を搭載した7200シリーズルータ。CBR VPトンネル内のすべてのVCは、同じサービスカテゴリである必要があります。整形VPトンネルは、Cisco IOS®ソフトウェアリリース11.2(8.0.1)FWA4で最初にサポートされます。Cisco IOSソフトウェアリリース11.1およびWA3リリーストレインは、整形VPトンネルをサポートしません。11.3(0.8)TWA4 以降の Cisco IOS ソフトウェア リリースの場合、整形 VP トンネルは、整形トンネル内の non-CBR サービス カテゴリ VC 用にサポートされています。整形 VP トンネルをサポートしていない、これ以前のソフトウェア バージョンの場合、整形 CBR トンネル内の VC は CBR サービス カテゴリに属する必要があります。
LS1010(FC-PCQまたはFC-PFQを使用)、Catalyst 8540-MSR、Catalyst 8510-MSR、PA-A3および7500シリーズルータで、あらゆるサービスカテゴリの非整形VPトンネルがサポートされますPA-A2またはPA-A3を搭載した00シリーズルータ、PA-A6を搭載した7500シリーズルータ、およびPA-A6を搭載した7200シリーズルータ。Cisco IOSソフトウェアリリース11.2、11.3、または1.0では、この2.0が0。非整形トンネル内の VC は、非整形 VP トンネルと同じサービス カテゴリであることが必要です。
CBR サービス カテゴリの階層 VP トンネルは、LS1010(FC-PFQ 搭載)、Catalyst 8510-MSR、Catalyst 8540-MSR でサポートされます。最小ソフトウェア要件は Cisco IOS の W5 群です。階層 VP トンネル内の VC は、複数のサービス カテゴリに属する場合があります。
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。
ATM 接続は、VC(仮想チャネル)と VP(仮想パス)に大別されます。 これらは、識別される方法、つまり、スイッチング方式に違いがあります。VC は、VPI 番号と VCI 番号に基づいて ATM スイッチのポート上で一意に識別されます。VP は、VPI 番号のみに基づいて ATM ポート上で一意に識別されます。VP は、ATM ポート上で特定の VPI 番号を持つあらゆる VC を束ねたパスであるといえます。
VC に到着する ATM セルは、セル ヘッダーの VPI と VCI の両方の番号に基づいてスイッチングされます。一方、VP に到着する ATM セルは、VPI 番号のみに基づいてスイッチングされます。ATM スイッチの設定に基づき、特定の VPI/VCI ペアまたは個々の VPI に対して、スイッチが VC スイッチングまたは VP スイッチングのどちらを行うかが決定します。VPI 番号のみに基づいて行われるスイッチングを、VP スイッチングと呼びます。VP ではすべての VC の VCI 番号が全く変わらないことに注意してください。つまり、VP のすべての VC は、VP のイングレスとイーグレス(エンド ツー エンド)で同じ VCI 番号を持ちます。
VP トンネル インターフェイスは VP の終端ポイントです。これは、VP と VC のスイッチング ドメイン間の境界点と考えることができます。VP トンネル インターフェイスで、ATM スイッチは VC を VP に多重化/逆多重化します。つまり、複数、または同一のスイッチ ポートからの VC を VP に集約します。
VP は WAN で最も頻繁に使用されます。サービス プロバイダーが VP を提供する場合、契約時に VP(CBR、VBR-rt、VBR-nrt、UBR、ABR)のサービス カテゴリと、VP のトラフィック パラメータが指定されます。契約が順守されていることを確認するため、サービス プロバイダーは契約時に定めたトラフィック パラメータに基づいてネットワークのポリシングを行います。ポリシングが原因でセル ドロップが発生しないようにするため、顧客宅内機器(CPE)にトラフィック シェーピングを実装する必要があります。また、ポリシングは個々の VC 上ではなく集約 VC として VP に設定されるため、CPE でトラフィックをシェーピングする必要があります。CPE でのトラフィック シェーピングは、整形 VP トンネルで最も一般的に行われています。トンネル内の各 VC には個々のトラフィック保証が提供されることに注意してください。CBR整形VPトンネルは、FC-PFQを搭載したLS1010、Catalyst 8540-MSR、PA-A2を搭載した7200、PA-A2またはPA-A3を搭載した75000000 FC-PCQ(フィーチャカード1)を搭載した10では、整形VPトンネルはサポートされません。Cisco Enterprise ATM スイッチの整形 VP トンネルにはもう 1 つ、単一の VP トンネル内のすべての VC が同じサービス カテゴリに属している必要がある、という制限事項があります。制限事項や要件に関する詳細については、「使用するコンポーネント」のセクションを参照してください。
整形 VP トンネルの最新の制限事項に対処するため、Cisco Enterprise ATM スイッチに階層 VP トンネルが実装されました。階層 VP トンネルでは、異なるサービス カテゴリの VC を同じ VP トンネルに共存させることができます。階層 VP トンネルを利用することで、ユーザはさまざまなサービス カテゴリをサポートするためにサービス プロバイダーから複数の VP を購入する必要がなくなります。ただし、階層 VP トンネルを利用しても、サポートされるのは CBR 整形トンネルだけであることに注意してください(たとえば、VP トンネルは CBR サービス カテゴリとして定義されている場合にのみ整形できます)。 ただし、多くのサービス プロバイダーは CBR VP を提供しているため、この制限事項はそれほど限定的なものとはいえません。
Cisco Enterprise スイッチには、3 つの異なるタイプの VP トンネルがあります。
通常または非整形 VP トンネル:どの ATM サービス カテゴリに対してもトラフィック シェーピングを行わない VP トンネル。この VP トンネルはどのサービス カテゴリにも指定できますが、シェーピングすることができません。トンネル内の VC は、VP トンネルと同じサービス カテゴリにする必要があります。VP のサービス プロバイダーがポリシングを行っている場合、サービス プロバイダー ネットワークで接続にセル ドロップが発生する可能性が高くなります。
整形 VP トンネル:トラフィック シェーピングされた VP トンネル。これらは Cisco Enterprise ATM スイッチの CBR サービス カテゴリでのみ指定されています。トンネル内の VC を CBR サービス カテゴリにする必要があるか、他のサービス カテゴリでも構わないかは、IOS のバージョンによって異なります。ただし、1 つの VP トンネル内にあるすべての VC は、同じサービス カテゴリにする必要があります。トンネル内の VC は、個々の VC に指定されたトラフィック パラメータにシェーピングされることに注意してください。また、複数のサービス カテゴリの VC を VP トンネル経由で伝送する必要がある場合、複数の VP トンネルを購入して設定する必要があります。たとえば、回線エミュレーション VC(CBR)と LANE VC(UBR)を 2 つのサイト間で伝送する必要がある場合、1 つの VP トンネルだけでは転送できないため、2 つの VP トンネルを購入する必要があります。両方の VP トンネルは CBR トンネルにして、1 つを CBR VC 用に、もう 1 つを UBR VC 用に使用します。
階層 VP トンネル:トラフィック シェーピングされ、複数のサービス カテゴリの VC の共存をサポートする VP トンネル。ただし、シェーピングは CBR VP トンネルに対してのみサポートされます。階層トンネル内の VC はどのサービス カテゴリにも指定でき、複数のサービス カテゴリの VC を同じ VP トンネルに共存させることができます。先に述べた 2 つのサイト間で LANE と CES の VC を伝送する必要がある例では、2 つの VP トンネルを購入する必要はありません。VP トンネルを 1 つ購入して階層 VP トンネルとして設定すれば、UBR も CBR も両方の VC を 1 つの CBR VP で伝送できます。
整形 VP トンネルには次の制限事項が適用されます。
LS1010(FC-PFQ 付き)および Catalyst 8510-MSR は最大で 2 X 64=128 の整形 VP トンネルをサポートします。x/0/y の番号付きポート上にある 64 の整形 VP トンネルと、x/1/y の番号付きポート上の 64。
Catalyst 8540-MSR は最大で 8 X 64=512 の整形 VP トンネルをサポートします。次の各々のインターフェイス グループに、最大 64 の整形 VP トンネルを指定できます。(0/0/x, 1/0/x)、(0/1/x, 1/1/x)、(2/0/x, 3/0/x)、(2/1/x,3/1/x)、(9/0/x, 10/0/x)、(9/1/x, 10/1/x)、(11/0/x, 12/0/x)、(11/1/x, 12/1/x)。
整形 VP トンネルの帯域幅は、厳密なRR(ラウンドロビン)方式により、トンネル内部のアクティブ VC で共有されます。
整形 VP トンネルは、タグ スイッチングにマージされた VC をサポートしません。
UBR+ およびゼロ以外の MCR を持つ ABR VC は、整形 VP トンネル インターフェイスでは許可されていません。
最大で 128 の VC が、整形 VP トンネル インターフェイスを通過できます。
階層 VP トンネルには次の制限事項が適用されます。
LS1010(FC-PFQ 搭載)、Catalyst 5500(ASP および FC-PFQ 搭載)、および Catalyst 8510-MSR は、最大 62 の階層 VP トンネルをサポートします。
階層 VP トンネルは、LS1010 および Catalyst 8510-MSR のスロット 0 と 3 のポート上にのみ指定できます。階層 VP トンネルは、ASP と FC-PFQ を搭載した Catalyst 5500 のスロット 9 と 11 に指定できます。
FC-PFQ と ASP-B を装備した LS1010 は、ポート 0/0/z と 3/0/z を合わせて最大 30 の階層 VP トンネルをサポートし、ポート 0/1/z と 3/1/z を合わせて最大 32 の VP トンネル をサポートします。show hardware コマンドを使用して ASP と機能カードのタイプを確認してください。
FC-PFQ と ASP-C を装備した LS1010、および Catalyst 8510-MSR は、tunnels on ポート 0/y/z では最大 30 の階層 VP トンネルをサポートし、ポート 3/y/z では最大 32 をサポートします。
最大 30 をサポートする、ASP および FC-PFQ 搭載の Catalyst 5500 において、階層 VP トンネルは 9/0/z と 11/0/7 の組み合せポート上に指定できます。9/1/z と 11/1/z の組み合せポートには、最大 32 の階層 VP トンネルを指定できます。
Catalyst 8540-MSR では、階層 VP トンネルはスロット 0、2、9、11 に指定できます。
階層VPトンネルの最大数は、120 ~ 240の範囲で異なります。これは、使用するPAMのタイプによって異なります。すべてのポートがスーパーPAM(フル幅モジュール)の場合、サポートされるVPトンネルの最大数は240です。インストールされているすべてのポートがLS1010 PAMを搭載したスーパーCAMの場合、階層VPトンネルの最大数は1220です。
階層 VP トンネルは、同じ物理インターフェイス上で、その他の接続タイプとは共存できません(VC、VP、タグ VC、通常または整形 VP トンネルなど)。階層 VP トンネルと同じ物理インターフェイスで共存可能な唯一の接続タイプは、追加の階層 VP トンネルと既知の VC になります(シグナリング 0/5、PNNI、0/18、ILMI 0/16 など)。
階層 VP トンネルは、ATM フォーラム VC またはタグ VC のどちらか 1 つのみをサポートし、同時に両方サポートすることはできません。
ポートに階層 VP トンネルが設定された PAM の活性挿抜(OIR)の実行中は、階層トンネルの設定が保持されます。そのため、同じ PAM を挿入し直すと、階層 VP トンネルは自動的にアクティブになります。しかし、異なるタイプの PAM を挿入する場合は、PAM を物理的に取り外す前に、設定されている(取り外すポートにある)階層 VP トンネルを削除しておくことを強く推奨します。
ATM 仮想回線は、ローカル(2 つの隣接する ATM スイッチまたは 2 つの CPE間のリンク上)に存在し、VPI(仮想パス識別子)と VCI(仮想チャネル識別子)の 2 つの識別子を持ちます。 この 2 つの識別子は、一般に VPI/VCI ペアと呼ばれています。VPI 番号と VCI 番号は ATM セル ヘッダーの構成要素であるため、各 ATM セルで伝送されます。識別子が 1 つしかないフレーム リレーとは異なり、識別子が 2 つあるため、2 種類の ATM 接続、VP(仮想パス)と VC(仮想チャネル)を使うことができます。 この階層により、多数の VC を必要とするサイト間の VC を 1 つの「太い」パイプに集約できます。
ATM スイッチは、VC と VP の両方の ATM セルを切り替えます。ATM スイッチが VC のセルをスイッチングするように設定されている場合、スイッチングの決定に VPI と VCI の両方のフィールドを確認する必要があります。スイッチングは、VC の入力側と出力側のタプル(ポート、VPI、VCI)を含むテーブルに基づいて行われます。Cisco ATM スイッチでは、show atm vc コマンドを使ってこのテーブルを表示できます。また、ポートと VPI 番号にのみ基づいてセルを切り替えるように ATM スイッチを設定することもできます。これは、VP スイッチングと呼ばれます。VP スイッチングの場合、ATM スイッチは入力と出力の(ポート、VPI)ペアで構成されたテーブルを使用します。Cisco ATM スイッチでは、show atm vp コマンドを使って、このテーブルを表示できます。VP スイッチングの場合、ATM スイッチはスイッチングの決定に各 ATM セルの VPI フィールドのみを確認できればよいことに注目してください。これにより、処理時間が短縮されます。セル ヘッダーの書き換えについても同じことがいえます。たとえば VC スイッチングの場合、セル ヘッダーの VPI と VCI の両方のフィールドが書き換えられ、変更される場合があります。しかし、VP スイッチングでは VPI フィールドのみが変更され、VCI フィールドはエンド ツー エンドで変更されません。
VP は常に VP トンネル インターフェイスで終了します。VP トンネルは、ATM スイッチまたはルータ上で設定される仮想インターフェイスです。VP トンネルは、複数のインターフェイス(または同一インターフェイス)からの複数の VC を、VP トンネル インターフェイスに多重化/逆多重化します。多重化する場合、VP を通過する VC の VPI フィールドを、この VP の VPI 番号と同じ番号に変更します。一方、VCI 番号は任意で構いません。ただし、特定の VC では、両方の VP トンネル インターフェイス(発信側と着信側)で VCI 番号を同じにする必要があります。
show version - Cisco IOS のリリースを検出し、設定の実装に必要な IOS がインストールされていることを確認するのに使用します。
show running-config - 設定を確認し、すべての設定が正しく行われていることを確認するのに使用します。
Show interface x/y/z - インターフェイスとライン プロトコルが稼働していることを確認するのに使用します(エラー カウンタも表示されます)。 このコマンドではまた、すべてのサブインターフェイス(設定されている VP トンネルなど)も一覧表示されます。
show interface x/y/z.n - 「n」は VP トンネルの VPI 番号です。このコマンドでは、VP トンネルのサブインターフェイスに固有の情報が表示されます。
show atm vp - 設定されているトンネルのタイプ、または VP スイッチングが設定されているかどうかを表示します。
show atm VP interface x/y/z.n - VPI=n の VP トンネルに関する詳細情報をすべて表示します。STATUS にトンネルの種類が正しく表示されていることを確認してください。Rx および Tx サービス カテゴリが正しく設定されていることを確認してください(サービス プロバイダーから購入した VP と同じカテゴリである、など)。 指定したトラフィック パラメータ(PCR、SCR、MCR、CDVT、MBS)が正しく設定されていることを確認してください。
show atm vc interface atmx/y/z.n - VPI=n の VP トンネルを通過する VC をすべて表示します。
show atm vc interface atmx/y/z.n n m - VPI=n の VP トンネルを通過する、VPI/VCI=n/m の VC に関する詳細情報を表示します。このコマンドでは、show atm VP interface x/y/z n コマンドで表示される VP の詳細情報と同じものが表示されます。
show atm resource - 階層スケジューリングが有効になっているかどうかを確認するのに使用します。
show atm interface resource atmx/y/z - 物理インターフェイス atmx/y/z 上のすべての接続で割り当てられているリソースを確認するのに使用します。また、このインターフェイスで使用可能な全リソースも表示します。
show atm interface resource atmx/y/z.n - VPI=n の VP 内のすべての VC で割り当てられているリソースを確認するのに使用します。また、この VP トンネルで使用可能な全リソースも表示します。特定のトラフィック パラメータを指定した VC が VP トンネルで確立できるかどうかを調べたい場合に非常に便利なコマンドです。