このドキュメントでは、Quality of Service(QoS)機能の実装に、Cisco Express Forwarding(CEF)が必要とされる場合について説明しています。
このドキュメントでは、モジュラ QoS Command Line Interface(QoS CLI; Qos コマンド行インターフェイス)を使用して設定する QoS 機能についても説明しています。MQC とは、トラフィック ポリシーの構築や、それらのポリシーをインターフェイスへ割り当てるために使用する CLI の構造です。トラフィック ポリシーには、トラフィック クラスと 1 つ以上の QoS 機能が含まれます。トラフィック クラスは、トラフィックの分類に使用されます。また、トラフィック ポリシーの QoS 機能によって、分類されたトラフィックの処理方法が判別されます。詳細は、『モジュラ Quality of Service コマンド行インターフェイスの概要』を参照してください。
このドキュメントの読者は、モジュラ QoS CLI を使用して、または使用しないで Cisco ルータに QoS を設定する方法を、理解している必要があります。
このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
CEF とは、ルータの高度なレイヤ 3 スイッチング テクノロジーです。CEF では、シスコのルータが入力インターフェイスから出力インターフェイスへパケットを転送するための、最も高速な方法を定義しています。ip cef コマンドはグローバルに CEF を有効にするもので、ip route-cache cef コマンドは特定のインターフェイスに対して CEF を有効にするものです。詳細は、『Cisco Express Forwarding の設定』を参照してください。
次に示すクラスベースの QoS 機能は、CEF が稼働しているルータでのみサポートされています。このセクションで説明している不具合についての詳細は、Bug Toolkit(登録ユーザ専用)で参照できます。
Network Based Application Recognition(NBAR)により、高度なネットワーク分類機能が利用できます。詳細は、『Network Based Application Recognition』を参照してください。
クラスベースのパケット マーキングでは、パケットのヘッダーの値を set コマンドで変更できます。Cisco IOS では、set コマンドでサービス ポリシーを割り当てる前に、ルータで CEF が稼働していることが確認されます。詳細は、『クラスベース マーキング』を参照してください。詳細は、Cisco Bug ID CSCdu63627(登録ユーザ専用)に記述されています。CEFおよびクラスベースマークに関する次の注意点に注意してください。
set コマンドで設定したサービス ポリシーが、リブートの後に失われることがあります(Cisco Bug ID CSCdw00333(登録ユーザ専用))。 この問題は、インターフェイスに CEF 構造を構築する前にインターフェイスにサービス ポリシーを割り当てた場合に発生します。したがって、サービス ポリシーでの set アクションが失敗し、そのインターフェイスにはサービス ポリシーが割り当てられません。
本来、マークすることができるのは、CEF スイッチ パケットだけでした。ルータによって生成され、プロセス交換パスを通過するパケットのクラスベース マーキングのサポートは、Cisco Bug ID CSCdt74738(登録ユーザ専用)によって導入されたものです。
Cisco Catalyst 4500シリーズスイッチでは、ポリシーマップにDSCP値またはIP優先順位を設定するコマンドがあり、スイッチでIPルーティングおよび/またはCEFが有効になっていないときに、「set」コマンドメッセージにCEFスイッチングが必要です。スイッチでルーティングが有効になっている場合は、ip cefコマンドを使用してデバイスでCEFを有効にし、サービスポリシーを適用することをお勧めします。スイッチが純粋なレイヤ2デバイスとして機能する場合、IPルーティング(およびCEF)は有効にできません。この問題を解決するには、Cisco IOS®ソフトウェアをCisco IOSソフトウェアリリース12.2(31)SG以降にアップグレードします。この問題は、Cisco Bug ID CSCsc83023(登録ユーザ専用)に記載されています。
Cisco 7500 でのクラスベース ポリシングでは、パケットを受信するインターフェイスと、パケットを送信するインターフェイスの両方で CEF を必要とし、クラスベースのトラフィック ポリシングがサポートされています。クラスベース ポリシングでは CEF スイッチ パケットだけが監視されるため、プロセス交換パケットにはこの機能は適用されません。これには、ルータを発信元あるいは宛先とするパケットが含まれます。詳細は、『トラフィック ポリシング』を参照してください。
IP to ATM Class of Service(CoS; サービス クラス)により、PA-A3 や NM-1A などの ATM ルータ インターフェイスに、高度なキューイングとその他の QoS 機能が追加されています。IP to ATM CoS 機能の前提条件は、『IP to ATM Class of Service』を参照してください。詳細は、『IP to ATM サービス クラスの概要』および『ATM 技術に関するサポート ページ』を参照してください。
AutoQoS - VoIP 機能により、QoS for VoIP トラフィックの実装とプロビジョニングが簡素化され、短時間で実行できるようになります。この機能は、auto qos voip コマンドで有効にされます。auto qos コマンドを使用する前に、インターフェイスまたは ATM PVC で CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『AutoQoS - VoIP』を参照してください。
IP および MPLS QoS サポート機能付きフレームリレー PVC バンドルでは、フレームリレー PVC バンドルを実装するルータ間で CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『IP および MPLS QoS サポート機能付きフレームリレー PVC バンドル』を参照してください。
MPLS QoS Multi-VC Mode for PA-A3 機能は、拡張 Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)ポート アダプタ(ATM PA-A3)での MPLS QoS 機能を拡張するものです。この機能を設定するには、CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『MPLS QoS Multi-VC Mode for PA-A3』を参照してください。
MQC ベースの Frame Relay Traffic Shaping(FRTS; フレーム リレー トラフィック シェーピング)機能を使用すると、モジュラ QoS CLI コマンドで FRTS を設定できます。この機能を設定するには、CEF を有効にする必要があります(Cisco 7500 以降の製品レンジのルータの場合は、dCEF が必要です)。 この機能および前提条件についての詳細は、『MQC ベースのフレーム リレー トラフィック シェーピング』を参照してください。
VRF and MQC Hierarchical Shaping in PXF 機能を使用すると、サービス プロバイダーは、パフォーマンスに大きな影響を与えることなく、PXF パスでの他の機能と同時に、PXF で VRF と MQC の階層化シェーピングを実行できます。PXF 処理を使用するには、CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『PXF での VRF と MQC の階層化シェーピング』を参照してください。
Auto QoS for the Enterprise 機能により、Cisco ネットワークへの QoS 技術の実装とプロビジョニングが簡素化され、短時間で実行できるようになります。Auto QoS を使用するには、auto discovery qos コマンドを使用して、Auto QoS テンプレートを作成する際に基にするネットワーク トラフィックを分析します。auto discovery qos コマンドを使用するには、先に CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『大企業向け自動 QoS』を参照してください。
RSVP-ATM QoS Interworking 機能では、ATM コア ネットワークでの RSVP を使用する制御された負荷サービスがサポートされます。RSVP-ATM QoS Interworking 機能を有効にする前に、CEF を有効にする必要があります(per-SVC DWRED の場合は dCEF が必要です)。 この機能および前提条件についての詳細は、『RSVP-ATM QoS インターワーキング』を参照してください。
MPLS Quality of Service(QoS)機能を使用すると、ネットワーク管理者は、MPLS ネットワークでディファレンシエーテッド サービスを提供できます。この機能を設定するには、CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『MPLS の QoS』を参照してください。
クラスベースの Weighted Random Early Detection(WRED; 重み付けランダム早期検出)を使用するには、インターフェイスで CEF を有効にする必要があります。この機能および前提条件についての詳細は、『クラスベースの重み付け均等化キューイングと重み付けランダム早期検出』を参照してください。
Distributed CEF(dCEF)を使用すると、Cisco 7500 シリーズや Cisco 12000 シリーズの高性能ラインカードの versatile interface processor(VIP)による分散フォワーディングが可能になります。ip cef distributed コマンドは、dCEF をグローバルに有効にするもので、ip route-cache cef コマンドはdCEF をあるインターフェイスに対して有効にするものです。
Cisco 7500 シリーズでは、route switch processor(RSP; ルート スイッチ プロセッサ)のセントラル モードあるいは共有モードで実行される QoS 機能、および、VIP の分散モードで実行される QoS 機能がサポートされています。Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.1(5)T では、VIP インターフェイスでは分散バージョンのみがサポートされています。サービスポリシーを VIP インターフェイスに適用するには、dCEF を有効にする必要があります。
dCEF は、Cisco 7500 シリーズの MQC 以外で設定された次のような QoS 機能にも必要です。
Distributed weighted random early detection(DWRED; 分散重み付けランダム早期検出)では、輻輳時に、優先順位の高いトラフィックの損失レートが他のトラフィックよりも低くなるようにされます。詳細は、『DWRED の設定作業リスト』を参照してください。
Distributed weighted fair queuing(DWFQ; 分散重み付け均等化キューイング)は、VIP で稼働する WFQ の特別な高速版です。詳細は、『VIP 分散重み付け均等化キューイングの設定作業リスト』を参照してください。