シスコの Interior Gateway Routing Protocol(IGRP)は、TCP/IP および Open System Interconnection(OSI)インターネットで使用されています。オリジナルの IP バージョンは 1986 年に設計および導入されました。IGRP はディスタンスベクター ルーティング テクノロジーを使用しているため、それぞれのルータが必ずしもネットワーク全体のすべてのルータ/リンク関係を検知している必要はありません。各ルータは、宛先を対応する距離とともにアドバタイズします。その情報を受信した各ルータは、距離を調整して、その情報を隣接ルータに伝搬します。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
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このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。
このマニュアルの情報は、特定のラボ環境に置かれたデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。実稼動中のネットワークで作業をしている場合、実際にコマンドを使用する前に、その潜在的な影響について理解しておく必要があります。
IGRP での距離情報は、使用可能な帯域幅、遅延、負荷使用状況、およびリンク信頼性の組み合わせとして表現されます。これにより、最適なパスを実現するリンク特性の微調整が可能になります。
EIGRPはシスコのEnhancedバージョンのIGRPで、次の3つのバージョンがあります。1つはIP用、1つはInternetwork Packet Exchange(IPX)用、もう1つはAppleTalk用です。これらはそれぞれ同じ Distributed Update Algorithm(DUAL; 拡散更新アルゴリズム)を使用します。 IGRP と同じディスタンス ベクター テクノロジーが EIGRP でも使用されており、基礎となる距離情報も変更されていません。このプロトコルは、コンバージェンス プロパティと処理効率が大幅に改善されています。そのため、IGRP への既存の投資を保護しながら、アーキテクチャを改善できます。
このコンバージェンス テクノロジーは、SRI International での研究成果に基づいています。経路計算中のどの時点においてもループが発生しないようにするため、DUAL が使用されています。これによってトポロジの変更に関係するすべてのルータが同時に同期できます。トポロジ変更の影響を受けないルータは、再計算から除外されます。DUAL を使用した場合のコンバージェンス時間は、既存の他のルーティング プロトコルのコンバージェンス時間に匹敵します。
EIGRP には次の 4 つの基本コンポーネントがあります。
隣接ルータ検出/復旧
高信頼性転送プロトコル
DUAL 有限状態マシン
プロトコル依存モジュール
隣接ルータ検出/復旧とは、ルータが直接接続されたネットワーク上で他のルータを動的に学習する際に使用するプロセスです。また、ネイバーが到達不能または動作不能になっていることを検出するためにも使用されます。このプロセスでは、小さな hello パケットを定期的に送信するため、オーバーヘッドが低く抑えられます。hello パケットを受信している限り、ルータはネイバーがダウンせずに機能しているものと判定します。この状態が確認されると、ネイバー ルータはルーティング情報を交換できます。
高信頼性プロトコルは、すべての隣接ルータに EIGRP パケットを正しい順序で確実に転送する役割を持ち、マルチキャスト パケットとユニキャスト パケットの混在した転送をサポートします。一部のEIGRPパケットは確実に送信される必要があります。他の人はそうではありません。効率化のため、信頼性は必要時にのみ提供されます。たとえば、マルチキャスト機能を持つマルチアクセス ネットワーク(イーサネットなど)では、必ずしも個々の隣接ルータすべてに hello パケットを確実に送信する必要はありません。その代わりに EIGRP は、このパケットに確認応答する必要はないことを受信ルータに通知する情報を含めて、マルチキャスト hello パケットを 1 つだけ送信します。アップデートなどのその他のタイプのパケットには、確認応答が必要です。これはパケットで示されます。高信頼性転送では、確認応答のない保留状態のパケットがあれば、すぐにマルチキャスト パケットを送信する機能があります。これにより、さまざまな回線速度のリンクが混在していても、コンバージェンス時間を短時間に抑えることができます。
DUAL 有限状態マシンには、すべてのルート計算の決定プロセスが組み込まれており、すべてのネイバーによってアドバタイズされたすべてのルートが追跡されます。DUAL では、ループのない効率的なパスを選択するために、「メトリック」と呼ばれる距離情報が使用されます。さらに DUAL はフィージブル サクセサに基づいて、ルーティング テーブルに挿入するルートを選択します。サクセサは、宛先への最小コスト パス(ルーティング ループに関連しないことが保証されている)を持つ、パケット転送に使用される隣接ルータです。フィジブルサクセサがなく、宛先をアドバタイズしているネイバーがある場合は、再計算が必要です。この結果、新しいサクセサが決定されます。ルートの再計算に要する時間によって、コンバージェンス時間が変わります。プロセッサを過度に使用する再計算でなくても、必要でない限り再計算を避けることが適切です。トポロジが変更されると、DUAL はフィージブル サクセサが存在するかどうかを確認します。実行可能な後継ルータが存在しない場合、不必要な再計算を避けるために、DUAL では検出された任意の後継ルータが使用されます。
プロトコル依存モジュールは、ネットワーク層でプロトコル固有の要件を実行します。たとえば、IPX-EIGRP モジュールは、IPX でカプセル化された EIGRP パケットを送受信します。IPX-EIGRP は、EIGRP パケットを渡して、受信された新しい情報を DUAL に伝えたり、ルーティングを決定するよう DUAL に依頼したりします。DUAL によって決定された経路は、IPX ルーティング テーブルに格納されます。
IPX-EIGRP には次のような機能があります。
自動再配送 - ユーザがコマンドを入力することなく、IPX-Routing Information Protocol(RIP)経路は自動的に EIGRP に再配送され、IPX-EIGRP 経路は自動的に RIP に再配送されます。no redistribute router サブコマンドを使用することで、再配送は無効にできます。ルータでは、IPX-RIP と IPX-EIGRP の両方を完全に無効にすることができます。
ネットワーク幅の向上 - IPX-RIP では、ネットワークで可能な最大の幅は 15 ホップです。IPX-EIGRP を有効にすると、可能な最大の幅は 224 ホップになります。EIGRP メトリックは数千というホップをサポートするのに十分な大きさであるため、ネットワークの拡張の障害となるのはトランスポート層のホップ カウンタだけです。この問題へのシスコの対応は、IPX パケットが 15 台のルータを通過し、宛先へのネクストホップが EIGRP を介して学習された場合にトランスポート制御フィールドを増加させることだけです。RIP 経路が宛先へのネクストホップとして使用されている場合、トランスポート制御フィールドは通常どおりに増加します。
差分 SAP 更新 - 完全な SAP 更新は、EIGRP 隣接ルータが検出されるまで定期的に送信され、その後は SAP テーブルに変更があった場合にだけ送信されます。これは EIGRP の高信頼性転送メカニズムを利用して機能するため、差分 SAP が送信されるには、IPX-EIGRP ピアが存在する必要があります。特定のインターフェイスにピアが存在しない場合、ピアが検出されるまで、そのインターフェイスで定期的な SAP が送信されます。通常この機能はシリアル インターフェイスでは自動的に行われ、必要に応じて LAN メディアで設定できます。
アクティブ状態 - 経路再計算が行われた場合、トポロジ テーブルのエントリはアクティブ状態にあると見なされます。
Autonomous System(AS; 自律システム)- 自律システムは、共通のルーティング戦略を共有する共通の管理下にあるネットワークの集まりです。自律システムは 1 つ以上のネットワークから構成さる場合があります。ある自律システムに属するすべてのルータは、同じ自律システム番号を使用して設定する必要があります。
DUAL - ルーティング テーブルの拡散計算を実現する、ディスタンスベクターまたはリンク ステートとともに使用されるループのないルーティング アルゴリズム。DUAL は、J.J. Garcia-Luna-Aceves 博士により SRI International で開発されました。
外部ホップ カウント - 再配送されているプロトコルにおいて、ルータにアドバタイズされる宛先へのホップ カウント。たとえば、あるルータが、ある宛先を 3 ホップ離れたものとしてアドバタイズしている RIP 更新を受信した場合、この RIP 情報が EIGRP に再配送されると、3 つのホップが外部ホップ カウントとして格納され、この情報が EIGRP 自律システム全体に渡されます。
外部経路 - ルータが EIGRP 経路を外部のものであると見なすのは、経路を受信しているルータ プロセスと同じ自律システムから経路が発信されていない場合です。別の自律システムから再配送された EIGRP 経路と同じように、RIP で生成された経路は常に外部経路です。
実行可能な後継ルータ - 実行可能な後継ルータがある場合、トポロジ テーブルからルーティング テーブルに宛先エントリを移動する試行が行われます。その宛先へのすべての最小コスト パスにより、セットが形成されます。このセットから、現在のルーティング テーブルのメトリックよりも小さなメトリックをアドバタイズしたネイバーは、フィージブル サクセサとみなされます。フィージブル サクセサは、ルータから見ると、宛先に対してダウンストリームにあるネイバーです。これらのネイバーとその関連するメトリックは、転送テーブルに入力されます。隣接ルータがアドバタイズしてきたメトリックを変更した場合や、ネットワークでトポロジの変更が発生した場合、実行可能な後継ルータのセットは再評価されなければならない場合があります。ただし、これは、ルートの再計算とはみなされません。
差分 SAP 更新 - SAP 情報に変更が生じた場合だけ送信される SAP 更新。
無限大 - 4294967295(-1 または 32 ビットの上限)。
内部経路 - ルータが EIGRP 経路を内部のものであると見なすのは、経路を受信しているルータ プロセスと同じ自律システムから経路が発信されている場合です。EIGRP を実行している Cisco ルータに直接接続されているネットワークだけが、内部になることができます。
隣接ルータ(またはピア)- 共通のネットワークを使用して相互に接続されている 2 台のルータは、隣接ルータと呼ばれます。隣接ルータはダイナミックに相互を検出し、EIGRP プロトコル メッセージを交換します。各ルータは、その各隣接ルータから学習された情報が含まれるトポロジ テーブルを保持します。
隣接ルータ テーブル - 各ルータは、隣接ルータに関する状態を保持します。新たに検出されたネイバーが学習されると、そのネイバーのアドレスとインターフェイスが記録されます。この情報は、ネイバーのデータ構造に保存されます。ネイバー テーブルには、これらのエントリが保持されます。プロトコル依存モジュールごとに 1 つのネイバー テーブルが存在します。隣接ルータは hello パケットを送信するときに、ホールド時間をアドバタイズします。ホールドタイムとは、ルータが隣接ルータを到達可能で稼働状態にあると見なすための時間の長さです。ホールドタイム以内に hello パケットへの応答がないと、ホールドタイムの有効期限が切れます。HoldTime が期限切れになると、DUAL にトポロジの変更が通知されます。ネイバー テーブルのエントリには、信頼性の高いトランスポート メカニズムに必要な情報も含まれます。確認応答とデータ パケットと照合するためにシーケンス番号が使用されます。隣接ルータから受信した最後のシーケンス番号が記録されるため、順序のおかしいパケットを検出できます。また、ネイバーごとの再送信に対応するため、送信リストを使用してパケットがキューに入れられます。最適な再送信間隔を判断するために、ラウンド トリップ タイマーがネイバー データ構造で保持されます。
パッシブ状態 - ルータが宛先に関する経路再計算を行っていない場合に、トポロジ テーブルのエントリはパッシブ状態にあります。
クエリー - 経路再計算が始まった時点ですべての EIGRP 隣接ルータに送信される EIGRP パケットの種類。詳細については、「参考資料」を参照してください。
再配送 - IPX-RIP と IPX-EIGRP を同時に実行することに加えて、ルータは、あるルーティング プロトコルから別のルーティング プロトコルに情報を再配送できます。RIP メトリックは IPX-EIGRP メトリックへ直接変換されず、またその逆も行われないため、再配送される経路には人工的なメトリックが割り当てられます。ルータは、再配送において次の人工的なメトリックを使用します。
RIP から EIGRP へ - RIP 経路が受信されたインターフェイスの信頼性、負荷、および Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)。および 10 マイクロ秒単位に変換された IPX チックが IPX-EIGRP メトリックとして使用されます。ルーティング ループの検出で使用し RIP へと戻る再配送を行うために、RIP ホップ カウントと RIP チックは保存され、IPX-EIGRP 更新を使用してネットワーク全体に渡されます。
EIGRP から RIP へ - RIP から EIGRP へ経路が最初に再配送された時点(上記を参照)で記録された RIP ホップ カウントおよびチックは 1 つ増加し、RIP で通知されます。これにより、サイズに関係なく、EIGRP 自律システム全体は RIP ホップ カウントで 1 つ離れていると見なされます。223 ホップを超えて離れている宛先が RIP にアドバタイズされるのを防ぐために、(EIGRP 自律システムの各ホップに関して増加する)EIGRP ホップ カウントと元の RIP ホップ カウントを加えたものが 223 を超える場合、その宛先は到達不可能と見なされ、RIP には再配送されません。内部 EIGRP 経路は、RIP メトリックが 1 でアドバタイズされます。
応答 - 隣接ルータからクエリーに応答して送信される EIGRP パケットの種類。「参考資料」を参照してください。
スプリット ホライズン - 通常、ブロードキャストタイプの IPX ネットワークに接続され、ディスタンスベクター ルーティング プロトコルを使用するルータは、スプリット ホライズン メカニズムによってルーティング ループを防止します。スプリット ホライズンは、情報の発信元であるインターフェイスから、ルータによって経路に関する情報がアドバタイズされるのをブロックします。DUAL はループのない状態を実現するため、スプリット ホライズンは必要ありませんが、任意のインターフェイスでオン/オフにすることができます。帯域幅を節約するため、デフォルトではオンになっています。フレームリレーや Switched Multimegabit Data Service(SMDS; 交換マルチメガビット データ サービス)を使用するお客様は、これらのインターフェイスではスプリット ホライズンをオフにした方がよい場合があります。
後継ルータ - 到達可能条件を満たし、パケットを転送するためのネクストホップとして選択された隣接ルータ。
トポロジ テーブル - トポロジ テーブルは IPX ルーティング プロセスによってデータが入力され、DUAL 有限状態マシンで使用されます。トポロジ テーブルには、隣接ルータによってアドバタイズされたすべての宛先が含まれます。各エントリには、宛先アドレスと、その宛先をアドバタイズしたネイバーのリストが関連付けられます。ネイバーごとに、アドバタイズされたメトリックが記録されます。これは、ネイバーのルーティング テーブルに保存されているメトリックです。ネイバーがこの宛先をアドバタイズしている場合は、必ず、そのルートを使用してパケットを転送しています。ディスタンス ベクター プロトコルは、この重要なルールを常に遵守します。また、宛先には、ルータがその宛先に到達するために使用するメトリックも関連付けられます。これは、すべてのネイバーからのアドバタイズされたメトリックのうちで最適なものに最適なネイバーへのリンク コストを加えた合計です。ルータは、このメトリックをルーティング テーブルに保存し、他のルータへのアドバタイズに使用します。
更新 - EIGRP ルーティング情報を含む、送信される EIGRP パケットの種類。「参考資料」を参照してください。
ユーザが再配送コマンドを入力することなく、RIP 経路は自動的に EIGRP に再配送され、EIGRP 経路は自動的に RIP に再配送されます。異なる EIGRP プロセス間での再配送は、デフォルトではオンになっていません。
EIGRP アドバタイズメントの外部ホップ カウントが RIP ホップ カウントよりも大きい場合を除き、EIGRP 経路は RIP 経路よりも優先されます。外部ホップ カウントとは、元は EIGRP 自律システムに入った時点でこの経路のアドバタイズに使用された RIP ホップ カウントです。
内部 EIGRP 経路は、常に外部 EIGRP 経路よりも優先されます。このことは、ある宛先への 2 つの EIGRP パスがある場合、EIGRP 自律システムから発信されたパスは、メトリックに関係なく、自律システムからは発信されていない EIGRP パスよりも優先されることを意味します。再配送される RIP 経路は、EIGRP では常に外部経路としてアドバタイズされます。
ある宛先に関して受信され、また実行可能な後継ルータであることが決定したすべての EIGRP 経路は、トポロジ テーブルに配置されます。RIP 経路が 1 つの宛先に対する現時点での優先パスであり、その宛先が EIGRP でもアドバタイズされている場合、その RIP 経路もトポロジ テーブルに表示されます(via フィールドの単語 redistributed により示されます)。ルーティング テーブルで使用されていない RIP 経路は、トポロジ テーブルには表示されません。ルーティング テーブルで使用されていない EIGRP 経路は、トポロジ テーブルに表示されます。
ある経路がルーティング テーブルに存在しても、トポロジ テーブルには存在しない場合としては、1) その経路は接続されているが、router サブコマンドのネットワーク リストに存在せず、その経路をアドバタイズする隣接ルータが存在しない場合、または 2) その経路は RIP 経路で、それを通知する EIGRP 隣接ルータがなく、RIP 再配布がオフになっている場合があります。
経路が接続されていても、router サブコマンドのネットワーク リストに存在しない場合、トポロジ テーブルのエントリでは後継ルータはゼロになります。ルータには、このネットワークを通知する隣接ルータが少なくとも 1 つはあります。通常これを確認するには、no redistribute rip コマンドを発行します。
その他すべてのケースでは、ルーティング テーブルにある経路はトポロジ テーブルにあり、これらのエントリの後継ルータのカウントはゼロ以外になります。
IPX EIGRP パケットは、標準的な IPX ヘッダーから始まる IPX パケットで伝送されます。ヘッダーの Socket フィールドの値 0x85BE と、Packet Type フィールドの値 0(不明)により、EIGRP パケットが識別されます。これらのパケットは標準的な EIGRP ヘッダーから構成され、Type/Length/Value(TLV)の 3 ビット バイトから構成される可変長フィールドのセットがその後に続きます。次の表に、EIGRP パケット ヘッダーの形式を示します。
フィールド | 長さ(バイト数) | 説明 |
---|---|---|
バージョン | 1 | EIGRP のバージョン。EIGRPには、バージョン0と1の2つのメジャーリビジョンがあります。10.3(11)、11.0(8)、および11.1(3)よりも前のCisco IOS®ソフトウェアバージョンでは、EIGRPの以前のバージョンが実行されます。 |
Opcode | 1 | 次のいずれかの値を取ります。
|
チェックサム | 0 | EIGRP ヘッダーを含む、パケット全体での標準的な IP チェックサム。IP ヘッダーは含まれていません。 |
フラグ | 4 | 次のいずれかの値を取ります。
|
シーケンス | 4 | 32 ビットのシーケンス番号。 |
Ack | 4 | 32 ビットのシーケンス番号。ゼロではない ACK フィールドを持つ hello パケットは、hello パケットではなく確認応答(ACK)パケットとしてデコードされる必要があります。 |
AS number | 4 | 自律システムの番号。 |
EIGRP ヘッダーに続くのは 1 つまたは複数の TLV です。次の表に、一般的な TLV および IPX 固有の TLV の一覧を示します。
番号 | Type |
---|---|
一般的な TLV のタイプ | |
0x0001 | Enhanced IGRP のパラメータ |
0x0003 | シーケンス |
0x0004 | [Software Version] |
0x0005 | 次のマルチキャスト シーケンス |
IPX 固有の TLV のタイプ | |
0x0302 | IPX 内部経路 |
0x0303 | IPX 外部経路 |
IPX 内部経路の TLV(TLV タイプ 0x0302)は、1 つ以上の宛先ネットワーク アドレスが後に来るヘッダーから構成されています。次の表に、このヘッダーのフィールドの一覧を示します。各ネットワーク番号は、長さが 4 バイトです。
フィールド | 長さ(バイト数) | 説明 |
---|---|---|
Next hop network | 4 | ネクストホップであるネットワーク。 |
Next hop host | 6 | ネクストホップであるホスト。 |
遅延 | 4 | 10ミリ秒/256の単位。0xFFFFFFFFの遅延は、到達不能ルートを示します。 |
帯域幅 | 4 | 単位は 2,560,000,000/kbps。 |
MTU | 3 | パケットの MTU サイズ。 |
Hop count | 1 | 現在のホップ カウント。 |
信頼性 | 1 | 値 255 は、100 % の信頼性を示します。 |
Load | 1 | 値 255 は、100 % の負荷を示します。 |
Reserved | 0 | 未使用 |
IPX 外部経路の TLV(TLV タイプ 0x0303)は、1 つ以上の宛先ネットワーク アドレスが後に来るヘッダーから構成されています。次の表に、このヘッダーのフィールドの一覧を示します。各ネットワーク番号は、長さが 4 バイトです。
内部経路の TLV とは異なり、外部経路の TLV には、AS number、external metric、external delay などのフィールドが含まれています。
フィールド | 長さ(バイト数) | 説明 |
---|---|---|
Next hop network | 4 | ネクストホップであるネットワーク。 |
Next hop host | 6 | ネクストホップであるホスト。 |
ルータ ID | 6 | 発信元ルータのルータ ID。 |
AS number | 4 | EIGRP ドメインの識別番号。 |
Arbitrary tag | 4 | ルート マップにより設定されたタグの伝送に使用可能。 |
プロトコル ID | 1 | 次のいずれかの値を取ります。
|
Reserved | 1 | 未使用 |
External metric | 0 | 再配送される RIP 経路のホップ カウント。IPX RIP 経路は、外部経路として自動的に IPX EIGRP に再配送されます。IPX RIP メトリックは、EIGRP 経路の外部データ部分にコピーされます。IPX EIGRP 経路が IPX RIP に再配布されて戻された場合、RIP ホップ カウントは元の再配送ポイントの RIP ホップ カウントに設定され、1 つ増加します。 |
External delay | 0 | 再配送される経路の遅延の値。IPX EIGRP 経路が IPX RIP に再配布されて戻された場合、RIP 経路の IPX delay フィールドは、external metric フィールドの IPX 遅延の値に設定されます。 |
遅延 | 4 | 10ミリ秒/256の単位。0xFFFFFFFFの遅延は、到達不能ルートを示します。 |
帯域幅 | 4 | 単位は 2,560,000,000/kbps。 |
MTU | 3 | パケットの MTU サイズ。 |
Hop count | 1 | 現在のホップ カウント。 |
信頼性 | 1 | 値 255 は、100 % の信頼性を示します。 |
Load | 1 | 値 255 は、100 % の負荷を示します。 |
Reserved | 0 | 未使用。 |
IPX SAP パケットが EIGRP パケット内部で伝送された場合、IPX SAP パケットは Opcode の値が 6 である標準的な EIGRP ヘッダー(この項の最初の表を参照)から構成され、その後には、元の IPX ヘッダーを持たない標準的な IPX SAP パケットの標準的なペイロードが後に続きます。Cisco ルータにより生成される各 IPX SAP パケットは、7 つまでの 64 バイトの SAP エントリ、および(合計 480 バイトに関する)32 バイトの IPX オーバーヘッド、およびメディア カプセル化のオーバーヘッドを伝送できます。
[no] ipx routing[node] | IPX ルーティングを有効にするには、ipx routing グローバル設定コマンドを使用します。ノードを省略した場合、Cisco IOS ソフトウェアは、ノード アドレスとしてノードに現在割り当てられているハードウェア MAC アドレスを使用します。これは、最初のイーサネット、トークン リング、または Fiber Distributed Data Interface(FDDI; ファイバ分散データ インターフェイス)カードの MAC アドレスです。ルータに適切なインターフェイスが存在しない場合(シリアル インターフェイスだけである場合など)は、ノードを指定する必要があります。ipx routing コマンドにより、IPX-RIP および SAP サービスが有効になります。 |
ipx router {eigrp as-number | nlsp [tag] | rip} | EIGRP を有効にします。引数 AS-number は、EIGRP 自律システムの番号です。1 〜 65535 の数値を取ることができます。 |
[no] network {<network-number>| all} | 各ネットワークの ipx router コマンドで指定されているルーティング プロトコルを有効にするには、network コマンドを使用します。 |
[no] redistribute {rip | igrp <as-number>} | あるプロトコルから別のプロトコルへの再配布を設定します。このコマンドはデフォルトで有効になっています。再配布を無効にするには、no 形式を使用します。 |
注:EIGRPまたはRIPを多くのインターフェイスで実行する場合は、すべての形式のコマンドを入力して、no network <network-number>を入力します。ここで、<network-number>はルーティングプロトコルを実行しないネットワークです。
[no] ipx sap-incremental eigrp <as-number> [rsup-only] | SAP テーブルで変更が発生した場合にだけ SAP 更新を送信するのに、ipx sap-incremental インターフェイス設定コマンドを使用します。定期的な SAP 更新を送信するには、このコマンドの no 形式を使用します。rsup-only オプションは、システムはインターフェイスで EIGRP を使用して、信頼性の高い SAP 更新情報だけを伝送していることを示します。RIP ルーティング更新が使用され、EIGRP ルーティング更新は無視されます。 |
[No] ipx hello-interval eigrp<as-number><value> | 指定された IPX-EIGRP ルーティング プロセスのインターフェイス上で、秒単位で hello インターバルを設定します。デフォルト値は 5 秒です。この値で、hello パケットでアドバタイズされる保持時間を設定できます。保持時間は、hello インターバルの 3 倍です。保持時間の現在の値が hello インターバルの 2 倍未満である場合、保持時間はリセットされます。デフォルトの保持時間は 15 秒です。 |
[No] ipx hold-time eigrp <as-number> <value> | 指定された IPX-EIGRP ルーティング プロセスのインターフェイス上で、秒単位でホールドタイムを設定します。保持時間は hello パケットでアドバタイズされ、また保持時間は隣接ルータに対して、隣接ルータが発信元を有効と見なす必要がある時間の長さを示します。デフォルトの保持時間は、hello インターバルの 3 倍です。デフォルトの保持時間は 15 秒です。 |
show ipx route [network] [default] [detailed] | IPX ルーティング テーブルの内容を表示するには、show ipx route ユーザ EXEC コマンドを使用します。default オプションを使用すると、デフォルトの経路が表示されます。detailed オプションを使用すると、詳細な経路情報が表示されます。 |
show ipx eigrp neighbors [servers] [as-number | interface] [regexp name] | EIGRP により検出された隣接ルータを表示するには、show ipx eigrp neighbors EXEC コマンドを使用します。servers オプションを使用すると、各隣接ルータによりアドバタイズされるサーバのリストが表示されます。regexp 名前オプションを使用すると、正規表現に一致する名前を持つ IPX サーバが表示されます。 |
show ipx eigrp topology [network-number] | EIGRP トポロジ テーブルを表示するには、show ipx eigrp topology EXEC コマンドを使用します。network-number で、入力された IPX ネットワーク番号のトポロジ テーブルが表示されます。 |
[no] debug eigrp packets | 一般的なデバッグ情報を表示するには、debug eigrp packet EXEC コマンドを使用します。このコマンドを no 形式で使用すると、デバッグ出力が無効になります。 |
[no] debug eigrp fsm | EIGRP Feasible Successor Metrics(FSM)に関するデバッグ情報を表示するには、debug eigrp fsm EXEC コマンドを使用します。 このコマンドを no 形式で使用すると、デバッグ出力が無効になります。 |
次の設定例は、IOS バージョン 12.0(4) を使用した Cisco 2500 シリーズ ルータでテストされています。
次の例では、自律システム番号 100 で、IPX-EIGRP ルーティング用のインターフェイス Ethernet0 および Serial0 を設定しています。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39
注:デフォルトでは、IPXルーティングが有効な場合、IPXプロセスは最初のアクティブなイーサネット、トークンリング、またはFDDIインターフェイスのMACアドレスを取得します。
! interface Ethernet0 ipx network AA ! interface Serial0 ipx network 10 !ipx router eigrp 100 network AA network 10 ! ! no ipx router rip !
注: IPX-RIP を無効にするには、コマンド no ipx router rip を使用します(IPX ルーティングが設定されている場合、IPX-RIP はデフォルトで有効になっています)。 Novell サーバなどの Cisco 以外のデバイスが LAN セグメントに接続されている場合、ルータが Cisco 以外のデバイスを認識するためには、LAN インターフェイス上で RIP(または NLSP)が実行されている必要があります。デフォルトでは、NLSP は EIGRP に再配送されないことに注意してください。
EIGRP が有効である場合、デフォルトでは、SAP はイーサネット インターフェイス上で定期的に送信され、シリアル インターフェース上で付加的に送信されます。Ethernet0 に IPX-EIGRP ピアだけが存在する場合は、帯域幅使用量を小さくし、SAP を差分的にだけ送信できます。これを行うには、次のコマンドを使用します。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39 ! interface ethernet0 ipx network AA ipx sap-incremental eigrp 100 ! interface serial0 ipx network 10 ! ipx router eigrp 100 network AA network 10 ! no ipx router rip !
注:ipx sap-incremental eigrp 100コマンドがイーサネットインターフェイスで設定されて、IPX-EIGRPピアが見つからない場合、SAPアップデートは定期的に送信されます。ピアが検出された場合、更新は意図したとおりに差分的に送信されます(つまり、SAP テーブルで変更が発生した場合)。 定期的な SAP に対して設定されているが、その代わりに差分 SAP を受信するすべてのルータ インターフェイスでは、このルータからの SAP 情報は不完全になります。そのため、任意の 2 台のルータが SAP 差分に対して有効である場合、そのネットワーク セグメント上のその他すべてのルータも、SAP 差分に対して設定されている必要があります。
もう一方の側に IPX-EIGRP ピアを持つシリアル インターフェイスに関する定期的な SAP 更新を送信する場合は、次のコマンドを使用して差分 SAP を無効にし、定期的な SAP 更新を有効にします。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39 ! interface ethernet0 ipx network AA !interface serial0 ipx network 10 no ipx sap-incremental eigrp 100 ! ipx router eigrp 100 network AA network 10 ! no ipx router rip !
大部分のネットワークでは、LAN インターフェイスでは RIP を設定し、WAN インターフェイスでは EIGRP を設定します。これは、帯域幅を消費する定期的な RIP および SAP 更新が、帯域幅の影響を受けやすい WAN インターフェイスを通過するのを避けるためです。このように設定した場合、Cisco ルータは自動的に IPX-RIP 経路を EIGRP に再配送し、またその逆も行います。次では、イーサネット インターフェイスでは IPX-RIP が有効になっていて、シリアル インターフェイスでは IPX-EIGRP が有効になっています。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39 ! interface Ethernet0 ipx network AA ! interface Serial0 ipx network 10 ! ipx router eigrp 100 network 10 !
注: ここで、IPX-RIP は実行中の設定に表示されていませんが、IPX-RIP はイーサネット インターフェイスで有効になっています。これは、IPX ルーティングが有効である場合、IPX-RIP はデフォルトですべてのインターフェイスで有効になっていて、デフォルトで有効になっているすべてのパラメータは実行中の設定に表示されないためです。
また、SAP トラフィックを削減するため、シリアル インターフェイスで定期的な RIP と差分 SAP を使用することも可能です。これを行うには、ipx sap-incremental コマンドで rsup-only オプションを使用します。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39 ! interface Ethernet0 ipx network AA ! interface Serial0 ipx network 10 ipx sap-incremental eigrp 100 rsup-only ! ipx router eigrp 100 network 10 !
注:rsup-onlyオプションを使用すると、RIPは定期的に送信されます。SAPは継続的に段階的に送信されます。
大きな輻輳が発生している大規模ネットワークでは、デフォルトの 15 秒のホールドタイムは、すべてのルータが隣接ルータから hello パケットを受信するのに十分ではない場合があります。この場合、ホールドタイムを大きくすることができます。次の例では、ホールドタイムを 45 秒に大きくしています。
! ipx routing 0000.0c5c.ec39 ! interface ethernet 0 ipx network AA ! interface serial 0 ipx network 10 ipx hold-time eigrp 100 45 ! ipx router eigrp 100 network AA network 10 !
R1# show ipx route Codes: C - Connected primary network, c - Connected secondary network S - Static, F - Floating static, L - Local (internal), W - IPXWAN R - RIP, E - EIGRP, N - NLSP, X - External, A - Aggregate s - seconds, u - uses, U - Per-user static 5 Total IPX routes. Up to 1 parallel paths and 16 hops allowed. No default route known. C 10(HDLC) Se0 C AA (NOVELL-ETHER) Et0 E 20 [41024000/0]via 10.0000.0c3b.ed69, age 00:26:43, 1u, Se0 E BB [40537600/0]via 10.0000.0c3b.ed69, age 00:26:44, 1u, Se0 E CC [41049600/0]via 10.0000.0c3b.ed69, age 00:26:44, 1u, Se0 R1#
注:ルートソースのEHの値は、ローカルルータが関連するすべてのネイバーがクエリーに応答するのを待機している間、IPX EIGRPルートがアクティブ状態であることを示します。したがって、この値は一時的な状態だけになるはずです。
R1# show ipx eigrp neighbors IPX EIGRP Neighbors for process 100 H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq (sec) (ms) Cnt Num 0 10.0000.0c3b.ed69 Se0 12 00:28:10 30 2280 0 51 R1# R1# show ipx eigrp topology IPX EIGRP Topology Table for process 100 Codes: P - Passive, A - Active, U - Update, Q - Query, R - Reply, r - Reply status P 10, 1 successors, FD is 40512000 via Connected, Serial0 P 20, 1 successors, FD is 41024000 via 10.0000.0c3b.ed69 (41024000/2169856), Serial0 P AA, 1 successors, FD is 281600 via Connected, Ethernet0 P BB, 1 successors, FD is 40537600 via 10.0000.0c3b.ed69 (40537600/281600), Serial0 P CC, 1 successors, FD is 41049600 via 10.0000.0c3b.ed69 (41049600/2195456), Serial0 R1# R1# show ipx eigrp traffic IP-EIGRP Traffic Statistics for process 10 Hellos sent/received: 3900/3012 Updates sent/received: 23/16 Queries sent/received: 9/8 Replies sent/received: 8/9 Acks sent/received: 24/29 Input queue high water mark 2, 0 drops R1#
EIGRP を実行しているルータは、隣接ルータに関する状態情報を隣接ルータ テーブルに保持しています。隣接ルータが hello を送信する際には、隣接ルータはホールドタイムをアドバタイズし、このホールドタイムにより、隣接ルータが到達可能で稼働状態にあると見なされる期間が定義されます。ホールドタイム内に新しい hello パケットが受信されない場合、EIGRP はその隣接ルータは到達不可能であると宣言し、トポロジ テーブルの更新を開始します。IP と IPX EIGRP の両方は、デフォルトの 60 秒の hello タイムを使用する、速度が T1 以下である Non-Broadcast Multi-Access(NBMA)ネットワーク以外のすべてのインターフェイスで、デフォルトの 5 秒の hello インターバルを使用します。デフォルトでは、ホールド タイマーは hello インターバルの 3 倍の値になっています。詳細については、ipx hello-interval eigrp コマンドのコマンド リファレンスの説明を参照してください。
EIGRP 隣接ルータ テーブルには、高信頼性転送メカニズムにとって必要な情報も保存されています。確認応答とデータ パケットと照合するためにシーケンス番号が使用されます。隣接ルータから受信した最後のシーケンス番号が記録されるため、順序の正しくないパケットを検出できます。また、隣接ルータごとの再送信に対応するため、送信リストを使用してパケットがキューイングされます。
show ipx eigrp neighbor コマンドからの出力のアップタイムが約 80 秒を決して上回らない場合、ローカル ルータは隣接ルータの hello を受信していても、隣接ルータがローカル ルータの hello を受信していない場合があります。Open Shortest Path First(OSPF)では、隣接ルータが宣言される前に双方向の hello の交換が必要であるのに対し、EIGRP では、隣接するルータから hello を受信するとすぐに関係を形成しようとします。リンクが単方向である場合、hello を受信するルータは隣接するルータを隣接ルータ テーブルに入れますが、隣接ルータが近隣関係の形成を完了するのに必要なパケットを使用して応答しないため、その直後に接続がリセットされます。この問題では、次のような症状が認められます。
ローカル ルータがリモート ルータの隣接ルータ テーブルに表示されない。
ローカル ルータの隣接ルータ テーブルにあるリモート ルータのエントリでは、Smoothed Round Trip Time(SRTT)が 0 になる。
EIGRP 隣接ルータが予期せずに失われる障害のトラブルシューティングを開始するには、隣接ルータの変更のロギングを有効にします。これを行うには、config-ipx-router モードで log-neighbor-changes コマンドを発行します。このコマンドにより、ルーティング システムの安定性を監視し、問題の検出に役立つよう、隣接ルータの隣接関係の変更が記録されます。デフォルトでは、隣接関係の変更は記録されません。
次の表に出力例を示し、出力の解釈方法を説明します。
ログ メッセージ | 説明 |
---|---|
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 2047: Neighbor x.y (Serial1/1/0.4) is up: new adjacency |
隣接するルータから hello が受信され、そのルータはこの隣接ルータをまったく新しいものと見なしていますが、以前にすでに認識されていた可能性があります。 |
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 2047: Neighbor x.y (Serial1/1/0.6) is down: stuck in INIT state |
hello を受信した後、ルータが初期化ビット セットを使用して更新パケットを送信することで応答しています。このパケットにより、隣接ルータは伝送を行うために各パケットの最善のエントリをキューイングします。隣接ルータが応答しない場合、その隣接ルータはローカル ルータの隣接ルータ テーブルで INIT 状態のままになります。一般的にこの問題は単方向リンクでだけ見られます。 |
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 2047: Neighbor x.y (Serial1/1/0.1) is down: retry limit exceeded |
ローカル ルータは、更新、クエリー、または応答を送信しましたが、確認応答を受信していません。レイヤ 1(L1)およびレイヤ 2(L2)の接続を確認してください。 |
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 2047: Neighbor x.y (Serial1/1/0.4) is down: peer restarted |
不明な理由により隣接ルータはダウン状態になり、ローカル ルータが INIT フラグが設定されている hello または更新を受信した時点で、それが検出されました。関係を終了したルータ(ローカルまたはリモート)を判別するには、まずshow ipx eigrp neighborコマンドを発行します。続いて、アップタイムと Q Cnt の値を調べます。アップタイムの値は、近隣関係が最後にリセットされてからの時間を示します。Q Cnt は、隣接ルータへの送信を待機しているパケット、または送信されているが確認応答がされていないパケットの数を示しています。Q Cnt がゼロにならない場合、2 台の EIGRP 隣接ルータはコンバージしません。 |
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 2047: Neighbor x.y (Serial1/1/0.4) is down: holding time expired |
(大部分のリンクではデフォルトで 15 秒になっている)ホールドタイム以内に hello が受信されない場合、ルータは隣接ルータに近隣関係が切断されたことを通知し、syslog メッセージを記録します。 |
上記のメッセージよりも詳細な情報が必要である場合は、特定の IPX のデバッグを有効にします。デバッグを有効にする前には、デバッグの影響を確認してください。
debug eigrp packets - 大量のメッセージが作成される場合があります。注意して使用してください。
Debug eigrp packets terse - EIGRP hello が表示されません。
debug ipx eigrp のイベント
debug ipx eigrp および debug ipx eigrp neigh は、デバッグ情報を特定の隣接ルータに制限します。
ルータでのデバッグ メッセージの影響を最小限にするには、コンソールのロギングを無効にし、また logging buffered グローバル設定モード コマンドを発行することでバッファ ロギングを有効にすることをお勧めします。
IPX EIGRP 近隣関係のトラブルシューティングに関する、その他の考慮事項のポイントを次に示します。これらの質問に対する回答を収集すれば、障害ドメインを絞り、すばやく解決できます。たとえば、特定のルータや、特定のルータのインターフェイスやパケット キューが問題であることを特定できます。
同じデバイス上の複数の隣接ルータが同時に不安定になりましたか?
リモート隣接ルータでは何が認識されましたか?
ローカルルータとリモートルータのどちらの側がティアダウンを開始しましたか。
インターフェイスは輻輳していますか?hello パケットのキューイングにおいて大幅な遅延が生じていますか?
フレームリレーなどの低速リンクで IPX EIGRP を実行している場合、インターフェイスのブロードキャスト キューに破棄がないかを調べます。不必要であるにもかかわらず依然としてリンクで RIP を実行している場合(IPX ルーティングを有効にするとデフォルトで有効になるため)、router-rip configuration モードで no network {network number} コマンドを使用して RIP を無効にしてみてください。
%DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 1: Neighbor 95081004.0060.3e00.4000 (Serial0.801) is down: %DUAL-5-NBRCHANGE: IPX-EIGRP 1: Neighbor 95081004.0060.3e00.4000 (Serial0.801) is up: new adjacency
[1] A Unified Approach to Loop-Free Routing using Distance Vectors or Link States, J.J. Garcia-Luna-Aceves, 1989 ACM 089791-332-9/89/0009/0212 の 212 〜 223 ページ。
[2] Loop-Free Routing using Diffusing Computations, J.J. Garcia-Luna-Aceves, Network Information Center, SRI International, IEEE/ACM Transactions on Networking, Vol. 1, No. 1, 1993.