データ シート
Cisco Unified Contact Center Enterprise 10.0
シスコ® ユニファイド コミュニケーションは、固定およびモバイル ネットワーク上に音声、ビデオ、データ、およびモバイルのアプリケーションを統合して、いつでもどこからでも容易にコラボレーションを実現するソリューションです。
Cisco Unified Contact Center のソリューションはシスコ ユニファイド コミュニケーション ソリューションのポートフォリオの一部で、ビジネスの発展のための重要な要素となる、良好なカスタマー サービスの基盤を構築します。Cisco Unified Contact Center では、カスタマー ケアを単なる電話応対から個々の顧客のニーズに合わせてカスタマイズできる独自のコラボレーション体験へと変革するコンタクト センター管理ツールを使用して、コラボレーションを効果的に行うことができます。
ソリューション概要
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、顧客の分類と、リソースの稼働状況のモニタリングが行われ、問い合わせが企業内の最も適切なリソースに振り分けられます。このソフトウェアでは、着信番号と発呼回線 ID、発信者が入力した番号、Web フォームで送信されたデータ、顧客データベースを参照して取得した情報などの関連データを使用して、それぞれの顧客の問い合わせを分析します。同時に、エージェントのスキルと稼働状況、自動音声応答(IVR)システムのステータス、キューの長さなど、顧客のニーズに対応するためにコンタクト センターで利用可能なリソースのモニタリングが行われます。
この顧客とコンタクト センターのデータの組み合わせは、ユーザが定義したルーティング スクリプトで処理され、自社のビジネス ルールがグラフィカルに示されます。これにより、それぞれの問い合わせを Cisco Unified Contact Center Enterprise によって適切な場所に転送できます。問い合わせが入ると、エージェントがいる場所にかかわらず、通話イベントおよび顧客から提供されたさまざまなデータをシステムから取得できるため、それぞれの顧客に合わせた対応を行うことができ、効率が高まります。このプロセスを通じて、分散型の耐障害性によって中断のない運用が行われます。また、充実したレポート機能によって、コンタクト センターの効果的な運営に必要なビジネス インテリジェンスが提供されます。
柔軟な導入モデル
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、さまざまな展開モデルがサポートされています。オンプレミス型からホスティング型のインストールまで、単一または複数の Cisco Unified Communications Manager のクラスタでソリューションを展開できます。中央集中型、分散型、またはクラスタ化されたワイドエリア ネットワーク構成において、エージェント レベルのスキルに基づいたルーティングとレポート作成を実行できます。
Cisco Unified Contact Center のソリューションをサードパーティ製自動着信呼分配装置(ACD)と合わせて展開し、全社レベルでのスキルに基づいた問い合わせのルーティング、音声によるセルフサービス、コンピュータ テレフォニー インテグレーション(CTI)、およびマルチチャネルの問い合わせの管理を提供することもできます。マルチチャネルの ACD 機能を IP テレフォニーと組み合わせ、単一の統合されたソリューションとし、Cisco Unified Contact Center Enterprise を使用することによって分散型の Voice-over-IP(VoIP)のコンタクト センター インフラストラクチャをすばやく導入できます。
Cisco Unified Contact Center Enterprise のホスティング型および連携型の導入モデルは、サービス プロバイダー、アウトソーサー、および大企業に適しています。既存のサービス プロバイダーや新しいサービス キャリアでは、このソリューションによって利益率の高いサービスによる新たな収益源が生まれます。複数の支店や部門がある大企業の場合は、さまざまな部門や支店にサービスを提供できる中央集中型のコンタクト センター インフラストラクチャを構築できるという利点があります。
パッケージ化された導入モデル
シスコでは、Packaged Contact Center Enterprise(Packaged CCE)と呼ばれる、事前設計された制限付きの Cisco Unified Contact Center Enterprise 導入モデルも提供しています。Packaged CCE ソリューションの制限内容に適合する顧客は、Cisco Unified Contact Center Enterprise および Cisco Unified Customer Voice Portal の充実した機能を利用しながら、シンプルな管理インターフェイス、ハードウェア スペースの削減、およびインストール時間の短縮といった利点が得られます。このソリューション パッケージには、豊富なレポート機能を持つ Cisco Unified Intelligence Center と、強力な次世代デスクトップ エクスペリエンスを提供する Cisco Finesse® デスクトップ ソフトウェアも付属しています。
表 1 に Cisco Unified Contact Center Enterprise 10.0 の機能と利点を示し、表 2 では Cisco Unified Contact Center Enterprise のオプションを説明します。
表 1 Cisco Unified Contact Center Enterprise の機能と利点
ソリューションの利点 |
長距離通話料金とネットワーク帯域幅の削減 |
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、IP ネットワーク全体がインテリジェント スイッチとして扱われ、通話をネットワークの末端で処理することができ、帯域幅の使用が削減されます。 |
統合のためのコストの削減 |
これまで、企業はさまざまなベンダーの多数の製品を統合する必要がありました。この作業には費用がかかり、サービスの導入が遅れる原因となっていました。Cisco Unified Contact Center Enterprise では、ACD、構内交換機(PBX)、IVR を利用でき、Web の活用が可能です。さらに、このソリューションでは、Customer Relationship Management(CRM; 顧客関係管理)、従業員の管理、録音とモニタリング、掲示板などの、最高水準のコンタクト センター用アプリケーションがサポートされています。Cisco Unified Contact Center Enterprise によって、コンタクト センターのすべての機能が 1 つのプラットフォームに集約され、導入コストと統合のためのコストを削減でき、完全なコンタクト センターのソリューションを市場に提供するまでの時間を短縮できます。 |
IP および Session Initiation Protocol(SIP)への移行の促進 |
音声とデータが統合されたサービスを利用するため、時分割多重(TDM)から IP への移行、および H.323 から SIP への移行が主流となりつつあります。Cisco Unified Contact Center Enterprise は、IP と TDM の両方のネットワークと統合されるので、こういった移行が促進されます。引き続き既存のシステムへの投資を活用しながら、SIP のアーキテクチャに移行することができます。 |
サービスの一元化 |
大企業にとっては、管理業務やソフトウェアの維持を一元的に行う中央集中型のコンタクト センターを運営できる利点があります。中央集中型の運用によって、ソフトウェアの購入や維持、アップグレードのインストールを各支店で行う必要がなくなり、人員の配置に関する決定を独自に行う必要がなくなります。 |
サービスの差別化 |
顧客に対応するエージェントが別のエージェントに代わった場合に(別の場所にいるエージェントや在宅のエージェントが対応する場合でも)、「通話の背景」を引き継ぐことによって、優れたカスタマー サービスで他社との差別化が可能です。たとえば、ある顧客が購入や問い合わせを開始する際に、以前にその顧客が製品やサービスを購入した際に提供された情報を確認できます。 |
ネットワーク リソースの制御が可能 |
エージェントのスキル グループへの割り当てや、着信番号や発信者が入力した番号(アカウント ナンバーなど)に基づいたルーティングの定義など、企業内での特定のネットワーク リソースの制御が可能です。さらに、単一の操作用インターフェイスですべての機能を制御でき、トレーニングとサポートの要件を軽減できます。 |
エージェント用の機能と利点 |
エージェント グリーティング |
設定されたエージェントの挨拶を自動で再生することができ、発信者への応対を標準化できます。通話のたびに同じ挨拶を繰り返す必要がなくなるため、エージェントの負担が軽減されます。 |
エージェント ウィスパー |
エージェントが発信者と接続される直前に、告知メッセージ(設定可能)をエージェントに対して再生することができ、その通話の種類(営業や技術サポートなど)に関する情報など、ガイダンスを提供できます。エージェントは、ヘッドセットで発信者についての情報を得ることができるため、問題解決を迅速化してファーストコールでの解決率を向上させることができます。 |
CTI オプション |
Cisco CTI OS Toolkit Desktop は、コンタクト センターの運営に関する特定のニーズに合わせて特化されたカスタムのデスクトップ機能を必要とする企業向けに設計されています。Cisco Unified Contact Center Enterprise は、エージェントのワークステーションでの総合的な機能の実現など、完全な CTI 戦略を導入するのに役立ちます。このソリューションでは、ビジネス アプリケーションにさまざまなデータが提供されます。企業全体の通話イベントと、顧客から提供された情報を、エージェントのデスクトップで利用できます。最小限のカスタム開発やシステム統合のみが必要なこのソリューションは、ネットワークからデスクトップまでのエンタープライズ規模の CTI に新しい基準をもたらします。これにより、迅速かつコスト効率の高い CTI 実装が実現します。 |
CRM の統合 |
Cisco Unified CRM Connector for Siebel を使用して Siebel の CRM アプリケーションを Cisco Unified Contact Center Enterprise と統合することで、コストの節約、効率の改善、および収益の増加が可能です。この統合により、エージェントは Siebel の CRM ユーザ インターフェイスを唯一のインターフェイスとして使用して、顧客とのやりとりを管理できます。エージェントは、CRM のユーザ インターフェイスから、ログイン、エージェントの状態の制御、および通話を行うことができます。新しく着信があるとすぐにエージェントの端末に CRM 情報のポップアップ画面が表示され、エージェントは電話番号ごとの CRM 情報、IVR 情報、エージェントが入力した情報を取得できます。通話のルーティング、会議への接続、CRM の画面内からの転送が可能です。着信と発信のアクティビティの記録も行われます。 |
Cisco Finesse デスクトップ ソフトウェア |
Cisco Finesse デスクトップはエージェントとスーパーバイザ向けの次世代のデスクトップ ソリューションであり、カスタマイズ可能な Web ベースのインターフェイスを通じて、カスタマー サービス組織が必要とするアプリケーションや情報に簡単にアクセスできるように設計されています。このソリューションにより、カスタマー ケアの担当者は直感的で使いやすいデスクトップ デザインを使用できるため、パフォーマンスと満足度が向上します。この結果、担当者は高品質なカスタマー サービスを提供できるようになります。
また、Cisco Finesse アプリケーションはシスコのコラボレーション ポートフォリオとスムーズに統合できるシンクライアント エージェント デスクトップを IT 担当者に提供します。この機能は標準に準拠しており、エージェントやスーパーバイザのデスクトップを低コストでカスタマイズできます。 |
Cisco Agent Desktop |
Cisco Agent Desktop では、すぐに使用できるエージェント用のデスクトップ機能が提供され、エージェントは通話の制御をデスクトップから直接行うことができます。Cisco Agent Desktop と Cisco Unified Presence との統合により、コンタクト センターのデスクトップ アプリケーションが Cisco Unified Presence と統合されて、リアルタイムのコラボレーションの対象範囲が広がります。この統合によって、エージェントとスーパーバイザは、コンタクト センター外の関係者や各分野の専門家とコラボレーションを行うことができます。エージェントがアクセスする必要のある関係者のみに対して公開するビューを、コンタクト センターで定義できるため便利で効率的です。
また、顧客は Cisco Agent Desktop を使用して、最小限のソフトウェア開発で Salesforce.com および Siebel との統合を行うこともできます。その他の一般的なサードパーティ製 CRM アプリケーションの場合は、Cisco Agent Desktop がキーストローク マクロや動的 URL を使用することで統合が促進され、Cisco Agent Desktop の統合型ブラウザで(Web ベースの)CRM のユーザ インターフェイスを利用できます。 |
Cisco Agent Desktop Browser Edition |
Cisco Agent Desktop Browser Edition は、一般的な Web ブラウザ内でシン クライアントとして実行され、導入とメンテナンスが容易です。このアプリケーションでは、エージェント用ツールバー、問い合わせのデータ、エンタープライズ データ、およびエージェントのステータス情報も表示され、シン クライアントのアプリケーションでの理想的なソリューションが実現されます。 |
Cisco Unified IP Phone Agent |
Cisco Unified IP Phone Agent によって、Cisco Unified IP Phone に基本的な ACD の機能が実装され、多くの場合、エージェントの PC にエージェント デスクトップをインストールする必要がなくなります。 |
セルフサービスとコール処理の機能 |
セルフサービスとコール処理の機能に関して、Cisco Unified IP Interactive Voice Response(Unified IP IVR)と Cisco Unified Customer Voice Portal(Unified CVP)の 2 つのオプションがあります。Cisco Unified Contact Center Enterprise は、オープンな IVR サービス コントロール インターフェイスによって、サードパーティ製 IVR およびセルフサービスのシステムと統合できます。 |
Cisco Unified IP IVR |
Cisco Unified Contact Center Enterprise 用の Cisco Unified IP IVR は、ビジネスの統合の簡素化、柔軟性の向上、ネットワーク ホスティングにおける効率性の向上を目的として設計されています。これらの機能によってコストが削減され、顧客満足度を大幅に向上させることができます。Cisco Unified Communications Manager のソフトウェアと緊密に統合されている Cisco Unified IP IVR は、IP ベースの通信の可能性を十分に引き出すように構築されており、インストール、構成、およびアプリケーションのホスティングが容易です。
Cisco Unified IP IVR では、プッシュホン式の入力や音声認識のテクノロジーでユーザ コマンドが処理され、アカウント情報の確認やユーザによる通話のルーティングなど、セルフサービスのアプリケーションを簡単に使用できます。顧客は、音声コマンドを使用して、エージェントと会話せずに必要な情報を取得したり、適切な対応を受けられる部門やエージェントにすばやくナビゲートしたりすることができます。 |
Cisco Unified Customer Voice Portal |
Cisco Unified CVP は、TDM ベースのコンタクト センターと IP ベースのコンタクト センターの両方で動作し、通話の管理および処理のソリューションに対して、企業の Web サーバ上で顧客に公開されている情報を使用できるセルフサービスの IVR オプションが提供されます。音声自動認識(ASR)とテキスト音声変換(TTS)機能のサポートにより、発信者は質問に合った回答を得ることができ、エージェント対応によるコストが不要となる革新的な方法でビジネスを行うことができます。
たとえば、Cisco Unified CVP で、支払い、製品の注文と配送の確認、販売店の検索、ピックアップのスケジュール設定、名前と住所の情報の変更、出張の手配、支払いのステータスの確認、異常なアクティビティの通知の受信、資料や製品情報の請求を行うことができます。 |
管理の機能と利点 |
スーパーバイザ向けの機能 |
スーパーバイザは、Cisco Unified Contact Center Enterprise を使用して、エージェントの状態と通話の情報の確認、エージェントへのテキスト チャット メッセージの送信、通話への割り込みや交代、会話の録音、社内ネットワークまたはリモートのダイヤルイン接続でエージェントの通話のサイレント モニタリングを行うことができます。こういった機能によってコンタクト センターにおけるスーパーバイザ業務が支援され、チームの効果的な管理が向上します。
スーパーバイザは、スーパーバイザとエージェントとのチャット機能を利用して通話中のエージェントにテキスト メッセージを送信できるため、顧客にはわからないようにエージェントにクロスセルやアップセルの機会を教えたり、エージェントが顧客の問題を解決するのを支援したりできます。また、エージェントの通話への割り込みを行って 3 者間での会議を行うことができ、問題の解決のために発信者とエージェントの両方とやりとりを行うことができます。交代機能を利用してエージェントを通話から外し、スーパーバイザのみで発信者に対応することができ、その間にエージェントは別の顧客に対応できます。
スーパーバイザは、自分のデスクトップからエージェントの状態を変更できます。たとえば、エージェントが、休憩後に自分の状態を対応可能に戻すのを忘れたり、長時間席を外す場合にログアウトし忘れたりすることがあります。スーパーバイザは、Cisco Unified Contact Center Enterprise を利用して、気付かずに空き状態になっているエージェントを対応可能に変更したり、席をはずしているエージェントをログアウトした状態に変更することが簡単にできます。この機能は、高度に分散化されたコンタクト センターの導入で非常に重要な機能です。
また、スーパーバイザは、エージェントのスキルのプロファイルをリアルタイムで変更することもできます。この機能は、スーパーバイザにとって、エージェント チームの管理とコンタクト センターの管理目標のサポートのための戦略的なツールとなります。 |
管理業務 |
管理業務が合理化されているため、マネージャはコンタクト センターのすべての管理業務を一元的に行うことができます。Cisco Unified Contact Center Enterprise の管理用インターフェイスで、エージェントに関しての設定を行うことができます。割り当てられているスキル セットに応じて、音声通話、Web、チャット、および E メールでの問い合わせに対応するように設定できます。システム マネージャ、管理者、およびスーパーバイザは、このインターフェイスで、ルーティング スクリプトの作成、変更、および確認、システム構成の管理、コンタクト センターのパフォーマンスのモニタリング、レポートの定義と取得、システム セキュリティの維持を行うことができます。この 1 つのユーザ インターフェイスで、コンタクト センターが分散化されている場合でも、エンタープライズ全体の制御が可能です。
Packaged CCE の管理者は、Cisco Finesse デスクトップにあるガジェットを使用してコンタクト センター アプリケーションをすばやく簡単に管理することができます。ガジェットによるコンタクト センターへのアクセスはロールによって制限することができ、不適切なユーザがシステムにアクセスするのを防ぐことができます。 |
部門 |
複数のライン オブ ビジネス(LOB)または部門を持つお客様は、部門機能を使用することによって、Unified CCE または Packaged CCE の同一のインスタンスを簡単に共有することができます。部門機能を使用すると、エージェント、スキル グループ、コール タイプ、プレシジョン キューなどのリソースを LOB または部門ごとに割り当てることが可能になります。LOB または部門に割り当てられたリソースは、その LOB または部門のスーパーバイザまたはマネージャのみが参照、管理できます。
Unified CCE では、Cisco Unified Contact Center Management Portal(Unified CCMP)を通じて部門を管理できます。Packaged CCE では、ネイティブの Web 管理機能によって部門を管理できます。
Internet Script Editor を使用すると、構成に加えてスクリプトによるアクセスもセグメント化されます。さらには、Cisco Unified Intelligence Center Collections 機能を使用するとレポート機能もセグメント化され、部門に合ったレポートが利用できます。 |
管理ポータル |
Cisco Unified CCMP は、使いやすい Web ベースのユーザ インターフェイスで利用することができ、コンタクト センターのマネージャ、チーム リーダー、管理者が行う日常的なプロビジョニングと構成の操作(電話機、エージェント、スキル グループ、チームの移動、追加、変更や、他の一般的なコンタクト センターでの管理機能など)を合理的に行うことができます。適切な権限が付与されているエージェントも、Cisco Unified Contact Center の管理ポータルを独自のインターフェイスで利用でき、プロファイルや業務の割り当ての変更を行えます。管理ポータルで構成が統合されているので、該当する IP ベースのコンタクト センターの要素と Cisco Unified Communications Manager のコンポーネントの両方の管理業務が簡素化されます。Cisco Unified CCMP は分割されているシステムであり、独立性が完全に維持されている状態で複数のビジネス ユニットをサポートできます。階層型の管理が可能で、特定の役割と責任が与えられている複数の職位のユーザをサポートできます。さらに、管理者とマネージャがコンタクト センターの変更の経過を把握できるように、構成の変更と管理ポータルの使用状況がすべて記録される監査記録レポートを利用できます。 |
システム インベントリおよび通知 |
Packaged CCE の定型的な導入モデルの利点を生かして、Packaged CCE の導入の視覚的な表現がシステムにより自動生成されます。これは、名前、IP アドレスなどの管理情報が表示されるダッシュボードであり、Cisco Unified CVP の運用、管理、保守、プロビジョニング(OAMP)などの他の管理ユーザ インターフェイスを開くためのショートカットも表示されます。さらには、構成のエラーや警告、または定期的な自動スキャンによる実行時の問題を視覚的に通知するレベル 1 のダッシュボードとしても機能します。これにより、システム ヘルスが継続的にチェックされ、TCO(総所有コスト)が削減されます。 |
システムの機能と利点 |
オープン システム |
Cisco Unified Contact Center Enterprise のソフトウェアは業界標準のハードウェア プラットフォームを最大限に活用しており、ハードウェアのコストを抑えながら多数のソフトウェアの機能の利点が得られます。このシステムのオープン アーキテクチャ(Open Database Connectivity(ODBC)に準拠しているデータベース、および CTI アプリケーション用の Java、COM、および .NET インターフェイスを含む)は、既存のコンタクト センター ソリューションと統合できるので、従来のシステムへの投資を活かすことができ、今後のアプリケーションに対応できるプラットフォームが提供されます。 |
拡張性 |
Cisco Unified Contact Center Enterprise は、数十人のエージェントが 1 つの場所で対応する小規模な展開から、数千人のエージェントをサポートするホスティング型で分散型の大規模な展開まで拡張可能です。Cisco Unified Contact Center Enterprise のアーキテクチャはソフトウェアがベースとなっているので、コンポーネントを陳腐化させることなくシステムを簡単に拡張できます。Cisco Unified Contact Center Enterprise は、コンタクト センターの環境の変更に対応できるように設計されています。 |
分散型の耐障害性 |
Cisco Unified Contact Center Enterprise のすべてのコンポーネントと外部アプリケーションの連携によって、ネットワークからデスクトップまで、ハードウェアとソフトウェアの両方のレベルにおいてキャリアクラスで分散型の耐障害性が実現し、リアルタイムでのアプリケーションのフェールオーバー機能も利用できます。このシステムは、自己診断機能および自己回復機能によって、必要に応じて冗長構成コンポーネントを自動的に利用でき、ハードウェア コンポーネントの障害、通信ネットワークの障害、および非同期のソフトウェアのエラーに対しての復元力があります。 |
ネットワーク管理 |
大企業のコンタクト センター、およびホスティング型のコンタクト センターの両方では、管理情報を提供でき、パフォーマンス モニタリングとトラブルシューティングの一元化を可能にするアプリケーションが必要とされています。統合型のソフトウェアを利用してコンタクト センターの導入、アップグレード、および管理の課題に取り組むと、セットアップの負担や継続的な運用とメンテナンスに関するコストが発生するため、エンドユーザへのコスト効果の高いソリューションの提供に影響が及ぶ可能性があります。Cisco Unified Contact Center Enterprise のソフトウェアでは、Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)のインターフェイスを利用して、中央集中型のネットワーク管理システムへの統合を行うことができます。また、このソフトウェアは Cisco Unified Communications Manager にもバンドルされ、ユニファイド コミュニケーションの管理インフラストラクチャへの広範囲に渡る統合機能を提供します。導入時とアップグレード時だけでなく、通常のコンタクト センターの運営においても、新たなレベルの可用性と管理性が得られます。 |
セキュリティ |
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、最新のセキュリティとデータ整合性機能およびソリューションがサポートされています。導入するとアプリケーション サーバが強化され、攻撃の危険性とシステムの脆弱性が低減されます。すべての Web ベースのアプリケーションで Secure Sockets Layer(SSL)を利用できます。また、ソケット ベースの通信でトランスポート レイヤ セキュリティ(TLS)と IP Security(IPsec)がサポートされ、信頼されているネットワークと非信頼ネットワークで伝送中のデータがセキュリティで保護されます。 |
Cisco ASR 1000 アグリゲーション サービス ルータのサポート |
Cisco ASR 1000 は、Cisco Unified CVP Voice Browser およびその他のネットワーク機能を 1 台のサーバに集約し、ハードウェアおよびサポート要件を低減します。 |
製品の機能 |
ルーティング機能 |
Cisco Unified Contact Center Enterprise のプレシジョン キュー ルーティング機能を利用して、企業のネットワークで問い合わせのインテリジェントな分配を行うことができます。問い合わせのリダイレクトが必要な場合に、コンタクト センター用アプリケーションによってビジネス ロジックが適用され、企業内の最適なリソースに問い合わせが転送されます。別の拠点や、エージェント、プレシジョン キュー、IVR から転送される問い合わせでも、収集されたデータが保持されるので顧客が情報を再度提供する必要はなく、ルーティングによってそれぞれの顧客とのやりとりが最適化されます。 |
Cisco Pre-Routing 機能および Cisco Post-Routing 機能 |
Cisco Pre-Routing 機能によって、各通話が通信事業者のネットワークに存在している間にルーティングの決定が行われるので、シスコのプラットフォームで効果的な顧客の分類や企業全体での通話の適切な分配を行うことができ、また、初回の通話で企業内の最適なリソースへ各問い合わせを振り分けることができます。
Cisco Post-Routing 機能によって、ネットワークの周辺機器(ACD、PBX、IVR、Web サーバ、E メール サーバ)にすでに接続されている問い合わせのインテリジェントな分配が行われます。問い合わせのリダイレクトが必要な場合、Cisco Unified Contact Center Enterprise によってビジネス ロジックが適用され、周辺機器から企業内の最適なリソースに問い合わせが転送されます。 |
顧客のプロファイルを利用したルーティング |
Cisco Unified Contact Center Enterprise で、問い合わせのルーティングの決定およびエージェント用デスクトップ アプリケーションとの連携に使用できるデータ ソースを拡張できます。たとえば、Cisco Unified Contact Center Enterprise で、顧客データベースを参照した上でルーティングの決定が行えます。また、CRM アプリケーションの情報を使用して顧客とエージェントのマッチングを行い、ポップアップ画面で表示されるアプリケーションでデータを利用できます。
エージェントがいる場所にかかわらず、問い合わせが入ると、関係する通話イベントと顧客のプロファイル データがシステムから提供されるので、問い合わせに合ったサービスをエージェントまたはアプリケーションから提供でき、効率を最大限に高めることができます。 |
エージェント リクエスト API |
エージェント リクエスト API を利用すると、カスタム開発の Web アプリケーションやモバイル アプリケーションに音声コールバックの機能を追加できます。コールバックは、顧客による問い合わせ方法またはチャネルの 1 つとして提供できます。これにより、顧客は自分に最も適したコミュニケーション チャネルを選択できるようになります。 |
レポート |
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、あらゆるメディアの種類に対応した、ミッションクリティカルなコンタクト センターのレポートに必要なリアルタイムのデータと履歴のデータが提供されます。このソリューションでは、コンタクト センターのアクティビティについての正確でタイムリーなレポートが提供され、スタッフのレベルと問い合わせの対応方法に関してマネージャが情報に基づいた決定を行うのに役立ちます。Cisco Unified Intelligence Center 10.0 の新機能の 1 つに、Live Data for Cisco Unified Contact Center Enterprise があります。この機能では、リアルタイムのリフレッシュ レートが大きく向上した新しいリアルタイム アーキテクチャが採用されており、非同期のジャストインタイム データ更新によって有用なレポートが提供されます。
標準的なレポートは、Cisco Unified Intelligence Center で提供されます。Cisco Unified Intelligence Center では、一般的なレポートのニーズに対応した多数のレポート テンプレートが用意されています。基盤となっているデータ モデルとスキーマの可用性によって、個別のレポートのニーズに合わせてカスタムのレポートを簡単に作成してソリューションを拡張できます。さらに、Cisco Unified Contact Center Enterprise から外部のデータ ウェアハウス環境にレポート データをエクスポートして、ストレージにより多くのデータを保存したり、高度な分析を行ったりすることができます。
Packaged CCE では、この Live Data 機能によってコンタクト センターのリアルタイムの情報に迅速にアクセスできるようになります。Cisco Unified Intelligence Center で利用可能なレポートや、Cisco Finesse デスクトップで利用可能なレポート ガジェットは、この次世代のアーキテクチャを利用しています。 |
ユニバーサル キュー |
Cisco Unified Contact Center Enterprise では、エージェントがさまざまなチャネルから複数のタスクを行えるようにすることができ、また、優先度の高いタスクが発生した場合に必要に応じてエージェントのタスクを中断することができます。たとえば、テキスト チャットを使用して顧客の支援を行っているエージェントが、同時に別のチャットの依頼に対応することで、エージェントの生産性が向上します。またエージェントに、アクティブなタスクとは異なる種類のチャネルのタスクを依頼することもできます。たとえば、顧客の E メール メッセージへの対応を行っているエージェントに、音声通話の対応を依頼することができます。そのエージェントは、リアルタイムで音声通話の対応を行った後で、E メール メッセージへの対応を行うことができます。このように Cisco Unified Contact Center Enterprise を利用してエージェントのアクティビティを最適化でき、利用可能なリソースで最高のカスタマー サービスを実現するのに役立ちます。 |
リモート エージェントのサポート |
リモート エージェントのサポートによって、ブランチ オフィスや自宅にいるリモートのエージェントにブロードバンド ネットワーク接続や家庭用の電話回線で CTI、問い合わせの分配、およびレポートの機能が提供され、Cisco Unified Contact Center の環境が拡張されます。Cisco Unified Contact Center により、エージェントがいる場所に関係なく、同一のユーザ インターフェイスと機能を利用できます。
エージェントは、Cisco Unified Mobile Agent の機能を利用して、対応用の電話番号をログイン中に選択でき(必要に応じて何度でも変更可能)、コンタクト センターが移動の速いモバイル ワーカーに優れた柔軟性で対応できるようにします。在宅業務の増加によって、エージェントは就業場所に関しての柔軟性が得られ、コンタクト センターの初期コストも削減できます。この機能により、エージェントをあらゆるサードパーティ製スイッチ インフラストラクチャで、あらゆる電話機を使用して利用できるという利点が得られます。
企業で Cisco Unified Contact Center を利用すると、実際にはコンタクト センター内にいないエージェントも対応できるため、既存のリソースとオンデマンドのリソースを活用して CTI の機能を最大限に拡張することができます。 |
表 2 Cisco Unified Contact Center Enterprise のオプション
発注情報
シスコ製品の購入方法については、購入案内のページおよび表 3 を参照してください。
表 3 発注情報
アップグレード
Cisco Unified Contact Center 10.0 は、メジャー リリースです。以前のリリースからのアップグレードには、Cisco Essential Operate Service(ESW)および Cisco Unified Communications Software Subscription(UCSS)の契約が必要です。
シスコのサービス
市場の変化に対応しながら、生産性の向上、競争優位性の強化、あらゆる場所でのリッチメディア エクスペリエンスの提供を行います。
シスコとパートナーの力を合わせることで、将来の変化に向けたインフラストラクチャの準備を支援する、長期的なビジネス目標に沿ったサービス ポートフォリオを提供します。革新的でネットワーク中心のアーキテクチャ ソリューションを共に構築し、IT およびコミュニケーションへの投資価値を十分に引き出すスケーラブルで応答性の高い基盤を実現します。
Cisco Unified Contact Center Services の詳細については、
http://www.cisco.com/web/JP/solution/collaboration/services.html を参照してください。
まとめ
Cisco Unified Contact Center Enterprise によって、音声通話の着信と発信のアプリケーションをインターネット アプリケーション(リアルタイムのチャット、Web コラボレーション、E メール メッセージング、ソーシャル メディアなど)と統合できる最先端のコンタクト センター ソリューションが提供されます。統合型の機能が実現し、顧客が選択する通信チャネルに関係なく、1 人のエージェントが同時に複数の対応を行うことができます。対応はそれぞれ異なるもので、個別のサービスが必要となる可能性があるため、シスコは、問い合わせの性質がどのようなものであってもそれぞれの対応を管理するコンタクト センター ソリューションを実現します。
さらに、シスコは TDM と IP のインフラストラクチャの違いを解消することができ、音声通話、チャット、E メール、および Web コラボレーションのアプリケーションが両方のテクノロジー プラットフォームで統合されます。このように、コール センター製品(ACD、IVR、PBX など)への既存の投資価値を維持でき、シスコのさまざまなソリューションを活用して、統合型ネットワーク環境で同一のコンタクト センター要件をサポートできます。これによって顧客満足度の向上につながり、顧客との真の意味でのコラボレーションに向けて進化していくことができます。
関連情報
Cisco Unified Contact Center Enterprise の詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/ipcc/ を参照してください。